2012年6月15日
ドラゴンズドグマ
発売記念サウンドスタッフインタビュー! Vol.1
- 『カプコンが贈る珠玉のオープンワールドアクションゲーム
ドラゴンズドグマのサウンド制作秘話を大公開! - サウンド制作現場にDJサンドウが潜入しサウンドディレクターに突撃レポート!
マイルドで耳障りの良いサウンドデザイン!
- DJサウンドウ
- D&Dもみじ饅頭~!先ずは!サウンドディレクターに質問するお~!本作で担当された業務内容を教えてください!
- サウンドスタッフ
- サウンドディレクターとしてコンセプトの設定に始まり、それを元に全体的なディレクションを行いました。後はメンバーの進捗&労務管理、外注管理などを通してプロジェクトを最終的にゴールに導きました! 実は今回は音制作をほとんど行なっていないんですよ。サウンドディレクターと一口にいっても色々な仕事の進め方があります。
- DJサンドウ
- なるほど!山の頂上は一つでも、登山道は無数にあると!いうことなりね!(コロ助) ではコンセプトに関してお話を聞かせてください~!
- サウンドスタッフ
- ビジュアルがホントにリアル志向というか、いわゆる「フォトリアル」な質感だったので、ゲームの世界に実際にプレイヤーが入り込んだようなドキドキ感を演出したいというディレクターの意向がありました。そこでリアルってなんだろう!?と考えた結果、サウンド的には実際のリアルな世界を表現するにあたり、音色はもちろんのこととして、音の距離感や空気感を大事にしました。まさに、ゲームの世界の中にいる臨場感を感じてもらえるのではないでしょうか。 DDはアクションゲームなんですが、いわゆる欧米で流行のロールプレイングという要素も入っているので、プレイ時間が長くなることが予想されます。そこでカプコンお得意の、アクションゲームで多用する「ドンシャリ感」が際立った音を詰め込んでしまうと、耳が疲れるだろうということで、マイルドで耳障りの良いサウンドデザインを心掛ける、というのもコンセプトの一つでしたね。優しい音とでもいいましょうか。
- DJサンドウ
- 長く遊んでくれるということを想定して、いつもよりもマイルドかつソフトな音作りをコンセプトにしたのですね!つまり!優しさからくる!優しい音!DDサウンドの半分は優しさで出来ています!と! φ(・ェ・o)~メモメモ!
- DJサンドウ
- サウンド面での演出やシステム等で特にこだわった部分を教えてください!
- サウンドスタッフ
- コンセプトである距離感と空気感を表現する演出ですね。サウンドプログラマーと話し合いを重ねてDD専用で特別なシステムを組みました。簡単に説明すると、近くでは高音域が鮮明で「すぐそこで鳴っている!」と感じられる生々しい音、そして離れれば離れるほど、ボリュームが下がるのはもちろんなのですが、高音域が落ちていって音が丸くぼやけるという。まさにリアルな世界の音の距離感!そして空気感!が演出出来たと思います。音が鳴っているところからの距離と周波数帯域の関係性に関してはかなりリサーチしましたよ!
- DJサンドウ
- 素晴らしい!SE(効果音)というと派手な音色に目がいきがちですが、細かい鳴らし方の部分にもカプコンサウンドとして命を掛けたということでやんすね!(博士キャラ)
- DJサンドウ
- 本作の音響制作を行うにあたりまして、今回はなんと!映画の音響制作を行っているハリウッドの制作会社を数社起用したとの事ですが、起用に至った経緯や良かった点、苦労した点等、聞かせてください!話してください!
- サウンドスタッフ
- コンセプトである距離感や空気感、そしてフォトリアルな絵に合わせるということで、生音を忠実にハイレベルな音で録れるところを探していたら自然とハリウッドに行き着きましたね。具体的にはSN比が高い、クリアな音でフォーリーが録れるスタジオです。収録した音にコンピューターでエフェクト等の色々な処理を加えてデザインするのではなく、まさに!収録した音をそのまま使用出来きるような環境のスタジオを使いたかったんです。
「空気感・距離感」を大切に「そこにいるような」処理表現!
- DJサンドウ
- 例えば何の音が一番ユーザーの皆様にとって「収録した音」ということがわかり伝わりやすいでしょうか~?か~?(カラス山)
- サウンドスタッフ
- 先ずはモンスターのボイスです。今までの経験では、モンスターのボイスを制作する場合、複数の音を加工して混ぜて鳴らしておりました。つまり分かりやすく言うとデフォルメです。もちろん、それがしっくりとくるゲームもあるのですが、今回のDDのフォトリアルなビジュアルに対して、今まで通りの色々な音が混ざったボイスを付けてみたのですが、合わなかったんですよ。そこで、やっぱり実際に敵の口から発せられているような「1音」を再現しなくては!と思ったんですね。つまり、収録した時点の録り音がすごく大事になってくるんです。
- DJサンドウ
- なるほど!では怪獣を捕まえて録音したのですか!? 私、カネゴンとか好きですよ!いえ(笑)、虎とかライオン等の動物ですね。
- DJサンドウ
- 鐘の音も収録したそうですが、お話を聞かせてください!
- サウンドスタッフ
- 鐘はDDの舞台である中世ヨーロッパの人々にとって、重要な要素になっていたそうなんです。時間を知らせる為であったり、危険を知らせる為、集会などに人を集めるために鐘を鳴らしていたんですね。つまり生活に鐘の音が根付いていたんです。そこでDDでも鐘が重要になってくると考えまして、サウンドから企画にも提案したのですが・・・実際ゲームには乗らなかったですね(笑)
- DJサンドウ
- え、マジ金時(マジ+宇治金時)ですか!? 使われていないんですか!?
- サウンドスタッフ
- いえ、全く使用していない訳ではなくて、教会の鐘が鳴る音には使用しています。鐘の音に関してはまた後ほどお話します!
- DJサンドウ
- 本作には主要キャラクターから街の人……まで大勢のキャラクターが登場しますが、全キャラクターフルボイスというのには驚きました……!!本作キャラクター達のボイス収録を海外で行われたとの事ですが、こだわった点や苦労した点等、お教え頂けますでしょうか?
- サウンドスタッフ
- はい!では箇条書きでいきますよ!
・ボイスアクターが82名
・ボイスディレクター3人
・スタジオ2つ
・収録期間は15週間、23週間の編集期間
・ワード数は数万! - DJサンドウ
- “いや~! 規模がマサ(正岡子規さん)に「餃子一日何万個」の世界ですね! ボイスのピッチ変化に関しても面白いことをやっていますよね?”
- サウンドスタッフ
- ピッチシフターを掛けて、音程を上下させてプレイヤーの声をカスタマイズが出来るようにしております。
- DJサンドウ
- アバター制作がウリのゲームでもありますものね!?
- サウンドスタッフ
- ポーンのビジュアルの組み合わせは数万パターンあるので、さすがに全パターンのビジュアルに対して別の声を用意することは出来ません。そこで収録した1人分のボイスからピッチシフト等でバリエーションを12種類は表現でるようにしました。声の高い人から低い人まで表現できるようになっております。
- DJサンドウ
- ホント楽しいです!
- サウンドスタッフ
- 後はボイスの質感ですね。収録の段階からマイキングを調整して、収録のスタッフに加え、編集スタッフも収録に入ってもらって、収録したてのボイスをすぐにゲームに組み込んで質感を確認出来るシステムを作って収録に臨みました。もちろんコンセプトである「空気感・距離感」を大切に、「そこにいるような」処理表現加工も実装しております。ホントにボイスに関してはかなりの手間とお金が掛かっていますよ!
- DJサンドウ
- 明らかにマイクの目の前で喋っている質感ではなく、ホントにそこで喋っている自然な感じの音で収録したのですね!やったぜ!
鐘の音はハリウッド、ワーナーブラザーズ社の映画のセットを使用して収録!
- DJサンドウ
- 本作はカプコン初のオープンワールド作品という事で、サウンド制作に関しても、大勢のスタッフが関わられたと思います。チーム運営面で心がけた点や苦労した点等、お教え頂けますでしょうか?
- サウンドスタッフ
- 開発の初期段階からとにかく物量が多いので、物量ベースで管理すると制作が破綻すると思われました。ですので、サウンドの作業を担当毎にスタッフを分けて、それぞれに任せました。
- DJサンドウ
- 分業制ですね!
- サウンドスタッフ
- スタッフの力量&実力があるからこそ出来る作り方ですが、 それぞれの裁量で、任せられたことに優先度を付けて頑張ってくださいね!というところが運営面で一番心掛けたところでしたね。 メンバーが仲良く、意思疎通、コミュニケーションも存分に取れました! 実は物量の割にはサウンドスタッフは少人数で、ボイスとSEを併せて4名、BGM1名、そしてサウンドディレクターの私の計6名でした。
- DJサンドウ
- 優秀なスタッフが素晴らしい雰囲気で仕事をすると、「なんということでしょう!(ビフォーアフター)」なゲームサウンドが出来上がる訳ですね!ブラボー!(味っ子)
- DJサンドウ
- CAP’STONEをご覧の皆様だけにこっそり教える制作秘話、等ございましたらお教え頂けますでしょうか?
- サウンドスタッフ
- では、先ほど少しお話した「鐘の音」の話題を。 鐘の音はハリウッドにあります、ワーナーブラザーズ社の映画のセットを使用して収録しました。映画のセットと言っても日本のそれとは規模が全く違いまして、実際の街を1つ作るくらいの規模なんです!つまり実際に街で鐘が鳴っている音を反響込みで収録することが出来るんです。まさにコンセプトであるリアルな「空気感」ですよね! 収録スタジオに鐘を持ち込んで収録した後、街で鳴っているようにコンピューターで加工するのとは全然違う響きでしたね!
- DJサンドウ
- すごい規模!やってることがアンビリーバボー!
- サウンドスタッフ
- そうそう!収録に使用した鐘自体が、実際に何百年前に使用されていた本物の鐘なんです! ワーナーには小道具を集めている4階建てのビルがあってですね、そこを2時間くらい掛けて探しました(笑) 鐘の重さがが100Kgくらいありまして、スタッフ総出でなんとか運びましたよ。
- サウンドスタッフ
- 鐘を鳴らしたら、もう回りの空気が尋常じゃないくらい揺れるので、土台が動き、倒れそうになったところを私たちが押えて、もう大変でしたがなんとかスタッフに叩いてもらいました。現地のサウンドデザイナーの方がぎっくり腰で倒れたというエピソードもあります(笑)
- DJサンドウ
- 鐘の音には十分注目してほしいところですね!
ボス戦はゲームならではのインタラクティブなミックス!
- サウンドスタッフ
- あとは、やっぱりモンスターのボイスですね。キメラ、ドラゴンなどの元に鳴る声を動物達に協力してもらって収録したのですが、その動物はハリウッド映画に出てくる虎などを調教している軍団(グラディエーターなどに出てくる動物)を使いました。 こちらも。しつこいようですが「空気感」を大事にする為、 山奥の開かれた場所で収録いたしました。 どうしても、動物園で録ると余計な反響が発生してしまい、今回のコンセプトにそぐわない音になってしまうんですよね。
- DJサンドウ
- 距離感と空気感が小屋になってしまう?
- サウンドスタッフ
- もちろん、収録は危険なのでカプコンスタッフは参加出来ませんでした。 現地スタッフの方が、動物達に肉を見せて「やっぱりあげない~」という感じで怒らせて収録してましたね。最後はちゃんと美味しく食べてましたよ(笑)
- DJサンドウ
- ワイルドですね!ワイルドだろ~!”89ゲゲゲッ!
- サウンドスタッフ
- 基本、屋内スタジオのフォーリーステージで収録するとやっぱり部屋感が出るので、 足音や武器の音も屋外で収録しています。 集まってくれたスタッフの方々がホントに優秀でしたね! フォーリーアーティストは映画「ロビンフッド」を担当していた方も起用しています。後面白かったのは、例えば口で蛇のしっぽの動きの音を出せる人など、モノマネ芸人顔負けの色々な技を持った人が集結していましたよ!
- DJサンドウ
- 大草原・大平原で鳴るものは、スタジオ内でなく屋外で収録したのですね!
- サウンドスタッフ
- ええ!ただ全部外で収録出来るわけではなく、例えばスタッフが水周りの音を収録しようと池でトライしましたが、虫が多く、虫の音しか録れませんでした(笑)蚊に刺されまくりで。
- DJサンドウ
- 虫よけ無しで行ったんですね!ワイルドだろ~!”89ゲゲゲッです!
- DJサンドウ
- 本作でサウンド的な見せ場(おススメのシーン、SE等)をお教え頂けますでしょうか?
- サウンドスタッフ
- ボス戦ですね! ハリウッドで活躍しているエンジニアにも協力してもらい、空間の配置を綿密に行いました。多くの音が鳴るんですが、一個一個の音が立つようなゲームならではのインタラクティブなミックスを行なっています。そこが一番聞いてほしいですね。もちろんゲーム的にも一番の見せ場です。 あっ、どこで鐘の音が鳴るのかはお楽しみに(笑)
- DJサンドウ
- 最後に本作をプレイして頂いているユーザーの皆様へ向けて一言お願い致します。
- サウンドスタッフ
- あっ、またコンポーザーからお話もあると思いますが 本編BGMのオーケストラ収録はブルガリアで行いました! そして現地マネージャーはドイツ人、更にロサンゼルスでミックスを行い、もちろん制作は日本人。ホントに国際色豊かな制作スタイルのゲームとなっております。 オープンワールドでワールドワイド! 全てを感じてください、自信を持ってオススメします! 是非サラウンド環境でプレイしてください! もちろんヘッドフォンでも楽しんでもらえると思います!
- DJサンドウ
- では、本日はどうもありがとうさぎでした!次回はコンポーザーにインタビューするぉ!