INTERVIEW, TOPICS

2020年2月4日

サウンドお仕事紹介! ~サウンドプログラマー編~

ゲームサウンド開発は、効果音を作るおなじみの「サウンドデザイナー」や 楽曲制作の「コンポーザー」の他にも、「スタジオエンジニア」「サウンドマネージャー」などなど、いろいろなお仕事で成り立っています。今回はその中のひとつ、「サウンドプログラマー」を紹介したいと思います!

こんにちは、タンタンです! 
突然ですが、「サウンドプログラマー」というお仕事、聞いたことはあるけど詳しくは知らないという人が結構多いのでは!? 

ということで今回は、サウンドお仕事紹介!~サウンドプログラマー編~。どういうお仕事なの? 普段どういうことをしているの? そんな疑問を、サウンドプログラマーの人たちにインタビューしちゃいます!

サウンドプログラマーの仕事内容とは!

タンタン
まずはこの2人にインタビュー!
 ▲サウンドプログラマーの中山(写真左)と松下(写真右)
松下
サウンドプログラマーの松下です。サウンドですが楽器は弾けません!
中山
同じくサウンドプログラマーの中山です。仕事をする上でのこだわりはマウスを利き手と逆の右側で使う事です!
タンタン
自己紹介ありがとうございます! それではまず、「サウンドプログラマー」のお仕事内容を教えてください!
中山
はい、サウンドプログラマーというのは、ずばり!ゲームサウンド開発の全てに関わる、サウンド専門の「プログラマー」です。ゲームプログラマーと同じで、「C言語」「C++」、最近では「C#」や「Python」などを使ってプログラムを書いています。
タンタン
ナルホド! あくまでもプログラマーなんですね。「ゲームサウンド開発の全て」というと、幅が広いですね。例えばどのようなことをしているのですか?
松下
サウンドプログラマーの仕事は、大きく三つに分かれます。「ゲームアプリケーション開発」「ゲームエンジン開発」「研究開発」です。
タンタン
??? 一体それは何ですか!
中山
ゲームアプリケーション開発」というのは、「バイオハザード」シリーズや「モンスターハンター」シリーズなど、ゲーム開発のチームに入ってゲームの中で音を鳴らす仕組みを作ることです。例えば「ここで足音を鳴らす」「この場所はこういう響き方にする」などですね。 サウンドデザイナーやコンポーザーから出たアイデアに、自分も意見や提案を出しながら進めてゆきます。演出や品質だけでなく、「どうすればもっと効率よく作業できるか?」なども話題になるので、ゲームのサウンドの仕組みはほとんどサウンドプログラマーが関わっているといっても過言ではないですよ!
タンタン
すごい! ゲームで音を鳴らすには、無くてはならない存在なんですね! それでは、「ゲームエンジン開発」というのは何をするんでしょうか?
松下
「ゲームエンジン」というのは、ゲームを作るためのアプリケーション(ソフトウェア)です。最近のカプコンのゲームだと、起動したときに「RE ENGINE」と書かれたロゴが出て来ることがありますよね? あのRE ENGINEや、あとは「MT FRAMEWORK」などがゲームエンジンにあたります。「バイオハザード」シリーズや「モンスターハンター」シリーズ、その他カプコンのゲームの多くがこのゲームエンジンを使って作られています。僕たちは、その中のサウンドのシステムを作っているんです。例えば、発音までの手順はどうしようか? エフェクトは何が必要? 3Dオーディオは? など、サウンド開発の土台を作っています。
タンタン
ゲームエンジンでゲームを作るわけですから、まさに、カプコンのゲームサウンドを支える縁の下の力持ちですね!
松下
まだまだ、これだけではありません。より良い品質や作業効率アップのために、現場からのニーズや社外からの情報 にも常にアンテナをはって「研究開発」にも力を入れています。時代と共に絵の表現がリアルになり、音の表現にもリアルさが求められるためです。例えば、音源とプレイヤーの間に壁があったり、扉や窓などの穴が開いていた場合、それらを越えて聞こえてくる音はどのようになるのか? どういった制御があればその音を表現できるのかという研究などがあります。
中山
それから、開発効率を上げるために、音を鳴らす部分の「動く速度」や「角度」で、ある程度の音を自動的に準備して、自動的に鳴らすデータを生成する仕組みなども、現場からの声で作りました。このような研究・開発の情報を得るために、セミナーや学会を受講すると共に、登壇・発表も積極的に行っています。発表を聞いてくださった方と直接情報交換できたり、ご質問やご意見が参考になる場合も多いですね。
タンタン
カプコンの外からも刺激を受けながら、最新技術を研究…これが「研究開発」なんですね!
松下
そうですね。このような先進的なものの実現に向けて、これからもっと力を入れていきたいと考えていて、力を合わせて対応しています。

ゲームのこんな部分を作っているんです!

タンタン
せっかくなので、サウンドプログラマーの人たちが実際にどんなことをしているのか知りたいですね。と、いうことで、こちらの3人に実際のゲームでサウンドプログラマーが担当した事例を紹介してもらいます!
 ▲左から 南(「デビルメイクライ5」サウンドプログラマー)、 木下(「バイオハザード RE:2」サウンドプログラマー)、 五十嵐(「モンスターハンター:ワールド」サウンドプログラマー)

デビルメイクライ5でのBGMとGUIの連動

デビルメイクライ5には「スタイリッシュランク」という、シリーズおなじみのシステムがあります。このスタイリッシュランクは戦闘中、スタイリッシュにプレイ出来ているほど上がっていくのですが…このスタイリッシュランクが上がるのに連動して盛り上がり音(ライザー・ビルドアップ音)を鳴らし、さらにランクが上がるとサビに移行したいという要望がありました。


▲デビルメイクライ5の戦闘BGMは、「スタイリッシュランク」が上がるとBGMも盛り上がる
動画の右側でD~SSSに上がっているのがスタイリッシュランクで、本作ではS以上のランクでBGMをサビに切り替える制御をサウンドプログラマーが担当しました。 さらに、このBGMはGUIにも連動していて、よく見るとBGMに合わせてスタイリッシュランクの周りの波紋のようなエフェクトが動いているんです。この制御を行うにあたって、どのようにしてBGMの情報を活かすのか考える必要があり、いくつかの方法を試しました。波形のマーカー情報、小節や拍の情報などをUIと連動させようとパラメータを制御してみたものの思ったようなUIの動きにはならず最終的に、周波数帯域を利用することによりUIの動きを実現しました。BGMの音量を低周波数帯域、中周波数帯域、高周波数帯域の大きく3帯域で感知し、動きをBGMと連動させているんです。
 ▲BGMの周波数帯域によって、GUIの動き方を制御している
タンタン
音を鳴らすだけでなく、音に絵を合わせるという演出までサウンドプログラマーの力で実現しているんですね!

接近で変化するホラーならではのサウンド

木下
バイオハザード RE:2ではホラー演出やイベントが発生する地点がいくつかあります。演出の地点間で不安を与えたり、想像をさせたり静寂を感じさせるサウンドデザインを行うために、発生地点に向かうまでのサウンドデザインを行う必要がありました。ホラー演出地点はプレイヤー位置から直線距離では近いものの、プレイヤーは演出地点から離れるように移動することもあるため、演出地点からプレイヤーの単純な距離ではうまくいきません。  ▲プレイヤーがイベントに近づく=直線距離で近づくとは限らない
木下
そこで、部屋の情報を用いて折れ線の距離を計算します。バイオハザード RE:2では全エリアにおいて部屋の情報を持っていて、プレイヤーがどの部屋にいるか常時取得可能になっています。また、部屋同士が繋がっている場所も情報として取得でき、そこをチェックポイントとして折れ線での道のりの長さを計算します。
 ▲直線距離ではなく、設定された移動ルートの距離でサウンドの変化を行った
木下
この道のりに応じた演出をすることで、動画のようにホラー演出地点に向かうにつれてBGMを盛り上げることができました。
▲イベントが発生する廊下の先のドアに経路的に近づくにつれ、アンビエントの音量が大きくなっていく

モンスターハンター:ワールドでの環境音制御

五十嵐
モンスターハンター:ワールドでは広大なフィールドがシームレスに繋がっており、プレイヤーは自由に探索をすることができます。今までのモンスターハンターシリーズではエリアごとにロード画面を挟むため、明確に環境音を切り替えるきっかけがありましたが、本作では異なるエリア間の環境音をどのように表現するかが課題となりました。 モンスターハンター:ワールドでは、プレイヤーの周囲4方向(北東、北西、南東、南西)にプレイヤーの動きに追従する形で環境音を鳴らしています。
 ▲青い丸が4方向の環境音。それぞれ鳴っている音が、境界との距離と位置関係によって異なる
五十嵐
その環境音の鳴らし方で一番こだわったのは、エリア間をいかにシームレスに表現するか、というところです。エリアの境界から一定距離以内を「環境音が徐々に遷移するエリア」として定義し(上図の黄色のエリア)、このエリアでは、2つのエリアの環境音を境界との距離に合わせた音量でMixして鳴らすような制御を実装しました。


▲エリア別に環境音をMixする制御によって自然な環境音が鳴っている
五十嵐
このような制御を実装することによって、例えば洞窟の中から森に出るようなシーンで、洞窟の出口に近づくと徐々にその方向から森の音がじわじわと聞こえきて、洞窟を出たら完全に森の音に包まれる、というリアリティ溢れる表現が可能となりました。
タンタン
なるほど… 環境音って、自然に鳴っていると当然だと思ってしまいがちですが、サウンドプログラマーの人がこういった制御を作ることで初めて自然に音を鳴らすことが出来るんですね! …それにしても、どの事例もとっても複雑そうですね。ひとつの事例の中にも色々なアイデアが必要そうです。
中山
そうなんです。ですが私たちはサウンドチームに所属しているので、ゲームサウンドをサウンドメンバーと一丸となってアイデアを出し合うことが出来るんです。事例にもあったように、グラフィックの人やその他の職種の担当者とも幅広くやりとりしていますよ。
タンタン
サウンドプログラマーって、本当にゲームサウンドを鳴らすための、たくさんの仕組みに関わっているんですね! 

さいごに、サウンドプログラマーを目指す人へ

タンタン
さいごに、ここまで読んでくださった人の中にはきっと!!!「サウンドプログラマーになりたい!」「興味がある!」と思っている方がいると思います。そんな方に向けて、メッセージをお願いします!
中山
私はもともと、人々に感動を与える仕事がしたいという気持ちと音に携わりたいという気持ちがありました。加えて大学ではプログラミングや音響を学んでいたので、それらをすべて叶えられるサウンドプログラマーという職業を知り、なりたいと思ったんです。サウンドプログラマーは、サウンドでたくさんの人を感動させられる仕事なんです!
松下
僕は大学でデジタル信号処理や立体音響を学んでいました。また、ゲームエンジンにも触れていたことでRE ENGINEも抵抗なく扱うことができました。音響の専門的な知識があったり、ゲームエンジンに興味があればきっとサウンドプログラマーとして活躍できます!
木下
全世界で数十万から数百万人の方に遊ばれるゲームの、サウンドの根幹部分に携わったり、ゲーム業界の最新鋭の技術を扱ってそれをゲームに活かせるのはとってもやりがいのある仕事です!
一同
みなさん!  私たちと一緒に、ゲームサウンドを作りませんか!?

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