CEOコミットメント2025
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世界水準の技術力と経営力で、未来の企業価値を築く
2025年3月期は、12期連続の営業利益増益、10期連続の10%以上の営業利益成長、8期連続で全利益項目の最高益更新を達成することができました。この間、当社の株価も断続的に上昇し、2025年2月には初めて時価総額が2兆円を突破しました。これはひとえに、ユーザー・株主・取引先をはじめとするステークホルダーの皆様のご支援の賜物と深く感謝申しあげます。そして何よりも最高品質のコンテンツを世界中に届けようとする社員全員の強い思いがあったからこそだと考えています。
当社グループは2020年3月期より「毎期10%以上の営業利益増益」を経営目標に掲げており、今後も確固たる理念と戦略のもと、目標達成と持続的な企業価値向上に取り組んでまいります。

感性を拓く力で、世界中の心を動かす企業へ
当社グループの経営理念は「ゲームというエンターテインメントを通じて『遊文化』をクリエイトし、人々に感動を与える『感性開発企業』であることです。創業から42年。幾度となく訪れた逆境の中でも、私たちは創意工夫と情熱をもって決して立ち止まることなく挑戦を続けてきました。市場の変化、技術革新、そして世界情勢の揺らぎ——、それらを乗り越えてこられたのは、私たちの根底にある揺るぎない理念があったからです。
私は、「ゲームは嗜好品であり、人生に不可欠なものではない。だからこそ、ユーザーが“面白い”と感じる、世界トップクラスのブランドでなければならない」と考えています。この言葉には、単なる娯楽を超えた「遊び」への徹底したこだわりと、感性を刺激するクリエイティブへの挑戦、そして“創意工夫”で価値を生み出す姿勢を込めています。こうした考え方は当社グループの経営理念とともに企業文化として深く根付き、「大阪から世界へ」という合言葉のもと、常にトップクラスを目指す誇りが、社員一人ひとりに刻み込まれています。
こうした理念や価値観に加えて、これまで当社グループが実現してきたこと、そして今後も目指していく「ありたい姿」を、「中長期ビジョン」として再定義しました。
それは、「最高のコンテンツで世界中の人々を夢中にさせる企業」です。
これには大きく三つの意味合いがあります。
一つ目は、当社の強みである、最高品質のものづくりにこだわり続ける、ということです。
二つ目に、当社のコンテンツを全世界のすみずみまで浸透させ、世界中の人々に知ってもらい、遊んでいただけるようにします。
三つ目に、当社のコンテンツに夢中になり、熱いファンになってくれる人を世界に増やしていくことを、目指します。
全世界にユーザーベースを広げ、そこから熱いファン層を育んでいくことは、会社の持続的な成長にも繋がり、そして当社のゲームや商品に触れることに夢中になって楽しんでいただくことが、人々の生活の豊かさや彩りへの貢献にも繋がっていくと考えています。
そのためにも、まずは世界の一人でも多くの人に当社のゲームを遊んでいただきたく、年間販売本数1億本を長期的な目標として掲げています。2025年3月期には、10期連続での年間販売本数増を達成し、5,000万本を超えるところまで到達しました。2026年3月期ではさらにこれを伸ばし、5,400万本の販売を目標としています。
世界に誇るIPと開発力で築いた確たる経営基盤、そして次のステージへ
当社グループの独自性は、①全世界でブランド化された多数の人気IPを保有していること、②世界最高品質のゲームを継続して生み出す開発力・技術力です。これまでもこれからも、この2点が当社の根幹をなすものとなります。
直近の10年の重点方針
2010年代半ばまで、当社グループは大型新作タイトルの有無によって業績が大きく振れるという、事業構造上の課題を抱えていました。そこで、安定的な収益を確保できる企業体質の構築を最優先とし、パッケージ販売中心から、デジタル販売主体のビジネスモデルへと転換を推進してきました。デジタル販売への移行により、コンテンツを全世界のユーザーに向けて長期間に提供できるようになり、価格設定の柔軟性も向上しました。その結果、より広範なユーザー層にゲームを届けることが可能となりました。加えて、デジタル販売では流通コスト等がかからないうえ、発売から一定期間を経過した「リピート作」は開発費の償却が完了しているため、これらを中心とした販売が高収益かつ安定した利益の源泉となっています。
また、当社グループはこの10年で、コンシューマ機に加えて、PCプラットフォームへの対応を強化し、世界中のゲームユーザーに向けたコンテンツ提供を加速させてきました。PCはグローバルに普及しており、デジタルコンテンツを届けるうえで極めて重要な基盤と位置づけています。これにより、220を超える国・地域への販売網が拡大し、グローバル展開が一層加速しました。さらに、全世界の販売データを一元的に管理・分析する体制を整え、マーケティング施策の立案や販売本数の予測に活用することで、より精度の高い戦略的意思決定が可能となりました。
これらの取り組みが功を奏し、当社グループは12期連続の営業増益を達成でき、収益性の向上による経営基盤の安定化、持続的な成長を実現できました。企業として、次のステージへと進化できたと確信しています。この10年で築き上げたビジネスモデルは、今後も当社グループの基本方針として継続していく考えです。
このように全世界で長期間にわたって拡販し続けることができるのは、当社ゲームが「グローバルに認知されたトップブランド」であり、当社の独自性と強く結びついているからです。これこそが、当社グループならではの競争優位性であると自負しています。
これからの10年の重点方針
次の10年に向けて、私が目指すのは、会社としてのさらなるステージアップです。
まず中核となるのが、先ほど触れたビジョンにも通じる「全世界のすみずみまで」当社ブランドを浸透させ、ユーザー層を拡大することです。現在、当社ゲームは、220を超える国や地域で販売されていますが、地域によっては販売本数やユーザー数の広がり、IPブランドやコーポレートブランドの浸透が限定的です。こうした地域にもブランドを広げ、ユーザーベースを拡充することが、次の成長フェーズにおける重要な挑戦であり、新たな成長ドライバーになると考えています。
次に、会社のさらなる成長の基盤となる、当社グループの核であるものづくりの体制も再整備しなければなりません。今後10年を見据えた組織体制の強化が不可欠です。人材への継続的な投資、開発環境の再整備、知財戦略など持続的成長を支える基盤づくりを今後も着実に進めていきます。
最後に、企業としてステージが上がるにつれ、社会的責任の重みも増します。だからこそ、ステークホルダーの皆様とより健全かつ強固な関係性を築くこと、そして経営の透明性と健全性を高めるためにコーポレート・ガバナンス体制の強化を図ることが、これからの企業活動においてますます重要になると考えています。
以上——ブランド浸透とユーザー拡大、持続的な成長に向けた基盤づくり、ステークホルダーとの健全な関係の構築、そしてコーポレート・ガバナンス体制の強化——を、次の10年の柱として、順を追って説明します。
全世界のすみずみまでのブランド浸透・ユーザー拡大
国・地域の特性に応じたマーケティング強化
当社ブランドをより一層浸透させていくには、世界各地の市場をより精緻に分析し、それぞれの国や地域が持つ特性を的確に捉えることが不可欠です。各国・地域にどのような潜在的ユーザー層が存在し、その方々に当社ブランドの魅力を届けるには、どのような商品、価格、販売チャンネルおよびプロモーション施策が最適であるかを見極めることが重要です。市場データの継続的な分析とそれに基づく施策の実行、そしてその成果の検証というサイクルを積み重ねることで、マーケティングの精度を高めていきます。
加えて、今後ますます重要性を増すのが、ユーザーとのコミュニケーションです。各国・地域のユーザーとのコミュニケーションを通じて、当社に対する期待や満足度、さらには潜在的なニーズを丁寧に汲み取り、それらの知見をものづくりや販売戦略に反映させていきます。
PC市場を意識した対応強化
私は、今後PCが世界においてより一層主要なゲームプラットフォームとしての地位を確立し、PC市場の価値がさらに高まっていくと考えています。上述のように、当社グループは早くからPCプラットフォームへの対応を進めてきましたが、それに加えて、PC市場やPCユーザーの特徴・動向をより深く把握し、それを意識したものづくりや販売戦略の強化に取り組んでいきます。
映像への投資
さらなるブランド浸透に向けて強化していきたいのが、映像作品への投資とその活用です。映像はゲームよりも身近なメディアとして、世界観や当社コンテンツの魅力を伝える手段となります。当社ゲームを未体験の方々に対しても、当社IPへの入口となります。
今後は、当社IPの映像制作に積極的に投資を行い、世界中で視聴してもらうことで、当社ゲームの認知度向上と販売拡大に繋げていきます。
持続的な成長に向けた基盤づくり
サステナビリティへの取り組み
当社グループの事業活動において、人的資本、知的財産、情報セキュリティはサステナビリティの重要な柱であると考えています。これらの取り組みについて順にお話しします。
人材投資や開発環境の再整備
当社グループは、持続的な成長の原動力として、人材への積極的な投資が最も重要であると考えています。この方針のもと、近年は人材投資戦略の強化を最重要課題の一つとして推進しています。
当社は、2022年4月にCHOの新設、人事関連組織の再編を実施し、報酬改善を含む報酬制度の改定やすべての正社員への株式報酬の付与など多様な改革を推進してきました。現在、開発スペースの拡充として本社北側に新ビルの建設を進めるなど、物理的な環境整備にも取り組んでいます。引き続き、人材の確保・育成と働きやすい環境のさらなる整備に努めるとともに、社員の貢献意欲と士気を一層高めるべく、経営として継続的に注力していきます。
知的財産
これまで述べてきたように、当社は世界最高品質の有力IPを多数保有していますが、当社グループのビジョンの実現には、これらのIPやコンテンツをはじめとする当社が培ってきた知的財産の活用が重要であると考えています。このため、「創意工夫」の精神のもと、知的財産を無形資産と捉えて、価値の最大化に努めています。また、事業のグローバル展開には知的財産の保護・権利化が欠かせません。さらに、事業や開発を支援する体制や、社内教育も重要です。引き続きこれらの取り組みを進め、魅力的なコンテンツ作りやブランドの浸透・価値向上を図っていきます。
情報セキュリティ
グローバルでの販売推進と、デジタルによる販売の多様化を加速していくためには、様々なサイバーリスクへの対策が不可欠です。このため、外部アドバイザリー組織であるセキュリティ監督委員会の助言等を踏まえ、情報セキュリティ・サイバーセキュリティ管理体制の維持と強化を図っています。また、役職員への教育・訓練の実施により、情報セキュリティへの意識向上にも努めています。
ステークホルダーとの健全な関係の構築
すべての人が安心してゲームを楽しめる世界の実現は、当社グループの経営理念に通じる願いであり、重要な責任でもあります。この理念のもと、環境問題や社会課題といったグローバルな共通のテーマにも、真摯に向き合い、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めていきます。これらの取り組みを通じて、株主、顧客、取引先、従業員、地域社会など多様なステークホルダーの皆様との信頼関係を大切にしながら、より良い未来の創造を目指しています。
環境への配慮
当社グループは、デジタル販売の強化による環境負荷の低減に加え、事業所への再生可能エネルギー導入などを通じてCO2排出量の削減に努めています。気候変動への対応は人類共通の課題であり、当社グループの業態は比較的環境負荷が低いものの、今後も環境保全に配慮した取り組みを推進していきます。
社会貢献活動
当社グループは、営業利益の一定割合を原資として、未来をつくる子どもへの支援を中心とした寄付活動等を行っています。また「大阪から世界へ」のスローガンのもと、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)では、大阪府・市などが出展する「大阪ヘルスケアパビリオン」への協賛、参加等により、地域・文化・技術・スポーツの振興に努めています。
株主への利益還元
私は、「企業として安定的な成長を遂げるとともに、長期株主には安定的な増配で報いたい」という信念のもと、創業以来42年間にわたり経営に取り組んできました。この考え方に基づき、株主の皆様への利益還元を経営の重要課題と位置づけ、将来の事業展開や経営環境の変化を踏まえたうえで、配当を決定しています。
株主還元の方針としては、①投資による成長などにより企業価値(時価総額)を高めるとともに、②連結配当性向30%を基本方針とし、かつ安定的な配当の継続に努めること、としています。加えて、株価動向や経営戦略に対する市場の理解状況を注視しながら機動的に自己株式の取得も判断していきます。2026年3月期の配当は、年間40円を予定しており、今後も企業成長に応じた安定的な利益還元に努めてまいります。

コーポレート・ガバナンス体制の強化
持続的な成長には、健全なコーポレート・ガバナンス体制も不可欠です。当社グループでは、取締役会の体制強化と実効性の向上を図っており、2025年6月の株主総会では新たに女性取締役1名を選任し、女性取締役は3名体制となりました。国際性を備えた人材の登用により、さらなるグローバル展開に対応できる経営体制の構築を進め、取締役会における多様性を確保しています。
また、社外取締役の積極的な参画機会の拡大にも注力しながら、業績連動型報酬制度の見直しや株式報酬制度の導入などについても、社外取締役が過半数を占める委員会や意見交換会を通じて継続的に議論を重ねてきました。
さらに、経営判断材料の数値化による「経営の見える化」により、社外取締役や社員との共通言語での対話を可能にし、恣意性の排除と課題の明確化を実現しています。こうした仕組みやノウハウは後継者へと継承し、「経営理念」と「健全なガバナンス」の融合によって、持続的な成長を目指します。なお、リスク管理体制の強化も重要な課題と捉え、会社のステージや今後の成長を見据えた体制構築を進めています。
ここまで、次の10年に向けた持続的な企業価値向上に必要な要素について述べてまいりました。私は、長年ゲーム業界をけん引してきた経営者として、今後も当社グループのさらなる成長を目指し、時価総額の拡大を通じて、株主・投資家・ステークホルダーの皆様の期待に応えてまいります。
代表取締役会長
最高経営責任者(CEO)
価値創造戦略
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