お客様・地域社会とのかかわり
(※統合報告書2025 より編集しています)
エンターテインメントの健全な発展のために
CEROレーティング制度の遵守、ガイドラインへの賛同
日本では、ゲームソフトの年齢別レーティングを実施する特定非営利活動法人コンピュータエンターテインメントレーティング機構(略称CERO)が組織されており、当社はその会員としてレーティング制度のルールを遵守しています。
レーティング制度とは、青少年の健全な育成を目的として、性的、暴力的な表現などを含む家庭用ゲームソフトが、相応しくない年齢の青少年の手に渡らないよう、ゲームの内容や販売方法について自主規制する取り組みです。
また、近年のゲームプラットフォームでは、レーティングに対応したゲームの使用やオンライン購入を保護者が制限できるペアレンタルコントロール機能が搭載されています。
さらに、当社は一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)が制定する各種ガイドラインに賛同し、ユーザーの皆様に安心してゲームを楽しんでいただけるよう、自主的な規制や健全な運営に向けた取り組みを推進しています。
WHOによる精神疾患認定への対応
2019年、世界保健機関(WHO)は、極端にゲームにのめり込み、健康や社会生活に悪影響が出るとされる「ゲーム障害」を新たな疾病として位置づけました。
本問題に対する社会的要請への対応として、業界団体より委託を受けたゲーム障害調査研究会より2023年に調査結果が発表され、2025年3月には「ゲーム障害横断調査報告書」が公開されました。当社としては本内容を踏まえて、業界団体と協力しながら引き続き当該問題への意識を高め、適時適切な取り組みを継続してまいります。
パチンコ・パチスロ依存症への対応
パチンコ・パチスロは社会に根付いたエンターテインメントである一方、「のめり込み」による依存が懸念されています。
遊技産業13団体からなる「パチンコ・パチスロ産業21世紀会」では、2017年に「パチンコ・パチスロ依存(のめり込み)問題に対する声明」を発表し、定期的に「パチンコ・パチスロ依存問題対策実施状況報告書」を開示するなど対策を強化しています。
また同協会が支援する「リカバリーサポート・ネットワーク(RSN)」では、無料の電話相談、啓発ポスターの掲示、依存問題へ適切な案内ができる担当者を各店舗に配置する「安心パチンコ・パチスロアドバイザー」制度の運用など、多角的な依存予防対策が講じられています。
当社は業界団体と連携し、商品プロモーション活動時のポスター等に注意喚起を盛り込むほか、今後も依存問題の啓発と予防に取り組み、業界の健全な発展に貢献してまいります。
ゲーム開発における配慮
ゲームにおける課金要素について
日本のゲーム市場では、かねてよりモバイルゲームを中心に「ガチャ」に伴う高額課金問題が議論されており、海外市場においても、同様の「ルートボックス」について一部で禁止されるなどの措置がとられています。
当社は「遊文化」をクリエイトする会社として、ゲームはくじ引きのような射幸心を満たすものではなく、あくまで遊んで楽しむものだと考えています。本来、遊んで幸せになっていただくためのゲームで過度な課金により、かえって不幸になってしまうのは当社の望むところではありません。そのため、当社が開発するモバイルゲームでは原則的にガチャ要素は控え、家庭用ゲームにおいても少額の追加要素は有料で配信しつつも、ゲーム本編を楽しむうえで必須となるようなコンテンツは無料で配信するなど、全てのユーザーに平等で安全に楽しんでいただけるよう努めています。
販売地域に合わせた調整(ローカライズ/カルチャライズ)
2025年3月期における家庭用ゲームの海外販売本数比率は83.8%と、当社のゲームはグローバルで楽しまれています。世界中のユーザーにゲームを楽しんでいただくためには、日本語で開発したゲームを各地域に合わせて翻訳(ローカライズ)する必要がありますが、ゲーム機の性能向上、オンラインへの対応、ユーザーのグローバル化に伴う多言語化などにより、ローカライズの物量・重要性は年々高まっています。そこで、当社のローカライズスタッフは初期段階から開発チームに入り、従来日本語版の開発後に行っていたローカライズを開発と同時に進行することで、グローバルでの同日発売を実現しています。また、国によって歴史や宗教、慣習が異なるため、日本の常識で開発したゲームを単に翻訳しただけでは、思わぬところでユーザーの楽しみを損ないかねません。あらゆる地域で平等にゲームを楽しんでいただけるよう、ネイティブスタッフによる調整(カルチャライズ)にも注力しています。
ゲームと教育をつなぐ教育支援活動の歩み
子供達を対象に「出前授業」を15年以上にわたり実施
ゲームは比較的新しい文化であり学術的研究の歴史も浅いため、一般社会では教育的側面よりも悪影響論が根強く喧伝されています。しかしながら、ゲームクリエイターという職種は「将来なりたい職業」として子どもたちに長年高い人気を誇っています。
当社は持続可能な経済成長および社会形成の一助となるべく、ゲームに対する社会的理解を促したいとの考えから、小中学生を中心に企業訪問の受け入れや出前授業を実施しています。そこでは「キャリア教育支援」、「ゲームリテラシー教育支援」、「カプコンお仕事 × 算数・数学授業」の3つのプログラムを展開するほか、「オンライン授業」も実施し、より幅広い地域へ柔軟に対応しています。2025年3月末時点において、企業訪問では累計414件、3,546名を受け入れたほか、出前授業は累計260件、20,237名を対象に開催しました。
お客様サポートの充実
ユーザーサポートとご意見の活用
当社は、購入いただいたサービスを不自由なくお楽しみいただけるよう、商材ごとにサポート窓口を開設しています。また、カプコンお客様相談室のホームページにはFAQを掲載し、お客様の疑問に迅速に対応できるよう努めるとともに、各担当者はお客様の満足度向上のため、定期的に情報交換を行い、窓口間の連携を高めています。なお、ゲームサポート宛にいただいた質問や意見に関しては、集約し分析することで新たな製品開発に活用しています。
また、当社は厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」に基づいた「カスタマーハラスメント対応指針」を策定・開示しています。
幅広い世代に遊びの体験を提供
ファミリー層が楽しめる体験型施設を出店
昨今、アミューズメント施設は、シニア世代の仲間や店舗スタッフとのコミュニケーションの場、またファミリー層の体験の場として人気です。当社では、サービス介助士の資格を持つスタッフが接客・サポートを通じて、シニアのお客様にも安心してご利用いただける環境整備をするほか、子供向け遊具を備えた店舗の展開により、幅広いお客様が安心して楽しめる店舗を目指しています。
さらに近年は、コロナ禍からのインバウンド需要や外出型消費の回復、消費行動の変化に対応し、人気キャラクターグッズの物販店やカプセルトイ専門店など、新業態での出店も進めています。

社会福祉や地域・文化・技術・スポーツ振興支援
青少年育成や被災地等を支援
当社グループは、未来をつくる子どもへの支援を中心に、寄付活動等を行っています。2025年3月期には公益社団法人 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンなど青少年の健全な育成に取り組む団体への寄付を継続したほか、地震等の災害復興やグローバルでの難民支援のための支援金を関連団体へ付託しています。
大阪のエンターテインメント企業として発展と振興を支援
当社グループは、「大阪から世界へ」のスローガンを掲げ、地域・文化・技術およびスポーツの振興に取り組んでいます。大阪・関西万博「大阪ヘルスケアパビリオン」での『モンスターハンター ブリッジ』出展のほか、公益財団法人日本バレーボール協会とのマーケティングパートナー契約や、株式会社セレッソ大阪とのトップパートナー契約などを通じて、地域社会とスポーツの振興に寄与しています。
eスポーツを通じたゲーム体験機会の拡大
当社は、eスポーツが年齢・性別・体格差などを問わず誰もが競い合える新時代のスポーツであると捉え、2014年より「ストリートファイター」シリーズを活用した大会群を最大160ヵ国・地域で開催してきました。2024年度は決勝大会等を両国国技館で開催し活況を呈したほか、2025年度からサウジアラビアで開催されるeスポーツイベント「Esports World Cup」と3年間にわたる提携を決定するなど、今後も、グローバルでのeスポーツ市場の活性化のみならず、日本国内でのさらなる普及にも貢献していきます。
地方創生への貢献
人気ゲームの集客力・認知度で地方自治体を支援
当社はゲームコンテンツが持つ、人を惹き付ける力を活用し、全国各地での① 観光産業の振興を支援する経済振興、② 郷土の歴史・文化の啓蒙を支援する文化啓蒙、③ 警察との連携による防犯啓発、④ 選挙管理委員会と連携した選挙の投票啓発の4つの地方創生活動を行っています。包括連携協定を締結する奈良県橿原市では「ストリートファイター」シリーズを活かし、人気キャラクター銅像を市内各地に設置しています。




