開発トップが語る開発戦略2025
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CPO就任にあたり
1996年の入社以降、私は一貫して開発部門に所属し、ゲーム開発の進化を最前線で体感してきました。近年はCS第二開発統括として、「モンスターハンター」シリーズをはじめ様々なブランドを主導しています。
開発を率いるCPOを拝命し、「ものづくりへの情熱」「クオリティへのこだわり」を根源とする開発スタイルや、長期かつ安定的にタイトルを供給する開発体制、ROIによる投資収益管理手法など、基本路線は前任から継承します。同時に、開発プロデューサーとしての経験も活かし、開発コア層へのビジネス視点の浸透や、よりユーザーの体験価値にこだわるコンテンツづくり、事業部門との連携強化などへも取り組みます。
全体方針
当社開発の強みは、①クリエイティブへの徹底的なこだわり、②構想を実現する技術力、③この両者がDNAとして浸透した2,800名超の開発社員、④開発の直接部門と支援部門が支え合う強固な部門体制、そして、これらが40年の蓄積として創出してきた⑤「モンスターハンター」「バイオハザード」など豊富なIP、にあります。
グローバルユーザーの高い期待や、ステークホルダーからの信頼に応え続けるためには、最大限自社の強みを発揮し、進化・大規模化する時代に即しブラッシュアップを加え、さらに将来を見据えた布石を打つことが必要だと認識しています。
強みの発揮
開発は、従来から内作が基本であり、当社の開発力は世界トップレベルにあります。加速度的に進化するグローバルのゲーム開発において、内作を通じてその変化を吸収することが、競争力の維持・向上に最適と考えています。他方、開発における多様な課題に対応するには、協力会社との連携と関係強化も不可欠です。
現在、タイトル開発を主管するCS第一開発統括およびCS第二開発統括が、各々の個性を発揮して担当タイトルの開発を行っています。中長期的な成長と収益最大化を目指し、5~10年先を見据えたタイトルポートフォリオ「開発中期マップ」を策定しています。各タイトルの投入時期や収益貢献を可視化し、年度収益やブランド内での販売間隔の最適化に加え、タイトル投入の集中回避などを図っています。さらに、新規IPの創出や休眠IPの復活などもマップ上で計画化しています。運用にあたっては、タイトル開発部門の立案をもとに、開発管理統括が原価管理や経営協議などを支援し、経営・事業への展開体制を確立しています。
また、当社開発の技術水準と効率性を支えているのが、自社開発エンジン「RE ENGINE」です。技術面・効率面での優位性に加え、開発環境の統一により、タイトル間での技術共有や人材の柔軟な配置でもメリットがあります。「RE ENGINE」は、基盤技術の研究と運用を担う技術研究統括が主管しており、次の進化ステージに向けた準備や、AI技術についても検証しています。
このほか、不具合修正やバランス調整などを通じて統合的に品質管理を支援する品質管理統括、ローカライズやサウンド・ビジュアル制作を担う制作統括など、支援部門のサポート体制が充実・確立していることも、当社開発の特色であり、大規模組織である開発全体としてパフォーマンスを最大化できる仕組みを構築しています。
時代に即したブラッシュアップ
開発規模の拡大に伴い、徹底したコスト管理が不可欠です。「開発中期マップ」では、まず、タイトルごとに開発投資を、次にその規模に応じたPL、ROI(投資収益率)を算出し、運用精度を向上しています。市場環境やタイトル個別要因による変動に対応するため、半年ごとにマップをローリングし、算出方法やツールも随時最新化しています。各タイトルは、①着手、②試作、③制作の各段階で「開発制作会議」に上程され、クオリティと収益性の両面で精査を受けて開発を進行します。近年では、販売データ分析の精緻化により、発売前後に関わらず機動的な言語・プラットフォーム追加が開発部門に求められることも多く、開発幹部層が迅速に意思決定し現場が対応できるよう努めています。
また、デジタル販売の浸透により、タイトルのライフタイムが長期化しており、ユーザーの満足度を継続的に維持向上することが非常に重要になっており、発売後のアップデートや双方向のコミュニケーションを積極化しています。同様に、PCを含む多様な性能・構成のプラットフォーム、そして世界各地域のユーザーに対して、高品質な体験を等しく提供することの重要性も増しています。幅広いニーズに応えるべく、これまで以上にユーザーの声に丁寧に向き合い、開発部門に加え全社で連携することで継続的な向上に努めていきます。
将来を見据えた布石
年間販売1億本の実現に向け、グローバル展開の加速と、新作数の増加によるパイプライン強化が不可欠です。その基盤を支えるのは、やはり「人」です。2013年以降、毎年100名以上の開発者を積極採用し、世界中から集まった多様な人材が、実践を通じて、当社ゲーム開発の土壌を豊かにしています。2024年には、開発として目指す価値観・行動基準のさらなる浸透を図るべく開発人材ポリシー「CAPCOM-SHIP」を制定しました。開発が長期化する環境下でも若手の早期育成を可能にするため、育成プログラムを更新するほか、給与改定や各種人事制度の改善も引き続き推進し、やりがいと向上心が成果につながっていくよう就労環境の充実を図っていきます。
おわりに
CPOならびに開発管掌の役割は、5年10年先を見据えた開発組織の采配・運営です。不確実性と課題に満ちた領域ですが、それこそが進化を続けるゲーム業界の本質であり、現場が実現可能な目標に落とし込むために、長期視点で適切な策を講じることが私の使命です。常に最高を目指すカプコンDNAのもと、世界トップレベルの技術力と、長年練り上げてきた独自の運用システムを活用し、志を共にする社員と共に「世界中の人々を夢中にさせる」開発を目指します。ご期待ください。

開発戦略
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