逆転通信presents 『逆転裁判6』開発座談会

2016/07/28

第3回『逆転裁判6』開発座談会

『逆転裁判6』の開発チーム6人による、座談会第3回をお届けします。
今回もこの方々に語っていただきました。

プロデューサー:江城元秀(えしろ もとひで)
ディレクター:山﨑 剛(やまざき たけし)
アートディレクター兼coディレクター:布施拓郎(ふせ たくろう)
企画メイン:醍醐頼希(だいご よりき)
メインプログラマー:野田尚孝(のだ なおたか)
サウンドディレクター:堀山俊彦(ほりやま としひこ)

それでは、逆転通信presents 『逆転裁判6』開発座談会Part3をお楽しみください。

――今回は開発チームの皆さんのことを中心に伺っていきます。まずは“今だから言えること”を伺っていきたいと思います。

江城:ハプニング的なことで言うと、僕は入院しましたね。布施も病気しましたけど、僕は同じ病気に2回かかりまして。インフルエンザも加えると入院1回、自宅療養2回とそれぞれ1週間くらい休んでしまいました。。。

山﨑:それで大事なプレゼンのときに……。

江城:そう、欠席することに。ゲームをプレゼンテーションする大事なときにインフルエンザになりまして。急きょ代役をお願いすることになり、迷惑をかけてしまいました。。。

山﨑:でも、すごいハプニングというのはそんなになかったですよね。

醍醐:あ、そういえば山﨑さん、僕、最近気づいたんですけど……。『逆転5』でココネが机を2回叩くモーションを用意していたのに、使われていませんでしたよ。 というのも、『6』で「このモーション初めて見た」っていうユーザーさんのつぶやきを見かけたんです。「またまたぁ、『5』で使ってるよ」って思って確認してみたら、本当に『5』では使っていなかったという……。

山﨑:ええっ!? すいませんでしたっ! 本当に僕からはみんなに「ごめんなさい、そしてありがとう!」と言いたいですね。

――ありがとうというのは……?

山﨑:僕はシナリオを書くとき、ついついたくさんの要素を盛り込んでしまうのですが、スタッフの皆がそのまま作ってくれて、本当にありがたいなと思っています。第2話のバニーガールのミミちゃんなんかはコストを節約できるはずが、無茶を言った結果、倍増しちゃったり。ユガミ検事なんかも設定の都合で『5』から色々と作り直す必要がでてきたり……。それでもみんな「やりますよ」って言ってくれて。

醍醐:盛り込みと言えば、江城さんはいつも無茶振りをしてくるんですよね。でも、それが“1”だとしたら、僕らは“10”にして返しているんです。例えば、江城さんから「カンガエルートを“ちょっと”グレードアップしてほしい」とリクエストされたんですが、開発としては「ちょっとだけだと、ユーザーさんは変わったことに気づかないんじゃないか」と思っちゃうわけです。そこで「画面奥へ進むように思いっきり変えたいです。その代わりコストはこれだけ増えます、どうですか?」って言うと、江城さんは「しゃあないなぁ」って。こういったケースは、大体OK出してくれるんですよね。まあ、それがお互い首を絞め合うことにもなるんですけどね(笑)。

江城:ダメなものはダメって言ったり、文句も言うけどね。10倍返しがそのまま予算に跳ね返るので(笑)。

醍醐:それでも、開発がやりたいことをやらせてくれるので、江城さんにはすごくありがたいなって思っています。

江城:だって内容を聞いて、「ちょっとそれ、オモロイかも」って思っちゃったらね? だから、僕の課題としては、もっとシビアにならないといけないと思っています。(苦笑)

醍醐:江城さんのおかげで、僕は今回、やり残したことってないんですよ。『5』では、ちょこちょこあったんですけど、『6』は全部やり尽したなって。

山﨑:確かに。そういう意味でも、スタッフ全員に「ありがとう」って言いたいですね。

堀山:あ、僕からは醍醐さんにありがとうですね。彼がいつも場を温めてくれるんですよ。

江城:温めるって?

山﨑:体が大きいから、体温が高いってことじゃないですか(笑)。

堀山:いや、発熱じゃなくて、軽口で盛り上げてくれるんですよ。

布施:軽口って(笑)。

醍醐:褒められてるのかな? これ。

江城:醍醐はヤマシノPくらい口が悪いときがあるもんね(笑)。

――ではちょっと話題を逆転させまして、この機会に褒めたい人、褒めたいところがあればホメちぎっていただければと思います。

醍醐:布施は絵が上手いね!

布施:仕事だからね!

山﨑:でも、今回布施が描いたメインアートは素晴らしいなって思っていますよ。

――左右対称に描かれたイラストですね。

山﨑:『逆転6』って、クライン王国と日本のふたつの世界観があって、2人の主人公で。それにいろんなキャラクターも出てきてと、そんな盛り盛りの要素を1枚にキレイにまとめた構図が、素晴らしいなって。あれは布施だからこそできたものだと思います。

布施:ありがとうございます。ふたつの舞台を1枚の絵で表現するアイデアを出すのは大変でした。登場キャラクターそれぞれの位置に関係性や意図を持たせて、それを宗教画風の構図にまとめました。

山﨑:キャラクターのゲーム中の立ち位置も考えたうえでの構成になっているんですよね。

――まだご覧になっていない読者の方は、コチラをどうぞ!

イメージ

このイラストが収録される公式ビジュアルブックでもじっくり見ていただきたいですね。

布施:僕からは、野田さん含めプログラマー陣を褒めたいです。シナリオやキャラクターなどクリエイティブの部分で、いいものを作ろうとするとどうしても時間がかかってしまうんですが、後ろに倒れるスケジュールのなか、プログラマーたちが安定感を持って支えてくれました。

江城:そう、プログラマーに一番シワ寄せが行くんだよね。

山﨑:最後に作り上げるのはプログラマーですからね。

布施:開発後半になってくると、スケジュールがとんでもないことになるものなんですけど、いつもギリギリのところで受け止めてくれました。

野田:今回はね、シナリオが変わる度に一番若手のプログラマーががんばってくれていました。

山﨑:入社1年目でしたっけ? シナリオに分岐が増えたりすると、そこをプログラマーに変更してもらわないといけないんですよね。『逆転』シリーズは、シナリオをギリギリのタイミングまで調整するんです。で、彼女がその都度ブツブツ言いながら直してくれていて(笑)。

布施:そんなプログラムチームをまとめてくれた野田さんにも、感謝ですね。

江城:布施も今回、coディレクターとしてよくやってくれました。この規模感のアドベンチャーゲームを、このクオリティーラインで、期間も計画から大きくはズレずに作れたというのは、リーダーがしっかりしていないとできないことなんですよ。その下に作業をしてくれる人がいっぱいいますから。リーダーの連携と正確なジャッジがないと、この規模感だと絶対にブレるんですよ。それをちゃんと作り上げたのは大したものだと思います。彼みたいにデザインをやっている人間で、ゲームの中身も分かる人間ってあまりいないんじゃないかな。布施は、コミュニケーションも取れてチームも回せるし。普通にディレクターとして1本作れるくらいの力はあると思います。そのうち「俺が全部やる」って言ってゲームが作られる日が来るかもしれませんね(笑)。

醍醐:そんなことになったら、布施さんが忙しすぎて死んじゃう(笑)。

山﨑:醍醐もね、今回、霊媒ビジョンやカガク捜査などのシステムを一手に引き受けてくれていたんです。うちの企画チームはシナリオ系の人が多いもので、醍醐がシステムを担当してくれたおかげで他のメンバーがシナリオに集中できたというのもありますね。『逆転』シリーズのシステムは、それぞれが個別というか、ひとつをずっと使うというわけじゃなくて、その都度カスタムされているんですよ。霊媒ビジョンは発想もシナリオも工夫できたと思うんですが、それをどうシステムに取り入れるかがすごく難しかったんです。そこをビジュアル面はデザイナーと相談しながら、プログラマーにこう実装してくださいとお願いしてと、醍醐が全部引き受けてくれてすごく助かりました。触り心地など細かいところまで気を遣ってくれましたし。実は、ああ見えて結構繊細な男なんですよ。

醍醐:あははは。システムは、野田さんやプログラマーさんたちが頑張ってくれたんですよ。特に、“みぬく”とか、ココロスコープとかは毎回別仕様になっていたので。「こんな風に“みぬく”をやりたいんですけど」っていうと、大体舌打ちひとつでやってくれました(笑)。

野田:僕はアカネちゃんが出てくるとちょっと憂鬱な気分になりましたね(笑)。

山﨑:カガク捜査があるもんね。その場面や状況を文字で書くなら一瞬ですけど、ちゃんとゲームにしようとすると本当に大変ですよね。

堀山:しかし、野田さんはいつも客観的で、いい意味ですごいクールですよね。

醍醐:堀山さんもでしょ!

江城:うん、一番クールだと思うなあ。

堀山:いやあ、僕も含めてなんですけど、みんな多少は主観が入ってヒートするときがあるんですよ。でも、野田さんはそれがないんです。

野田:ええー、熱くなってますよ?

堀山:それをおくびにも出さず、しかも相手に不安感を与えずに対応してくれるんです。

野田:裏で「山﨑めー」って言っているかもしれないですよ?(笑) そもそも、堀山さんだってクールだと思うんですけど……。何を言われても淡々としていて。

山﨑:そうそう、まさにイヤな顔ひとつせずに。ポットディーノの件もそうですし、元々は予定されていなかった曲なのに「やりましょうか」と、何十曲も作ってくれたりとか。タイトルロゴのところでも曲を流そうっていうのも、開発終盤に決まったんですけど、それもやっていただいて。クライン王国と日本でそれぞれBGMを作ってもらったので、曲数もめちゃめちゃ多いのに。それを作曲家の岩垂徳行(いわだれ のりゆき)さんと手分けして対応してくださって。岩垂さんとも『5』からのお付き合いなので、彼らはもう“ツーカー”なんですよね。

江城:堀山はサウンドディレクターでもあるので、岩垂さんが作ってくださった曲に対する最終的なジャッジも担当していました。そこのやり取りもしつつ、自分でも曲を作るという。

山﨑:SEもそうですよね。オールラウンドでやってくださって、ありがとうございます。

野田:ホントに、堀山さんのこと「何でこの人は何も言わずに引き受けるんだろう」って思っていましたよ。

堀山:仕事ですから。

一同:おおー、カッコイイ!

――ところで、開発チーム専用のWebページに、スタッフの方が愉快な“ラクガキ”をアップすることがあるそうですが……?

江城:ラクガキをやりだしたのは『5』からなんですよ。チーム内の交流のためにページを立ち上げたんですけど、みんなが好きなように描いたイラストがいっぱい上がりまして。でも社外には見せられないのが7割でしたね。でもその7割がめちゃめちゃおもしろくて……。『6』の立ち上げのときも、あれを続けてほしいと僕からオーダーしたんです。ただし、表に出せるものにしてねって言ったつもりなんですけど、また出せないイラストが7割で。

布施:今思えばなんですけど、人は強制されるとラクガキを描かなくなるっていうことが分かりました。(笑)『5』のときは、みんな息抜きに好き勝手に描いていたので、僕は「せっかく描くんなら、社外にも公開できる絵を描いてよ」っていつも言ってたんです。むしろ、そうやって抑圧されたほうが描くみたいですね(笑)。

江城:そうなんや……。そういえば背景チームにドット絵職人がいるんですけど、ドット絵への愛がそれはそれは深くて。そのラクガキで『逆転裁判』のワンシーンをドットで再現したんですよ。ファミコンのゲームみたいに横から見た感じで、テキストウィンドウも入って。それがまたね、ネタバレになるようなことを書いているんですけど、おもしろかったですね。

布施:僕はドラクロワの『民衆を率いる自由の女神』の女神が、みぬきになっているのが面白かったな。

醍醐:最初、革命っていうテーマだと聞いたときに思いついたのが、女性が旗を持って先導しているあの絵画なんです。それにみぬきをコラージュしていて。

江城:コラージュは多かったなあ。でもみんな時事ネタとか使うから絶対見せられないんだよね。男性ファッション誌のキャッチコピーを上げたり……。あれはちょっと意図が分からなかったけど(笑)。誰が上げているのかも謎なんですよ……。

山﨑:あとは、うちのチームには水曜日は定時で帰るというルールがあるんですけど、そのことを描いたラクガキもありました。それをプログラマーが水曜日になるとページに出るようにしてくれたり。

江城:小学生が考える標語みたいなラクガキなんですけどね。「水曜日だ! 早く帰らないと」って、UFOが謎の光線をピーッて照らしているのを「逃げなきゃ」、みたいなのもあったな。あとはカルタみたいにしたりね。それから、ココネに尋問されて「水曜日は早く帰れって、あれほど言いましたよね?」って怒られるとか(笑)。

――それはぜひ見てみたいですね!

江城:それと、今回もバレンタインとホワイトデーのイラストも描いてくれました。ただ、ホワイトデーのは表に出せないような内容で……。あの絵を見た女子は暴れると思うんだよね。

――すごく気になります……。
が、何と今回、逆転通信のためにラクガキを厳選していただきましたので、ここでお披露目したいと思います。


イメージ

座談会第3回はここまで! いかがでしたでしょうか?
次回最終回では、開発チームの本音に迫ります。お楽しみに!

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