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オンライン統合報告書2017

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COOが語る成長戦略

代表取締役社長最高経営責任者(COO) 辻本 春弘

自社IPを戦略的に活用し、
グローバルでの
ブランド化を推進します。

図:IPマネジメント強化

当期のゲーム市場は、ゲームとの親和性が高いVR端末や新型据え置き機が相次いで発売されるなど、新たな時代を迎えました。

私は、当期における市場の最大の変化は、(1)当社の基幹ビジネスであるコンシューマ市場でダウンロード販売(DLC)が半数を占めるようになり、ユーザーの購買行動が更に変化したこと、(2)モバイル市場において、現在主流の遊び方がピークを迎え、次のステージへの進化が模索され始めたこと、だと捉えています。

このように絶えず変化するゲーム市場で、当社が継続的に成長していくためには、強みの1つである「豊富な自社IP」を、シリーズ展開や多メディア展開(ワンコンテンツ・マルチユース)で積極的に活用していくことが重要です。加えて、従来のように個別タイトルベースのマーケティング戦略や収益管理にこだわるのではなく、プラットフォームやユーザー層を分析し、より俯瞰的にIP(シリーズ)単位でブランドを強化し、スピード感をもって実行していく必要があると考えています。

このページでは、当社の成長戦略を具体的にご説明します。

成長戦略1コンシューマビジネスの拡充

コンシューマビジネスの営業利益率

ヒットビジネス特有の業績変動を克服し、「毎期、営業増益」を実現

一般的に、コンシューマビジネスは、ヒット作の有無による業績変動が大きいと言われています。

当社では、業績の振れ幅を抑制し安定的に成長していくために、2012年以降、(1)主力ブランドの安定投入、(2)ダウンロード販売の強化、を推進し、継続型のストックビジネスへの移行に取り組んでいます。

コンシューマ市場は、2021年には272億ドル(2016年比28.3%増)まで拡大する見通しであることに加え、開発技術の高度化に伴う参入障壁の高さからソフトメーカー数は減少傾向にあり、豊富なIPや高い技術力を保有する当社にとって有利な環境が生まれています。

当社としては、企業価値の源泉であるコンシューマビジネスを成長戦略における最重要事業の1つと位置づけ、次の3つの施策を実施することで、業績ボラティリティを抑え、新・中期経営目標に掲げた「毎期、営業増益」を実現していきます。

施策1主力IPをグローバル市場に安定投入

当社の強みの1つは、自社で強力なコンテンツを創出し、多数の人気IPを保有していることです。過去においては、年度により発売する大型タイトル数に偏り業績変動が大きい時期がありました。

過去と今後の経営ステージと営業利益の推移

しかし、2013年3月期の構造改革から中期的な戦略マップ(60ヵ月マップ)を本格的に運用し、安定成長に向けたタイトルポートフォリオを形成するとともに、52週マップで開発者2,000名を必要な時期に必要な開発チームへ配置する仕組みを整えました。その結果、各シリーズの発売サイクルを3~4年から2.5年に短縮し、毎期複数の大型タイトルの投入が可能となりましたので、中長期でラインナップを拡大させていきます。

中期の成長イメージ

更に、コンシューマ市場の85%以上を占める欧米市場での成長余地が大きいと考え、「バイオハザード」や「ストリートファイター」など欧米で人気のコンテンツを積極的に投入することに加え、「モンスターハンター」のグローバル展開を強化します。

なお、中長期的な成長のためには、新規IPの創出も不可欠であることから、上記の施策と並行して、開発投資額の一定割合を新規ブランドの開発に充てています。

施策2DLC(本編・追加)の強化

DLCのメリットは、(1)パッケージ製造コスト削減や在庫リスク回避などによる収益性向上(本編DLC)、(2)小売店でのパッケージ販売が難しかった過去作の配信による収益機会の増加(本編DLC)、(3)継続配信によるユーザーの長期プレイおよび追加収入の獲得(追加DLC)、などです。

当社は、これまで主力IPの新作・過去作に加え、現行機移植版のDLC配信を強化しており、DLC売上は順調に伸長しています。 特に、過去作や現行機移植版は長期で収益貢献するなど、ストックビジネスへの移行が進みつつあります。 (1)(2)は、休眠IPを含めラインナップを拡充する余地はまだ大きく、今後も力を入れていきます。

また、追加DLCでは、「ストリートファイター」における新キャラクターの投入など、親和性の高いコンテンツを中心に展開します。これにより、ユーザーの継続プレイを促し、収益貢献だけでなく、ユーザー満足度を向上させ、次回作の販売拡大に繋げていきます。

これらの施策によって、中期的には現在のDLC比率31%を50%にまで高めていきます。

施策3IP単位でのブランド強化

「バイオハザード」シリーズのブランド戦略

現在のコンシューマ市場は、多額の開発費や宣伝費を投入した大型タイトルによる寡占化や、DLCの浸透による販売期間の長期化、ユーザーの継続プレイ時間の伸長により、新規タイトルのヒットの可能性が低下しています。このような環境下、安定した収益を確保するには、緻密な市場分析と販売戦略に基づいたIPのブランド戦略が非常に重要です。

したがって、個別タイトルでは、本編DLCの長期販売を前提に、追加DLCや価格戦略など発売後のマーケティング施策を強化し、収益期間での利益を最大化します。更に、最新作だけでなく、同一IPの過去作や現行機移植版を同期間内に投入しプロモーション展開することで、販売において相乗効果を発揮するなど、ブランドの強化およびファン層の拡大を図っています。例えば、当期は新作『バイオハザード7 レジデント イービル』に加え、『バイオハザード4』、『5』、『6』の現行機移植版を同期間に販売することで、IP(バイオハザード)全体の販売本数は期初計画を大幅に上回りました。

IPごとにユーザー属性やプラットフォームの保有状況、価格感応度などを総合的に分析し、収益およびブランドを最大化するべく、開発およびマーケティング、販売部門が三位一体となり、グローバルで連携を図っていきます。

成長戦略2オンラインビジネスの立て直し

経営の重要課題であるモバイルビジネスを成長事業に転換

投資家の方々から、「成長を続けるモバイル市場において、収益を拡大する同業他社と比較して、当社のモバイルビジネスは売上規模および成長率の両面において出遅れているのはなぜか?」と指摘されています。この3年間、内作を主軸に開発体制を適宜見直し対応してきましたが満足のいく結果が出せなかったからです。モバイルがゲーム市場の過半を占める状況や投資家のご指摘を受け止め、当社は決断をしました。それは「人気IPを多数保有する優位性を徹底的に活用して、収益を最大化する。」という原点に立ち返り、モバイルでも一切の制約を設けることなく事業基盤の構築に注力することです。つまり、今後は内作だけでなく、モバイル専業会社との協業やM&Aなどあらゆる可能性を追求していきます。

施策1〈国内協業〉IPを有効活用できる協業を検討

モバイルビジネスにおける成功の重要な要件は、(1)数多くの競合タイトルの中で差別化できる人気IPを保有していること、(2)ユーザーの動向を分析して、ゲーム内容の改善やゲーム内イベントを適時実施する運営ノウハウを保有していること、です。

当社の課題は(2)への対応です。『モンスターハンター エクスプロア』など、一部のタイトルは安定的に利益貢献していますが、好機を掴むには更なる運営ノウハウの蓄積が必要です。

モバイルコンテンツの国内協業計画

この課題を解決するために、国内での協業を加速します。 特に、この1年で市場環境は更に激化し、(1)の重要性が一層高まったことも追い風となり、モバイル専業会社から協業の提案が増加しているので、複数の選択肢をもって交渉にあたっています。

交渉に際しては、あらゆる制約を排除し、両社の強み(当社IPと協業先の運営ノウハウ)を最大化できる協業形態を取ります。使用するIPや開発体制、ジャンル、課金方法などを考慮し、最適な選択を行っていきます。

協業先や協業タイトルの投入時期などは現時点では発表していませんが、協業形態が定まったあとはスピーディーな開発に努め、2019年3月期以降を目安として、タイトルを順次投入していきます。

施策2〈海外協業〉アジアおよび欧米での地域戦略を推進

海外のモバイル市場は国内の4倍以上の規模であり、特に中国を含むアジアは今後も市場を牽引する見通しです。当社は、地域ごとに異なる市場特性を踏まえ、各々の地域に向けた戦略を推進しヒット作を創出していきます。

地域別モバイルコンテンツ戦略

まずアジア地域では、これまでPCオンラインの展開に注力してきましたが、市場がモバイルに移行しつつあることから、今後はモバイルビジネスに集中します。具体的には、現地の有力運営会社へのIPのライセンスアウトによる開発・運営に力点をおいて事業を展開します。ライセンス展開(協業)を推進する理由は、アジアでのカントリーリスクの回避と現地ユーザーの嗜好を踏まえた運営ノウハウ習得のためであり、台湾など一部での自社展開を除いては現時点では協業が有効と判断しています。既に複数の案件が進行中であり、来期以降の本格的な攻勢の足掛かりを築きます。

欧米地域については、女性や若年層ユーザーの構成比が他地域に比べ高いことなどから、従来のモバイルゲームにはない新規ジャンルの開拓余地が大きいと分析しています。すでに幾つかのジャンルに照準を定め、この領域で知見のある協業先と新規プロジェクトに着手しています。

施策3〈内作〉ハイクオリティゲームの開発に注力

モバイル端末のスペックが大幅に向上し、あと1~2世代でコンシューマと遜色ないクオリティのゲーム開発が可能になると予想されています。当社としては、国内外の協業によりモバイルの事業基盤を固めるとともに、長期的な視点から、ハイスペック端末に対応したゲーム開発を内製で取り組んでいきます。コンシューマ開発者も参画させることで、「囚われのパルマ」のような新規ジャンルを開拓するとともに、コンシューマにおけるマルチプラットフォーム展開の1つとして収益の最大化を図ることができるからです。

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