ミステリークイズ

2016/06/30

[成歩堂龍一のミステリークイズ] 第40回:「賢い少年」

‥‥少年は聡明だった。
十分に、自分が置かれている状況を認識していた。

“自分が誘拐されたこと”
“犯人と自分の親との身代金の交渉が、うまく行っていないこと”
“犯人がイラついていること”

しょうがない、と思う。
両親は、自分よりもお金のほうが大事なのだ。
でも、この「犯人の人」はいい人だ、と彼は思う。
何かにつけて気をつかってくれるし、寒さに震えていたら毛布を買ってきてくれた。
「犯人の人」が出かけているときは手足を拘束されるけど、そうでないときは拘束具をハズしてくれる。
最近では退屈しのぎにと、紙とクレヨンまで買ってきてくれた。

「ねえ、おじさん。僕ら、ずっとここにいるの?」
「いや、まあ、ずっとここにいるわけにもいかないよ。ちゃんと両親のもとに返してやるから安心しな。とはいえ、このアジトは一回変えなきゃいけないかもなあ」
「次はどこに行くの? 決まってるの?」
「ああ、決まってるよ。次は‥‥」

彼らはこんな話をできるまでになっていた。
だから、少年はある考えに賭けることにした。
成功するかどうかも分からない賭け。
それでも少年は賭けることにした。
それは、自分が助かりたいという気持ちからでもあったが、この「犯人の人」に、これ以上罪を重ねて欲しくなかったからでもある。
決意した少年は、クレヨンを握り、白い紙をじっと見下ろした‥‥。

******

久々に取れた休日、弁護士の成歩堂 龍一(なるほどう りゅういち)は、事務所のお手伝いをしてくれている綾里春美(あやさとはるみ)と共に、動物公園まで遊びに来ていた。

ハルミ「なるほどくん! あそこでウサギさんにさわれるみたいですよ! 行ってみましょう!」
ナルホド「本当だ。ウサギがたくさんいるね。2、30匹はいそうだ」
ハルミ「『わ』ですよ、なるほどくん」
ナルホド「え?」
ハルミ「ウサギは『匹』じゃなくて『羽(わ)』と数えるんです」
ナルホド「‥‥あ、そうかそうか忘れてたよ。ハハハ‥‥(知らなかった‥‥)」
ハルミ「わあ、カワイイ! ‥‥あれ? あそこにいるのは刑事さんじゃないですか?」
ナルホド「え? あ、本当だ。イトノコ刑事!」

イトノコ「‥‥ん? あ、アンタ、こんなとこで何してるんスか?」
ナルホド「なにって‥‥休みだから遊びにきただけですけど‥‥。イトノコ刑事も遊びに?」
イトノコ「一緒にしてほしくないッス。自分は今、職務中なんス」
ナルホド「職務中?」

糸鋸刑事(いとのこぎり けいじ)によると、二週間前、誘拐事件が発生したという。
警察の指導の下、誘拐された少年の両親は身代金の交渉を可能な限り引き延ばしたのだが、警察がアジトを特定し、踏み込んだときには時すでに遅く、そこはもぬけのからだったという。
一足早く、誘拐犯はどこかに移動したのだ。

ハルミ「それで、なんで刑事さんがお仕事で動物園にいるんですか?」
イトノコ「それはッスね」



ナルホド「これは‥‥?」
イトノコ「誘拐された少年が残していったものと思われるッス」
ハルミ「お上手な絵ですね」
イトノコ「もしかしたらこの絵が、少年の残したヒントなのかもと思って、動物園に来たんス。この町で象が見られるのはここだけッスから」
ハルミ「このビルとテレビはどういう意味なんでしょう?」
イトノコ「そんなこと自分に訊かれても、困るッス」
ナルホド「(それじゃダメだろ!)」
イトノコ「朝からずっと探してるッスが、見つからないッス」
ナルホド「‥‥次の潜伏先がこの町、っていうのは間違いないんですか?」
イトノコ「それは間違いないッス。犯人がアジトを出て行ったのは現場の状況から見て、退去したのが今朝早く。でも、昨夜からこの町を出られないように、外につながる道路には検問をしいてるッスからね」
ナルホド「‥‥もし、この絵が本当に少年の残したヒントなのだとしたら、一つだけ思い当たる場所がありますよ」
イトノコ「ほんとッスか!?」

犯人が移動した先はどこ?

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