INTERVIEW, TOPICS

2026.09.15

『モンスターハンターストーリーズ3 ~運命の双竜~』楽曲インタビュー②

こんにちは、タンタンです!
2026年3月13日に発売された『モンスターハンターストーリーズ3 ~運命の双竜~』ですが、発売後もたくさんの反響を頂いています!
特に音楽については多くのプレイヤーの皆さんから好評の声が寄せられているということで、前回に引き続き、楽曲制作の裏側についてお話を伺いました!

今回は、オーディオディレクターの江副さん、リードコンポーザーの宮田さん、コンポーザーの成田さん、池田さんにお話を聞いていきたいと思います!

サイドストーリー
~キャラクターテーマについて~

タンタン
前回はメインテーマやバトル曲のお話を伺いましたが、本作では仲間キャラクターたちも魅力的ですよね!
まずは各キャラクターテーマのこだわりポイントを教えてください!
宮田
そうですね。本作には「サイドストーリー」という要素があり、仲間キャラクターたちをより深く掘り下げながら、ステータスやスキルの強化が行えるようになっています。 メインストーリーとは少し異なる視点で、仲間キャラクターたちの、思わず笑ってしまうような一面や、これまで抱えてきた想いや歩んできた人生にも触れられる内容になっています。

そうした物語を彩るうえで、サイドストーリー専用のキャラクターテーマは、開発初期から欠かせない要素だと考えていました。 ストーリーズ1や2で制作された「ナビルーのテーマ」と同様に、まずは各キャラクターの設定資料やサイドストーリーのシナリオをじっくり読み込み、 そのキャラクターならではの魅力や個性を探るところからコンセプトを出していきました。

そして、それぞれが持つ雰囲気や性格、内面に秘めた感情までを音楽で表現できるよう意識しながら、 一曲一曲丁寧に作り上げていきました。
それでは各キャラクターテーマのコンセプトを簡単にご紹介させて頂きます!

「エレーヌのテーマ:大好きなお料理」
エレーヌのテーマでは、彼女の持つエレガントな雰囲気と、どこか愛嬌のあるひょうきんさを両立させることを意識しました。 聴いていて自然と楽しい気持ちになれるような、温かみのあるサウンドを目指しています。 また、エレーヌはどれだけ独創的な料理を作っていても、本人は至って真面目というユニークな魅力を持っています♪
その絶妙なキャラクター性を表現するため、上品さの中に遊び心を感じられる楽曲になっています。


「オオパのテーマ:珍モンハント」
オオパのテーマは、「好奇心」や「楽しさ」、そして親しみやすい“気のいいおっちゃん感”を音楽で表現することを目指しました。
ギターの音程を滑らかに持ち上げるベンド奏法でワイルド感を演出したり、エスニックな音色を取り入れつつ、ギロ、ビブラスラップやカウベル、コンガといった個性的なパーカッションをふんだんに使用しています。 様々な音色が飛び出してくる構成によって、未知のモンスターを追い求めるオオパの尽きない好奇心や、明るくポップな魅力を表現しています。


「ガウルのテーマ:縁の下の力持ち」
ガウルは勇ましさや実直さ、クールな一面を持ちながらも、仲間たちを陰から支える頼もしい存在です。 そのため楽曲は、力強いオーケストラサウンドを基調に制作しました。
一方で、クリーンギターやロックテイストのギターもアクセントとして加えることで、堅実さだけではない熱さや人間味も感じられるようにしています。
仲間たちをまとめ上げるリーダーのような存在感と、縁の下から支える頼もしさの両方が表現されています!


「キートのテーマ:地質調査」
キートのサイドストーリーが洞窟探索メインのため、洞窟や鉱石を連想させる音色を取り入れています。 ただし、可愛らしい方向ではなく、キートが持つ凛とした雰囲気をしっかり残すことを大切にしています。 未知のダンジョンを前向きに探索しているような冒険心にあふれた楽曲を目指しています。 キートの真っすぐな強さを表現するために、低めのタムやストリングスを用いて、楽曲全体をどっしりとした低音で支えています。 安定感のあるサウンドにすることで、彼女の芯の強さを表現しています。


「ティオのテーマ:プーギーと一緒に」
ティオのテーマは、キャラクターの中でも特に元気いっぱいでポップな印象を持つ楽曲にしたいと考えていました。
その象徴として、クラップのサウンドを効果的に取り入れ、ティオのキュートな明るさや活発な魅力を強調しています。
また、既存のプーギーBGMのような撥弦楽器*の雰囲気も取り入れながら、ティオとプーギーが一緒に駆け回るような、楽しく軽やかな楽曲に仕上げました。
(*撥弦楽器=ギターやマンドリン、バンジョーのように弦を弾いて音を鳴らす楽器)

タンタン
なるほど、シナリオからキャラクターの魅力や個性を汲み取ることで、楽曲がそのキャラクターを語る一つの要素にもなっているんですね!

デモシーンのメロディモチーフについて

タンタン
サイドストーリーとは打って変わって、今度はメインストーリーの方のデモシーンの楽曲についてお伺いしたいです!
どのようなコンセプトでそれぞれ制作されたのでしょうか?
宮田
メインストーリーのデモ楽曲にも、曲名には反映されていませんが、様々なテーマ性を盛り込んで制作しています。 例えば、「双生のレウス」といえばこのフレーズ、といった印象的な旋律をはじめ、 「タマゴを象徴するテーマ」「コルヴォのテーマ」「アマラのテーマ」「仲間との絆のテーマ」「ラスボスのテーマ」等、 それぞれに意味を持ったメロディモチーフが、多くのデモシーンで登場します。 なかでも「仲間との絆」を表現した楽曲として、象徴的なシーンで使用しているものがあります。 主人公がティオに森初めの話をするシーンや、仲間たちと一緒にタマゴを孵化させるシーン、さらにはシモンとの思い出の場所でのシーンなどで共通して流れる楽曲です。
曲名としては「陽だまりの場所で」という楽曲で、実は物語終盤のデモシーンである「エンディング」でも、このメロディモチーフが使用されています。

「陽だまりの場所で」のモチーフ引用例

▼原曲サビ
▼原曲のメロディアレンジ 一例

タンタン
同じメロディモチーフが、異なる場面や楽曲をつないでいるんですね!
物語を振り返りながら聴くと、新たな発見がありそうです!

ガルク孵化の儀式の歌について

タンタン
デモシーンの楽曲で他に印象に残っているものはありますか?
宮田
はい。ガルク孵化の儀式のシーンで、コウや村人たちが歌っている楽曲は、実はモンスターハンターシリーズ独自の言語である「モンハン語」で歌われています。 儀式ならではの神秘的な雰囲気を表現するため、歌詞も原案作成時からこだわって、シナリオ担当の細川さんにイメージを伺いながら制作しています。

また、完全に裏話になりますが、コウと若頭のレンを除く、村人たちの歌声は、実は社内のプランナーやサウンドチームのメンバーに協力してもらい収録したものです。 多くのスタッフが参加することで、村人たちが一体となって儀式を執り行うシーンならではの臨場感を表現しています。

せっかくの機会なので、ぜひモンハン語になる前の、歌詞原案もご紹介できればと思います!

<歌詞原案>
長き微睡みのなか
心の音は高らかになるや
時の充ちるを知らす音よ
すなわち、心の叩く音よ
時は充ちたり
時は充ちたり
いでよ、吼えよ、いでよ

宮田
単純にモンハン語の響きを優先して言葉を当てはめているのではなく、まずは歌の意味や役割を丁寧に組み立て、愛を持ってゲームの世界観に落とし込んでいます。
タンタン
まさか村人たちの歌声に社内のみなさんも参加されていたとは驚きました!
みんなで作り上げたからこその一体感が、あのシーンの雰囲気につながっているんですね。
今度は意味もわかったうえで、あのシーンをもう一度見返したくなりました!

エンディングを彩る一曲に込めた想い

タンタン
お次は、オーディオディレクターの江副さんにも、お話を聞いてみたいと思います!
本タイトルのオーディオディレクターとして印象に残っている楽曲はありますか?
江副
もちろんメインテーマも思い入れの強い楽曲ですが、それ以外で挙げるなら、エンディングテーマのボーカル曲、「Echoing Wings」ですね。

本作では開発初期の段階で、ターゲット層の年齢をこれまでより引き上げることもあり、物語のテイストをよりシリアスな方向へ進めていく方針だと開発チームから聞いていました。 当時はまだシナリオが完成していなかったのですが、ストーリーズシリーズはこれまで感動的なストーリーで多くのファンの皆さんに支持されてきたタイトルです。 その魅力は今回もきっと受け継がれるだろうという確信がありました。

そこで私は、物語を締めくくる感動的なエンディングの余韻や達成感を、より印象深いものにするために、スタッフロールで流れる歌入りのエンディングテーマを制作してはどうかと提案したんです。 もちろん、個人的な好みも少し入っていますが(笑)。 最初にサウンドチーム内で相談した際も、メンバー全員が「ぜひやろう!」と前向きに賛同してくれました。 楽曲の方向性についても話し合いましたが、意見が大きく分かれることはなく、自然と目指すべき形が共有できていた印象です。

宮田
これも偶然なんですが、実は私も本制作に入る前の試作時期から、JRPGとしてボーカル曲は絶対に設けたい!と思っていて、 自分で開発時のコンセプトアート等を拾い集めて、こんな曲調がいいなぁなんてイメージしてたんですよね。
江副
そうだったんですね!
ストーリーズシリーズならではの世界観に加え、当時から、いくつかのコンセプトアートを確認できていたことはやっぱり大きかったですね。
宮田
はい。江副さんからボーカル曲の話があがってすぐに、「こんな曲調が良い!」と提案させて頂いたのを覚えています!
江副
チーム全体で完成形のイメージを早い段階から共有できていたことで、制作も非常にスムーズに進みましたね!
作品の世界観や人間ドラマにしっかりと寄り添い、テーマ性を反映した歌詞と楽曲を形にしてくださった制作スタッフの皆さんには、本当に感謝しています。
宮田
ガルク孵化の歌と同様に、こちらもシナリオに携わっている細川さんに、歌詞についてのキーワードを頂いて、日本語原案を考えました。

▼細川さんから頂いた、歌詞を作る為のキーワードやメモを大公開!

<双生、共生、共鳴>
それぞれに共鳴し合いながら生まれたもの、生きてきたものを象徴するワード。
どちらかが欠けても成立しないところは物語に登場する様々な要素に広く関わっています。

<咎>
先祖がかつて犯してしまった過ちに端を発した、一連の災厄を意味するワードです。

<継承>
物語終盤で、レンジャーとして周辺環境にコミットしていく姿勢を開祖(アマラ)から受け継ぐことを指しています。 また、物語途中で国王からライダーとしての生き方を継承することも、このテーマに含まれています。

<本作ゲームの世界観>
ストーリーズシリーズで一貫して描かれているのが、「得体の知れない自然の脅威に人々がどう向き合うか」というテーマです。
ライダーたちの行動は、生物の一種として自然に抗うためのものではなく、 自然や世界の営みと向き合い、その中で自分たちの役割を果たそうとする姿勢を表しています。 軋轢が対自然だけでなく、国対国、人対人でも生じており、主人公はじめ、皆それぞれ、どうコミットしていくのかが物語の軸となっています。
自然の理によって断罪されそうになる人を描くのではなく、自然の理と向き合いながら、人々が自分なりの責任や役割を果たそうとし、その先に答えを見いだしていくという物語です。 また、その営みを支える存在こそ、人とモンスターの共存を体現するライダーなのです。

宮田
これらのキーワードをもとに日本語歌詞を制作し、その後、mpiさんに英詞を制作して頂きました。 日本語歌詞については、まず私がたたき台を作成し、アートディレクターの川野さん、シナリオの細川さん、コンポーザーの成田さんと池田さんにも意見を頂きながら調整を重ねました。

楽曲は横関公太さんに手掛けて頂きました。歌詞より先に、楽曲を制作して頂いたことで、方向性や情景が明確になり、歌詞イメージも大きく広がりました。 スタッフロールで流れる楽曲ということもあり、冒頭は静かに始まりながら、サビでは壮大かつドラマチックに盛り上がる構成をお願いしました。

歌詞は先ほど細川さんから頂いたキーワードをもとに制作していますが、楽曲面では 「ぬくもり感」「これまで数々の困難を共に乗り越えてきた仲間たちとの絆(レウスやオトモンも含めて)」 「美しさ」「しっとりとした情感」「壮大さ」を大切にしていました。

ストリングスやピアノ、ギターを中心とした楽曲をお願いしたところ、 初稿の段階からこちらのイメージに驚くほどぴったりで、初めて聴いた瞬間「まさにこれだ」と感じ、強く心を動かされました。

開発チームの反応も印象的でした。この楽曲を実際にゲームへ実装した際には、企画やデザイナー、プログラマー等、様々なスタッフから大きな反響が寄せられました。好評の声を数多く頂き、「この一曲に込めた想いは、きっとプレイヤーの皆さんにも伝わるはず!」と確信して、胸がいっぱいになったのを覚えています。
私自身も、実装後にゲーム画面を見ながら確認していると、様々な感情が込み上げてきてしまって、気が付けば号泣していました!
もうその時は、チェックどころではなかったですね(笑)。

江副
でも、そういうのって大事ですよね。
宮田
そうですね。本作には心を揺さぶられる名シーンがたくさんあって、チェック中に号泣したのは、このスタッフロールだけではなく、他にも数えきれないほどありました。 楽曲のレコーディングに立ち会った際も感極まってしまったのですが、やはり生演奏の持つ力は計り知れないなと改めて感じました。
江副
プレイヤーの皆さんは、本編を通して主人公の視点で物語を体験されますが、エンディングではその視点が作品全体へと広がっていきます。 「Echoing Wings」は、まさに作品全体を総括するような役割を担う楽曲として、ふさわしい一曲に仕上がったと感じています。
タンタン
物語や登場人物たちの歩みだけでなく、多くのスタッフの想いも重なって完成した楽曲なんですね!
江副
はい。エンディングテーマ「Echoing Wings」はYouTubeでも公開されていますよね。
宮田
そうなんですよ。このプロモーション映像も、サウンドチームからプロデューサーに、是非作りたいです!と懇願して制作して頂いたものなんですよね。 本当に多くの方々のご尽力によって完成した映像で、私にとっても宝物のような存在です。
また、動画の概要欄には日本語原案の歌詞も掲載されていますので、ぜひそちらにも注目して頂ければと思います。
江副
物語を見届けたあとに聴いて頂くことで、また違った感動を味わって頂けると思うのでぜひご覧ください。 【YouTubeリンク】 https://youtu.be/LZua8iaT7xw?si=98HiegcF2lBeCr_6/
タンタン
ありがとうございます!
記事をご覧の皆さんも是非チェックしてみてください♪

「風の絆」がつないできたシリーズの歴史と開発陣の想い

タンタン
他に印象に残っているエピソードはありますか?
江副
やはり「風の絆」にまつわるエピソードですね。 この楽曲はユーザーの皆さんから、“ストーリーズシリーズを象徴する楽曲”として長く愛されているメインテーマです。 シリーズは本作で3作目になりますが、その都度アレンジを重ねながら作品とともに歩んできました。

本作では新たに「風の絆 ~モンスターハンターストーリーズ3 Version~」と「風の絆 ~Final Battle Version~」を制作しています。実はこの曲はファンの皆さんだけでなく、開発チームにとっても特別な存在なんです。 2種類もの新規アレンジを作っている時点で、その思い入れの強さは伝わるかもしれませんが(笑)。

宮田
シリーズの象徴ともいえる「風の絆」は、本作でも欠かせない存在だと思っていました。 ただ、終盤のバトルの仕様を知ったときに、「風の絆」のFinal Battle Versionを作りたいという思いが強く湧いてきたんです。
通常バトル中は、仲間キャラクターが一人なのですが、最後は仲間たち全員で連携し、進めていく形でした。これはもう作るしかないですよね…!(笑)
そんな経緯もあって、2種類の風の絆を制作することになりました。
江副
本作でも、物語の重要な場面で風の絆を使用しています。特に印象深いのは、物語の冒頭で主人公とシモンが城へ帰還するシーンです。
大黒ディレクターから「ここで "風の絆"を流したい」という要望がありました。

当時はまだストーリーズ3版アレンジの方向性を固めている最中で、シリアスな物語展開に合わせて、これまで以上に壮大なスケール感を持たせる方針でした。 しかし、冒頭シーンに必要なのは、これから始まる冒険への期待感や高揚感です。そのため、楽曲とシーンの空気感には少し方向性の違いがありました。 そこで大黒ディレクターが提案してくださったのが、初代版の「風の絆」をそのまま使うというアイデアでした。

実際にゲームへ実装してみると驚くほどしっくりきていて、冒険の始まりにふさわしいワクワク感が自然に生まれ、 プレイヤーの皆さんにも「これから旅が始まるんだ」という期待を感じて頂けたのではないかと思います。

さらに、有料DLCの追加サイドストーリー「ルディ編」では「風の絆 ~モンスターハンターストーリーズ2 Version~」も使用されています。 振り返ってみると、本当に開発チームは「風の絆」が好きなんだなと思いますね(笑)。
歴代シリーズの「風の絆」のアレンジをすべて楽しめるのは、ストーリーズ3だけなので、そのあたりも熱いポイントです!

宮田
そうですね。振り返ると、たまたま全てのストーリーズシリーズの風の絆が聴ける仕様になっていた感じで計画的なものではありませんでした。 各シリーズの「風の絆」の楽曲が、演出的にどう考えてもここで鳴らすべき、というベストマッチなシーンが揃っていた事により、自然とそうなっていたというイメージです。

楽曲インタビュー①でも お話ししましたが、本作の音楽コンセプトにおいては、「共生」が大きなテーマの一つとなっており、新旧様々なシリーズの楽曲が、ストーリーズ3の中で共生しています。

前作では、モンスター固有曲が用意されていたのはイヴェルカーナとミラボレアスのみで、それ以外のモンスターには主に汎用のバトル曲が使用されていました。(ラスボス戦を除く)

一方、本作では各章のストーリーボス戦において、歴代シリーズで親しまれてきた「このモンスターにはこの曲」という楽曲が流れるようになっています。 モンスター曲に関しては意図的に取り入れた施策だったのですが、結果的に「風の絆」も同様に全シリーズ取り入れられたことに、不思議な縁を感じています。 私自身、どのバージョンの「風の絆」にも思い入れがあり、大好きな楽曲です。だからこそ、シリーズを通して受け継がれてきた楽曲の数々が、これからも長く愛されてほしいと思っています。 そうした意味でも、ストーリーズ3という新たなタイトルでありながらも、ストーリーズ1や2の楽曲を取り入れられたことには、偶然以上の大きな意義を感じています。

江副
そうですね。本編はもちろん、ぜひDLCまでプレイして頂き、それぞれの楽曲がどの場面で流れるのかを楽しみながら探してみてください。 作品ごとの違いや想いの積み重ねを、音楽からも感じて頂けたら嬉しいです。
タンタン
各作品の「風の絆」が自然な形で本作に集まり、シリーズの歩みを音楽からも感じられる構成になっているんですね。大きな愛を感じるエピソード、ありがとうございます!!

ズバリ!推し曲!

タンタン
続いて、ゲーム内ではたくさんの楽曲が流れますが、コンポーザーの皆さんにとって特におすすめしたい曲や印象に残っている曲はありますか?
宮田
楽曲はどれもコンセプトの段階からこだわって作っているので、本当は全部おすすめしたいのですが… あえて一曲選ぶなら、やはり先ほどもお話しした「風の絆 ~Final Battle Version~」ですね!
この曲が流れるのはラストバトル。ゲームの流れ上、負けない限り一度しか聴けない場面なのですが、主人公や仲間たちはもちろん、これまでの旅で出会った人々の想いまでもが重なる、 とても大切なシーンです。だからこそ、音楽にも全力を注ぎたいという気持ちで制作しました。

ラストバトルでは、物語の展開も含めてとにかく“激熱”な空気を演出したかったので、「風の絆」のメロディをモチーフにアレンジしています。
イントロでは、石化した結晶が雪のように舞う様子をピアノで表現し、その後リズムやストリングスが加わるパートでは、主人公たちの「いくぞ…!」という想いがひとつになる瞬間を描いています。 この展開によって、強い決意や覚悟を感じられる構成になっています。

また、それまでのバトル曲とは少し方向性を変え、ヒロイックな格好良さを意識しながら、ラストバトルに挑む主人公たちやプレイヤーの気持ちに寄り添えるような楽曲を目指しました。 もともとの「風の絆」は明るい曲調の楽曲ですが、今回は壮大かつバトル向けに大胆なアレンジを施しています。

成田
私が特に印象に残っているのは、カナルタ深林で流れる小型モンスターとのバトル曲「深林に潜む足音」です。
実はこの曲、開発の中で最初に制作されたバトル曲なんです。まさに試作を制作している時期ですね。 ある意味、この楽曲のテンション感が基準になっていて、その後の各エリアの大型モンスターBGMや侵獣モンスターBGM、凶異モンスターBGMといったバトル曲も、 この方向性を起点に広がり、作られていきました。
コンセプトとしては、緊張感を前面に押し出すというより、「これから冒険が始まる!」というワクワク感を大切にしながら作曲しています。

ただ、ここだけの話、私は当初この曲を「大型モンスターBGM」のつもりで作っていたんですよ(笑)。
ところが、リードコンポーザーの宮田さんから「いいですね!これをベースに大型モンスターバトルの曲もお願いします!」と言われまして、「えっ、これは大型じゃなかったの!?」とかなり驚きました。

そんな経緯もあって、勢いのまま更にアグレッシブなアレンジを加えて完成したのが、同じくカナルタ深林で大型モンスターとのバトルで流れる「深林を穿つ鳴動」です。

結果的に、最初に作った小型モンスター戦の曲と、その発展形とも言える大型モンスターバトルの曲が生まれたので、個人的にもとても思い出深い楽曲になっていますね。

池田
私は特に、ラストバトル周辺の楽曲が印象に残っています。
具体的には「漂界割りて揺らぐ蒼相気」、「漂界震えて昂る蒼双貌」、「漂界裂けて荒れ立つ蒼濤影は哭く」の3曲です。 宮田さんから先ほど話にあがった「風の絆 ~Final Battle Version~」を含めて、いずれも生楽器によるレコーディングを行っており、作品のクライマックスを彩る楽曲として特に力を入れて制作しました。

漂界割りて揺らぐ蒼相気ひょうかいわりてゆらぐそうそうき
こちらの楽曲は「なんだこれは…!?」と思わず身構えてしまうような、得体の知れない存在と対峙した時の緊張感や、圧倒的なスケール感、威圧感を表現しています。 ピアノで神秘的かつ禍々しい雰囲気を演出し、まるで潮の満ち引きのように上下するストリングスや 木管のフレーズが特徴で、それに合わせてテンポ感も揺れ動くような構成にしています。 先の読めない不穏さや異質さを感じて頂けたら嬉しいです。

漂界震えて昂る蒼双貌ひょうかいふるえてたかぶるそうそうぼう
こちらは、バトル中に次々と変化していく激しい展開を表現するため、拍子や調性がめまぐるしく変化する構成を取り入れました。 管弦楽器、打楽器、そして合唱が互いに存在感をぶつけ合うようなイメージで、それぞれの個性が際立つように組み立てています。 冒頭はトランペットのソロから始まり、その響きを合図にするように全楽器が一気になだれ込みます。 弦のノイズやピアノ、金管のクラスター*、木管の駆け上がりが不協和音となって押し寄せ、混沌が世界を飲み込んでいくようなサウンドを目指しました。
しかし、後半ではその空気を切り裂くように美しい旋律が現れ、一気に景色が変わります。 重層的な音のうねりと変幻自在のリズムによって緊張感を高めながら、緊張と解放がせめぎ合う、ドラマチックで熱量の高い一曲になるよう制作しました。
(*クラスター=音程の近い音を密集させて同時に鳴らし、不協和な響きを作る奏法)

漂界裂けて荒れ立つ蒼濤影は哭くひょうかいさけてあれたつそうとうえいはなく
こちらの楽曲は、脅威そのものを描くというよりも、それに立ち向かう主人公たちの強い意志に焦点を当てた楽曲になっています。
雄大で荘厳な旋律を軸に据えながら、打楽器と低音楽器群による力強いリズムで前へ進む推進力を生み出し、プレイヤーの気持ちを後押しするようなサウンドを目指しました。 そこに透き通るようなピアノの音色を重ねることで、美しさや儚さ、そして決戦に挑む熱さが共存する楽曲に仕上げています。 クライマックスの物語やバトルを彩る楽曲として、それぞれ異なる役割や感情を担わせて制作したので、ぜひバトルシーンとあわせて聴いて頂けたら嬉しいです。

タンタン
制作の起点となった楽曲から、物語のクライマックスを彩る楽曲まで、それぞれに異なるこだわりや思い入れが込められているんですね!
今回のお話を通じて、キャラクターや物語、シリーズの歩みを音楽がどのように支えているのかがよく分かりました。 貴重なお話をたくさん聞かせて頂き、ありがとうございました!


モンスターハンターストーリーズ3 ~運命の双竜~ BGMセレクションも公開中!
https://youtu.be/8_eOh1wzvD0

 

『モンスターハンターストーリーズ3 ~運命の双竜~』オリジナル・サウンドトラック、デジタル配信中です!ぜひチェックしてみてください♪