シリーズ誕生30周年を新たな起点に、ギアアップした「ロックマン」が走り出す

シリーズ誕生30周年を新たな起点に、
ギアアップした「ロックマン」が走り出す

『ロックマン 11 運命の歯車!!』プロデューサー

土屋 和弘

Tsuchiya Kazuhiro

1992年入社後、プログラマーとして『ロックマン7』などを担当。ディレクターを経てプ ロデューサーとなり、『ロックマン クラシックス コレクション』や最新作『ロックマン11 運命の歯車!!』では、プロデューサーとしてタイトル全般を統括している。

コンシューマ機の進化とともに、アクションゲームの楽しさを追求し続ける

1987年にファミリーコンピュータ向けアクションゲームとして発売された『ロックマン』。個性的なキャラクターと歯ごたえのあるゲーム性が国内外で支持され、数々の続編や派生シリーズが誕生。その人気はゲームの枠を超え、グッズやTVアニメ、コミックなど様々なメディアに展開され話題を集めた。2017年にシリーズ誕生30周年を迎えた。

世代を超えて、ファンに愛され続けるシリーズを

家庭用ゲーム機が普及し始めた1987年に誕生した『ロックマン』は、2D横スクロールアクションゲームの名作として長きにわたってファンの心を掴んできました。多数の派生作品も含め、シリーズ累計販売本数は3,200万本。第1作目の発売から30年を経た今も海外での人気も高く、「ロックマンの新作はまだ発売されないのか?」という声も届いていました。もちろん、カプコンは「ロックマン」を忘れたわけではありません。シリーズ誕生30周年となる2017年、満を持して「ロックマン」プロジェクトを発表。過去のタイトルを現世代機で楽しめる、2つのコレクションの発売と、シリーズ完全新作となる『ロックマン11 運命の歯車!!』の発売を発表しました。

今作の鍵となるのは、タイトルにもある”歯車(ギア)”です。ここに2つの意味を持たせています。1つは、主人公ロックマンに与えられた、能力をパワーアップさせる”ダブルギア”というシステム、もう1つは、ロックマンの生みの親と、そして敵である2人の科学者の過去の因縁から運命の”歯車”が回り出すというストーリー。これまで明かされることのなかった、シリーズ1作目より前のエピソードも語られるなど、コアファンに”そうだったのか!”という驚きを与えつつ、今作を初めてプレイするユーザーにも、同じスタートラインに立って楽しんでもらえるよう、工夫しています。


  • 横スクロールで実現する立体表現、「2.5D」

  • ギアを変えてボスやステージに挑む

多様性から生み出される、新生「ロックマン」

8年ぶりに新作を出すにあたって目標としたのは、”ロックマンらしさ”を守りつつ、新たな基準を作ることでした。そのために開発メンバーは、過去の経験者だけを集めるのではなく、ベテラン、中堅、若手と、経歴も感覚も違うメンバーを招集。多様性を持たせることが、新基準づくりに必要だと思ったからです。それぞれが感じる”ロックマンらしさ”を書き出し、それを現世代機でどのように表現していくか、検討を重ねました。その結果、採用したのが横スクロールを3Dグラフィックで表現する「2.5D」。しかし、これがなかなか難しい。3Dのパースの加減で歪みが出てしまったり、リッチな表現力のままに作ると”ドット絵”時代の俊敏な動きが損なわれたり。そこで、ナチュラルに見えるよう、だまし絵的な手法でチューニングしています。パッと見ただけでは、技術的な凄さは感じないかもしれませんが、実はそこに”手仕事の極み”と言える技術が盛り込まれています。

「ロックマン」シリーズは、30年間親しまれるだけのクオリティを持った、アクションゲームの手本となるような上質なコンテンツです。国内での30周年記念コンサートの実施や北米でのTVアニメの開始など、最新作の発売に向け、プロモーションも万全に準備していきます。国や文化の違いを超えて楽しめるゲームに作り込んでいますので、今作を新たな起点に、世界中のゲームファンの心を掴んでいきたいと思っています。


  • E3でデモ版を披露

  • “手仕事の極み”で生み出される新たなロックマン

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