毎週月曜日更新! 死体で遊ぶなゲーマーたち

洋ゲー冒険家のマスク・ド・UHが、素晴らしきゾンビ映画とゲームの関係についてご案内!
そもそもゾンビとは何なのか?
ゾンビには種類があるのか?
ゾンビと呼べる範疇はどこまでか?
アタマを撃たないと死なないのは何故?
足が遅いゾンビと早いゾンビの違いとは?
その生態の解明から対処法までを古今東西で作られたゾンビ映画を元に徹底研究。
時にはゲストをお招きしてのゾンビ放談もありのB級カルト系バラエティWEBコラムです。

豪華ゲストを招いてのデッドライジング2対談企画も予定されています!

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第4回

| 2010年08月23日更新

ゾンビ映画史で知る生ける屍の変遷(PART3) ~ゾンビ、ハードコア化を果たす

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 ゾンビというジャンル映画の歴史と進化を考察すれば、『DEAD RISING 2』を遊ぶのが10倍、いや百倍楽しくなる。そんなゾンビ情報満載のコラム第3回目は、新世紀に突入してハードコア化したゾンビの、衝撃的すぎる登場までの流れについて触れてみたい。
 「ゾンビのハードコア化」......それはまさしく"走るゾンビ"の出現に他ならないだろう。銀幕に初めて猛スピードで走るゾンビが登場したのは、リメイク版の『ドーン・オブ・ザ・デッド』('04年)の印象が強いが、実際のところは『28日後...』('02年)が先発と考えてよいだろう。『28日後...』に登場するのは、厳密にはゾンビではなく疫病に感染して変異、凶暴化した人間たちであり、その動きの俊敏さや腕力はゾンビのソレを遥かに超えており、人間にとってより脅威的な存在となっていたのが最大の特徴だった。感染ウィルスという現代風の設定と、古来から伝わる吸血鬼伝説の要素をミックスしたゾンビの存在理由を、さらに先鋭化させた結果、走るゾンビは誕生したと言える。

 その「走るゾンビ」のイメージが広く認知され、言うなれば市民権を得たキッカケとなったのが、先述のリメイク版『ドーン・オブ・ザ・デッド』である。この連載にも何度となく登場したゾンビ映画の金字塔であるジョージ・A・ロメロ監督の『ゾンビ』の正統リメイク作品でありながら、その行動原理が大きく変化したゾンビの出現によって、映画本編の内容も大きく変化している。それは、本来ならば<死体>であり、<死後硬直>によってぎこちない歩行を余儀なくされているハズのゾンビが生身の人間より元気一杯で襲ってくるのだから、非常にタチが悪い。ゾンビは動きが緩慢だからこそ人間にも勝機があり、単体では緩慢な動きのためたやすく逃げることが可能だが、群れをなした集団になると恐るべき脅威に変化するという、そのバランスがゾンビ、ひいてはゾンビ映画全体の"お約束"だったハズである。


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 ただし、お約束は時折破られることもある。ジョージ・A・ロメロ版の『ゾンビ』には、ガソリンスタンドでの給油シーンでクローゼットの中から飛び出し、走ってくる子供のゾンビが登場するし、サム・ライミの『死霊のはらわた』('84年)に登場するゾンビは、死体らしい腐食感を残しつつも元気一杯で、そこら中を走ったりジャンプしたり踊ったりと身体能力抜群。
 永遠のポップスター、マイケル・ジャクソンの出世作『スリラー』のミュージックビデオには、ブレイクダンスを華麗に踊るゾンビが登場し、その仕草は当時の小学生を中心に一世を風靡したのも忘れてはならない。
 さらに重箱の隅をつついてみれば、ルチオ・フルチが急病のために監督を途中降板したゾンビ映画史の暗黒面にその名を刻む問題作『ナイトメア・シティ』('80年)には、走るどころか、全力疾走でスキップしながらマシンガンを乱射するという、過去にも例がないアッパーな最強ゾンビが登場するが、映画自体の出来も前代未聞のサイテー系ゾンビ映画だったのが功を奏して、走るゾンビの系譜としては末席に位置している。
 しかし、この『ナイトメア・シティ』をワザワザ例に出すまでもなく、走るゾンビは"お約束の崩壊"を安易に招き、映画の出来を最悪のものにしてしまうのは当然の結果だった。


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 それがなぜ『ドーン・オブ・ザ・デッド』で一気に解禁ムードになったのかといえば、やはり観客側にも一種の"飽き"があったのだと筆者は考察している。ロメロの制定したゾンビルールへの挑戦でもあったのかも知れない。実際、ロメロ監督のゾンビ映画は『死霊のえじき DAY OF THE DEAD』('85年/日本公開'86年)以降、死者であるはずのゾンビ側に、実は人間としての感情が残っており、故に物語の方向性も身勝手な人間よりゾンビのほうが、よっぽどピュアで人間らしい......というような主張に変化してきており、特に『ランド・オブ・ザ・デッド』('05年)や、最新作『サバイバル・オブ・ザ・デッド』('10年)においては、その主張が色濃く出ている。
 モダンゾンビの父がゾンビ側への感情移入を深化させる一方で、新世紀のゾンビ、いやゾンビの設定を引き継いだ作品群は、「ある日、家族が突然に話の全く通じない怪物に変身する」という恐怖を、よりハードコア化させることで<走る>という深化を選んだと考えられるのだ。
 ちなみに新世紀ゾンビ系列の映画作品で筆者のオススメは『ドゥームズ・デイ』('08年)。疫病のパンデミックによって分断されたスコットランドが舞台の近未来サバイバルアクションであり、ここに登場する敵が厳密にはゾンビではないが、カニバリズム描写や『マッドマックス2』を彷彿とさせるデストピア感に満ちており、もちろんスプラッター描写もテンコ盛りなので、機会があったら是非DVDを鑑賞してほしい。

 現在、ゾンビ映画はロメロの産み出した伝統"モダンゾンビ"の系譜を守る、いわば保守派のタイプと、"走るゾンビ"のようなニュータイプ派に勢力が二分されている。全体的には保守派がやや優勢といった案配だが、最近は進化のスピードが早いので油断していると、どんな新しいゾンビが登場するか検討もつかない。 『死霊のはらわた』のノリや『ブレインデッド』('92年)の物量と悲壮感を詰め込み、さらにナチスのゾンビという超が付くほどB級のネタを甦らせた『処刑山』('08年)や、ゾンビのハードコア化に対するフランスからの回答『ザ・ホード 死霊の大群』('08年)、ロードムービーにゾンビ要素を足した『ゾンビランド』('09年)など、ゾンビ映画の新作公開の勢いは、まだまだ衰えそうにもない。


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 さて次回はまたまたスペシャルゲストの登場!
テーマは<ZOMBIE VS. COMIC>ということで、『DEAD RISING』大好き!ゾンビも大好きな漫画家2人にご登場願いまして、またしてもこのWEBマガジンでしか読めない豪華対談が実現!
 そのゲストとは......『BLAME!』や『BIOMEGA』で有名な弐瓶勉先生と、『ゾンビ屋れい子』や『巨乳ドラゴン』、『血まみれスケバン・チェーンソー』で人気の三家本礼先生です! ゾンビLOVEに溢れるアーティストによる墨汁スプラッターなトークを刮目してお待ちください!

【マスク・ド・UH】

洋ゲー冒険家。
某海外デベロッパーの元社員にして、現在はフリーライターとなり各方面に洋ゲーに秘められた真の魅力を伝える日々を送る。
今回は素晴らしきゾンビゲームの金字塔『DEAD RISING 2』の世界を補完すべく、ゾンビ映画、ゲーム、そして周辺文化を考察するために墓場から甦った厄介者として参上した次第。

スローガンは"ZOMBIE OR DIE"だ!……どっちにしろ死んでるけどな!

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