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逆転裁判6のテーマ

  • 2016年5月26日(木)

みなさん、アッピラッケー!(※クライン王国の挨拶です)

江城プロデューサーからご紹介にあずかりました、
『逆転裁判6』ディレクターの山﨑 剛です。

今回は、『逆転裁判6』のテーマについてお話できればと思います。
『6』のプロジェクトが始まって、最初に行ったのが、『6』のテーマの設定でした。
そこから、すべてが始まります。

『逆転裁判5』のテーマは、《法廷崩壊》でした。
このテーマにそって、法の暗黒時代を描き、法廷を爆弾で破壊し、囚人なのに検事というトンデモないキャラクターを登場させました。
それもこれも、すべてはインパクトのあるテーマをかかげることで、7年ぶりに発売する逆転裁判シリーズ最新作に目をとめてもらうためでした。

そして、その続編にあたる『逆転裁判6』です。
常に“先行作を越えなければならない”というハードルが課されるのが、シリーズものの宿命。
それは、テーマについても同じです。
つまり、『6』のテーマは、《法廷崩壊》のインパクトを越えるものでなければなりません。

私は、発声練習をするオドロキくんのように大声で叫んだものです。
山﨑「どうしろっていうんだよおおおおおお!」
しょっぱなから大きな壁にぶつかった私は、とにかく必死でアイデアを考えました。

法廷誕生! 法廷進化! 法廷炎上!
古代法廷! 深海法廷! 宇宙法廷!

ダメだ!ダメすぎる!欲しいのは、もっとキャッチ―で、今まで見たことのないインパクトのあるキーフレーズです。
「ううううう‥‥」と唸り声をあげながら頭を抱える私の席に、江城プロデューサーがニヤニヤと笑いながらやってきました。

江城「おう。まだテーマでないんか、ワレ?ちょっと見せてみい。‥‥‥‥‥ケッ!しょーもないのう」
山﨑「すみません‥‥。がんばって考えてはいるんですけど」
江城「やれやれ。やまちゃんの才能もココまでやなあ。ま、最初から大したことないと思うてたわ。もうやめるか?代わりはいくらでもいるんやで?(ニヤケ顔)」
山﨑「(く、く、く、くそがあああああああああああッ!)」

その絶対的権力を笠に着て、チームメンバーを虐げるプロデューサー。
なんという横暴!まさに、暴君!チームメンバーを人とも思わぬその所業、許すまじ!

もうガマンできない!○○○してやる!《革命》だ!!

ん?か‥‥く‥‥め‥‥い?

こうして、『逆転裁判6』のテーマ《法廷革命》を思いついたのです。
‥‥というのはもちろんウソですが、プロデューサーとディレクターの関係は、だいたいこんな感じです。

実際には、必死で行った地味なアイデア出し作業と、数多くのボツネタの果てにふっと思いつきました。
なにごとも地道な努力が大事ですね。


さて。
《法廷革命》というキーワードを思いついた私は、すぐにプロデューサーにプレゼンしました。江城は、「それや!」とすぐにOKをくれました。そのことに機嫌を良くした私は、意気揚々と、このテーマをチームメンバーにも説明することにしたのです。

私は、カプコン社内のミーティングルームに、チームメンバー全員を招集しました。
そして、高らかに宣言したのです。

山﨑「今回のテーマは、《法廷革命》で行くッ!」
メンバー「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥は?」

ぽかーんと口を開けたメンバーたち。頭の上には、大きく“?”の文字が浮かんでいます。しばらくの間、息苦しい沈黙が、ミーティングルームを支配しました。そして、その沈黙に耐えかねたかのように、チームメンバーの口から大量の疑問があふれ出したのです。

「裁判と革命って何の関係もないような‥‥」
「日本で革命って言われてもピンとこないんですけど」
「いったい何を革命するんですか?」

すべての疑問への、私からの答えは、たったひとつです。
山﨑「まだ分からん。これから考える!」

「この無能がッ! キサマの顔面を、革命してやろうかッ!」という叫び声とともに、メンバー全員が私に殴りかかりました。よってたかってマウントポジションでボコボコにされた私の顔は、腫れ上がってまるで別人のように‥‥‥‥というのはもちろんウソですが、ディレクターとチームメンバーの関係は、だいたいこんな感じです。

実際には、私もただインパクトだけでテキトーに《法廷革命》を選んだわけではありませんでした。一応の、勝算があったのです。
そのことを、チームメンバーにちゃんと説明することで、合意をもらうことができました。

《革命》とは、「虐げられている弱きものが、強きものを打ち倒すこと」です。
それは、つまり《逆転する》ということではありませんか!

つまり、《革命》とは、《大きな逆転》のこと。
逆転シリーズの根底に流れるテーマにもつながります。

逆転裁判のゲーム体験や、ストーリーの面白さと親和性があるはずなのです!
いやー、よく考えられてますね。


しかし、テーマを設定した段階では、具体的な内容が全く決まっていなかったのは事実です。

ここから、“テーマを具体化する戦い”が始まりました。
法廷を革命するとは、一体どういうことなのでしょう?我ながら、ショージキ意味がわかりません!

この頃の状況がよくわかる資料として、『逆転裁判6』の企画書に使われていたイラストを紹介しましょう。
デザイナーにお願いして、《法廷革命》という正体不明のテーマをビジュアル化してもらったものです。

「オレたちの革命は、これからだ!」

どうですか? この、そこはかとなく漂う“打ち切り漫画の最終回”感。
まだ何も具体性がなかったことがよくわかりますね。デザイナーの強い迷いが伝わってきます。

しかし、この後、チームメンバーと一緒に試行錯誤することで、《法廷革命》というテーマが、クライン王国という舞台と結びつき、成歩堂と王泥喜のW主人公が立ち向かう大きな物語へと成長していきました。すべては、チームメンバーの協力のおかげです。

そして、最終的に『逆転裁判6』は、私が最初に得たインスピレーションを遥かに越えたすばらしい作品になりました。ここまで、誇張や、冗談や、ウソを交えつつお伝えしてきましたが、これだけは本当です。

《法廷革命》というテーマが、一体どのような形で結実したのか?
ユーザーの皆さんにも、ゲーム本編で確認していただけたら嬉しいです。


ということで、今回はこのへんで失礼いたします。

次回は、『6』チームで一番大きなオトコこと、企画の醍醐が登場するとのこと。
どんな制作秘話が飛び出すのでしょうか?どうか、お楽しみに!

それでは、またお会いしましょう!

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