当社が主力とするゲームビジネスのグローバル市場規模は、家庭用ゲームソフト分野を含め引き続き成長する見通しであり、2027年には2022年の約1.2倍の2,400億ドルを突破する見込みです。当社は、中核戦略と位置付けるデジタル販売の推進によりこの10年間で大きな成長を遂げてきましたが、市場環境や世界のゲーム人口を考慮すれば、まだ成長の伸び代があると分析しており、中期的な経営目標として「毎期、10%以上の営業増益」を掲げています。
近年、当社は「高品質タイトルの長期販売」と「販売地域の拡大」により、ゲームソフトの販売本数を8期連続で伸長しています。現在、当社が長年培ってきた世界有数の開発力により生み出された高品質なゲームコンテンツは、デジタル販売を通じて長期販売ができるだけでなく、PCプラットフォームの活用により、ゲーム専用機が発売されていない国・地域でも販売が可能です。その総計は200を超え、旧作タイトルを含め300以上の当社コンテンツがグローバルで常時楽しまれています。我々はこのデジタル戦略の要となる購買データの分析を6年前から本格化しており、今後はユーザー行動の把握をより精緻化する方針です。また、動画での番組配信をはじめとしたデジタルプロモーションを北米、欧州、アジアの現地法人と連携して行うことで、グローバルでのブランディングを強化していきます。
この状況下、当社ゲームソフトの年間販売本数は、2013年3月期の1,670万本から2023年3月期の4,170万本へと、10年間で約2.5倍に成長しています。2024年3月期はデジタル販売を中心としたグローバルでの旧作販売の成長に加え、『ストリートファイター6』などの新作タイトルの発売により、過去最多となる4,500万本を計画しています。
コンシューマのデジタル販売を中核として、全ての利益項目で7期連続の最高益更新を目指し、営業利益は560億円と11期連続の増益を見込みます。
今後の持続的成長に向けては、引き続き主力のゲームソフト販売を伸長させ、将来的には年間1億本の達成を目指します。その成長をより確かなものにするために、当社およびコンテンツブランドを世界でさらに拡大・浸透させていくことも重要です。その観点で、キャラクター・ライセンス事業、eスポーツ事業、映像事業へも注力します。
キャラクター・ライセンス事業は、新作ゲームの発売時期に合わせた関連グッズ投入やゲーム内コラボの展開を、グローバルで強化していきます。eスポーツ事業は、実施地域の拡大などさらなる活性化を図り、新しいエンターテインメントとして、中長期の視点で振興策や裾野の拡大を推し進めます。映像事業については、グローバルでの積極的な展開に向け、米国に映像制作子会社を設置しました。自社出資を視野に入れ、ゲームと映像事業の連動を強化します。また、日本バレーボール協会、サッカークラブ「セレッソ大阪」への協賛や大阪万博への出展参加は、文化・科学技術の振興支援を図るものですが、当社ブランド強化への副次効果にも期待しています。
また、アミューズメント施設事業やアミューズメント機器事業においても、当社コンテンツの価値向上に連動させながら収益を拡大していきます。
アミューズメント施設事業は、直接、顧客との接点を持つという重要な位置づけにあり、大型店舗の出店や多様な業態へのチャレンジを進めながら、各店舗の収益性を高めていきます。アミューズメント機器事業は、ゲームコンテンツと遊技機の相性の良さを活かし、新たな展開としてスマートパチスロにも対応します。
より未来に向けて。私は、ゲームコンテンツは今後の日本を代表する成長分野であると考えています。当社は今年で創業40周年を迎えましたが、この成長産業のリーディングカンパニーとなるべく、将来にわたり事業に邁進していきたいと思います。そして、社会における当社の存在意義である「ゲームやコンテンツを通じて、人々の心豊かな生活に貢献すること」の達成に向け、高品質なコンテンツの提供を通じて、世界中に笑顔や感動、あるいは前を向いて生きるための活力を届け、またそのようにゲームを楽しめるための環境づくりにも取り組むことで、持続可能な社会づくりへ貢献してまいります。
ステークホルダーの皆様には、今後とも一層のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。
2023年6月
代表取締役社長
最高執行責任者(COO)
辻本 春弘