RE ENGINE
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カプコンのものづくりを結集したエンジン
すべてのタイトルを支える開発エンジン
「RE ENGINE」をひとことで言えば、「マルチプラットフォームに対応できる、カプコンのものづくりに特化した内製ゲームエンジン」。現在、すべてのタイトルをこのエンジンで開発しています。『バイオハザードレクイエム』のようなフォトリアルから『モンスターハンターストーリーズ3 ~運命の双竜~』のようなアニメ的表現まで、これひとつですべて対応可能です。世界では市販ゲームエンジンやタイトル専用エンジンで開発されるケースが多い中、カプコンは稀有な存在といえます。内製ゆえに、フットワーク軽く先端技術を開発に反映でき、2025年6月に発売されたNintendo Switch 2 のローンチタイトルとして、『ストリートファイター6』と『祇(くにつがみ):Path of the Goddess』の2本をリリースできました。これも、このエンジンによる高効率開発の成果です。
エンジン内製化は未来への投資
カプコンがゲームエンジンの内製化に取り組んだ背景には、ある危機感がありました。約20年前、新しいゲーム機が次々と登場し、開発工程が複雑化、作業量も増大。「このままではカプコンらしいものづくりができない」。そこで開発されたのが「RE ENGINE」の前身「MT Framework」でした。これにより高品質なゲームを効率的に開発できるようになりましたが、IT技術の革新スピードは速く、世界のゲーム環境は急速に変化。大規模化、複雑化するコンテンツに合わせて更なる開発効率化や環境最適化を進めるためには、新たな土台の開発が急務でした。そこで、2017年リリースの『バイオハザード7 レジデント イービル』の開発に際し、クリエイターが求める開発環境を実現化すべく、ゲーム開発チームと二人三脚で新規開発したのが「RE ENGINE」です。「RE」には、「Reach for the Moon (月に触れる)=実現不可能なこと」をこのエンジンで可能にしていくという思いが込められています。
今後もエンジンへの投資を継続し、カプコン・クオリティの未来の強化を図ります。
カプコンのゲームづくりに最適解を
「RE ENGINE」の最大の特徴は、カプコンのゲームづくりのワークフロー(作業工程やつくり方)に合わせて開発されたエンジンであること。ホラーも格闘もハンティングも、すべてこのエンジンひとつで対応可能です。描画から編集、プレイテスト、品質管理までエンジン内で完結できるため、開発効率が大幅に向上。一度作成したアセット(画像や3Dモデルなどの素材)は、タイトルを超えて共有できるなど、開発メンバーが使いやすいようにさまざまな工夫を凝らしています。
エンジンを担う基盤技術研究開発部には約200名のエンジニアが在籍し、うち160名ほどがエンジン開発を担当していますが、機能拡張やインターフェイスの改善、保守だけを担っているわけではありません。「高度な技術をより簡単に、開発しやすいエンジン」を目指し、タイトル開発にも積極的に関わっています。各タイトルにエンジン開発のメンバーを派遣し、必要な機能やカスタマイズの要望を吸い上げ、双方で検討を重ねた上で実装しています。これにより、ゲーム機能が向上。過去の技術を捨てることなく、新技術と共存させ、対応するプラットフォームで動作するよう調整も行っています。
また、すべてのタイトルをこのエンジンで開発することで、人材の流動性も上がりました。開発が終了したメンバーが別チームに異動してもエンジンについて学び直す必要がないため、すぐに新たなゲーム開発を開始できます。ゲームをつくるのは人。人はカプコンの最大の宝です。エンジン内製化の効果は、さまざまなところに現れていると考えています。
不可能を可能にする新エンジン開発
「RE ENGINE」がカプコンのタイトル開発の土台であるなら、エンジンはタイトルの進化より数歩先を行く“道しるべ”であるべき。そこで開発を進めているのが、次世代エンジン「REX (RE next Engine)」です。既存の「RE ENGINE」を全面的に置き換えるのではなく、IT技術のトレンドを踏まえ、段階的に新技術を統合しながら進化させていく予定です。
「CAPCOM Open Conference」や「CAPCOM GAMES COMPETITION」に参加したプロエンジニアや学生たちなどの、外部からの視点も反映。社内に向けては、より開発しやすい仕様に。世界に向けては、より多様なゲーム体験を提供できるように。不可能を可能に。文字通り、カプコンの“エンジン”となって世界に挑んでいきます。
学生が「RE ENGINE」で開発に挑む「CAPCOM GAMES COMPETITION」
次世代のゲームクリエイターを育成し、ゲーム業界全体の活性化を目指すこともカプコンのミッション。その取り組みのひとつとして、2024年、近畿大学と連携し、「RE ENGINE」を活用したゲーム開発の体験型授業を実施しました。それをさらに拡大し、2025年に、日本の学生向けゲーム制作コンペティション「CAPCOM GAMES COMPETITION」を初主催。参加学生チームはクラウド環境で「RE ENGINE」を用いてゲーム開発に取り組みます。各チームには「RE ENGINE」のスタッフがメンターとしてサポート。学生はプロから最新のゲームづくりを学び、カプコン側は初めてエンジンに触れる学生から外部視点のフィードバックを得ることで、エンジンのユーザビリティ向上に活かしています。
「RE ENGINE」が可能にするグラフィック表現
「RE ENGINE」は、開発効率を上げるだけでなく、リアルタイムで高品質なグラフィックスを表現・動作させる多機能エンジン。タイトルごとに必要な要素や表現ができるよう、新技術を組み込みながらも、さまざまな環境で安定して動作するよう設計されています。
ライティング方式の工夫
「RE ENGINE」は、さまざまなライティング方式に対応。少ない処理コストで表現できる「ライトプローブ※1」、影や反射など必要な用途に合わせて光の経路を計算する「レイトレーシング※2」に加え、そのレイトレーシングをさらに高度化・発展させた「パストレーシング※3」にも対応。プレイヤーが遊ぶプラットフォームやハードウェアスペックに合わせて、最適なグラフィックを提供します。
パストレーシングで「恐怖」を表現
『バイオハザード レクイエム』では「パストレーシング」を採用することで、より現実世界に近い描画を実現。揺れる複数の照明から生成される多重の影を表現することで、プレイヤーに「えっ、そこに何かいる?」という不安を誘います。こうした光と闇が織りなす生々しい表現で、恐怖体験を盛り上げます。
フォトリアルでプレイヤーに没入感を
レンダリング技術の向上により、キャラクターの肌や瞳、服などの質感などがよりリアルに。特に髪の毛は「ストランドヘア」という技術によって、髪の毛一本一本を独立した糸(「ストランド」)として扱い、キャラクターの表情や動きに合わせて自然に揺れる様子を表現。光の透過と相まって、まるで実写映画を操作する感覚でゲームを楽しめます。
- 事前計算を用いるため、静的な空間であれば問題ないが、動的なオブジェクトや光源の描写でクオリティが落ちる。
- カメラ視点からの直接光と一部の反射光を用いて処理を行う。リアルタイムで計算するため動的な空間でもクオリティを担保できるが、ライトプローブを使用する手法よりも処理コストが増加する。
- 空間全体の光の経路を統計的に処理することにより、複雑な間接光や反射、屈折をリアルに描写することが可能。しかしその分、レイトレーシングよりも膨大な計算量になる。
開発戦略
- 開発トップが語る開発戦略
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- 内製ゲームエンジン「RE ENGINE」