

Y・M
シネマティックアーティスト
2022年入社
バイオハザードレクイエムのレオンとグレースが出会うカットシーンの制作です。全体尺が長いうえにアクションや会話、ステージ変化など演出要件が非常に多く、一つのシーケンスにまとめるのが非常に難易度が高かったです。また、制作したカットシーンの中では、初めて海外撮影を行ったデータを扱ったものであったことも印象に残っている要因の一つです。アクターの演技のリアルさを活かしながら、ゲーム内の演出として違和感なく成立させるために、何度も調整を重ねました。限られた尺の中で、キャラクター同士の緊張感や感情の流れをしっかり伝えつつ、プレイヤーが自然に物語へ入り込めるように構成を組み立てていった点は非常に苦労した部分です。特に主人公のグレースはシリーズの中でも新規のキャラクターなので、どのような性格の人物なのかが伝わりやすくなるように慎重に編集を構成する必要がありました。技術面でも演出面でも多くの挑戦が詰まったカットシーンであり、自分の中でも強く印象に残っている仕事の一つです。
①プリビズ
シネマティックディレクターが作成した台本をもとに、社内のモーションキャプチャーデータを使用したCGでプリビズ動画を制作しました。シネマティックディレクターとのフィードバックを重ねながら、どのようなカットシーンを制作するのか、またどのような要素の実装が必要かを明確にし、作品全体の方向性を早い段階で可視化していきました。プリビズは完成映像そのものを作る工程ではありませんが、関係各セクションが共通認識を持つための重要な工程であるため、映像としての見やすさだけでなく、演出意図や実装要件が正しく伝わることを意識しました。台本の内容を画面上の動きへどう落とし込むか、情報提示のタイミングなどを考慮し、演出面と実務面の両立を図りながら制作を進めました。
②本編集
海外撮影で収録したアニメーションをシーン上にレイアウトし、キャラクターの立ち位置や動きに合わせてカメラを配置しました。撮影素材の芝居や空気感を活かしつつ、ゲーム内空間や演出意図になじむよう構図や魅せ方を調整し、Premiereで編集を行いました。全体のテンポや流れ、物語への没入感を確認しながら尺を確定し、最終的にRE ENGINEへ実装して実機上での見え方や再生タイミングを確認しました。
①難しいと感じたこと
本編集作業において、各カットごとに理想の構図を追求し続けることが大きな課題でした。実際のアクターとゲーム内キャラクターでは身長や体格が一致しないため、収録したアニメーションをそのままレイアウトすると、想定以上に構図が窮屈になる場面が多くありました。撮影時には問題のなかった演技でも、キャラクターに置き換えることで目線の高さや距離感が変わり、見せたい情報が画面に収まらなかったり、演出自体が成立しなくなったりすることもありました。そのため、単純に素材を当てはめるのではなく、カットシーンとして最も効果的な見せ方を常に考え続ける必要があり、その点に難しさを感じました。
②どのように乗り越えたか
課題解決のため、シネマティックディレクターと密にコミュニケーションを取り、実際の画面を見ながらシーン内のアングルをその場で探していきました。演出意図を直接確認しつつ調整することで、認識のズレを早期に修正し、効率よく構図を検討できました。また映画作品をリファレンスに、目指す構図や演出意図を明確にしたうえで、アニメーションやカメラ調整を実施しました。その結果、カメラとアニメーションを一体で考える重要性を学び、映像の完成度を高める貴重な経験となりました。
プリビズ制作からアニメーション、カメラ、編集、RE ENGINEへの実装までを一貫して任されるため、カットシーン一つひとつに対する責任を強く感じました。最初の設計段階から最終的にゲーム内へ反映されるところまで関わるので、自分の判断や作業内容がそのままシーン全体の完成度につながっていきます。そのため、常に演出意図や見せ方の正しさを意識しながら制作を進める必要があり、難しさのある仕事だと感じています。一方で、それだけ自分の裁量も大きく、自分で考えながらより良い形を追求できる環境でもあります。受け身で作業をこなすのではなく、試行錯誤しながら主体的にものづくりへ関われるため、担当したカットシーンが完成するたびに大きな達成感があります。
入社当時は、目の前の仕事すべてが挑戦の連続で、任されたカットシーンを完成させるために勉強と鍛錬を繰り返していました。求められるクオリティに応えるには、技術面だけでなく、演出意図や各工程のつながりを理解しながら進める必要があり、最初は試行錯誤の連続でした。しかし実際の制作経験を積み重ねる中で、プリビズ制作からアニメーション、カメラ、編集、実装までを一つの流れとして捉えながら考えられるようになりました。その結果、現在ではタイトルの中でも難易度が高いといわれるカットシーンに対しても、課題を整理しながら落ち着いて制作を進められるようになったと感じています。
休日は、家で飼っている二匹のチワワと一緒に過ごすことが多いです。近所を散歩したり、のんびり昼寝をしたりと、そうした穏やかな時間が良い気分転換になっています。また、休日は映画やゲームに触れて過ごすこともあります。仕事とは少し距離を置いた状態で映像や演出に触れることで、純粋に楽しみながら新しい刺激を受けています。
大学時代は、学生映画やプロモーション動画の制作に参加することが多く、実写撮影に関するノウハウを学ぶ機会が多くありました。カメラの構図や被写体の見せ方、映像の流れを意識して制作していた経験は、現在のゲームのカットシーン制作にも非常に役立っていると感じています。ゲームのカットシーンはCGで作られますが、映像としてどう見せるかという考え方は実写にも通じる部分が多くあります。大学時代に実写映像の制作を通して得た経験があったため、構図やカメラワーク、演出意図の伝え方を考える際の土台になっていると感じます。また、限られた条件の中で完成形をイメージしながら映像を組み立てていく経験は、現在の仕事でも大きく活きています。学生時代の映像制作で培った視点が、今のカットシーン制作につながっていると実感しています。
ゲームのカットシーン制作の仕事は、アニメーションやカメラ、編集、実装など、さまざまな工程を通して一つの映像を形にしていく仕事です。入社後は覚えることも多く、最初は難しさを感じる場面もあると思いますが、その分、自分が関わったシーンが完成したときの達成感はとても大きいです。また、「どう見せればより魅力的に伝わるか」を自分で考えながら制作できるため、ものづくりが好きな方には大きなやりがいがあると思います。自分の仕事が作品の一部となり、物語やキャラクターの魅力を伝えることにつながるのは、この仕事ならではの面白さです。映像づくりやゲームの演出に興味がある方は、ぜひ挑戦してほしいと思います。
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