社会への取り組み
当社グループは、『遊文化をクリエイトする感性開発企業』という経営理念を実現しつつ持続的な成長を達成するため、世界最高品質のコンテンツを生み出し世界中にユーザーを広げていくための人材への投資が不可欠であると考えています。このため、当社グループでは、人的資本への取組みをサステナビリティに係る最重要課題と位置付け、人材投資戦略の推進に取り組んでいます。
(※統合報告書2023 より編集しています)
従業員との関わり
働きやすい職場づくり
ワークライフバランスの推進
「遊文化」をクリエイトするには、クリエイター自らが遊びに触れる時間を確保しなければなりません。
カプコンでは有給取得推進日を設定し、年末年始や5月の大型連休時にはリフレッシュやインプットのための長期休暇の取得を推奨しています。また、通勤時間の短縮を目指し、開発拠点の隣接地に4階建ての駐輪場を設置、従業員には周囲5キロメートル圏内への居住を推奨しています。これにより時間や生活のコストを節約し、クリエイティブな仕事に欠かせない発想力や想像力を養う時間の確保を図っています。加えて、クリエイターの安定した就業環境を整えるため、2017年4月に自社保育施設の「カプコン塾」を開設しました。勤務地から近いこともあり、結婚・出産後も安心して勤務できると利用者から好評を博しています。
従業員の健康管理を支援
2015年の新開発拠点の竣工に合わせ社員食堂を一新。朝昼晩と健康的な食事を提供しています。また、国家資格を取得したマッサージ師が常駐するマッサージ室を東阪それぞれの拠点に設置し、従業員の健康管理を支援しています。
従業員ニーズの把握
従業員のニーズを経営陣が直接把握するため、2023年3月期は計20回の経営陣による従業員向けの説明会等を実施し、延べ1,400名超の従業員が参加しました。
自己実現を可能にする最先端の設備
クリエイティブなゲーム開発において、開発者のモチベーションを決める最大のポイントは、自分の作りたいものが作れる環境が整備されているかどうかです。カプコンでは3Dスキャンやモーションキャプチャースタジオ、ダイナミックミキシングステージ、フォーリーステージのように、常に最先端の開発環境を整備し、クリエイターのビジョンの実現をサポートしています。なお、2023年3月には国内最大級の広さを誇るモーションキャプチャースタジオを備えた「クリエイティブスタジオ」を、大阪市に新設・稼働しています。
カプコン塾
「保育」と「教育」を兼ね備えた、充実した子育て環境を提供
保育所の不足に伴う待機児童問題の早期改善が望まれる中、当社は将来を見据えて、社員が安心して子育てをしながら長く働くことができる環境を提供したいという経営トップの考えのもと、通常の保育に加え、自ら学び自ら成長できる子供の育成を目的とした、「カプコン塾」を運営しています。
「カプコン塾」では、乳児や幼児の保育だけでなく、幼稚園児・小学生のアフタースクールまで幅広く受け入れることで、社員が子供の預け先に困ることのないよう支援しています。加えて、教育サポートとして、英語・リトミック・絵画造形などの「学びの場」を提供することで、働く社員と一体となって子供の成長を育んでいます。現在月極で24人の子供(2023年3月末時点)を預かっており、ひと月当たりのべ295人ほどの一時利用も引き受けています。
今後も当社は、「カプコン塾」にて、子供の好奇心を刺激し興味を広げていく学習環境を構築するほか、社員と家族が充実した日々を送れるよう、安心して働き続けられる環境づくりに努めていきます。
ダイバーシティの推進
女性の活躍する環境整備の推進、外国人の積極採用などの取り組み
当社では現在、女性の活躍する環境整備の推進、外国人の積極採用に取り組んでいます。
女性の活躍する環境の推進
(1)休暇・時短勤務制度の導入
女性の活躍する環境については、産前産後休暇・育児休暇や時短勤務制度を導入するだけでなく、その取得促進に取り組んでいます。
2022年度の育児休暇取得者は42名、うち男性が30名、女性の取得率は85%です(2021年度は41名。うち男性は20名、女性取得率100%)。また育児休暇後の女性の復帰率も高く、2022年度は57名と100%が復帰しています(2021年度は34名復帰。復帰率97.8%)。
育児休暇取得者数・復帰率
2022年度 | 2021年度 | |
---|---|---|
育児休暇取得者 | 42名(うち男性30名) ※女性の取得率:85% |
41名(うち男性20名) ※女性の取得率:100% |
育児休暇後の復帰率 ※継続中を除く |
100%(57名) |
97.8%(34名) |
女性管理職数・女性社員比率(単体)
一般的に「男性社会」といわれる日本のゲーム業界において、当社は社員の21.3%を女性が占め、女性の管理職は29名(当社管理職に占める割合は11.6%)となっています。女性の就業環境改善へのこうした取り組みが評価され、カプコンでは、2014年以来、厚生労働省から「子育てサポート企業」であることを示す「くるみん」マークの使用を認められています。
(2) 一般事業主行動計画の策定
(2024年4月1日現在)
「次世代育成支援対策推進法」および「女性活躍推進法」に基づき、「一般事業主行動計画」を策定しました。
2028年度末までに
①男性の育児休業取得率について85%以上
②正社員における男女間賃⾦格差※について88%以上 (※女性平均賃⾦÷男性平均賃⾦)
を目指します。
(3) 外国人の積極採用などの取り組み
外国籍従業員の積極活用については、キャリアアップ支援や管理職への積極登用および日本語教育プログラムなど、当社コンテンツの海外展開力強化に向け注力しており、現在、外国籍従業員は204名(当社従業員に占める割合6.7%)となっています。今後も、外国から日本への引っ越しを伴う場合の住居確保の支援、一時帰国のための特別休暇制度の導入など、モチベーションを向上させる体制整備を推進し、ダイバーシティの推進に努めます。
外国人従業員数・比率(単体)
従業員エンゲージメントの向上
決算年(3月期) | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 目標 |
---|---|---|---|---|---|---|
ワークエンゲージメント(単体)(偏差値) (注1) |
51.2 | 51.5 | 52.6 | 51.8 | 54.4 | 55.0 |
離職率(単体)(注2) | 4.9% | 4.3% | 3.9% | 5.4% | 3.5% | – |
うち自己都合 | 4.3% | 4.0% | 3.6% | 4.7% | 3.2% | 3.0% 程度 |
-
- 1. エンゲージメントは、当社従業員(社会保険対象外の短時間労働者を除く)を対象とした外部業者によるアンケート調査結果における当社の偏差値です。具体的な調査方法としては、複数の質問について、従業員が「全く当てはまらない」「あまり当てはまらな い」「まあまあ当てはまる」または「とても当てはまる」のいずれかに回答した結果を外部業者において他社と比較し、偏差値を算出しております。
- 2. 離職率は、対象期の期首の従業員総数に対する期中に退職した従業員数(期中に入社および退職した従業員を除く)の割合であり、集計対象は正社員のみであります。
注)
当社グループは、従業員が働きやすい環境づくりによる従業員の離職防止およびエンゲージメント向上に取り組んでいます。具体的な施策としては、就業環境および設備の継続的な改善・拡充、会社貢献を称えるための社内表彰制度、ハラスメント対策研修の充実およびグローバルで利用可能な相談窓口の設置、従業員向け保養所の提供、その他福利厚生制度の継続的拡充等を行っています。
こうした取り組みの結果、仕事に対する自発的行動やポジティブな感情についての指標であるワークエンゲージメントは例年よりも高い水準となり、離職率も前期比で低下しました。主に報酬制度改定および働きやすい環境づくりへの取組みが貢献したものと考えています。なお、具体的なアンケート結果の例としては、次の質問に「まあまあ当てはまる」以上の回答をした従業員が、それぞれ以下の割合となりました。
仕事では、自分なりの創意工夫を行っている。 | 88.7% |
---|---|
仕事で必要なことであれば、自分の役割を超えて仕事をしている。 | 76.0% |
今の仕事をしているときは、楽しいと感じる。 | 70.9% |
また、会社への愛着等に対する指標であるエンプロイーエンゲージメントに関する具体的なアンケート結果の例としては、次の質問に「まあまあ当てはまる」以上の回答をした従業員が、それぞれ以下の割合となり、ポジティブな結果が得られています。
今の会社には、親しみや愛着を感じる。 | 77.5% |
---|---|
今の会社で働くことができて本当に良かったと思う。 | 85.6% |
今の会社で働くことは、自分の人生にとってプラスになっている。 | 86.2% |
社員の声
マーケティング戦略
マーケティング戦略部
データ分析室
ユーザー分析チーム
チーム長
池田 ひかる
私は2018年の中途入社なのですが、入社直後はデジタルマーケティングの部門でBIツールの導入を担当、その後デジタル販売の部門に移りデジタルセールの企画・分析やユーザー反響分析を担当しました。BIツールの導入では、それまでバラバラだった販売データが一元化され分析業務の効率化に貢献できました。当時は会社として"デジタル戦略"の声が大きくなってきたタイミングだったので、デジタル化が進んだことを実感できて印象に残っています。
現在は市場調査やコミュニティ分析、ブランドマーケティングを主な業務とするユーザー分析チームのチーム長として、メンバーのマネジメントや他部門との連携・調整、予算管理を行っています。世界中の国々にカプコンのIPがどのくらい認知されているか、どのようなユーザーに購入されているか、ブランドのコミュニティを拡げるためにはどうすべきかを分析し戦略立案に繋げています。
メンバーは自分を含め女性が多いのですが、近年の人材投資の推進により女性やお子さんのいる方にとって働きやすい環境が充実してきたことを実感しています。例えば、今年から「生理休暇(有休)」の制度が開始されたことで、女性特有の体調が良くない日でも有給休暇の残数を気にせず体調を優先して休めるようになりました。また、時短勤務や時差出勤などをうまく使って育児と仕事を両立している方もいらっしゃいます。女性もキャリアを諦めずに働ける環境があることはとても有難いと思っています。
アニメーション
CS第二開発統括
開発三部
アニメーション室
室長
木下 陽子
アニメーション室はグラフィックに関する部門の中でもアニメーションに特化した部署です。キャラクターの動きやイベントシーンなど、タイトルを構成するにあたり必要なアニメーション全般を制作しています。私は室長として、メンバーが心身ともに健康な状態で働けるよう労務管理を行い、個性やキャリアパスを考慮したアサインを行うことを心がけています。あわせて採用、若手の育成指導などを行い、合間にはアニメーターとしてタイトルのアニメーション制作もしています。
私自身幼いころからアニメやゲームが大好きなので、魅力的なキャラクターを生みだすのは勿論、「ゲームとしての感覚の気持ちよさ」と「遊び心が詰まった絵作り」を両立させるクリエイターが集まるカプコンは憧れの会社でした。入社後は、個性が強く、それぞれの分野で才能の塊のような方々が本気でゲームを作っている姿に圧倒されました。
会社のモットーである高品質なゲームを世に送り出すためには、クリエイターに対してレベルの高い仕事が要求されます。2022年4月に人材投資戦略の再構築として報酬制度の改定や株式報酬制度が導入されたことは、成果には報酬で応え、グローバルで戦える商品を展開し発展していくという会社としての意思を強く感じました。
ゲーム開発は積み重ねた成果が作品として世界に残る、非常にやりがいがある仕事です。素晴らしいゲームを作るには、グラフィックだけでなくたくさんの人が関わります。これからも、想像と情熱を実現するカプコンのメンバーと共に、誰かの思い出に残るようなゲームを作っていきたいと思います。
ローカライズプロダクション
プロダクション部
ローカライズプロダクション室
ローカライズチーム
チーム長
ボンバシ マルコ
私は入社前からカプコンが好きでしたが、実際に開発現場を見たとき、グローバルなゲーム開発の厳しさを思い知りました。今では管理職を任されるようになり、業務の内容も私自身が翻訳を提供することから、プレイヤーに喜んでもらうために必要なリソースをチームに提供することへと変わりました。チームの責任者として、12ヵ国語で最高の品質を期限内に予算内で提供するよう、チームを指導しています。
世界のあらゆる市場で、カプコンのゲームが自然で適切であると感じられること、それがローカライズチームの使命です。翻訳だけでなく、文化および政治的な観点のアドバイス、海外パートナーとの協力、更に海外プロモーションの支援まで幅広い業務をこなします。また、部門を超えた緊密なコミュニケーションを取ることで、問題を事前に察知・修正し、ファンが期待する品質を損なうことなく、開発の効率化に貢献しています。
日本での生活は、良い面がある一方で困難も伴います。食事一つとっても、母国と同じようにはいきませんし、帰省するにも費用と時間がかかります。カプコンは帰省時の有給休暇をはじめ、外国籍社員を対象とした制度の改革を進めています。また、上層部と直接話せる定期的なミーティングは、私達の意見に耳を傾けてくれていると感じます。
今ではゲームの作り手になってしまいましたが、ファンであることに変わりはありません。チーム全員、ゲームを大好きになったあの喜びと興奮を再現するために全力を尽くしているので、今後の作品も楽しみにしてください。
基礎技術開発
技術研究統括
基盤技術研究開発部
基盤技術開発室
関野 優樹
私が所属する基盤技術開発室では、カプコンの内製ゲームエンジンである「RE ENGINE」の開発をはじめ、ゲーム開発を支える機能の実装やサポートを行っています。その中で私は、ゲーム開発を行うクリエイターから要望をうけ、機能実装や、不具合の解消対応による課題解決を行っています。
私がカプコンに入社したのは、当時の内製ゲームエンジンである「MT FRAMEWORK」が発表された頃です。巷では、携帯電話などで気軽にゲームを体験することが流行の兆しを見せるなか、据え置き型家庭用ゲーム機を主軸に高品質なゲームを作らんとするカプコンの方針に、感銘を受けました。入社して驚いたのは、先進的な表現や体験は、開発者の知恵や工夫で成り立っているという点です。常により良い開発法を模索し続けることで高い品質が維持できるのだと感じました。そのような職場に籍を置き「新しいゲーム体験を支えるため、新機能を開発している」と感じたときや、その機能がクリエイターから感謝されたときの高揚感は格別で、私自身の成長も感じます。
プライベートでは、子供の誕生を機に育児休暇を1ヵ月間取得し、家庭の時間も意識するようになりました。社内敷地に併設された駐輪場やカプコン塾も利用していますが、育児と業務の両立には不可欠な支援であり、大変助かっています。「カプコン塾」では、子供が保育園のきれいな室内で、家とは違った顔つきでのびのびと生活しているのを見る機会がありました。少人数の保育でありつつも、子供が社会性を身に着けられていると感じ、安心して利用しています。