コーポレート・ガバナンスの体制と取り組み
国内外の企業で不祥事が多発する中、株主や投資家は内部統制を実質的かつ有効に機能させることを重要な課題として求めています。
ここでは、当社が「実効性」と「見える化」をキーワードに、これまで取り組んできたガバナンスの体制と仕組みづくりについて、外部評価機関の分析結果を踏まえてご説明します。
(評価箇所にはイエローマーカーを引いています)
ガバナンス体制
透明性・健全性を高め、環境の変化に対応
当社は、コーポレート・ガバナンスの充実を経営の重要事項の1つであると認識しています。このため、経営の健全性や透明性を高めるとともに、株主、取引先、従業員および地域社会などのステークホルダーとの信頼関係を構築することにより、企業価値の向上に努めています。
❶ 株主総会〈2017年6月9日開催〉
最高意思決定機関として重要事項を決定
当社の最高意思決定機関として、重要事項を決定するとともに、連結計算書類等の監査結果を報告しています。
株主総会は、開催日の約3週間前に招集通知を発送し、集中日より10日前後早い日に開催することで、多くの株主が出席できるよう努めています。また、議決権については、パソコンやスマートフォンなどを使用することでインターネットからの行使が可能です。加えて、機関投資家向け議決権電子行使プラットフォームにも参加しています。
当期の株主総会では、上程した2議案全てが承認可決されています。
❷ 取締役会〈2016年度開催回数 15回〉監督
社外の意見も取り入れながら経営判断
毎月1回定例の取締役会を開催しているほか、必要に応じて適宜開催しています。
取締役会は合計12名の取締役で構成されています。そのうち監査等委員である取締役は5名です。また、12名の取締役中、社外取締役は半数の6名です。社外取締役6名全員は株式会社東京証券取引所に対し、独立役員として届け出ています。
❸ 監査等委員会〈2016年度開催回数 9回〉監査
会計監査人・内部監査部門と連携して監査・監督
監査等委員会は、監査等委員である取締役5名(うち社外取締役3名)で構成されています。また2名の常勤監査等委員の選定により情報収集や情報共有などを図るとともに、内部統制システムを活用して組織的な監査・監督を行っています。監査等委員会では監査 方針を策定し、監査結果について協議するとともに、内部監査部門と連携して改善事項を監査対象部門に勧告を行うなど、各部門において内部統制が有効に機能するよう努めています。また、会計監査人との意見情報交換や重要な会議への出席により、客観的かつ公正に取締役の職務執行の適法性、妥当性をチェックしています。
❹ 指名委員会〈2016年度開催回数 2回〉
取締役候補者選任に関する諮問機関
当社は、取締役候補者選任の決定プロセスの客観性や妥当性を確保するため、取締役会の諮問機関として社外取締役を委員長とする任意の指名委員会を設置しています。
❺ 報酬委員会〈2016年度開催回数 2回〉
取締役の報酬内容を答申
当社は、取締役(監査等委員である取締役を除く)報酬等の決定プロセスの客観性や妥当性を確保するため、取締役会の諮問機関として社外取締役を委員長とする任意の報酬委員会を設置しています。
❻ コンプライアンス委員会〈2016年度開催回数 4回〉
経営課題としてコンプライアンスに注力
当社は、コンプライアンスの徹底を図るため、弁護士資格を有する社外取締役を委員長とするコンプライアンス委員会を四半期に1回開催しています。このため、「企業倫理ホットライン取扱規程」を制定し、違法や不正行為について役職員が直接通報できるよう、「内部通報窓口」を設けるほか、「コンプライアンス定期チェックシート」によるモニタリングを定期的に行うなど、法令違反を未然に防ぐよう努めています。また、実効性を確保するため、同委員会で確認された問題点や対処すべき課題については、適切に処理しています。
❼ 会計監査人 監査
会計の透明性を担保・検証
当社は、会社法に基づく会計監査および金融商品取引法に基づく会計監査のために、有限責任あずさ監査法人と契約しています。なお、同監査法人および当社監査に従事する同監査法人の業務執行社員と当社の間には、特別な利害関係はありません。
監査報酬(2016年度)
監査証明業務 | 非監査証明業務 | |
---|---|---|
提出会社 | 42百万円 | 0百万円 |
連結子会社 | 2百万円 | – |
計 | 44百万円 | 0百万円 |
監査法人 | 公認会計士の氏名 | |
---|---|---|
有限責任 あずさ監査法人 |
指定有限責任社員 業務執行社員 | 土居 正明 |
指定有限責任社員 業務執行社員 | 三浦 洋 | |
指定有限責任社員 業務執行社員 | 小幡 琢哉 |
注)公認監査業務に係る補助者の構成:公認会計士8名、その他9名。
注)その他は、公認会計士新試験合格者、システム監査担当者です。
❽ 内部監査部門 監査
遵法性や効率性を担保・検証
監査等委員会を補助する内部監査機関として内部監査本部等を設置しており、主にリスクマネジメントの見地に立って各事業部門およびグループ会社の業務執行状況を定常的にモニタリングするとともに、適法性、妥当性、効率性等の観点から情報収集、分析を行い、当社グループに内在する事業リスクや非効率な事業を的確に把握し、危機発生の未然防止や業務改善に努めています。加えて、不測の事態が発生した場合において、適切な経営判断の一助に資するため、その因果関係を迅速に調査・分析し監査等委員会に 報告することにより、会社の損失の最小化を図っています。
❾ コーポレート経営会議〈2016年度開催回数 25回〉 執行
取締役会の意思決定をサポート
コーポレート経営会議は、代表取締役および業務執行取締役が出席し、取締役会日の前に開催しています。コーポレート経営会議では、特定事項、取締役会付議事項や代表取締役への委任事項の意思決定について審議することにより、受任者の意思決定プロセスの公正性や透明性の確保を図っています。
❿ 執行役員会〈2016年度開催回数 11回〉 執行
経営方針に基づき、業務を執行
当社は経営の監督と執行を明確にするため、行役員制度を導入しています。執行役員会は、毎月1回開催しています。執行役員会では、取締役会決議に基づく業務執行のほか、業務執行の方針や計画の策定などを報告しています。
また、執行役員の業務の執行状況については、毎月開催の取締役会に報告しています。
社外取締役
社外の視点でガバナンスの実効性を確保
社外取締役はコーポレート・ガバナンスが有効に機能するよう、コンプライアンス委員会、指名委員会および報酬委員会の中核メンバーとなっているほか、適法性の確保や違法行為、不正の未然防止に注力するとともに、取締役会においても積極的な意見交換や助言を行うなど、経営監視機能の強化に努めています。また、監査等委員以外の社外取締役は秘書室のスタッフ、また、監査等委員である社外取締役については、内部監査部本部などの専従スタッフが、それぞれ補助業務を行っています。
社外取締役の選任理由・出席状況(2016年度)
氏名 | 独立役員 | 選任理由 | 2016年度における取締役会、 監査等委員会への出席状況 |
|
---|---|---|---|---|
社外取締役 | 保田 博 | ◯ | 卓越した識見、豊富な経験、要職の歴任などを総合的に勘案 | 取締役会15回中14回出席(93.3%) |
佐藤 正夫 | ◯ | 長年警察行政に携わった豊富な経験と知識により取締役会の監査・監督の強化が期待できるため | 取締役会11回中11回出席(100%) | |
村中 徹 | ◯ | 法律の専門家として的確な提言や助言などにより取締役会の監査・監督の強化が期待できるため | 取締役会11回中10回出席(90.9%) | |
社外取締役 (監査等委員) |
岩﨑 吉彦 | ◯ | 税務行政の実務経験などが当社にとって有用と判断したため | 取締役会15回中15回出席(100%) 監査等委員会9回中9回出席(100%) |
松尾 眞 | ◯ | 法律の専門家として的確な指導や助言などによりコーポレート・ガバナンスを有効に機能させるため | 取締役会15回中14回出席(93.3%) 監査等委員会9回中9回出席(100%) |
|
守永 孝之 | ◯ | 他社での経営手腕、実務経験、実績などにより取締役会の監査・監督の強化が期待できるため | 取締役会15回中15回出席(100%) 監査等委員会9回中9回出席(100%) |
役員報酬
公正性と透明性を確保するため、報酬委員会が答申
取締役の報酬は、透明性や公正性を確保するため、社外取締役を委員長とする任意の報酬委員会に諮問し、同委員会の答申に基づき取締役会が決定しています。現在の報酬体系は定額の月額報酬および業績連動報酬として金銭支給の賞与により構成されていますが、固定報酬の割合が高くなっています。このため、リスクテイクを支える環境の整備を図る一環として、業績連動報酬の割合を適切に設定するほか、また中長期的な企業価値の向上に対する観点から取締役のインセンティブを高めるため、新たな報酬制度の導入について検討を進めています。
役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針
1) 取締役(監査等委員である取締役を除く。)の報酬等について
取締役の報酬は、公正性と透明性を確保するため、取締役会が社外取締役を委員長とする報酬委員会に諮問し、報酬委員会は各人の役位、職責、在任期間、常勤および非常勤等を勘案するとともに、当社の業績や個人の実績を考慮したうえ、相当と判断される金額を答申し、それに基づき取締役会が決定しています。
- 月額報酬は定額とします。
- 賞与は、月額報酬を基礎に当社の業績などを勘案して妥当な範囲内で決定します。
- 上記の報酬のほか、担当業務の成果に応じて一定の範囲内で相応の報酬を支給する場合があります。
2) 監査等委員である取締役の報酬等について
監査等委員である取締役の報酬は、独立性の確保から業績との連動は行わず、常勤および非常勤を勘案のうえ、各監査等委員である取締役の協議により定めています。
役員報酬(2016年度)
提出会社の役員区分ごとの報酬等の総額、報酬等の種類別の総額および対象となる役員の員数
役員区分 | 報酬等の総額 (百万円) |
報酬等の種類別の総額 (百万円) |
対象となる役員の員数(名) | |||
---|---|---|---|---|---|---|
基本 報酬 |
ストック オプション |
賞与 | 退職 慰労金 |
|||
取締役(監査等委員を除く。)(社外取締役を除く。) | 278 | 228 | – | 50 | – | 5 |
取締役(監査等委員)(社外取締役を除く。) | 25 | 25 | – | – | – | 2 |
監査役(社外監査役を除く 。) | 5 | 5 | – | – | – | 1 |
社外役員 | 69 | 69 | – | – | – | 10 |
注) 1. 上記には、平成28年6月17日開催の第37期定時株主総会終結の時をもって任期満了により退任した社外監査役1名分を含んでいます。
2. 当社は、平成28年6月17日開催の第37期定時株主総会終結の時をもって監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行しています。したがいまして、監査役に対する支給額は、本移行前の期間に係るものであり、また監査等委員である取締役に対する支給額は、本移行後の期間に係るものであります。
提出会社の役員ごとの連結報酬等の総額等
氏名 | 連結報酬等の総額(百万円) | 役員区分 | 会社区分 | 連結報酬等の種類別の総額(百万円) | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
基本 報酬 |
ストック オプション |
賞与 | 退職 慰労金 |
||||
辻本 憲三 | 101 | 取締役 | 提出会社 | 80 | – | 21 | – |
注) 連結報酬等の総額が1億円以上である者に限定して記載しています。
外部評価
ガバナンスの「見える化」を推進
当社のコーポレート・ガバナンスの充実度および実効性に関して、株式会社日本経済新聞デジタルメディアの「NEEDS-Cges」によると、全上場企業3,488社中174位に位置しています。
「NEEDS-Cges」は、有価証券報告書などの公表資料から得られるデータから約150指標を算出し、「資本効率」、「情報開示」、「外部からの規律」など8つのカテゴリーを10点満点で得点化し定量的にコーポレート・ガバナンスを評価するシステムとして、定評があります。
「NEEDS-Cges」の評価基準変更に伴い、2017年6月末時点の当社の総合評点は7.28点と、全上場企業の上位5.0%(上場企業平均4.91点)に位置しており、同業他社平均(7.15点)も上回っています。また、「情報開示」は最高評価である10点を獲得しています。更に、買収防衛策の廃止や増配に伴い「外部からの規律」、「資本政策」の2項目において、前年比でスコアが向上しています。
主な評価の要因は、下表に記載していますが、具体的にはイエローマーカーの各施策が評価されたと認識しています。また、2017年8月に発表された「日興ガバナンススコア」では、TOPIX1000構成銘柄中、第1位を獲得しています。今後も、外部データを参考に更なる評価を得られるよう改善を重ねるとともに、当該データの詳細をIRサイトで掲載するなど、ガバナンスの外部からの「見える化」を一層推し進めていきます。
コーポレート・ガバナンスに対する外部評価
業界平均および全上場企業平均との比較
当社評価の結果
総合点 | 7.28 |
---|---|
順位 | 174 |
基本項目 | 評点 |
---|---|
資本効率 | 5 |
株式市場評価 | 7 |
外部からの規律 | 8 |
取締役会 | 8 |
役員報酬 | 8 |
情報開示 | 10 |
資本政策 | 8 |
有効性 | 4 |
高評価項目の詳細
評価の高い基本項目 | 評点 | 評価されている点 |
---|---|---|
外部からの規律 | 8 | 安定保有比率・買収防衛策の有無 |
取締役会 | 8 | 独立社外取締役関連・取締役の任期 |
役員報酬 | 8 | 社長持株比率・役員自社株保有金額 |
情報開示 | 10 | 社長持株比率・役員自社株保有金額 |
情報開示 | 10 | 株主総会集中度・ウェブサイト関連 |
資本政策 | 8 | 株主還元比率 |
*出典:株式会社日本経済新聞デジタルメディア「NEEDS-Cges」
株主総会の決議事項
2016年度株主総会の決議事項に対する賛成、反対および棄権の意思表示に係る議決権の数、ならびに当該決議の結果は以下のとおりです。
決議事項 | 賛成数(個) | 反対数(個) | 棄権数(個) | 賛成率(%) | 決議の結果 |
---|---|---|---|---|---|
第1号議案 剰余金の処分の件 |
427,280 | 3,502 | 0 | 97.75 | 可決 |
第2号議案 取締役(監査等委員である取締役を除く。) 7名選任の件 |
|||||
辻本 憲三 | 427,328 | 3,448 | 0 | 97.76 | 可決 |
辻本 春弘 | 427,328 | 3,448 | 0 | 97.76 | 可決 |
江川 陽一 | 427,773 | 3,003 | 0 | 97.86 | 可決 |
野村 謙吉 | 427,558 | 3,218 | 0 | 97.81 | 可決 |
保田 博 | 425,013 | 5,764 | 0 | 97.23 | 可決 |
佐藤 正夫 | 430,165 | 612 | 0 | 98.41 | 可決 |
村中 徹 | 408,304 | 22,473 | 0 | 93.41 | 可決 |
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ESGによる価値創造 (PDF:3.09MB/20ページ)