INTERVIEW, TOPICS

2021年10月22日

「バイオハザード ヴィレッジ」サウンドメイキング!~BGM編~

こんにちは、タンタンです!
5月8日に発売された『バイオハザード ヴィレッジ』
そのサウンド制作の裏側についてインタビューしてみました!
第2弾は、BGM編です!

  ▲『バイオハザード ヴィレッジ』サウンドチームの皆さん
今回お話を聞いたのは、
鉢迫(サウンドディレクター 上段右)、内山(メインコンポーザー 下段右)、佐藤(コンポーザー 下段右から2番目)
です!

「死にものぐるいのサバイバルホラー」を表現

タンタン
早速ですが、『バイオハザード ヴィレッジ』のBGMのコンセプトを教えてください!
鉢迫
『バイオハザード ヴィレッジ』のBGMは、SEと同じく「サバイバルシグナル」というコンセプトを掲げています。
「サバイバルシグナル」というのは、プレイヤーの生存の危機や緊張感、絶望的状況からの脱出への道標を音楽や効果音によって表現することを指しています。
内山
また、音楽によって緊張と解放のコントラストを演出し、ゲームのコンセプトである「死にものぐるいのサバイバルホラー」体験や耐え難い恐怖感を印象付けることを目指して制作しました。
タンタン
なるほど、音楽と効果音の相乗効果によって危険を予感させたり、恐ろしさを煽ったりしてゲームプレイを盛り上げているんですね…!!
それでは「サバイバルシグナル」というサウンドコンセプトを表現するためにこだわったポイントを教えてください。
内山
耐え難い恐怖感や緊張感の演出には、無限音階(シェパードトーン)という手法を使用して表現しています。
タンタン
無限音階(シェパードトーン)ってなんですか!?
佐藤
無限音階(シェパードトーン)は耳の錯覚を利用した演出手法で、永遠に音程が上がっている(あるいは下がっている)ように感じさせる手法です。
例えば、ドミトレスク城で流れる曲では、特殊な奏法で収録した複数の弦楽器や、民族音楽的なボーカルの上昇音を複数組み合わせることで永遠に上がっているように聞こえるように作りました。ドミトレスク婦人に追われている状況でこの音を聞くと不安を煽られているように感じられると思います。ドミトレスク城に行った際には聞いてみてくださいね!
内山
また、音楽をいくつかの層に分け、ゲーム進行や戦闘状況に合わせてインタラクティブに変化させることによって、生存の危機、緊張感、敵からのプレッシャー等を表現する「サバイバルシグナル」を実現しました。
例えば、初めてライカンに襲撃されるところでは、プレイヤーを取り巻く危険度のパラメーターによって音楽が変化しています。これはいくつかのテンションの違う状況を想定して楽曲制作した後に、それぞれをいくつかのパート(リズムやシーケンス、ノイズ、トーンクラスター等)に分解し、危険度のパラメーターに合わせてリアルタイムで再構築しています。

こだわりの素材収録

鉢迫
今作では、前作『バイオハザード7 レジデント イービル』の主人公イーサン・ウィンターズの物語の続きが描かれていますが、前作からの“継承”ということもテーマに置いています。
内山
前作の音の質感を引き継ぐ意味で『バイオハザード7 レジデント イービル』でも関わってもらったBrian D'Oliveira氏(La Hacienda Creative)と共同で音源素材制作を行っています。
タンタン
音源素材制作…普通の楽器収録とは違うのでしょうか?
内山
はい、『バイオハザード ヴィレッジ』では普通のBGMのように楽器本来の音を使わず、現代音楽のような効果音に近い音を収録し使用しています。
収録の様子はこちらの動画を見ていただけるとわかりやすいかもしれません。
内山
鉄板を叩いたり、サイレン鳴らしたりと、一般的な音楽収録ではありえない現場となりました。
そういえば、「Descent into the Village」という曲の前半で聞こえる独特な下降音は、空襲などを伝える警報機を実際に借りてきて収録した音を使用しているんですよ!
タンタン
実物の警報機を使った音を使っていたなんて想像もしませんでした…!
佐藤
Brian D'Oliveira氏はもちろん、彼のスタジオに所属している素晴らしいミュージシャンの方々にもご協力いただき、Brian D'Oliveira氏が所有されている900以上の楽器から『バイオハザード ヴィレッジ』の世界観に合ったものを選ぶ、といったことから、それを特殊な奏法で演奏するなど、音作りに全面的に協力していただき非常に素晴らしい素材を収録することができました。
また、そういった素材を更に活かすために、オリジナルのDAWプラグインも開発していただきました。 BGMに含まれている聞き慣れない音がどのようにして作られているのか想像して聞くと面白いかもしれません。
タンタン
怖すぎてBGMに集中できるかどうか…!!頑張って聞いてみます!

BGMの3Dオーディオ

タンタン
初めての「新世代機向けバイオハザード」ですが、新世代機向けタイトルとして特にこだわった点はありますか?
鉢迫
SEと同じく、BGMも3Dオーディオに対応することによって、新たな没入感を表現することにこだわりました。
前後左右だけでなく上方からも音が鳴ることで、まるで音楽がプレイヤーを包み込んでいるかのように聞こえるはずです。
内山
例えば、アンジーとの戦闘で鳴っている音楽では、頭の上や背後から聞こえる歌声が、さらに違う場所に移動するなどして周りを浮遊しているかのように聞こえるようミックスしています。新世代機でプレイされている方は是非3Dオーディオをオンにした状態でプレイしてみてくださいね!
タンタン
プレイヤーを包み込む音楽、ぜひ体験してみたいです!
3Dオーディオ対応で苦労した点はありますか?
内山
ボス系戦闘曲は3Dオーディオ向けのハイトチャンネルを使った楽曲制作・ミックスを行ったのですが、普段めったに行う事がないので試行錯誤しながらの取り組みとなっています。 「ステレオにダウンミックスしても適正に聞こえるようにする」というところに注意しつつ立体感を効果的に出せるよう作業しました。

最終局面でのブラッシュアップ

タンタン
他に制作期間中の思い出深い出来事や苦労したエピソードがあったら教えてください!
内山
制作の最終局面でゲームブラッシュアップのための改変への対応が大変でした。開発終盤のブラッシュアップについては以下の動画を見ていただければわかっていただけるかと…!
鉢迫
スケジュール面で今までにない制作のスピード感が求められましたが、サウンドスタッフの協力で乗り越えることができ感謝しています。
おかげでゲームが非常に素晴らしいものに改善されて苦労が報われたと思います。
タンタン
大変なブラッシュアップ期間を乗り越えて『バイオハザード ヴィレッジ』が出来上がっていたんですね!
最後に、この記事を読んでいる方へひとことお願いします!
佐藤
『バイオハザード ヴィレッジ』が素晴らしいサバイバルホラー体験になるよう心血を注ぎましたので、楽しんでいただければ幸いです。
内山
既に遊んでいただいた方、ありがとうございます。
多くの方に喜んでいただけそうな『バイオハザード ヴィレッジ』のダウンロードコンテンツを制作していますので楽しみにお待ちください!
鉢迫
『バイオハザード ヴィレッジ』オリジナルサウンドトラックが発売されています。
本編で感じた「耐え難い恐怖」をぜひ楽曲で追体験してください!
唯一のボーカル曲であるテーマ曲「Yearning for Dark Shadows」も収録されていますよ!
また、BIOHAZARD25周年を記念したシリーズのCDボックス第三弾が7月28日に発売されました。こちらは『バイオハザード6』『7』『RE:2』『RE:3』『バイオハザード リベレーションズ』『バイオハザード リベレーションズ2』の6作品のベスト盤7枚組となっています。 『バイオハザード7 レジデント イービル』のダウンロードコンテンツ楽曲は初出しとなりますので、この機会にぜひお聴きください。
タンタン
恐怖感たっぷりに『バイオハザード ヴィレッジ』を彩る珠玉の楽曲たち!そのヒミツが少し、明らかになりました!
『バイオハザード ヴィレッジ』サウンドチームの皆さん、ありがとうございました!