グローバルヒット事例の分析

グローバルヒット事例の分析

『モンスターハンター:ワールド』

国内市場に加え、海外市場での支持を得てカプコン史上最高の出荷本数790万本を達成

グローバルタイトルへと成長した人気シリーズ

作品紹介

「モンスターハンター」シリーズ

雄大な自然の中で巨大なモンスターに
立ち向かうハンティングアクションゲーム

「モンスターハンター」シリーズは、雄大な自然の中で巨大なモンスターに立ち向かうハンティングアクションゲームです。「友人と協力して強大なモンスターに挑む」という通信協力プレイが新たなコミュニケーションスタイルを確立し、「モンハン現象」と呼ばれる社会現象を巻き起こしました。2004年に第1作を発売して以降、14年を経た今なお確実にファンを増やし、シリーズ累計販売本数4,800万本(2018年3月31日時点)を誇る大人気シリーズに成長しています。

累計販売本数 4,800万本

2004年に第1作を発売した「モンスターハンター」は、”モンハン現象”と呼ばれる社会現象を引き起こし、国民的ゲームと呼ばれるほどの、確固たるブランドを築いています。しかし、国内での人気に比べ、海外での販売本数は日本の1/4程度に留まるなど、海外での人気拡大が課題となっていました。

そこで、2018年1月に発売した『モンスターハンター:ワールド』では、「モンスターハンター」をグローバルブランドに押し上げるべく、様々な施策を展開しました。

数ある施策の一つが、シリーズ初の世界同日発売です。発売タイミングを合わせたことで世界中に同時に情報を発信することができ、より多くのユーザーからの注目を集めることができました。

また、『モンスターハンター:ワールド』では、スペックが高くグローバルで普及率の高い、据置機向けに開発を行いました。これにより、以前よりユーザーから寄せられていた、”最新技術を用いた「モンスターハンター」が遊びたい”という多くの意見に応えると同時に、次世代の「モンスターハンター」の土台を築くことができました。

これらの取り組みが奏功し、コアなシリーズファンを損なうことなく、言語・文化の壁を越えて世界中のユーザーから高評価を受け、カプコンにおける単一タイトルとして史上最高となる出荷本数790万本を達成。海外販売比率も約60%と海外ユーザーの獲得に成功しました。

なお、『モンスターハンター:ワールド』は2018年8月にはグローバルでPC版を発売しており、「バイオハザード」、「ストリートファイター」に続くグローバルIPとしての地位を更に高めるべく、販売本数の更なる伸長を図ります。

主なヒットの要因

シリーズ初のグローバル同日発売

『モンスターハンター:ワールド』ではシリーズで初めて、グローバルでの同日発売を行いました。更に12ヵ国語への多言語対応を行い、新たな地域のユーザーの開拓も図りました。加えてクリエイターが積極的に直接海外へ出向きプロモーションを行うなど、世界中に新鮮な情報を提供したことで、発売に向けて注目度の最大化に成功。この結果、発売からわずか3日で500万本という、シリーズ最高の滑り出しを記録しました。

地域別売上構成比
従来の「モンスターハンター」と比較し、海外比率が向上

据置機の性能を活かして描かれる”生態系”

9年ぶりに据置機での展開となった『モンスターハンター:ワールド』は、ハードの性能を最大限に活かして、より密度の高いモンスターの生態系の構築を実現しました。モンスター同士の縄張り争いやリアルな食物連鎖といった深みのある世界観や、4K、HDRに対応した迫力のあるビジュアル表現が奏功し、ユーザーのゲーム購入における指標となるメタスコアにおいて90点と高い評価を獲得しました。


モンスターの縄張り争いなど、密度の高い世界が広がる

ユーザー意見を参考にゲーム内容をシェイプアップ

カプコンではSNS等を活用することで、ユーザーの好みや動向を把握し、ゲーム内容の改善を図っていますが、『モンスターハンター:ワールド』でも、ユーザーの意見を参考にゲーム内容の改善を図りました。例えば、欧米ユーザーの間では「ゲーム内での自分の攻撃が効いてるかどうかがわかりにくい」という意見が多かったため、慎重に議論を重ね従来作とは異なり、モンスターへの与ダメージの数値化を実装するなど、既存ユーザーにも新規ユーザーにも好評をいただいた進化を遂げています。


従来のファンを考慮し、表示をオフにすることも可能

発売前のβテストの活用

『モンスターハンター:ワールド』では発売前に3度のβテストを行いました。一般的に、βテストはサーバの負荷をテストするために行いますが、プレイして楽しいと感じたユーザーコミュニティが独自に情報を拡散するなど、プロモーション効果も発揮しました。また、βテスト等で発覚した不具合等に対して誠実に対応したことで、従来のファンはもちろん、新たに「モンスターハンター」に触れるファンを獲得することに成功しました。


2017年12月から翌年1月にかけて3回のβテストを実施

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