開発部ブログ

シナリオのお仕事

更新日時:2013年08月12日

みなさん、初めまして! 逆転裁判5のシナリオを担当しております、企画の福田です。
本日はシナリオが出来るまでを紹介したいと思います。

ここで、ちょっと「待った!」という方もいるかと思います。

「逆転裁判5のシナリオ担当は山﨑さんじゃないのか!」と。

これ、ちょっと紛らわしいのですが、逆転裁判5では複数人でシナリオを執筆してるんです。山﨑さんはシナリオディレクター。いわばシナリオ班のボス。山﨑さん自身もシナリオを執筆しますが、シナリオ全体の監修、統括を行い、みんなで執筆していくというわけです。


逆転裁判のシナリオができるまで

企画:福田

さて、話を戻しますと、シナリオが出来る第一段階には、「アイデア出し」の作業があります。
この段階では、事件のシチュエーションや舞台設定などについて、様々なアイデアを出しまくります。

大事なのはインパクトとキャッチーさ
我々シナリオ班は、脳細胞をフル回転させて、考えて考えて考えまくります。常識にとらわれず、自由奔放に発想を広げていくのです。
この時は無責任に色々なアイデアを出せるため、とっても楽しい!

が‥‥しかし、シナリオ班それぞれのリビドー(表現欲求)が自由奔放に爆発しすぎるミーティングでは、ときとしてトンデモなアイデアが出たりします。

例えばボツになった第2話のアイデアで言うと‥‥

・山村で起きた殺人事件。被害者は不老不死の吸血鬼。犯人は天狗?

山奥にある天狗村。
そこからちょっと離れた場所には、西洋風の古城が建っており、不老不死の吸血鬼が住んでいるとウワサされていました。ある日、その吸血鬼が密室で殺され、現場付近で天狗が目撃される!
天狗VS吸血鬼!

そんなシナリオ案でした。
おっと、まだツッコミは待ってください。本当にトンデモなのはここからなのです。

さて、このシナリオ案には、オドロキくん達が現場で「赤い棒状の物体」を見つけるというエピソードがありました。

イメージ

まあ、どう見ても天狗の折れた鼻なのですが、天狗伝説を知らぬ彼らは、それを見て
とんでもない勘違いをしてしまうのです。

イメージ

ココネ「先輩。机の下に何か刺さってます!」
オドロキ「なんだこりゃ。赤い棒みたいだけど‥‥」
ココネ「そういえば、この村では唐辛子が特産でしたね。」
オドロキ「あ! わかった! これ、唐辛子だよ!」

「かじれば分かるだろ!」とか「質感でわかるだろうが!」とか数々のツッコミがあるかと思いますが、そこはご愛敬。
オドロキくん達は村の唐辛子屋で聞き込みを開始します

そして、法廷で検事に追いつめられたオドロキくんは、発想の逆転によってようやく、それが天狗の折れた鼻だと看破するのですが‥‥
‥‥‥‥カオスですね。

当然のことながら、このアイデアはボツ。アイデア出しでは、発想に制約をもうけない方が良いのですが、ちょっとあらぬ方向に行ってしまいました。

しかし、こういったカオスなアイデアを出し合うことで、シナリオは徐々にブラッシュアップされていくのです。

さて、こういったアイデア出しの次はプロットの作成に入ります。プロットというのは、
シナリオ全体の流れを決める設計図のようなものです。

ここでシナリオの“ホンシツ”が決まると言っても過言ではありません。

どんな流れで事件が起こり、どこで新たな事実が判明するのか、どこで逆転が起こるのか、そしてどうやって真相に近づいていくのか。

全てがこのプロットで決まります!

映画やアニメなどのプロットと異なるのは、逆転裁判はあくまでゲームであるということです。
プレイヤーが「遊ぶ」ことで、シナリオが展開していくという事が大前提です。

例えば、オドロキくんが不利な状況を逆転するにしても、それは尋問や選択問題といった
“プレイヤーが働きかけること”がキッカケになる必要があります。そうでないと、ユーザーが置いてけぼりになってしまいまいますからね。

そして、プロットが決まった後は、脚本に落とし込んでいきます。
皆さんが目にするゲーム中でのセリフはこの段階でようやく出来てきます。

さて、駆け足で紹介したため、割愛した箇所もありますが、ザッと説明しますと、シナリオはこんな具合で作られていくわけです。
まだプレイされていない方は、今回のカオスすぎるアイデアを見て、内容が心配になったかもしれませんが、そこはご安心を!

リビドーと煩悩にあふれるシナリオ班が暴走せぬよう、
山﨑さんがしっかりと監修していますから!

では、この辺で、同じくシナリオ班の布施さんにバトンタッチしたいと思います!


キャラクターに魂を!

企画:布施

シナリオを担当した企画の布施です。
アートディレクターの布施さんと名字が同じで紛らわしく、呼ばれるたびに2人して振り向きます。
布施つながりで僕にも絵ゴコロが宿らないかと思い描いてみたのが、似顔絵のかぶっている仮面のココネです。
持てるすべての画力を出し切りました。努力だけでも認めてください。

‥‥で、何でしたっけ。
そうそう。ここでは、キャラクターに個性を吹き込む方法についてお話をしたいと思います。

福田くんが第2話を引き合いに説明してくれたようなので、
こちらは第3話に登場する「厚井知潮」という人物を例に挙げてみます。

厚井知潮とその友達の静矢零は、第3話の舞台「テミス法律学園」の模擬裁判で戦う高校生。
この2人、「熱い文化系」と「クールな体育会系」という、
あえて一般のイメージを逆転させた人物にしようということになりました。

問題はここから。
逆転シリーズには、コメディとしての面白味も重要です。
そこに登場するキャラクターは、話していて楽しく、問い詰めて面白い、強烈な個性を持っていなければならないのです!

◆チシオ
オレは、検事クラスの3年生、厚井 知潮ですッ!
美術部に所属していますッ!

美術部の熱血少年に、自己紹介をさせてみました。
どこまでも、普通ですね。

初対面で軽い会話をしただけで「コイツはこんなヤツだ!」とシッカリつかめる。
そういう強烈な個性を作るにはどうすればいいのか?

そもそも、熱血少年とは何だ。
そう。彼の体内では、熱い血潮が濁流となって血管を駆けめぐっている。
みなぎるチカラが怒声となり、外へあふれ出るのを抑えきれないはずだ!

◆チシオ
うおおッ! オレの名は、厚井 知潮ッ!
検事クラスの3年生だあッ!

というわけで、叫んでみました。少しは熱くなりましたよね。でもまだまだ涼しい。
必要なのは、大噴火を起こすマグマの熱。大陸プレートを鳴動させヒマラヤを天空へと押し上げる、
そういう劇的な熱量なのです!

などと悩んでいたところへ‥‥救世主が登場。

アートディレクターの布施さんがデザインした、チシオくんのイラストが上がってきました。

イメージ

****************
布施「な、なんじゃこりゃ! 全身にギプスが!」
布施「コレを常にギシギシ言わせ、立ってるだけでダラダラ汗をかくんです」
布施「こ、これは熱い! 熱いですよ布施さん!」
布施「どうですか。これで性格づけもバッチリでしょう布施さん!」
山﨑「どっちがどっちの布施なのかわからんわ!」
****************

絵の持つ説得力、インパクトというのはとても大きいです。
キャラ作りの上でも、イメージを何倍にも掻き立ててくれます。
かくして、チシオくんは燃え上がりました。

◆チシオ
うおおおあああッ! オレのッ! 名はぁぁああッ!
うぅぅああ厚井ッ! 知しぅぅおおああああああッ!

叫ぶことで熱さを表現すると決めたら、それを過剰なまでにつきつめる。
ディフォルメというやつです。

‥‥とは言え、こうした「突き抜け」は得てして行きすぎるもの。
彼の法廷での証言が、大変なことになった時期もありました。

―――――※証言開始※―――――

◆証言1
うッ‥‥うぉぉぉおおああああッ!
どおりゃぁぁぁあああああああッ!

◆証言2
はぁああッ! ふんッ! ふんッ!
でぇぇぇぃりゃぁぁぁああああッ!

◆証言3
ふぐッ‥‥‥‥ゲホッ! ゲホッ!
ずぉぉぉぉぉああああああああッ!

◆証言4
はあ‥‥はあ‥‥ぜえ‥‥ぜえッ!
ぜえぇぇえいぃぃやぁぁあああッ!

―――――※証言終了※―――――

目も当てられません。
ここで証言3をゆさぶると、ココネちゃんが「ムセててちゃんと叫べてないじゃないですか!」と
ツッコんだりします。もはや、事件を解決する気ゼロですね。

こういう時、シナリオディレクターの山﨑さんは優しく肩を叩き、満面の笑顔で言ってくれます。
「‥‥書き直せ」
はい。これじゃゲームにならないですもんね。

こうやって、さまざまな試行錯誤を経て誕生したブッ飛びキャラクターたちが、逆転裁判5にはドッサリ登場します。
シナリオ班やキャラクターデザイナー、モデルにモーション、サウンド、それらを活かす演出。
多くのスタッフがチカラを合わせて、それら登場人物の1人1人に命を吹き込んでいるのです。

実際にプレイして、その全員と出会い、一緒に泣いたり笑ったりしていただけたら幸いです。

次回は、同じくシナリオを担当した企画の中村さんから、
盛りだくさんのDLCのシナリオ特別篇「逆転の帰還」についての解説をしてもらう予定です。
乞うご期待!

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