社会への取り組み
当社グループは、『遊文化をクリエイトする感性開発企業』という経営理念を実現しつつ持続的な成長を達成するため、世界最高品質のコンテンツを生み出し世界中にユーザーを広げていくための人材への投資が不可欠であると考えています。このため、当社グループでは、人的資本への取り組みをサステナビリティに係る最重要課題と位置付け、人材投資戦略を推進しています。
(※統合報告書2024 より編集しています)
従業員との関わり
働きやすい職場づくり
ワークライフバランスの推進
「遊文化」をクリエイトするには、クリエイター自らが遊びに触れる時間を確保しなければなりません。カプコンでは有給取得推進日を設定し、年末年始や5月の大型連休時にはリフレッシュやインプットのための長期休暇の取得を推奨しています。育児介護支援として、当社は、従業員のワークライフバランスの実現のため、育児介護休業の取得推進、事業所内保育所「カプコン塾」の設置、育児介護支援制度の充実などを図り、クリエイターの安定した就業環境を整えております。主に乳児や幼児の保育を行うカプコン塾は、勤務地からも近く、利用者の仕事と育児の両立を支えています。
従業員の健康管理を支援
社員食堂では、朝昼晩と健康的な食事の提供に加えて、本社近隣ビルにて弁当販売も実施するほか、国家資格を取得したマッサージ師が常駐するマッサージ室を東阪それぞれの拠点に設置し、従業員の健康管理を支援しています。
従業員ニーズの把握
従業員のニーズを直接把握するため、各種説明会などを通じた意見交換による経営層と従業員の直接対話の機会を活用したエンゲージメント向上に取り組んでおり、2024年3月期は計14回の経営陣による従業員向けの説明会などを実施し、延べ870名超の従業員が参加しました。
自己実現を可能にする最先端の設備
クリエイティブなゲーム開発において、開発者のモチベーションを決める最大のポイントは、自分の作りたいものが作れる環境が整備されているかどうかです。カプコンでは3Dスキャンやモーションキャプチャースタジオ、ダイナミックミキシングステージ、フォーリーステージのように、常に最先端の開発環境を整備し、クリエイターのビジョンの実現をサポートしています。なお、2023年3月には国内最大級の広さを誇るモーションキャプチャースタジオを備えた「クリエイティブスタジオ」を、大阪市に新設・稼働しています。
カプコン塾
「保育」と「教育」を兼ね備えた、充実した子育て環境を提供
保育所の不足に伴う待機児童問題の早期改善が望まれる中、当社は将来を見据えて、社員が安心して子育てをしながら長く働くことができる環境を提供したいという経営トップの考えのもと、通常の保育に加え、自ら学び自ら成長できる子供の育成を目的とした、「カプコン塾」を運営しています。
「カプコン塾」は、就学前1~2歳の保育に加えて、社員の小中学生を対象に夏休みなどの長期休暇時には、プログラミング教室や開発体験、親子ランチ等多彩なイベントを提供しています。また、保育だけでなく、幼稚園児・小学生のアフタースクールまで幅広く受け入れることで、社員が子供の預け先に困ることのないよう支援しています。加えて、教育サポートとして、英語や絵画造形のほか、個別学習サポートなどの「学びの場」も提供することで、働く社員と一体となって子供の成長を育んでいます。現在月極で23人の子供を預かっており、延べ338人の一時利用も引き受けています。(2024年3月末時点)
今後も当社は、「カプコン塾」にて、子供の好奇心を刺激し興味を広げていく学習環境を構築するほか、社員と家族が充実した日々を送れるよう、安心して働き続けられる環境づくりに努めます。
ダイバーシティの推進
女性の活躍する環境整備の推進、外国籍従業員の積極活用などの取り組み
当社では現在、女性の活躍する環境整備の推進、外国人の積極採用に取り組んでいます。
女性の活躍する環境については、産前産後休暇・育児休暇や時短勤務制度を導入するだけでなく、その取得促進に取り組んでいます。2023年度の育児休暇取得率は76.9%、うち男性が66.7%、女性の取得率は114.3%※です(2022年度は52.5%。うち男性は45.5%、女性は85.7%※)。また育児休暇後の復帰率も高く、2023年度は100%が復帰しています(2022年度も100%)。これらの結果、一般的に「男性社会」といわれる日本のゲーム業界において、当社は社員の21.2%を女性が占め、女性の管理職は33名(当社管理職に占める割合は12%)となっています。2024年4月には「次世代育成支援対策推進法」および「女性活躍推進法」に基づき「一般事業主行動計画」を策定し、2028年度末までに(1) 男性の育児休業取得率を85%以上(2024年3月末は66.7%)、および(2) 正社員における男女間賃金格差(女性正社員の平均賃金を男性正社員の平均賃金で割った比率)を88%以上(2024年3月末は83.8%)とする目標の達成を目指しています。
※事業年度をまたがり育児休業を取得した対象者がいた影響となります。
女性管理職数・女性従業員比率(単体)
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※ 2023年3月期より管理職の集計について関係法令に則った方法に変更しています。
外国籍従業員の活用については、積極的採用や外国籍従業員のキャリアアップ支援と管理職への積極登用および日本語教育プログラムなどを行っています。また、外国人が働きやすい環境づくりのため、海外から日本への引っ越しを伴う場合の住居確保の支援のほか、一時帰国のための特別休暇制度の導入、外国籍従業員のニーズを把握するための経営層との意見交換会などを行っており、現在、外国籍従業員は216名(当社従業員に占める割合6.8%)となっています。今後も、モチベーションを向上させる体制整備を推進し、ダイバーシティの推進に努めます。
外国籍従業員数・比率(単体)
従業員エンゲージメントの向上
決算年(3月期) | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 目標 |
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エンゲージメント(単体)(偏差値)(注1) | ||||||
ワークエンゲージメント | 51.5 | 52.6 | 51.8 | 54.4 | 54.1 | 55.0 |
エンプロイーエンゲージメント | – | – | – | 51.8 | 52.1 | 55.0 |
離職率(単体)(注2) | 4.3% | 3.9% | 5.4% | 3.5% | 2.9% | – |
うち自己都合 | 4.0% | 3.6% | 4.7% | 3.2% | 2.5% | 3.0% 程度 |
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- 1. エンゲージメントは、当社従業員(社会保険対象外の短時間労働者を除く)を対象とした外部業者によるアンケート調査(エンゲージメント・サーベイ)の結果における当社の偏差値です。詳細は「有価証券報告書」2024年3月期 有価証券報告書をご参照ください。
- 2. 離職率は、各期首の従業員総数に対する期中に退職した従業員数(期中に入社および退職した従業員を除く)の割合であり、集計対象は正社員のみです。
注)
当社グループは、従業員が働きやすい環境づくりによる従業員の離職防止およびエンゲージメント向上に取り組んでいます。具体的な施策としては、就業環境および設備の継続的な改善・拡充、会社貢献を称えるための社内表彰制度、ハラスメント対策研修の充実および相談窓口の設置、従業員向け保養所の提供、その他福利厚生制度の継続的拡充などを行っています。
こうした取り組みの結果、仕事に対する自発的行動やポジティブな感情についての指標であるワークエンゲージメント、また、会社への愛着などに対する指標であるエンプロイーエンゲージメントに関する数値は、それぞれ以下の通りとなりました。
仕事では、自分なりの創意工夫を行っている。 | 88.3% (前期との差:△0.4pt) |
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仕事で必要なことであれば、自分の役割を超えて仕事をしている。 | 76.4% (前期との差:+0.4pt) |
今の仕事をしているときは、楽しいと感じる。 | 69.6% (前期との差:△1.3pt) |
今の会社には、親しみや愛着を感じる。 | 78.1% (前期との差:+0.6pt) |
今の会社で働くことができて本当に良かったと思う。 | 86.2% (前期との差:+0.6pt) |
今の会社で働くことは、自分の人生にとってプラスになっている。 | 85.4% (前期との差:△0.8pt) |
離職率は前期より低下しており、自己都合退職者は2.5%と目標の3.0%程度を達成しております。報酬制度改定および働きやすい環境づくりへの取り組みが貢献したものと考えています。今後も優秀な人材の定着に向けて働く環境の整備を進めてまいります。
社員の声
ゲーム内の自然現象をCGで演出
工夫とアイデア次第で完成度を高める
勢井 大河
CS第二開発統括
開発三部 VFX 室
物心がつく頃からカプコンのゲームに親しんでいますが、思い通りにキャラクターを動かせる心地よさに魅了されてきました。個性的なキャラクター、没入できる世界観は、「なんとなく良いものが作れた」という生半可な作業で生まれるわけもなく、様々な制約の中、知恵や機転でいかにクオリティを高められるかという探求心や工夫、綿密な作業と熱意があってこそ、この完成度の高いゲーム体験が生まれるのだと入社後に気づかされました。揺るぎないクリエイティブの基盤の強さを改めて実感しています。
VFX室では、ゲーム内の自然現象をCGで演出する視覚効果を担っており、主力シリーズの各種エフェクトデザインや演出などを経て、現在はリーダーとしてエフェクトデザイン全般を監修しています。工夫とアイデア次第で完成度を高められるため、心地よい手触りを追求し制作にあたっています。
家庭では2児の父であり、それぞれ1カ月間取得した育児休暇時には、誕生時の育児サポートができたほか、今も時間単位休暇制度を使い、学校行事に積極的に参加しています。カプコン塾では預かり保育も活用しているほか、見学可能なイベントでは、子供たちの成長を間近に見られ、エネルギーをもらっています。これからも、ゲームを通じて楽しい時間を提供できるよう邁進したいと思います。
より自然な表情で魅力的にする
フェイシャルアニメーション
井原 寛子
CS第一開発統括
第一ゲーム開発部
アドバンスドゲーム開発室
入社後、カプコンの自社製エンジンによるスムーズなマルチプラットフォーム化をはじめとした高い開発力に驚きました。
才能あふれる人材が多い現場で、立場を超え、相互に尊重しつつも主体性を出す、そこから想像を超えた作品が生まれる、これはカプコンのゲーム開発の魅力です。前例がなく不可能と思えることも、仲間とともに解決し完成させる経験は何にも代えがたいです。
私は、フェイシャルアニメーション制作を担当していますが、先進的な開発環境と技術を活かし、キャラクターがより自然な表情で魅力的になるよう取り組んでいます。仲間と共に苦労して生まれたフォトリアルなキャラクターがプレイヤーの心に響き、SNS等に投稿されるのを見るととてもやりがいを感じます。
近年、年俸引き上げもあり現場の士気は高まっています。過去作のデジタル販売についても、携わった作品が世代や場所を超え、愛され続けるのは開発者として嬉しい限りです。
育児休暇後、時短勤務に切り替わる際はキャリアアップが見込めないと思いましたが、ワークフローの効率化もあり限られた時間でも成果を出せています。不在時の対策としてチームメンバーの業務進行に支障がないか状況を日々確認し打開案を出し合うなど、効率的な業務運営をすることで、自分自身の成長も実感しています。
プログラミングとアートを繋ぎ
精彩な世界観を形作る
ヘイグ カーソン
CS第一開発統括
第一ゲーム開発部
アドバンスドゲーム開発室
子供の頃からカプコンのゲームに触れてきましたが、特別なゲーム体験を生み出すプロフェッショナルがカプコンにはいるのだと思いを馳せ、今に至ります。現在、開発チームの一員としてゲーム制作に携われることを誇りに思っています。
入社後に携わった主要タイトルの開発を通じてレンダリングプログラマーとしての経験を積み、今はグラフィックとレンダリングの専門チームに所属し、最高のビジュアルクオリティを引き出しつつ、ゲームに命を吹き込めるよう邁進しています。
チームのメンバーは、多様な文化背景と様々な専門スキルを持っています。そのため、同じビジョンを共有するには手段を工夫する必要があり、時に難しいように感じます。しかし、この多様性こそが、常に新しいアイデアや視点を生み出し、最高品質のゲーム制作に繋がる力になっていると信じています。
オフの日に、自分が手掛けたゲームの動画配信を見るのが楽しみの一つです。苦労した部分に対して、プレイヤーの興奮したリアクションを見ると、特別なゲーム体験を提供できたことにこの上ない達成感を感じます。日々全力で取り組んでいますので、是非今後のカプコンにご期待いただければと思います!
ゲーム販売形態の変革期
先を見越した対応にアンテナを張る
新里 美樹
財経・広報統括
財務経理部 財務管理チーム
チーム長
総務や経営企画での業務を経て、現在は財務経理部で資金管理や取引先管理を担当するチームのマネージャーを務めています。資金管理の業務には、会社の財産である資金を預かり管理する、という重要な役割があり緊張感を伴いますが、これまでの業務経験で得た、「着実に、丁寧に」を常に意識しているほか、グローバル化やデジタル転換を背景に、先を見越した対応ができるよう広くアンテナを張り、試行錯誤しながら取り組んでいます。また、管理職の立場では任せることを意識し、個々の力が発揮できるようサポート役に努めつつ、日々の会話の中で小さな課題や不安が拾えるようなコミュニケーションを心掛けています。
近年開催されている会社概況説明会は、マネジメントから業績概況や中長期戦略を直接聞き、質問ができる貴重な機会であり、経営と社員が共に成長を目指そうとする一体感が若い世代のモチベーションアップに繋がっていると感じます。
私自身は育児休暇を取得後、復職のタイミングで保育園に空きがなく、一時的にカプコン塾を利用する事でスムーズな職場復帰をする事ができました。通勤では駐輪場を利用し、休日は家族と保養所を利用するなど、社員のニーズに寄り添った福利厚生制度のもとで安心して働くことが出来ていると実感しています。