マーケット分析
各市場の動向と見通し解説
- コンシューマ市場
パッケージ+ダウンロードコンテンツ(DLC) -
2017年のコンシューマ(パッケージ+DLC)市場は244億ドル(前年比15.1%増)と増加に転じました。これは、現行機の順調な普及やNintendo Switchの登場により、パッケージ販売は前年並みに推移したものの、 ダウンロード販売が伸長したことなどによるものです。コンシューマ市場は主に北米・欧州・日本の3地域で構成されていますが、特に市場の約85%を占める欧米市場において、この傾向が如実に表れており、収益性の高いDLC市場はいまやコンシューマ市場の約54%を占める分野となりました。
2018年の見通しとしては、現行機の普及拡大によりソフト販売が増加する好循環が続き、市場は276億ドル(前年比13.1%増)になると予想されます。
また、中期的には、コンシューマゲーム機の普及に加えて、クラウドゲームなど新たなデジタル配信方法が進展することでユーザー層を拡大し、2022年には356億ドル(2017年比45.9%増)まで成長する見込みです。
- モバイルコンテンツ市場
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2017年のPCオンライン市場は、市場の4割以上を占める中国およびアジアを中心に世界的に伸長したことで、384億ドル(前年比23.9%増)と大きく拡大しました。
2018年の見通しとしては、409億ドル(前年比6.5%増)を予想しています。2022年には458億ドル(2017年比19.3%増)まで拡大するものの、大手メーカーのモバイルへのシフトが進み、伸び率は鈍化する見通しです。
- PCオンライン市場
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2017年のモバイルコンテンツ市場は594億ドル(前年比22.5%増)となり、ゲームソフト市場全体の半分の規模まで拡大しています。主な理由は、(1)世界各国におけるスマートフォンの普及拡大、(2)特に日本・アジア地域での人気アプリゲームの増加によるゲームユーザーの定着、などによるものです。地域別では、日本を含むアジア市場が354億ドル(前年比28.3%増)、北米で113億ドル(前年比13.0%増)、新興国や東欧市場など、その他の地域で66億ドル(前年比8.2%増)、と続伸しました。
同市場では、2010年頃から「フリーミアム型(アイテム課金・ゲーム内課金)」と呼ばれる、無料でゲームをダウンロードし、ユーザーが必要に応じてゲーム内でアイテムや通貨を購入する収益モデルが主流となっています。同ゲームにおいては、「コンテンツ力(ブランド・ゲーム内容)」および適切なサービスならびに課金を行う「運営力」が鍵となるため、人気ソフトを多数保有するゲーム会社で、かつ運営ノウハウを蓄積しているモバイル開発会社の収益機会が拡大しています。
2017年のスマートフォンの年間出荷台数は約14.6億台(前年比0.7%減)と昨年並みに留まりましたが、今後5年間では年平均成長率2.8%で推移し、2022年には16.8億台を出荷する見通しです。この結果、2018年のモバイル市場は689億ドル(前年比16.0%増)、2022年には920億ドル(2017年比54.9%増)まで成長が見込まれます。
- アミューズメント施設事業
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前期(2017年3月期)の国内アミューズメント施設市場規模は4,620億円(前期比6.5%増)と2年連続で増加しました。これは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風適法)において保護者同伴による年少者の入場規制時間が緩和されたことやテレビゲームにおける新規機種のヒットで、来客数および客単価が改善したことが要因です。なお、総店舗数は14,154店(前期比4.8%減)、1店舗当たりの設置台数は31.4台(前期比2.2台減)と減少する一方、年間売上高は3,264万円(前期比11.8%増)と増加しています。多くの企業で不採算店舗を閉鎖し、好立地好採算の店舗に集約するなど、経営の効率化を進めたことが奏功しています。
当期(2018年3月期)は、主にプライズゲーム機の景品において、複数のヒット商品が輩出されたことで市場全体は活況を呈し、拡大基調が続いています。
次期(2019年3月期)の見通しとしては、人気キャラクターを用いた通信型カードゲームやビデオゲームが投入されるものの、当期にヒットした景品が一巡することもあり、市場は横ばいで推移すると予想されます。
- 遊技機市場
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前期(2017年3月期)の遊技機市場は8,821億円(前期比10.2%減)と4年連続で縮小しました。これは、パチンコ機およびパチスロ機ともにホールの業績悪化による遊技機への投資意欲の低下や、新規出店数の減少の影響を強く受けたことが要因です。
当期(2018年3月期)は、2018年2月の遊技機規則の改正を迎え、更に市場は冷え込みました。
次期(2019年3月期)の見通しとしては、遊技機規則は改正されたものの、2019年4月からの新自主規制の施行に伴い、商品価値の向上した機種が下期から順次投入されることでユーザーが回帰し、市場縮小に歯止めがかかると予想されます。
- 業務用ゲーム機器販売市場
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前期(2017年3月期)の業務用ゲーム機器市場は、アミューズメントベンダーが減少したものの、新型クレーンゲームや通信型カードゲームのヒットにより、1,490億円(前期比2.0%増)となりました。
当期(2018年3月期)も、新型クレーンゲームおよびプライズ景品の販売が続伸し、微増傾向にあります。
次期(2019年3月期)の見通しとしては、施設オペレーターの投資意欲増加および複数の人気機種の発売に伴い、堅調に推移すると予想されます。
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カプコンの価値創造 (PDF:3.09MB/14ページ)