INTERVIEW

2012年12月20日

エクストルーパーズ
発売記念サウンドスタッフインタビュー! Vol.1

エクストルーパーズ』発売記念特集Vol.1!
ゲームサウンドは面白い!ゲームサウンドには夢がある!そうに決まっている!
『エクストルーパーズ』 に込めたカプコンサウンドのメッセージとは!?(^ω^)
今回はDJサンドウがセルフインタビュー!
コンポーザー北川保昌との対談形式でお届けいたします!

 

 

 

 

お待ちかねのエクストルーパーズ特集だよ♪ それでは張り切ってどうぞ!

エクストルーパーズのサウンド演出はテクノDJ!?
単純にインタラクティブにサウンドが変化するのって
「面白いやん!」ってことですよ


左 北川保昌 右 DJサンドウ

サンドウ
どうも宝塚歌劇大好きDJサンドウです。小柳奈穂子先生の実力は認めざるを得ない!青木朝子先生の楽曲は素晴らしい!「DJ」とは、大好き(D)瀬奈じゅん様(J)の略です!エクストルーパーズでの私の肩書きはサウンドディレクターです。よろしくお願いします!
北川
カプコンの高田純次さんこと北川保昌です。コンポーザーです。コンポーザーとは曲を作る人のことです。
2人
2人合わせて… せーのっ!石倉三郎さん大好き!ねずみ小僧です!
2人
中田ヤスタカさんも大好きです!
中田ボタン師匠も好きなのだ!
サンドウ
サウンドディレクターと言っても、バイオ6みたいに大規模な人数をサウンドに回せなかったタイトルなんで、サウンドデザイナーの役割であるシステム設計から、他セクションや外部協力会社等とのやりとりや、ゲーム中の効果音制作&組み込みまで1人でやりました!しかも「レイトン教授VS逆転裁判」というタイトルと掛け持ち! なかなか凄いことをやらせてもらいました。
北川
私も同じで「エクストルーパーズ」と「レイトン教授VS逆転裁判」との掛け持ちでした!発売日が1週間ずれのソフト(11/22と11/29)のBGMを1人で担当いたしました!それはそれは凄い現場でしたよ!どちらのタイトルもBGMの評判が良いのはホントに嬉しいです!サントラも好評発売中ですので是非
作品紹介(DISCOGRAPHY)
のコーナーでチェックしてみてください!
サンドウ
と!自己紹介はほどほどにして!
今回は新規タイトルということもありタイトル立ち上げ時から、せっかくなんでサウンドとして斬新なことを色々やりたいなあ!と思って制作に挑みました!
北川
ゲームも新しいですけど、3DSとPS3というチャレンジングなマルチタイトルというのも
なかなか斬新でしたね!制作者泣かせでしたけど、逆に燃えましたね!
サンドウ
ですね!つまり!姉さん!事件です!そんなこんなで!エクストルーパーズにはゲームならではのサウンド的な「こだわり」や「仕掛け」をいっぱい盛り込みました!
ディス イズ ゲームサウンド!とにかくインタラクティブ!
北川
ですね!では!1個ずつ説明していきますか!
先ずはBGMのリアルタイムのピッチ変化はめちゃめちゃ多様してます!
ピッチ変化とは、簡単に説明すると再生速度を変化させることですね。
BGMをアナログレコード盤にしてターンテーブルで再生していると想像していただけると分かりやすいかもです。ピッチを上げると再生速度が速くなり音程が上がる。ピッチを下げると遅くなり音程が下がる。
サンドウ
一言で言うとエクストルーパーズのBGM演出はDJ的なんです!
ジャンルがクラブミュージックであるゴリゴリのテクノだからこその表現ですね!
北川
雪だるまになる攻撃を受けたらプレイヤーは何も出来なくなります。つまりプレイヤーはもどかしい状況になるわけです!それを表現する為雪だるまにされた時BGMのピッチをがくーんと下げることにより更にもどかしくなる!早くこの状況を打破したい!と思わせることでユーザーさんのボタン連打を促しているワケです!

プレイヤーが雪だるま化するとBGMのピッチがダウン!!
サンドウ
タイムカウントダウンがあるミッションでは緊張感を煽る為に、残り時間が少なくなるにつれて、どんどんピッチを上げております!ピッチを変えずにBGMのスピードだけを上げる手法もあるんですけど、エクストルーパーズのBGMはテクノということもありピッチごと変化させても、レコードの回転数を上げる感覚が想像出来るので音楽的な違和感を感じないんですよ!もしBGMがオーケストラだったら何がなんだかよく分からない表現になるはずです。

タイムカウントダウン!残り時間が減るのに連動してBGMのピッチがアップ!!
北川
でも状況変化に応じて必ずこの表現を適用しているワケではなくてですね!
歌モノは何があっても絶対ピッチを変化させない!ということもしてます。
サンドウ
そこは歌っていただいた声優さんへの愛ですよね!愛!

プレイヤーが雪だるま化しても「歌モノ」BGMはピッチ変化なし!!
北川
味方を防衛するミッションが何回かあるんですけど、防衛対象のキャラクターが攻撃を喰らってしまうとBGMを変化させてるんですが、ゲーム音楽でここまでするか!ってくらい元曲をグッチャグチャにして「ヤバいよ!」という危機感の演出をしております。使用した機材は手の平サイズのアナログ・シンセサイザーでおなじみ「KORG monotron」です。いや~こういう限界ギリギリの表現をずっとしたかったんですよ!夢がありますよ!「KORG monotron」最高!
サンドウ
まだ!いける!そんなんじゃ危機感じゃねえ!もっとコリコリに!みたいな(笑)

防衛戦で防衛対象の味方が攻撃を喰らうとBGMが変化!!

子供達が将来なりたい職業のベスト10に
「ゲームサウンドクリエーター」が入ってくるのが夢ですね!
女の子はもちろんタカラジェンヌ!(笑)

北川
BGMを丸ごとそのままフィルター(特定の音域をカットするモノ)に通したり、エフェクター(音声に対して効果を与え変化させるモノ)に通したりする演出もめちゃめちゃしてますね。
例えば、データポストを立て始めると、BGMの低音がズバッとカットされて段階を経て立っていくのに連動して、BGMの低音がだんだん復帰するという仕掛けを入れております。

データポストに連動してBGMの再生周波数帯域が変化!!
サンドウ
何故?こんな演出いれてるの?説明してみろ!って言われたら、
BGMの低音がズバッと切れることにより、ユーザーさんの集中力が高まる、低音の復帰とともに達成感も身体で感じることが出来る!なんて説明も出来ますが、単純にインタラクティブにサウンドが変化するのって「面白いやん!」ってことですよ!
北川
この手法の演出は色々やってますね!先ず屋内に入ったり、屋外に出た時にBGMを変化させております。そして風の音ですね!あたかも屋外と屋内で聞いてるかのような演出になっております!外ではピューピュー!中ではボーボー!更に!プレイヤーキャラの声の響きにも注目!屋内では反響!屋外では「やまびこ」効果!

屋内に入るとBGMの低音カット!風の音(環境音)は高音カット!
サンドウ
そして!高い所から飛び降りた時!

飛び降り時!低音カットなし!低音カットありを聞き比べて!なんという飛び降り感!
北川
更に!ターザンロープのような「スライド」移動時!

なんというスライド感!ドライブ中!窓を開けてカーステレオを聞いてる感覚!
サンドウ
あとは、戦闘不能状態になったらBGMとSEをこもらせて意識が遠くなってるっていう演出とかね!「ロミオとジュリエット」のマーキューシオもティボルトに刺された後は、こんな感じで音を聴いているのではないでしょうか。
北川
うまくプレイヤーの意識とBGMを連動させることに成功しました!

戦闘不能~復帰でのBGM変化に注目!プレイヤーの意識とBGMが連動!
サンドウ
あっ、「風」等の環境音に関してもだわりがあって、次のステージのロードが入るタイミングで真っ先に鳴らしているんです!波の音が「ザパ~ン!」って鳴ったと思ったら、次の瞬間映像は真っ青な空と海!
同時に音と絵をドン!と出すのではなくて、ちょいズラシで連続で聴覚と視覚を刺激するのってなんかドキっとしませんか?良いでしょ!これは舞台演劇の演出からヒントを得たのです!セット転換の暗転時に次のシーンの環境音を鳴らす!宝塚歌劇では正塚晴彦先生がよく使う手法ですね。ブエノスアイレス大好き!

先ず耳に!続けて目に!舞台演劇のセット転換の暗転時演出からヒントを得たのだ!
北川
こういう、意味があるかどうか分からないこだわりがユーザーさんの心に響くと信じています! サウンドとして出来る限りゲームに貢献したいというかね。
サンドウ
ですね!でもエクストルーパーズでやったBGMを変化させまくる表現って
普通BGM作っている方は嫌がると思うんですよ!
俺の曲を変な鳴らし方しやがって!みたいな(笑)
屋内に入った時の演出に関しては、風の音の高音をカットしてこもらせることにより、屋外と屋内の差ををつけたい!っていうのが最初のきっかけなんです。でも派手なゲーム性を考えたら表現が地味過ぎるんですよね。実際、このページに載せている動画も風の音を聴かせる為にBGMの音量を下げてますし(笑)
で、これ風の音の高音カットすると同時にBGMの低音カットしても良いですか?って恐る恐る北川三郎先生に聞いたワケです。断られるかなって思ったら…
北川
全然良いですよ!と(笑)俺達は音楽や効果音を作っているんじゃねえ!ゲームを作ってるんだ!ってことですよ!
サンドウ
いや~ホントその通りです!ゲームなんですよ!ゲーム!
我々はゲームを作っているんです!

話は戻りますが、ゲームの状況変化でBGMそのモノを変えたり、メロディーを変えたり、はたまた楽器やフレーズの足し引きをするというのはよくありますが、エクストルーパーズのサウンド演出で斬新なのは、そのままのBGMソース流用している点ですね!例えるなら1枚のレコードを使ってクラブDJがターンテーブルやミキサーでお客様を踊らせているような感覚です!
BGMのフィルター制御に関しては、PS3版でテレビやサラウンドシステムのスピーカーから出力すると、その辺の演出意図が更に伝わりやすいかなと思います!

北川
エクストルーパーズに関してはホントにやれるだけのことをやったと思うし、出せるだけのアイデアをゲームに反映することが出来ました!
やっぱりねえ…、子供の時に感じたゲームをやった時のドキドキ感やワクワク感をユーザーさん、特に子供達に感じて欲しいんですよ!我々がこの職業に就いたのも大先輩達が夢を見させてくれたからなんです!夢を途絶えさせてはいけない!
サンドウ
私も子供達が将来なりたい職業のベスト10に「ゲームサウンドクリエーター」が入ってくるのが夢ですね!
コンポーザーでもサウンドデザイナーでも、サウンドプログラマーでも!
この職業にはまだまだ可能性も魅力もあると思いますので!是非「なりたい!」って方が増えて欲しいです!
女の子はもちろんタカラジェンヌ!(笑)

いかがでしたか?エクストルーパーズ特集。まだまだ続きますよ!