環境
(※統合報告書2025 より編集しています)
エンターテインメント企業としての環境への取り組み
当社グループの連結売上高の約75%を占めるデジタルコンテンツ事業はソフトウェアの開発・販売を主な事業とし、一般的な製造業に比べ環境負荷および気候関連リスクは低いと認識していることから、気候変動に係るリスクおよび機会が当社の事業活動や収益等に与える影響は少ないと判断しています。
しかしながら、気候変動への対応は地球に住むすべての人々が協力すべき課題ととらえ、当社グループにおいても、これまで「ゲームというエンターテインメントを通じて『遊文化』をクリエイトし、人々に感動を与える『感性開発企業』」という経営理念のもと、コンテンツのデジタル販売推進など環境負荷低減へ継続的に取り組んできました。
今後も、TCFD提言などの枠組みや指標を参考にしながら、気候変動をはじめとする社会の共通課題の解決に積極的に取り組んでいきます。
気候変動にかかるガバナンスおよびリスク管理
(1) コーポレート経営会議[議長は代表取締役会長(CEO)]は、気候変動にかかるリスクおよび機会について対応方針および施策等を審議します。
(2) これらの審議の結果を踏まえ、代表取締役または担当役員の指示により関連部門が取り組みを推進し、代表取締役またはコーポレート経営会議に報告します。
(3) 取締役会は、気候変動にかかる重要な事項について、代表取締役またはコーポレート経営会議より報告を受け、監督します。
環境負荷の低減に向けて
当社グループは下記のリスクと機会への戦略として、デジタル販売の推進や再生可能エネルギーの導入、省電力・リサイクル対応などに取り組み、CO2排出量の削減と資源の有効活用を図っています。
リスク
- 炭素税の導入による事業コストの増加
- 炭素規制やプラスチック利用規制による原材料や生産・調達コストの上昇
- 自然災害・温暖化の進行による異常気象の激甚化による事業継続の阻害、従業員の働き方や健康・生活への影響
機会
- コンテンツのデジタル販売推進によるプラスチック利用・輸送コストの削減
- 再生可能エネルギーの利用による炭素税の削減
- アミューズメント機器の一部パーツリサイクルによる調達コストの削減
- 消費者嗜好の変化による、より一層のデジタル化の促進
指標と目標
日本政府が発表した「2050年カーボンニュートラル宣言」では、2050年までに脱炭素社会を実現し、温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目標としています。
当社グループは、引き続き中長期目標としてグループ全体で脱炭素化に向けた排出量削減を推進するとともに、2050年におけるCO2排出量の実質ゼロを目指し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
※ エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法)定期報告書における調整後温室効果ガス排出量となります。
※ 2025年3月期より再生可能エネルギー由来の電力については、ゼロの排出係数を適用しています。排出係数の変更に伴う排出量への影響は、4,455t-CO2の減少となります。
再生可能エネルギー由来の電力を導入

各事業所でLED照明への切り替え等、
省エネへの取り組みを推進
カーボンニュートラル実現のためには、CO2を排出しない再生可能エネルギーの導入が重要とされています。当社においても、関西圏に所在する自社所有ビル等において、再生可能エネルギー由来のCO2フリー電力を導入しており、日本国内における当社の電力使用量のうち、同エネルギーにより約30%が賄われています。
加えて、東京支店におけるグリーン電力の導入や、その他の事業拠点へのCO2フリー電力の導入を拡大しています。また、節電対策を施した自社データセンターの活用などに加え、再生可能エネルギーの使用を促進している大手クラウドサービス企業や大手データセンターサービス企業を利用するなど、一層の環境負荷低減に努めています。これらの取り組みは、持続可能な社会の実現に向けた当社の責任ある姿勢を示すものであり、今後も継続的な改善と発展を目指します。
継続的な原単位の減少に向けて
事務所の増床やアミューズメント施設の新規出店等により足元のエネルギー使用量は増加傾向であるものの、当社のエネルギーの使用に係る原単位は安定的に推移しています。今後も原単位の減少に向けて、アミューズメント施設における省エネゲーム機の導入や空調機器の修繕等による効率化のほか、積極的な再生可能エネルギー利用で非化石エネルギーへの転換拡大を図っていきます。
| 年 | エネルギーの 使用に係る原単位※1 |
前年度比 |
|---|---|---|
| 2020 | 0.05583 | 95.1% |
| 2021 | 0.05186 | 92.9% |
| 2022 | 0.05497 | 106.0% |
| 2023 | 0.05803 | 105.6% |
| 2024 | 0.05259 | 103.7%※2 |
| 2025 | 0.0537 | 102.1% |
(3月31日に終了した各事業年度)
※1 資源エネルギー庁の定める計算方法に基づき算出。
資源エネルギー庁ホームページ https://www.enecho.meti.go.jp/
※2 2024年は関係法令改正に伴う新算出式で記載し、前年度比は改正前の比較値となります。
Scope3への削減に向けて
当社はCO2排出量削減に向けた取り組みの一環として、Scope3の算定を開始しました。まずは2025年3月期のデータを基に、全15カテゴリー の中から主要となる3つの排出源を特定し算定・開示しました。今後は、単体の残存する関連カテゴリーを算定し、連結ベースへと拡大することを予定しています。引き続き、これらの取り組みを通じて、Scope1、2に加えScope3を含む排出量の全体的な可視化と情報開示の強化を進めていきます。
2025年3月期 当社Scope3のCO2排出状況(単体)
| 項目 | カテゴリ | 排出量(t-CO2)※ |
|---|---|---|
| Scope3 | カテゴリー1 購入した製品・サービス |
85,905 |
| カテゴリー2 資本財 |
16,313 | |
| カテゴリー12 販売した製品の廃棄 |
2,240 | |
| 合計 | 104,458 |
※ 排出原単位は、環境省が公開する排出原単位データベース(Ver3.5)を使用。
■ CO2排出量Scope3算出方法
カテゴリ1 調達額に排出原単位を乗じて算出。
カテゴリ2 設備投資額に排出原単位を乗じて算出。
カテゴリ12 販売した製品の重量に排出原単位を乗じて算出。
デジタル販売による環境負荷の低減
従来ゲームソフトには紙の取扱説明書が同梱されていましたが、近年ではソフト内にデータとして内蔵することでペーパーレス化を図り、年間約5,187万本分の紙資源の削減につながっています。さらに、ゲームソフトをダウンロードして購入するデジタル販売が進み、ディスクや半導体、ケースなどの資源も削減可能となり、2025年3月期にはデジタルで販売した約4,672万本分の資源を削減しました。
デジタル販売では、商品を工場から店舗や倉庫に運ぶ必要がなくなることから、コストと同時にCO2排出量の削減も可能となりました。引き続きゲームソフトのデジタル販売を促進し、ディスク製造および運送に伴う資源削減やCO2排出量の削減に努めます。
パチスロ機での環境負荷低減
パチスロ機の製造・販売においても省電力対応や一部パーツのリサイクルなどを通じて、環境負荷の低減に取り組んでいます。当社は、日本電動式遊技機工業協同組合(日電協)の取り組みに賛同し、電力使用の抑制を目的とした統一機能「エコ機能」の搭載および一部パーツリサイクルを導入したパチスロ機の製造・販売を行っています。
使用済み遊技機の処理状況
| 年 | リサイクル量 | サーマルリサイクル※1 |
|---|---|---|
| 2020※2 | 0.0% | 0.0% |
| 2021 | 99.8% | 0.0% |
| 2022 | 91.6% | 8.2% |
| 2023 | 75.8% | 24.0% |
| 2024 | 75.8% | 24.0% |
| 2025 | 74.1% | 25.7% |
(3月31日に終了した各事業年度)
※1 熱源として温水、暖房等に利用した量
※2 2020年3月期は新筐体への切り替わり年度で、使用済み遊技機の下取回収がありませんでした。