特集:eSports Movement
eSports Movement
「ストリートファイター」流の戦い方で
国内eスポーツビジネスの可能性を模索
ライトアップされたステージ上で選手が向き合い、巨大スクリーンにファイターたちの映像が映し出されると、観客席からわっと歓声が上がった。今、まさに『ストリートファイターV』の王者を決める戦いの火ぶたが切られた—。これは、アメリカで開催された世界大会、CAPCOM U.S.A.が主催する「CAPCOM CUP」での決戦の一幕だ。
今やゲームは、プレイして楽しむだけでなく、観戦して楽しむ「eスポーツ」時代へ突入している。「eスポーツって何?」と思われる方も多いだろう。eスポーツ(エレクトロニック・スポーツ)は、対戦型ゲームをスポーツ競技の1つとして捉えたもので、北米や中国、韓国を中心に世界各国で爆発的な人気を集めている。人気タイトルの世界大会は、賞金総額が1,000万ドルに達するものもある。ファンたちは、チケットを買って会場で観戦するほか、プレイ動画をネットやテレビ放映で楽しむ。プロゲーマーやプロチームにはスポンサーが付き、欧米では、すでにサッカーや野球と同じように、スポーツビジネスとして成立しているのだ。
インターネットを通じた動画配信で、
会場の興奮を世界中のファンが共有
eスポーツは選手だけでなく、観客も大いに熱狂する
Photos by: Robert Paul
一方、日本では、スポーツ=運動で、スポーツ≠ゲームという考え方が根強く、eスポーツ文化は浸透していない。しかし、2022年に開催される「アジア競技大会」で、アジアオリンピック評議会がeスポーツを正式種目に決定するなど、ゲーム大国日本としては、注力しないわけにはいかない状況も生まれている。ゲーム関連企業が市場活性化に向けて動きを加速させる中、カプコンも、2016年より『ストリートファイターⅤ』の国内eスポーツリーグ「RAGEリーグ for ストリートファイターⅤ」をCyberZ社の主催によりスタートさせるなど、eスポーツビジネスの可能性を模索している。
カプコン初となる国内eスポーツリーグ「RAGEリーグ for ストリートファイターⅤ」
素材提供:RAGE
動画配信やSNS、放送などのメディアが
人と人が競い合うeスポーツの魅力を増幅させる
世界のeスポーツ競技人口は、2000年代以降、急激に増加し、1億人とも言われるほどの一大市場に成長。サッカーのプレイ人口約2.5億人と比較して、その規模がイメージできるのではないだろうか。シューティングやシミュレーションなどいくつもジャンルがある中で、カプコンの「ストリートファイター」は、格闘ゲームジャンルの中で存在感を放っている。アメリカで毎年開催されている世界最大規模の対戦格闘ゲーム大会「EVO(Evolution Championship Series)」では、何度も「ストリートファイター」が競技タイトルに選ばれ、世界中から「俺より強いやつに会いに行く」をテーマにファイターが集まり、激闘を繰り広げている。2016年には、アメリカのスポーツチャンネルが決勝トーナメントを中継し、ライブで190万人が視聴するほど注目を集めた。
CAPCOM U.S.A.独自の大会としては、公式世界決勝大会「CAPCOM CUP」を2013年より実施。その「CAPCOM CUP」に出場するための予選会として「CAPCOM Pro Tour」を各国の開催事業者と協力して実施。ゲームライブ配信サイト「Twitch」を中心に、様々な動画配信サイトから対戦の魅力が拡散されている。これは、タイトルにとってとても嬉しいことだ。対戦格闘ゲームの金字塔と呼ばれる「ストリートファイター」だからこそできるやり方で、これからも世界中のファンを楽しませていく。

一番強いやつを決める、
公式世界大会「CAPCOM CUP」
「CAPCOM CUP」はCAPCOM U.S.A.が主催する「ストリートファイター」シリーズの公式世界大会だ。世界一を決めるこの大会に出場できるのは、「CAPCOM Pro Tour」が認定する、北米、欧州、中南米、アジアのエリア大会を勝ち抜いた、選ばれた選手だけだ。2013年12月に第1回を開催して以降、回を重ねるごとに参加者もレベルアップ。
eスポーツを観戦する楽しみは、選手の鮮やかな技や勝敗だけではない。防戦一方だった選手が、耐えに耐え、9回裏に逆転サヨナラホームランを放つように勝利するドラマチックな展開も人気の秘訣だ。アスリートとして戦う選手たちを、実況中継やステージ演出が盛り上げる。白熱した試合と優勝者の笑顔が、次の世代のアスリートの登場を誘う。
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