INTERVIEW

2012年6月25日

ドラゴンズドグマ
発売記念サウンドスタッフインタビュー! Vol.2

『カプコンが贈る珠玉のオープンワールドアクションゲーム
ドラゴンズドグマのサウンド制作秘話を大公開!
サウンド制作現場にDJサンドウが潜入し、メインコンポーザーに突撃レポート!
DJサンドウ
D&D!もみじ饅頭~!本作で担当された業務内容を教えてください!

BGMの方向性がオーケストラサウンドに決まるまでに実は紆余曲折がありました

DJサンドウ
D&D!もみじ饅頭~!本作で担当された業務内容を教えてください!
サウンドスタッフ
はい。本作ではメインコンポーザーとして、楽曲の世界観構築、外部の音楽制作会社への発注やディレクション、音楽の各収録の立ち会いといった、音楽に関わる全ての部分において監修を担当しました。
DJサンドウ
この規模のタイトルで社内の制作メンバーが1人というのも最近では珍しいと思いますが、何か本タイトルで工夫された事はありますか?
サウンドスタッフ
そうですね。社内の音楽制作メンバーは私1人ですが、他に外部の作曲家さんが3人いまして、その方々には純粋に良い曲を作って頂く。その中で私は作曲と合わせてゲームへの実装なども行うといった、役割分担をすごく意識しながら進めていきました。
DJサンドウ
なるほどう。で本作のサウンドトラックはオーケストラサウンドの要素に加えて、ロックの要素も取り入れられている様に感じました。このようなジャンルになった経緯等お教え頂けますでしょうか?
サウンドスタッフ
実はですね、最初に方向性でとても揉めたんですよ(笑) 当初、プロデューサーからは世界観を少しミスマッチなものを敢えて使う事で斬新なイメージを作りたいという意向があったんですね。ジャンルとしてはジャズだったりとか・・・
DJサンドウ
オープンフィールドでジャズ!?
サウンドスタッフ
そうなんです。イメージとしてはそういった斬新なもの、埋もれないものをといったイメージがありました。で、ディレクターからは80’sのロック、有名な所で言うとKISSやQueenとか、ああいったもので骨太なアクションを強調したいというような話もありました。 一方で私達サウンドは、純粋なオーケストラ、プラス合唱団を使ったクワイアというようなオーソドックスではあるけど、この世界観に合うのでは?といった三者三様な意見がありまして、それをどうまとめていきましょう?というのが最初の仕事でしたね。
DJサンドウ
でも最終的にオーケストラになってるという事は・・・?
サウンドスタッフ
そうですね(笑)でもジャズも作ったし、ハードロックも作ったし、それらがゲームで鳴っていた時期もあったので、こういった試行錯誤した結果、最終的にそれらがミックスした形に仕上げる事が出来上がったと思います。
DJサンドウ
ジャンルが決まるまでも紆余曲折があったという事ですね。
サウンドスタッフ
こういった話って、ブランニューのタイトルだからこそ、なのかなと思います。シリーズの色も今回の方向性で決まってくるので、重要なファクターです。

ブルガリアでのレコーディングは非常にエキサイティングでした

DJサンドウ
なるほどう。では次に本作ではオーケストラ、コーラスのレコーディングをブルガリア、Aubrey氏のボーカルレコーディングをロサンゼルス…等、世界各所でレコーディングを行ったとの事ですが、楽団や収録場所等を決定した経緯やそれぞれで良かった点、苦労した点等お教え頂けますでしょうか?
サウンドスタッフ
はい。本作はオープンフィールドとなっていますが、これを楽曲で捉えればワールドワイドという認識でオーケストラを選定しました。どういう事かというと、ハリウッドで収録すればハリウッドの音、ヨーロッパで収録すればヨーロッパの音、といったオーケストラの演奏表現の特性や収録スタジオの音質が存在するんですね。で、色々検討した結果、このゲームの世界観はブルガリアが合うと思ったんです。今回は世界観や楽曲の志向から「Sofia Film Orchestra」にて130人近くの規模にてオーケストラ・クワイヤで収録を行いました。
DJサンドウ
“なんという感性!!毎日ヨーグルト食べてるだけありますね(笑) で、実際ブルガリアに出張して録音には立ち会われたんですか?”
サウンドスタッフ
はい。ブルガリアといえばヨーグルトというイメージですよね(笑) コーディネータの方に事前に色々ブルガリアの情報を頂いて勉強しましたよ。実際現地に入ってみると、とても親日な国でした。街の石碑なども日本語でも書いていたり。今回の収録スタジオは、日本のスタジオに比べても体育館のように大きく、アンビエントも一緒に収録出来て、これはオープンフィールドや壮大な世界観を構築する為の手法になっていると思います。すごく特徴的な音になったと思います。また、収録の後はオーケストラのメンバーに「演奏してて楽しかったよ」「いい曲ですね」などと声をかけてもらえました。私自身もとても貴重な体験でしたし、今回ブルガリアで収録を行なって本当に良かったなぁと思います。
サウンドスタッフ
あと苦労した点で言えば、収録日程はかなりタイトでしたね。出国から帰国まで6日間というスケジュールで、収録作業は中3日程度。今回は15曲収録を行ったんですが、良いモノを作ろうというメンバーの熱気も強く、毎日朝から日付が変わるくらいまでスタジオにいましたね。(苦笑)あと、事前準備や関係者とのコミュニケーションも大変でしたね。ブルガリア語は馴染みが無いですから。そうそう、ブルガリア人は現地語で会話をしているとき、YES=首を横に振って、NO=首を縦に振る、というジェスチャーがあるんです。一瞬戸惑いますよね(笑)まぁ、言葉が通じなくても音楽という公用語としてコミュニケーションが取れたと思います!!
DJサンドウ
音楽って素晴らしいっ!!
DJサンドウ
本作でそんな素晴らしい音楽を奏でている作曲家として、先程お聞きした3名の外部作曲家がクレジットされておりますが、彼らとコラボレーションする事になった経緯や、コラボレーションして良かった点等お教え頂けますでしょうか?
サウンドスタッフ
では、まず外部作曲家さんのご紹介を踏まえて・・・。 ティーズ近藤レイさんはカプコンでは「戦国BASARA」シリーズや「大神」でも楽曲を書かれている素晴らしい作曲家さんです。Inon Zur(イノン・ズール)は多くのキャリアを持つLA生まれのイスラエル人作曲家。彼は日本人では持ち合わせない独特の作曲手法で、いい意味で本作の世界観を掘り下げてくれたと思います。CHAMY.伊師さんは当初世界観構築で右往左往しながらジャズだロックだと言ってる頃合いの収録で関わって頂いており、既に世界観をお伝えしていた事から本編にも関わって頂きました。本当に本作での世界観構築の中で、統一感を出しつつも、みんなの個性が出せていると思います。
DJサンドウ
非常にいい仕事をしてますね。オープンだぜ?って事ですか?
サウンドスタッフ
ええ、これらの外部作曲家さん達も非常に素晴らしい仕事をしてくれたと思っています。

オープンワールドならではのエモーショナルなサウンド
サントラもよろしくお願いします!

DJサンドウ
CAP’STONEをご覧の皆様だけにこっそり教える制作秘話、等ございましたらお教え頂けますでしょうか?
サウンドスタッフ
私が以前「モンスターハンターポータブル 3rd」を担当していた事もあり、本作でも民族楽器を多く取り入れております。それらの民族的な要素がどういった場所でどのように使われているのか?地方によって特徴を変えて入れてみたので、そういった部分もプレイしながら楽しんでもらえたらと思います。
DJサンドウ
ほほう。特に変わった楽器などはありますか?
サウンドスタッフ
そうですね。特に「歌モノ」、「声」をたくさん入れてますね。街で女の子が唄っていたり、民族楽器が鳴っていたりと、オープンワールドを広く表現する為に、楽器では表現しきれない部分は声で表現していたりもします。って「楽器」ちゃうんかい!!ってなっちゃいますが、声も素晴らしい楽器という事で(笑)
DJサンドウ
“オープンワイルドだぜぇって事ですね。 ドドスコー!?どんどん楽しみになってきました!”
DJサンドウ
では、本作サウンドトラックでのおススメ曲をお教えください。
サウンドスタッフ
『Eternal Return(エターナルリターン)』という「ドラゴンズドグマ」のメインテーマです。先程お伝えしたLAで収録したオーブリーさんのボーカルが入っており、世界観を構築する上で重要な曲となってます。本作で一番最初に書いた曲でもあります。この一曲で「ドラゴンズドグマ」の世界観を表現したいと思い、時間をかけて作曲しました。この曲から他の曲も派生していったんですよ。また行き着く所も「エターナルリターン」というわけです!なので、サントラの中で一番聴いて欲しい曲ですね。
DJサンドウ
それは必聴ですね!このページをご覧のみなさまに、ちょっとここで聴いていただきましょう!
DJサンドウ
すごい~!壮大な世界とドラゴンが脳裏をよぎりましたよ!一体曲数はどのくらいはいっているのですか!?サントラは2枚組、86曲入りです!e-capcomへのリンクはこちらから!
DJサンドウ
宣伝ありがとうございます! こちら、iTunes Storeでも配信されているということで、今聴きたい!という時にすぐ、ダウンロードも出来ちゃいますね~!では、最後に本作をプレイして頂いているユーザーの皆様へ向けて一言お願い致します。
サウンドスタッフ
皆々様、ご購入頂き、誠にありがとうございます! 先程も申し上げましたが、オーケストラ・クワイア収録はブルガリア、BGMミックスはLAのスタジオで5.1chで行なっております!しっかりとオープンフィールドを味わって頂く為にも是非サラウンド環境でプレイして頂きたいですね!また一つの音楽作品としても、胸を張って出せる作品になったと思います。本当に色々な作曲家に参加して頂いた事によって、いい意味で「クセのある」作品に仕上がったと思っております。 音楽でも、より「ドラゴンズドグマ」の世界を味わってもらえたらと思います。
DJサンドウ
史上最強ってわけですね!ゲーム的な見せ場とかは何かありますか?
サウンドスタッフ
そうですね。オープンワールドならではのユーザーに対してよりエモーショナルに「アダプテッドミュージック」を表現する事で、昼や夜の違いや、戦闘の状況によって曲が変化していくようにしています。ボス曲においては、条件をボスごとに仕込んであるので、その条件を満たすと、プレイヤーにとって優勢状態を一気に煽るような演出も入れております。なので、BGMのこういった演出は頑張ってみました。
DJサンドウ
イケイケなって感じですね!他は何かありますか?
サウンドスタッフ
イケイケな感じで(笑)他には、ワールドワイド・オープンフィールドという世界で、リアルを表現する為にも、やはり環境音をしっかり聴かせてあげたい!という思いから、極力無駄な音楽は入れず、しっかりとバトルが盛り上がるように緩急の付け、よりインパクトが出るという演出が出来ていると思いますので、まずは一周してみてもらえれば、この世界にどっぷりハマれると思います!
DJサンドウ
さて、次回はラスト!サウンドデザイナーに突撃しちゃうぞう(象)!