2013年2月8日
エクストルーパーズ
発売記念サウンドスタッフインタビュー! Vol.3
『エクストルーパーズ』発売記念特集Vol.3!
ゲームサウンドは面白い!ゲームサウンドには夢がある!そうに決まっている!
『エクストルーパーズ』 に込めたカプコンサウンドのメッセージとは!?(^ω^)
今回はDJサンドウがセルフインタビュー!
コンポーザー北川保昌との対談形式でお届けいたします!
- 第3弾は、挿入歌について楽しく掘り下げるよ!
エクストルーパーズの音楽で、見逃せないのが声優さんによる挿入歌。
ここでしか聞けないレコーディングでの裏話を大公開!
そして、普段まず耳にすることはできない仮歌バージョンもちょこっと公開しちゃいます♪
何と『あの曲』の英語バージョンが存在していた!?
- DJサンドウ
- さー今回はいよいよ声優さんの挿入歌の話題です!
まずは、どんな挿入歌が入っているか紹介してもらえますか?
- 北川
- はい!今回はバージョン違いも含めて全4曲がゲームに、そしてサントラにも入っています。
これをご覧ください!Starry Conversation - Bunny mix(ジュリー・フライシャー / CV: 沢城みゆき)
解放レゾナンス(ティキ / CV: 早見沙織)
Starry Conversation - Triangle mix(W.I.Z / CV: 小林ゆう)
Re@union(ティキ / CV: 早見沙織)どうですかこの豪華なキャスティング!今をときめく人気の声優さんばかりでしょ!?
- DJサンドウ
- ゴ、ゴイスー!!
こんな有名な方々とお仕事できるなんて、羨ましいですね~。
レコーディングはどんな感じだったんですか?
知りたい知りたい!知りたがり!! - 北川
- いや〜一言で言うと「ほんと楽しかった!」ですね!
実は僕、声優さんのボーカルレコーディングは初めての経験だったんですよ。
これまでいわゆる『歌のプロ』であるボーカリストさんのレコーディングは数多く立ち会ってきたんですけど、『声のプロ』の方とは初めてで現場を想像できず、レコーディング前は結構不安でした…。 - DJサンドウ
- で、実際はどうだったんですか?
- 北川
- ほんとに楽しい現場で、和気あいあいとレコーディングが進みました。
歌が本職でない方々ではありますが、慣れた様子で苦労する事なく歌い上げていましたね。もちろん、普段から歌い慣れている方々だったんですが、さすが『声』を扱うお仕事されているだけある!と感心してしまいました~。 - DJサンドウ
- では、それぞれのレコーディングについて教えてもらえますか??
- 北川
- 最初にレコーディングしたのは、沢城みゆきさんですね!
まずキーを確認したいので、練習がてら歌ってもらいます。沢城さんの場合、原曲のキーの上下のキーで試しましたが、やはり原曲キーが一番声のノリが良いということになりました。マイクも、沢城さんの声質、そしてそのキーで発せられる声色に合わせて、レコーディングエンジニアさんにチョイスしてもらいます。その後、ご本人が気になるな箇所等軽く打ち合わせを行ってから、いよいよ本番です! - DJサンドウ
- なるほど、本番までに色々調整しなければならないことがあるのですね!
本番のレコーディングはどんな流れで行われるのですか? - 北川
- 基本的には、録る → プレイバック(確認)→ OK(or リテイク)、の繰り返しです。歌いやすさや曲構成等によって変わってきますが、頭からとりあえず録れるところまで一気に録ったり、レッテルごとに録ったり、ちょっと難しいところは二小節ずつ録ったりと、録る量はその時々で変わってきますね!
で、注意しなければならないのは『喉が疲れてくる』ということです。中には6時間ぶっ通しでレコーディングしても大丈夫な超人もいますが、普通はパフォーマンスが落ちていきます。
ですので、一番声を張る部分、例えばサビなどを前半に録る時もありますね。あまり早いタイミングで録っても、逆にまだ本調子に届いていないケースもありますので、そこは様子を見ながらということになります。 - DJサンドウ
- この『Starry Conversation - Bunny mix』、とってもカワイイ曲ですよね!体験版にも入っていました。
- 北川
- ありがとうございます!この曲、特別なエピソードがあるんです。
実は、沢城さんに歌っていただいた時はまだ『Bunny mix』じゃなかったんです。 - DJサンドウ
- と、いいますと?
- 北川
- つまり、このオケじゃなかったんです。これとは違うアレンジでした。どちらかというと『Triangle mix』寄りでしたね。
レコーディングの日はそのオケで最後まで収録したのですが、会社に持ち帰っていざ聴いてみると、どうも沢城さんの声に曲がマッチしないのです。
僕としては、明るくキュートでポップな沢城さんの声を是が非でも使いたかったので、沢城さんの声に合わせてアレンジし直しました。元々は少しシリアスな雰囲気を持ったアレンジだったんですけど、声の明るさに合わせて、前向きなアレンジに作り直した、という訳なんです!
ゲームにおいてもこの曲はすごくいいスパイスになりましたし、こういう前向きな曲調が個人的に好きなのもあって、すごく気に入っています!
- DJサンドウ
- 違うアレンジバージョンを作り直すって、すごいモチベーションですね!
- 北川
- はい、それだけ沢城さんの声が魅力的だったということです!
- DJサンドウ
- ところで、沢城さんのレコーディング風景はありますか?
- 北川
- 最初のレコーディングということで、カメラを持ってくるのをうっかり忘れてしまい、残念ですが今回写真はございません!すみません!
- DJサンドウ
- わっかりましたぁ。では次回ということで!
次はどなたのレコーディングにいきましょう? - 北川
- では次は『Starry Conversation』繋がりで、小林ゆうさんのレコーディングをご紹介します!
- DJサンドウ
- おー!小林ゆうさんと言えば、W.I.Z三姉妹を演じられていたり、その器用さは目を見張るものがありますね!
- 北川
- そうなんです、案の定歌のほうも器用にこなしておられました!
皆さんご存知かも知れませんが、ああいう独特の世界をお持ちの方ですので、歌のほうはどんな感じなのかなぁと思っていました。それがですね、いざ歌い出すと「えー!!」と声を出してしまうぐらいカッコいいんです。すごく表情のある歌い方で、聴いた瞬間「きたー!」って感じでしたね!
- DJサンドウ
- 面白そうな現場ですね!何かレコーディング中のエピソードはありますか?
- 北川
- レコーディング中、マイク越しにゆうさんとお話できる訳ですが、レコーディングの中盤に差し掛かった頃、突然ゆうさんが「あのぉ、ちょっとよろしいでしょうかぁ??」と切り出してこられて、何かと思えば「ちょっとそのぉ、お部屋の温度がですねぇ、高くてぇ、汗が出てくるなと思いますぅ」みたいなことを仰られて、「えーと、つまり暑いんですよね?」ていうやり取りとか(笑)
ほんとそんな感じで、現場はいい雰囲気に包まれながら、楽しくレコーディングが進みました!
あと、終始「先生!」と呼ばれて嬉し恥ずかしでした~。
- DJサンドウ
- じゃ次の曲、行ってみましょう!
- 北川
- 次は早見沙織さんです!『解放レゾナンス』と『Re@union』ですね!
- DJサンドウ
- おおっと出ました!カイホーカイホーホイコーロー!!
こちらはどんなレコーディングでしたか? - 北川
- 早見さんの声の一番の特徴は、何と言っても『透明感』です!透き通った美しい声が素晴らしいですね~。
あと、歌ゴコロをお持ちだなと感じました。声のコントロール方法をお分かりの様子で、この曲って音程が飛んだりして歌うのが結構難しいと思うのですが、そこを上手くコントロールして確実に音程を取ってらっしゃったのが印象的でした。すごいなぁと! - DJサンドウ
- 歌のセンスをお持ちだということですね?
- 北川
- はい、あとしっかり練習して来られているなと。スタジオに入られて、声出し一発目でかなり完成度が高い状態でしたので、もうその時点で「あ~今日は良かった」となります(笑)2曲は別の日にレコーディングしたのですが、両方ともそういう安定感はみたいなのはありましたね。
ティキにもそういう安定感みたいなのを感じるのですが、偶然にもそれに近い感覚です!
- DJサンドウ
- なるほど!ティキになりきっておられたのかも知れませんね!
ではそれぞれの曲に関するエピソードなどあれば是非! - 北川
- まず『解放レゾナンス』ですが、Popsとかに比べるとちょっと特殊な構成なのですが、基本的にサビとCメロにしか歌が入っていません。
これは、曲の使いどころが戦闘シーンなのですが、最初のほうは台詞の応酬なんですよね。なので、歌が最初から入ってるとちょっと邪魔になったりするんです。もちろん、全然ナシという訳ではではないんですが、大切な仲間と戦う重要なシーンですので、ここはしっかり台詞を聴かせようと。
- DJサンドウ
- でも逆にそれが、サビで歌が始まった時に「きたー!」って感情を揺さぶりますね!
- 北川
- そうなんです!我慢して我慢してサビで歌解放!みたいな。ほらまさに『解放レゾナンス』(笑)
- DJサンドウ
- Re@unionはどうですか?
- 北川
- この曲、開発中盤で大体はできてたんですよ。でもその時はテンポが今よりずっと速くて。いざ実際に絵や直前のお話とかを見てみると、これはだいぶスローだぞ!と思いましたね(笑)そこからテンポをどんどん落としていって、今のテンポに落ち着きました。
早見さんの声にもばっちりマッチして、いい形でゲームをしめくくれたと思っています!
- DJサンドウ
- 僕も感動して涙しました!最後のマンガデモからの繋がりも秀逸でしたね!
- 北川
- ありがとうございます!そのマンガデモの曲は最後に作った曲なのですが、エピソード5の最初のマンガデモで作った曲を使って、エピソードを挟み込んでいます。且つ、スタッフロールのRe@unionに繋がる部分は、感動が途切れないよう細心の注意を払って作りました!
- DJサンドウ
- そのような細かい配慮があって、あの没入感に繋がるという訳ですね!
ちなみに、ボーカルレコーディングで特に注意しなければならないことはありますか? - 北川
- ボーカリストさんご本人に対するケアは何より大切です。飲み物は、喉の油分を取り除いてしまうウーロン茶は控えるべきですし、疲れてきてないかな?お腹空いてないかな?などなど、歌を録ること以外にも気にしなければならないことはいっぱいあります。気持ちのいいレコーディングで、ボーカリストさんにはポテンシャルを最大限に発揮してもらいたいですからね!
現場の雰囲気作りも重要ですが、和気あいあいとやることが最高のレコーディングに繋がる訳ではなく、ボーカリストさんと充実したコミュニケーションを重ねていくことがやはり重要だと思います。
あと、レコーディングエンジニアさんとのコミュニケーションも大事です!エンジニアさんとの関係が上手くいっているほど、良いレコーディングに繋がりやすいと言えます。今回は合計4回同じエンジニアさんとお仕事させていただきましたから、最後は友達みたいな感じになってましたよ(笑)
素晴らしいレコーディングが全部終わって、エンジニアさん達と飲みにいく時に見た東京タワーの綺麗な風景が、その時の気持ちとリンクして今でも忘れられません!
- DJサンドウ
- ニャーるほどぉ!ホントに良いレコーディングだったんですね!にしても、ひとつのタイトルでこんなに多くの歌が入ることって、そうそうニャいですよね?しかも作詞まで…。
- 北川
- はい、すごくやりがいがありましたね!作詞は初めてでしたので、正直どうなることかと思いましたが、何とか形にはなりました。
ボーカルレコーディングも沢山経験できましたし、とても充実したタイトル制作でしたよ!
あと、今回は仮歌も数多くレコーディングしました。せっかくなので、ちょっとだけ公開しちゃいましょうか!? - DJサンドウ
- おおー!そんなレアトラック、公開しちゃっていいんですか~?
- 北川
- 仮歌を歌ってくれたスタッフに敬意を表して!ということです!
そうですね、まずは一番最初にレコーディングした『Starry Conversation - Triangle mix』の仮歌バージョンです♪どうぞ!
- DJサンドウ
- おー!なんか初々しいですね!これ歌っているのはチームのスタッフで、元々アニソンが大好きでしたよね?
- 北川
- そうです、それもあってかノリノリで歌ってもらいました!本人的には声を出しきれてなかったみたいですけど。
次は『解放レゾナンス』です。なんと!この曲、最初は英語の歌詞でいこうと思い、仮ではありますが一旦英語の歌詞を完成させていて、仮歌もレコーディングしていたのです!その貴重なバージョンをどうぞ~!
- DJサンドウ
- おーこれはカッコいい!これは誰が歌ってるんですか?
- 北川
- これは同じコンポーザーの後輩に歌ってもらいました!そのキュートでキャッチーな歌声で、良く仮歌を歌っていますよ。このカプストーンにも出ています!
- DJサンドウ
- 仮歌マスターですね!ほんと、カプコンは人材の層が厚い!あとはどんなのがありますか?
- 北川
- Re@unionも仮歌があります…どうぞ!
- DJサンドウ
- こ、これは…?
- 北川
- あ、僕です(笑)お茶を濁してすみません!いい加減、スタッフの人たちばかり歌ってもらうのが申し訳なくなってきて、最後は自分で歌いました…。一応、ピッチやフォルマントを変えて女声っぽくがんばって加工してみたのですが…。
- DJサンドウ
- 案外女性の声っぽく聞こえますね(笑)
- 北川
- こんな風に仮歌が入ってると、ゲームの雰囲気に合うかとか、この曲にはどんなボーカルでどんな歌い方が合うのかが見えますし、あとプロデューサーやディレクターへの説得材料にもなりますよね!仮歌があるとないとでは、天地の差があります。ボーカリストさんに歌っていただく前に色々と確認ができて、安心して本番にも臨めますし!
あとオマケでこちらもどうぞ!『The Shooting Star』のメロありバージョン!
- DJサンドウ
- この曲、実はちゃんとメロディがあるんですよね~!
- 北川
- そうなんです、最初作った段階で僕がメロディを「ラ」で歌いました!
ゲームのほうには、イントロの「ララララララー」だけしか入っていませんが、実は最後までメロディはちゃんとあるんです!特に歌詞はないんですけどね。 - DJサンドウ
- わっかりましたぁ!本日は貴重なお話、ありがとうございました~!
- 北川
- You are welcome!!
まだまだ語りつくせない『エクストルーパーズサウンド』!
いよいよ次は第4弾!お楽しみに!!