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対談:アナリストの視点から見るカプコンの成長戦略

対談:成長へのキーワードは、運用型ビジネスへの適応と保有コンテンツの最大活用

株式会社カプコン 代表取締役社長 最高執行責任者(COO)辻本春弘 / CLSA証券株式会社 調査部 シニアリサーチアナリスト Jay Defibaugh氏

デジタル配信の拡大がコンシューマゲーム市場に大きな変革を起こすなか、カプコンはどのように成長戦略を進めていくのか。アナリストのJay Defibaugh氏が、当社代表取締役辻本春弘に尋ねました。

長期的な運用によるサービス

Jay
ゲームのデジタル配信により流通面の問題の多くが克服されたことで、カプコンも欧米やアジアで堅調に売上を伸ばしています。ただし、海外の競合他社では既に約40%までデジタル比率を伸ばす企業もある中、カプコンの比率はまだ低いと感じていますが、今後どのように伸ばしていくのでしょうか。
現在のデジタル配信は販売面のメリットだけですが、据え置き機がインターネットに常時接続していることを活用すれば、長期的な運用によるサービスを強化した新しい楽しみ方が提案可能であり、新たなニーズを喚起できます。そのために、ユーザーデータを保有しているファーストパーティとも連携を図りたいと考えています。
Jay
デジタル販売では収益性の改善という側面と、これまでパッケージが販売できなかった東南アジアなど新たな地域に販売機会を創出できます。一方、ゲーム発売後の運営やマーケティング力が重要になると思いますが、そのオペレーションノウハウがカプコンにあるのでしょうか?
まだ充分ではないですが、オンラインやモバイルでの経験を活かして、ゲームの運営ができる新しい組織を社内に作っていこうと考えています。競合商品やユーザーの行動を研究しながら、徐々にデジタル比率を高めていく方針です。
Jay
カプコンは投資家から「有力コンテンツを作れる企業」と評価されていますが、高性能の新型ゲーム機が次々と出てくるなかで、最近は新規のコンテンツがあまり出てきていないと感じます。今後も継続的に優れたIPを出していけるのでしょうか。また、海外においては2チーム制で続編の開発を短期化している競合他社もありますが、カプコンではどのように取り組んでいますか?
新規IPの創出は当社の事業の根幹ですし、永続的に取り組まなければなりません。世界のAAAタイトルと質的に比肩するコンテンツを生み出し続けなければ、ゲーム専門企業としてのカプコンの未来はありません。開発期間の短期化については、REエンジンの開発や 3Dスキャンシステムの刷新など、技術面での効率化に取り組んでおり、大型IPは2.5年のサイクルでの開発を進めています。

IPを最大限に活用

Jay
カプコンには休眠中のIPも多く、生み出すのは得意だが、IPを展開するマーケティングが苦手な印象を受けます。IPを最大限に活用して収益を最大化することがベストシナリオと思うのですが、いかがでしょうか。
ワンコンテンツ・マルチユースは当社の基本戦略ですが、現時点では確かに最大活用できていない部分があります。過去に高い支持を得たタイトルは有力な資産ですので、個々のIPについて各地域で検証し、有望なものはリメイクや再度新作を投入するなど、最大活用に向けて動き始めています。
Jay
IP活用の課題はモバイルにも当てはまります。拡大が続くモバイル市場で、カプコンはまだ大きな成功を収められていません。
マルチプラットフォーム戦略の1つとしてモバイルは取り組まなければならない課題です。将来的なスマートフォンの性能の向上などを考えれば、当社が強みを発揮できる余地は多分にあります。直近では、ヒット作を生み出すために、モバイル組織を統合し当社IPをメインとした開発体制に切り替えました。
Jay
逆に、社内のリソースは強みのあるコンシューマに集中させ、モバイルは他社との提携などライセンスビジネスにした方が経営効率が高いのではないでしょうか?
今後プラットフォームに関係なくどのゲームも長期的な運用型ビジネスに変遷していく可能性があるので、データ分析やマーケティングなどモバイルでの運営ノウハウ蓄積は、モバイルだけでなく、必ずコンシューマビジネスにも効いてきます。ライセンスアウトの場合は、社内でのノウハウ蓄積が難しいため、モバイルにも一定の社内戦力を継続的に投下して、成功させていきます。

対談を終えて

COOの自社コンテンツに対する自信を感じた。優れたコンテンツを生み出し、その資産をできる限り活用していくという基本戦略に違和感はない。競合他社と比較するとモバイルへのリソースの配分が控えめであり、事業構造を考えれば理解もできるが、やはりゲーム産業全体で見るとモバイル市場が急速に拡大しているのも事実。場合によっては他社の力を一部借りるなどのフレキシブルな展開があれば投資家の納得も得られるだろう。それはカプコンにとって大きなチャンスでもあると感じる。(Jay)

PDF版ダウンロード 成長戦略 (PDF:1.29MB/5ページ)

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