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オンライン統合報告書2018

Aiming for the Top
トップ > 【中長期の成長戦略】COOが語る成長戦略

COOが語る成長戦略

デジタル戦略を推進し、ユーザーの多様なニーズに応えます。

代表取締役社長
最高執行責任者(COO)

辻本 春弘

カプコンの中長期ビジョン

  • コンシューマが成長のドライバー
  • モバイルおよびeスポーツは更なる成長のオプション

ゲーム市場の変化

  • コンシューマ市場でSNS等を活用した販売施策が進化
  • モバイル市場で収益モデルの多様化の兆し
  • eスポーツ市場の本格成長への可能性が高まる

1 コンシューマ

主力IPの更なる徹底活用

施策1
主力IPをグローバル市場に
毎期安定投入
施策2
DLC(本編・追加)の強化
施策3
ゲームビジネスのデジタルシフト

2 モバイル

本格成長に向け、
中・長期のフェイズ別施策を展開

中期施策
国内外での協業の推進
長期施策
次世代規格への布石

3 eスポーツ

将来の収益化に向けた種蒔きと裾野拡大

施策
トッププロに向けた
取り組みとアマチュアでの
裾野拡大

当期のゲーム市場は、各社ハード機の好調な販売のもと活性化するとともに、eスポーツの勃興や、オンライン分野での新ジャンルゲームの流行など、新たな変革の兆しがみえる1年となりました。

現在、私が着目している市場のポイントは、(1)当社の基幹ビジネスであるコンシューマ市場でダウンロード販売(DLC)が更に拡大し、インターネットを介したメーカーとユーザーの関係性が変化していること、(2)モバイル市場において、昨年指摘した、ガチャ偏重のビジネスモデルから次のステージへの変化が、進みつつあること、(3)eスポーツ市場の成長期待が一層高まり、収益機会としてだけでなく、ゲームの社会的価値をも変える可能性があること、です。

日進月歩のゲーム市場において、当社は引き続き、強みである「豊富な自社IP」をグローバルに向け多メディア展開するワンコンテンツ・マルチユース戦略を加速し、ユーザー数を拡大することで、業績変動を抑制し毎期、営業増益を実現します。

そのために、コンシューマでは新作ラインナップの拡充と過去作の拡販を継続しつつ、ユーザーの多様なニーズに応えるため、その動向分析を強化し、的確なアプローチを推進します。また、中長期での成長オプションとして、モバイル分野でのヒット作創出と、eスポーツの普及拡大に向けた取り組みを実施します。

成長戦略1 コンシューマ:主力IPの更なる徹底活用

新作・過去作のグローバル展開強化に加え、
販売面でのデジタル活用により収益成長を追求

コンシューマ市場は、2022年までに356億ドル(2017年比45.9%増)へと成長が見込まれており、当社としてコンシューマ事業は引き続き成長のドライバーと位置づけています。かねて取り組んできた新作のラインナップ拡充とDLCの強化を通じた過去作の拡販により、収益性の向上とストックビジネス化は着実に進展し、2018年3月期には概ね30%程度の利益率を達成しています。この基本戦略を継続しつつ、ネットワークを通じたマーケティング強化により、既存ユーザーのニーズに確実に応え満足度の向上を図る他、新規ユーザーの獲得を含めたブランド価値の拡大を追求し、更なる利益成長と業績の一層の安定化を 推し進めます。

施策1 主力IPをグローバル市場に毎期安定投入

2013年3月期の構造改革以来、中期的な戦略マップ(60ヵ月マップ)を本格的に運用し、安定成長に向けたタイトルポートフォリオを形成するとともに、52週マップで開発者2,000名以上を必要な時期に必要な開発チームへ配置する仕組みを整えました。その結果、各シリーズの発売サイクルを短縮し、毎期複数の大型タイトルの安定的な投入が可能となっています。

【価値創造の現場】『Devil May Cry 5』

この体制のもと、私は、コンシューマ市場の85%以上を占める欧米市場での成長余地が大きいと考え、既に欧米で人気の「バイオハザード」や「ストリートファイター」に加え、「モンスターハンター」のグローバル化を図るべく、戦略タイトルとして『モンスターハンター:ワールド』を投入し、2018年3月期において当社最高の790万本を達成しました。

今回の成功要因を分析し社内で速やかにノウハウ化して展開し、定着させるとともに、新卒クリエイターの積極的な採用により開発者数を2021年度までに2,500名に増強することで、グローバル市場への新作大型タイトルの投入を拡充します。

グローバル展開の進展とデジタルマーケティング

なお、当面は現主力IPからの収益最大化を優先しますが、休眠IPの活用にも積極的に取り組みます。また、中長期的な成長のためには新規IPの創出も不可欠であることから、新規ブランドの創出も並行しています。

【価値創造の現場】『ロックマン11 運命の歯車!!』

施策2 DLC(本編・追加)の強化

DLCのメリットは、(1)パッケージ製造コスト削減や在庫リスク回避などによる収益性向上(本編DLC)、(2)小売店でのパッケージ販売が難しかった過去作の配信による収益機会の増加(本編DLC)、(3)継続配信によるユーザーの長期プレイおよび追加収入の獲得(追加DLC)、などです。

当社は、これまで主力IPの新作・過去作に加え、現行機移植版の本編DLC配信を強化しており、DLC売上は順調に伸長しています。特に、過去作や現行機移植版・リメイク版の活用は長期で収益に寄与しており、ストックビジネスへの移行が進みつつあり、中期的な目安としていたDLC売上比率50%は、達成間近となっています。

【価値創造の現場】『バイオハザード RE:2』

休眠IPを含めラインナップを拡充する余地はまだ大きく、今後も積極的に収益拡大を図ります。

コンシューマビジネスの営業利益率(%)

なお、追加DLCについては、当社が重視しているのは、無料の追加DLCによりユーザー満足度を高め、ブランドのファンになっていただき、次回作以降での成長を図ることです。有料追加DLCは、コスチュームや武器など、ゲームの進行に直接関係せずユーザーを楽しませることを主な目的として展開します。

施策3 ゲームビジネスのデジタルシフト

私はかねてより、ゲームビジネスは最先端のネット技術を活用することによって、更に効率化できると考えてきました。他業種では当たり前のデジタルマーケティングやネットプロモーションが当業界には十分に導入されていないと感じていたからです。

この数年、基幹部門としてグローバルマーケティング統括本部を設置し、改善に取り組んだ結果、『モンスターハンター:ワールド』では、初めて経営、開発、事業が一丸となって、インターネットをフル活用し販売拡大とクオリティ向上を実現しました。例えば、オンライン体験版の配信を通じて得た、グローバルユーザーの嗜好の分析は記録的なヒットの一因となり、次期以降に投入するタイトルにもこの手法を適用し始めています。

大切なことは、「ゲームという嗜好品ではユーザーの満足度が極めて重要である」という観点からデータの抽出と分析を行うことです。物心がついたころからネットあるいはSNSに慣れ親しんでいるデジタルネイティブがゲームユーザーの中核層に育ちつつある中、その重要性は今後更に高まるでしょう。

グローバルに拡大する市場において、きめ細かくIPのブランド戦略を展開することは不可欠です。IPごとにユーザー属性やプラットフォームの保有状況、価格感応度などを総合的に分析するため、4月には専門部署を設置し、新たな分析ツールも採用しています。収益およびブランドの最大化を更に推進するべく、開発およびマーケティング、販売部門が三位一体となり、グローバルで連携を図っていきます。

成長戦略2 モバイル:本格成長に向け、中・長期のフェイズ別施策を展開

未成長領域での変革に向け、協業および次世代への対応を推進

連結業績では最高益を更新したものの、モバイルの領域では引き続き同業他社に水をあけられる状況が続いています。一方で、市場を席巻したガチャを用いたビジネスモデルに頭打ち感が出てきていること、有力IPへの評価が更に高まっていることから、本格的なアクションゲームIPを多数保有する当社の潜在的な成長余地は依然大きいと分析しています。引き続きグローバルで高い成長率が見込まれるモバイル分野での成長を図るべく、当社は、中期と長期それぞれの期間での施策を推進しています。

中期施策 国内外での協業の推進

当社は、モバイルでの成長に向けたあらゆる可能性を追求すべく、当社のIPを活用したモバイル専業会社等との協業に前年度から本格的に注力しています。その目的は、モバイルビジネスにおける成功の要件であり当社に不足している、ゲーム内容の改善やゲーム内イベントを適時実施する運営ノウハウを補完することです。これまで、国内外でヒットの実績を持つ複数の協業先と案件を進めており、そのうちの2作程度を2019年3月期に投入する予定です。

モバイルコンテンツの国内外協業計画

これらの取り組みでヒット作を創出し、2020年3月期以降の業績成長を後押ししていきます。

次世代移動通信システムのモバイルコンテンツ展開

長期施策 次世代規格への布石

モバイル分野では、2020年に「5G」と呼ばれる次世代通信規格の商用サービスが開始されます。4Gの100倍とも言われる通信速度の飛躍的な向上により、IoTを活用したサービスの劇的な進化や、端末の進化に伴うコンテンツのリッチ化が実現すると予想されています。ゲームにおいても、通信のタイムラグの解消や端末の高性能化により、当社が得意とする高グラフィックのアクションゲームIPをモバイル端末へ展開できる可能性が拡がると考えられます。

現在は、来たる成長の機会を必ず掴めるよう、開発部門において技術研究や開発ノウハウの収集に努めています。

成長戦略3 eスポーツ:将来の収益化に向けた種蒔きと裾野拡大

専門部署の設立と投資強化により新領域での取り組みを加速

eスポーツとは

「エレクトロニック・スポーツ」の略で、コンピューターゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称です。1990年代後半頃から、欧米で盛んになり、現在では様々な企業がスポンサーとなり、プロチームやプロリーグが多数存在し、若年層を中心に世界中で人気を博しています。

eスポーツの収入成長の動向

現在、最も社会的関心が高まっているゲーム分野といえば、eスポーツです。2021年の市場規模は、2018年の1.8倍となる、1,650百万ドルへの成長が予測されており、高額賞金大会の開催や、プロゲーマーの活躍に注目が集まっています。

この環境下、2018年アジア競技大会において公開競技として実施されたほか、2024年パリオリンピックへも採用が検討されており、国内では統一競技団体として一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)が誕生しています。私は、eスポーツを新たな重点分野に定め、将来に向けた種蒔きを進めることで、この分野が人々を楽しませる新たなエンターテインメントとして定着するよう、腰を据え、業界全体を巻き込みながら普及に取り組みます。

施策 トッププロに向けた取り組みとアマチュアでの裾野拡大

eスポーツへの取り組みとして、当社は既に「ストリートファイター」を活用した国際ツアーである「CAPCOM Pro Tour」等の実績があります。2019年3月期は、新設した専門部署の主導により、投資を増強し実施内容の拡充を図るほか、普及への環境整備が進む国内においても、大規模大会を初開催しました。
具体的には、試合数の増加や賞金の増額、あるいは上位入賞選手へのプロライセンスの発行などトッププロに向けた施策を強化するだけではなく、アマチュア層に向けた予選大会の実施やプレイスペースなどの環境を整備します。その理由は、eスポーツの本格的な普及には、野球やサッカーのように競技人口を拡大できるよう、子供から大人まで幅広い層の参加が重要だと考えているからです。当面は費用が先行しますが、5年10年かけて市場の基盤を構築することで、中長期ではビジネスとして大きく花開く可能性があります。また、オリンピック競技への採用や参加人口の拡大により、一般社会に広く認知、理解されることで、ゲーム業界の地位向上や社会的貢献にも繋がると考えます。

カプコンの取り組み

プロ向け

「CAPCOM CUP」の開催

2013年以降、米国子会社CAPCOM U.S.A.の主催により、「ストリートファイター」シリーズの公式世界大会である「CAPCOM CUP」を開催。

「CAPCOM Pro Tour ジャパンプレミア」を開催

2018年9月に、東京ゲームショウ2018で「CAPCOM Pro Tour ジャパンプレミア」を開催。賞金総額1,000万円が話題に。

アマチュア向け

eスポーツの裾野を拡大

2018年2月、東京にeスポーツのコミュニティスペース「CAPCOM eSPORTS CLUB」を新設。アマチュア層の裾野拡大とプレイヤーのコミュニティ形成をサポート。

人気ゲームの提供

「ストリートファイター」シリーズを提供

世界最大規模の対戦格闘ゲーム大会「EVO」や、国内初の年間を通じたeスポーツ大会である「RAGE」などに提供。

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