• 2009年7月3日
  • 報道関係者各位

カプコンの新作ゲーム『戦国BASARA3』に
ATRとカプコンが提携し、「AniFace」を業界として初めて導入
– 大容量の音声データを短時間に処理し、発話アニメーションを作成可能 –

  • 株式会社 国際電気通信基礎技術研究所
    代表者名 代表取締役社長 平田 康夫
  • 株式会社 カプコン(コード番号:9697)
    代表者名 代表取締役社長 辻本 春弘

株式会社国際電気通信基礎技術研究所(本社:京都府相楽郡精華町「けいはんな学研都市」代表取締役社長:平田康夫 以下、ATR)と、株式会社カプコン(本社:大阪市中央区 代表取締役社長:辻本春弘 以下、カプコン)は、CGキャラクターの発話アニメーション制作支援サービス「AniFace」(以下、「AniFace」)を実用化し、新作ゲーム『戦国BASARA3』に導入することを決定しました。

「AniFace」は、ATRが独自に開発した音声認識技術を、デジタルコンテンツでのキャラクターの発話制作に応用するために研究開発されました。従来、膨大な作業時間を必要としていた音声データとキャラクターの口の動きを合わせるリップシンクアニメーションを、短時間で精度の高い発話アニメーションとして完成させる環境を実現するものです。

ATRとカプコンは、この技術を2008年5月から評価実験し、大容量の音声データを短時間に発話アニメーションとして完成させることが可能となる「AniFace」として実用化し、この度、ゲーム業界としては初の導入を実現しました。

昨今、次世代ゲーム機やデジタルアニメなどの需要拡大に伴い、制作現場の供給が追いつかず、効率的かつ高品質なデジタルコンテンツ制作に必要な技術開発が大きな課題となっています。今後この技術の普及により、特に映像制作では、映像制作後に音声を収録する「アフレコ」や、音声収録後に映像を作成する「プレスコ」(アフレコより制作期間が必要とされる欧米型)において、短時間に発話アニメーションを作成し、CGキャラクターのアニメーションワークフローを大きく変えることが期待されます。

本技術は独立行政法人科学技術振興機構(JST)、戦略的創造研究推進事業(CREST)「デジタルメディア作品の制作を支援する基盤技術」( http://www.media.jst.go.jp/ )により受託したプロジェクト「コンテンツ制作の高能率化のための要素技術研究」の成果です。

発話アニメーション制作支援サービス「AniFace」とは

少数の口形状データを持つキャラクターデータ・音声情報を用意すれば簡単にキャラクターのスタイルにあう、発話アニメーションを作成することができます。さらに、セリフ情報を加えることでリップシンク精度を向上させることが可能です。特徴として、

  1. 高性能な音声分析機能
    ATRが独自に開発した音声認識技術を応用し、音声のみ、または音声とセリフから短時間かつ高精度にリップシンクアニメーション用キーフレーム(口の動きの変化が定義されているフレーム)を設定することができます。
  2. 口形状補完機能
    少ない口形状から、視覚素(口の形の最小単位)に対応するすべての口形状を簡単に補完することができます。
  3. キャラクターのスタイルにあう発話アニメーションキーフレームを間引き、口の動きを簡単にする「Cut」、音声の音量にあわせ口の動きを強調する「Power」、口が早く動く区間の動きをなめらかにする「Decay」といったシンプルなパラメータを用意し、キャラクターの個性を生かしたリップシンクを作成することができます。現在日本語、英語が対応でき、アプリケーションとしてCGソフトウェアAutodesk社製Maya® のPluginとして提供されています。

「戦国BASARA」シリーズとは

戦国時代の武将や史実を主軸としながらも、ユニークで斬新な世界観を創造した戦国アクションゲームです。現代的にアレンジされた魅力的な戦国武将が若いユーザー層に親しまれています。 2005年の第1作発売以降、ゲームソフトだけでなく各種関連イベントやグッズなどへの展開、また2009年にはTVアニメも放映されるなど、様々なメディアで相乗効果を産み出している作品です。シリーズ最新作の『戦国BASARA3』は2010年に発売予定です。