2017年度取締役会・監査等委員会での主な議論

2017年度取締役会・監査等委員会での主な議論

当社の取締役会は、6名の社外取締役を中心に積極的な意見や助言がなされており、経営の透明性・健全性を確保しています(2018年3月末時点)。
また、買収防衛策の非継続や配当方針に加え、eスポーツへの取り組みなど成長戦略についても活発な議論を交わすなど、ガバナンスを活用した成長戦略の推進に注力しています。
社外取締役との白熱した議論は、監査等員会などを含め多数ありましたが、本ページでは、その中から2つの事案をご紹介します。
(水色マーカーを引いている箇所は社外取締役の発言です。)

事案1

海外における新規事業への参入

担当執行役員
(新規事業の概要説明を終えて)本件については、法令上、日本は事業対象から外しているが、欧米においては多くの地域で対応可能である。参入検討にあたり、この事業の市場性、プラットフォーム技術、法律面など多角的な観点から実行可能性を検討したいと考えている。
辻本(憲三)
今回は事前の報告であり、審議事項ではない。次回までに、この新規事業に参入することについて疑問があれば指摘いただき、判断をお願いしたい。前向きに進めたい理由は、リスクはあるものの、持続的成長を図るために健全なリスクテイクは必要であり、出遅れたら負けだからである。その中で、リスクとリターンを見つけ出し、適否をしっかり議論いただきたい。
佐藤
位置情報で排除し、日本等からはアクセスできないとのことであったが、第三国経由でプレイすることはできないのか。
担当執行役員
GPSでチェックし、できないような仕様となる。
辻本(憲三)
ゲームにアクセスできても課金できない仕組みである。他にも、新事業に参入するにあたり、これは守って欲しいということについては、皆さんの意見を聞いておくべきである。
松尾
日本でプレイができないということは理解した。一方、アメリカの会社ではなく、日本の上場会社として当該事業に参入する意義はあるのか。運営は誰が行い、誰が提案をしているのか。そのあたりを整理いただきたい。
担当執行役員
基本的に運営はアメリカの会社となる。
辻本(憲三)
例えば、日本企業がラスベガスのカジノを買収して海外子会社として運営するのは適法であるし、日本人が現地のカジノへ行くのも問題ないが、日本から賭けるのは問題である。本件も、(ギャンブルではないが)同じ建て付けである。この点も踏まえて検討し、ご判断いただきたい。
村中
執行部門が本件を進めていくにあたり、適法性の担保をお願いしたい。執行部門が適法条件等をきちんと守っているということを、別の部門がチェックするなど、きっちり第三者的にモニタリングの仕組みを同時に動かして進行いただきたい。事業としてぜひ進めたいということは精神論としてはわかるが、運営にあたってご配慮をお願いしたい。
岩﨑
運営地域として欧州も含まれているが、EUの競争法との関係で地域制限をクリアできているのかは慎重に検討いただきたい。
辻本(憲三)
社外取締役の指摘を踏まえて、改めてリスクを精査し、参入の妥当性を整理すること。

事案2

モバイル事業の改善策に関する議論

社外監査等委員
モバイル事業は成長分野の一つだと思うが、カプコンでは今まで大きな成果に繋げられていない。その要因についてはどのように分析しているか。課題は、ヒト・モノ・カネ等の経営資源が十分に投入されていない点なのか、あるいはカプコンのモバイル開発のノウハウや開発力にあるのか。
内部監査担当者
今回は中間報告となるが、これまで当社のモバイル事業が想定した成果をあげられていなかった要因としては、ご指摘のどちらの点にも課題があったと考えている。それらについては本日報告した問題点にも挙げさせていただいているが、これらの点については、今後の内部監査を進めるなかで、更にヒアリングや情報の収集・分析を通じて検証したうえで 、課題を明確化し、事業部門に対して改善提案を行っていきたい。
社内監査等委員
補足すると、モバイルゲーム開発においては自社だけのリソースでは不足しているので、アジア市場に関しては、現地の開発会社へライセンスアウトする方式で、複数のタイトルを動かそうとしている。国内についても、モバイル開発会社と共同で開発する等の取っ掛かりを見出そうとしている。
社外監査等委員
モバイルはカプコンの成長戦略の一つとして重要な分野なので、スピード感を持って臨む必要がある。また、市場を俯瞰すると、アジア市場の伸び率が非常に高く、今後アジアのマーケットをどのように取り込んでいくかも課題の一つだと考えている。
社外監査等委員
特にモバイルゲームは地域的なテイストが重要であり、日本でヒットしたものが海外で上手くいくとは限らない。内部監査の際にはその点についても併せて確認をお願いしたい。
内部監査担当者
現状、事業部としては、国内にまず注力していく方針を打ち出してはいるが、欧米やアジアなど海外市場についての戦略についても、併せて確認していくようにする。
社外監査等委員
グローバルマーケットの中で全体の何割くらいが日本市場になるのか。
内部監査担当者
全体の1/5くらいが日本市場のシェアである。日本市場だけが(ガチャに偏重した)特殊な進化をしている。
社外監査等委員
今回、モバイル事業についての現状と課題については認識できた。引き続き内部監査の進捗状況について適宜報告していただきたい。
内部監査担当者
承知した。更に問題点を明確化し、今後の成長に繋げられるような提案を実施できるよう進めていきたい。

※ 本議論は、当期における監査等委員会だけでなく、個別ミーティング等の議論なども含めて取りまとめています。

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