INTERVIEW, TOPICS

2018年11月22日

ダイナミックミキシングルーム特集

「Dynamic Mixing Stage」に続き、インゲーム音響の制作と最終調整を行う

「Dynamic Mixing Room-[W]」「Dynamic Mixing Room-[B]」

という双子の部屋がカプコンサウンドに誕生しました。 「Dynamic Mixing Stage」と連携しゲームサウンドの制作から最終仕上げを行っていく、7.1.4chの3Dオーディオに対応した新しいサウンドルームを、紹介していきます。

「Dynamic Mixing Stage」と「Dynamic Mixing Room」

ゲームサウンド制作はプロセスが大事です。 カプコンでは社内全てのサウンド制作環境でリファレンスを統一した制作環境を構築しています。これは簡単に言うと“ゲーム中で鳴る音”と“音を作る環境で鳴る音”で同じ基準を設定することによって、音量や距離感等、スケールを意識したサウンドデザインを制作段階から行うことができ、より没入感の高いゲーム音響を構築できるという考えです。
岸 智也
カプコン
サウンドプロダクション 室長
ゲームサウンドは何人かのメンバーで作っていくので、リファレンスの統一というルールを決め、パーツ単位で音作りの段階から最終形をイメージした制作が重要となります。 実はこれまで、その重要であるべきパーツ単位の制作時に、満足に聴くことのできる環境がなかったのです。クリエイターたちが自席ブースで作る音をちゃんと聴き、最終調整までできる部屋が必要でした。
インタラクティブなインゲームのサウンド演出をしていく上では、ゲーム展開に合わせた適切なミキシングをしていくことが求められます。 このような「Dynamic Mixing」を行うための「Dynamic Mixing Stage」が、いわば結果を出す場所であり、 今回新設した「Dynamic Mixing Room」は、その過程でクリエイターにとって「最高のモニタリング環境」となり、 ゲームに実装する効果音や楽曲のひとつひとつをパーツ単位で確認することを可能にします。 「すべてはゲームオーディオのために。」というコンセプトは、自席ブースの制作に始まり、 「Dynamic Mixing Room」から「Dynamic Mixing Stage」へと続くワークフローに一貫しています。

最高のモニタリング環境

「最高のモニタリング環境」を実現するために私たちが求めたものは、

  • ・スタジオ並みの音響特性を持っていること
  • ・3Dオーディオに対応していること
  • ・クリエイティビティを高めるデザインであること
  • ・シンプル設計で利便性とスピード感を実現できること
  • ・パブリックスペースとして広く利用できること

この無理な要求に応えて頂いたのは、「Dynamic Mixing Stage」に引き続き、株式会社ソナROCK ON PRO(メディアインテグレーション)です。 世界屈指の音響技術と知識を持つソナと、革新的かつ最適化したシステム設計のできるROCK ON PROの手によって、私たちの求めていた部屋が完成しました。

壁と天井に組み込まれたスピーカー

要求の中で一番大切になってくるのは、スタジオ並みの音響特性を出すこと。

6畳ほどの部屋でスタジオと同等の音響特性を実現するために、ソナが出した回答とはどのようなものだったのでしょうか? 音響設計を行った株式会社ソナの中原雅考さんと土倉律子さんに聞いてみました。

設計者自らに詳細を説明して頂いており、様々な技術と知識がサウンドルームに詰め込まれていることが分かります。抜かりのなく全てのピースがかっちりとハマったサウンドルームの神髄をぜひ読み取ってください!

スタジオの音響設計

中原
スタジオにとって重要な音響設計は、スピーカから再生した音がリスニングポイントにおいて所望の周波数特性で得られるか否か、すなわち、周波数特性の設計だと考えています。しばしば、時間特性が重要か周波数特性が重要かという議論がなされることがありますが、その多くは周波数特性=周波数振幅特性といった前提での議論のようです。周波数特性は、振幅特性と位相特性の二つの要素から成り立っています。 その意味では、周波数特性は時間特性と完全に一対一の対応関係をなしており、周波数特性が同じで時間特性が異なるといった音などありません。同じ波形を時間領域で見て評価するか、周波数領域で見て評価するかの違いということになります。僕にとっては、周波数特性の方が時間特性よりも視覚的に評価しやすいので、周波数特性(振幅、位相)を音響設計の目標性能としています。今回、サウンドルームにおいてこの周波数特性を実現するために、二種類の音響設計が行われています。一つはスピーカの設計、もう一つは室内音響設計です。

音響設計コンセプト

中原
サウンドルームの音響コンセプトは、「全ての音を聴くことができる部屋」であると考えました。そのためには、全てのスピーカが、20Hz〜20kHzの広帯域再生能力を有するフルレンジスピーカである必要があります。実際には、30Hz〜20kHzを目標しましたが、このような広帯域再生は、ラージモニタでサウンドルームの11ch分の再生環境を構築することを意味しています。しかし、6畳程度の大きさのサウンドルームに、ラージモニタを11台もインストールすることは、現実的ではありません。しかし、カスタムスピーカであれば、実現可能性があります。

カスタムスピーカ:同軸ドライバー

中原
サウンドルームのためのカスタムスピーカの設計のポイントは、同軸型のドライバーを採用することにあります。同軸タイプのスピーカは、軸外においてクロスオーバ周波数でのキャンセリングが発生せず、ゆるやかに高域が減衰するだけの変化となるため、軸外特性の補正がEQで可能です。幸いなことに、サウンドルームは、大勢で音を評価する部屋では無くリスニングポイントが限定された部屋です。 そのため、同軸型スピーカであれば、全てのスピーカをリスニングポイントに向けて設置なくても、高域をEQ補正することでリスニングポイント周辺にて安定した特性を得ることができます。このことは、狭いサウンドルームの面積や天井高の有効利用に大変有利となります。さらにエンクロージャをギリギリまで薄く設計すれば、極限まで部屋の面積の有効活用を図ることができます。 そして、安定した低域特性を得るためにこのスピーカをバッフルマウントすることが望まれますが、そのことは、部屋の音響仕上げの一部をスピーカのエンクロージャで兼用することを意味し、音響性能だけでなくコスト的にも有利となります。カスタムスピーカから始まった音響設計は、最終的には、面積的・コスト的・工期的にもメリットのある特徴的なサウンドルームの設計に繋がってゆきました。

カスタムスピーカ:位相特性

中原
カスタムスピーカは、同軸+ウーファの3ウェイで30Hz〜20kHzをカバーするもので、FIRのクロスオーバフィルタを使用しトライアンプ駆動となっています。そのため、全帯域に渡り群遅延のない直線位相による周波数特性が得られています。また、これをサンプリング周波数96kHzのハイサンプリングで実行していますので、フィルタの立ち上がりや立ち下がりがシャープで、切れの良い時間特性が得られています。サブウーファに対してもメインスピーカと同じウーファユニットを使用し、それをFIRのLPFで帯域制限していますので、メインスピーカと再生上限周波数だけが異なるだけで、振幅も位相も全く同じ周波数特性のLFE再生が可能となっています。 これらの性能を実現するためには、DSPに物量を投じなくてはならなくなります。サウンドルームでは、miniDSP社の組込用ボードを採用し、12ch分のDSPとバランスアンプを組み込んだ特注のDSPボックスを製作することで、コストパフォーマンスの高いDSP処理を実現しています。 今回のシステムでは、FIRに関しては外部のアプリでフィルタを設計することになりますが、これに関しては「FIR Designer」という優秀なアプリで詳細なFIRフィルタの設計を行っています。また、各チャンネルのレベル、ディレイ、EQ(IIR)などは、miniDSPのコントロールアプリで利用可能となっており、それらをルームEQ用として利用しています。このように、ここでは、クロスオーバからルームEQまでの全ての処理をminiDSPで処理しています。

全て聴くことができる部屋

中原
11台のカスタムスピーカとサブウーファにより、サウンドルームでは、7.1.4chの全てのチャンネルを同じ周波数特性(振幅及び位相)で再生することができます。再生帯域も30Hz〜20kHzといった広帯域で、ほぼ人の聴野を満足しています。これにより、ハード音像のみならず、LFEを含めた全てのチャンネル間で生じるファンタム音像に対して聴野を満足する再生が可能となっています。これは、3D音場再現時代の再生システムとしてはとても重要な性能であると考えています。あとは、これをリスニングポイントで聴くことができるように、スピーカから再生された音がリスニングポイントに届くまでに影響する部屋の音響をコントロールすれば良いということになります。

室内音響設計

土倉
再生された音がリスニングポイントに届くまでに影響する室内音響の主な要因は、低域のモード、中高域の反射音などがあります。音響設計を進めるにあたり、まずはサウンドルームの形状からモニター特性に影響しそうなモードを検証します。今回は事前に周波数を予測して設計した低域吸音ボックスをカスタムスピーカーに組み込むことでモードによって生じるディップを軽減しています。中高域は再生音を支える適度な反射音が付加されるよう、天井にオリジナルのMLS拡散パネルを配し、部分的に吸音クロスの裏側にも細工をしています。ゲームをプレイする環境からかけ離れた音場にならないよう、サウンドルーム内の響きは平均吸音率α=0.3±0.1の範囲に制御し、かつ試聴に適した空間を目指しました。
11台のスピーカはDolby Atmosのインストレーションガイドに則して配置しています。サラウンドスピーカはDynamic Mixing Stageとの互換に配慮したレイアウトとしました。直方体の部屋に埋め込むためスピーカのモニタ半径は約1.1m〜1.9mとまちまちですが、距離差はminiDSP内のディレイで厳密に補正し、リスニングポイントにおいて位相干渉によるコムフィルタを生じないように調整されています。 また、サウンドルームでの作業の特性上、デスクトップのディスプレイと壁掛けディスプレイを交互に見比べる動作が多くなるため、ディスプレイの高低差を抑えた設計とし、視線の動きが最小限になるように留意しました。これによりL,Rチャンネルに比べCチャンネルが高くなりますが、仰角の差はスムーズな音像移動が可能な範囲に納まっています。天井のMLS拡散パネルは、室内に自然な響きをもたらす効果に加え、トップチャンネルの音の繋がりを良くする機能も備えており、違和感のないパンニングを可能にしています。
sona_logo

株式会社ソナ(SONA CORPOTATION)

音のために,人のために。 音響計算から現場施工まで,スタジオづくりに関する入口から出口までを自社でまかなう小さな工務店。 技術的好奇心あふれる若さがうり(社員の実年齢とは関係ありません)。 http://www.sona.co.jp

白と黒

クリエイティビティを高める部屋のデザインは非常に大切です。しかし、この部屋はパブリックユースなのでデザインの好みは千差万別。議論の末に出た「真っ白な部屋にPhilips HUEで色を自由に変えたい」という意見を元に、最終的に「白と黒」になりました。デザイン面で工夫したことを意匠デザインを手掛けた株式会社ソナの土倉律子さんに聞いてみました。
土倉
今回のプロジェクトは、内装設計よりもスピーカーのプロダクトデザインが先行していたので、実はぴったりくる空間のイメージが浮かんでいなかったんです。壁、天井には吸音クロスを貼った上で11台のスピーカーと2台のサブウーファーを埋め込み、床は木目調……素材感の違うものが散りばめられるため、ふつうに意匠をまとめようとすると要素が多くなり過ぎて野暮ったくなってしまいます。悶々としているときにカプコンサウンドチームの皆様から「真っ白な部屋にしたい」と伺って、はじめて空間のイメージが繋がりました。CGパースをレンダリングしながら、これはかっこいいぞ、とテンションが上がったのを覚えています。昨年竣工したDynamic Mixing Stageのときもそうでしたが、ソナからご提案したコンセプトに対して、デザインの鍵となるアイディアをカプコン様からいただいているかたちですね。
デザイナーとして「真っ白な部屋」には憧れがありますが、メンテナンスや耐久性を考えると無難な色に走りがちなので。勇気を持って「白にする」と決断できるカプコンサウンドチームの皆様のセンスに脱帽しました。カプコン様のようにお客様が具体的なイメージをお持ちだとデザインのプロセスに掛け合いが生まれて面白いですし、仕上がりも一味違ったものになるように思います。
私が実際に行なったのは空間のイメージと室内音響とカスタムスピーカーの折り合いをつけていく作業です。カプコンモデルのカスタムスピーカーは柱時計のような特徴的な形をしていますよね。上部はフルレンジスピーカー、下部は低域吸音とアンプボックスの機能を備え、家具として完結した無駄のない構造になっているのですが、音響的な目で見ると床から天井までの巨大な反射面になるわけです。しかも11台+2台分の面積で。この巨大な反射面が音響障害を起こさないよう、それぞれの機能を損なわず、かつ意匠がまとまるように調整するのが課題でした。
メインスピーカーは反射面を縦に分割するように素材を変えていて、ユニットより下は吸音、上は拡散として働くように設計しています。例えば上下とも吸音として働くパネルにした場合、黒いラインが縦に通って部屋が「シマシマ」な印象になってしまいますが、上部をキャビネットと同素材とすることで視点の重心を下げ、削り込んだ拡散体がメカニカルな雰囲気を演出しています。
仕上がりとして白い部屋の方がインパクトがあり未来的ですが、黒い部屋のさり気ない落ち着きも素敵です。ちなみに私は「黒派」です(笑)。これからたくさんの方に使っていただいて、感想をお聴きしたいですね。

ミニマムなシステム

このサウンドルームは基本的にゲーム開発機からの出力を聴く場なので黒部屋と白部屋の間の通路に、開発機を収めるラックを設置しています。 開発機からの出力はHDMIマトリクススイッチャーを経由し2つの部屋に映像と音声を送ります。 複数のプロジェクトが動く開発機がラックに並べられており、部屋の空き状況や気分次第で、スイッチングすることによって白部屋でも黒部屋でも作業が可能となります。 開発機の音声出力はHDMIでAVアンプに接続し、そこからRME UFX+を経由してスピーカーから音を鳴らします。 RMEのTotal Mixがモニターコントローラーの役割を果たし、ARC USBによってフィジカルな音量調整やミュートなどを行っています。 各自席ブースとはDiGiGridのネットワークが構築されており、「Dynamic Mixing Room」から自席ブースの制作マシーンをリモートコントロールでき、そのプレイバックを部屋のスピーカーから鳴らすことができます。 自席の制作環境を「Dynamic Mixing Room」で再現することになるので、サウンドリソースの作り込みが可能となります。

カプコンサウンドからの要求である「利便性とスピード感を実現する」ために、どのようなシステムを構築したか、ROCK ON PROの前田 洋介さんと森本憲志さんに聞いてみました。

森本
この部屋の構想を聞き、まずは何が必要なのか?それを浮かび上がらせる作業から行い、既存の機器で対応可能なのか?どのような現実の手段があるのか?そんなところから考えていきました
 
必要機材を検討していく中で、大規模なHDMIのマトリクススイッチャーが必要であるということがわかりました。操作画面を柔軟に配置できるということは作業の利便性向上において需要なポイントです。これは、クリエイター各自のこだわりの環境をできる限り再現するということにも繋がります。 まずは、この問題から取り掛かりました。これまでの経験からもHDMIは、1体1の接続であれば問題はまず生じないのですが、システムに組み込んだ際には「映らない」ということが様々な要因により起こります。このようなトラブルを回避するため、事前に検証機をメーカーからお借りして問題の生じない機種を選定するようにいたしました。
 
しかし予想していたように、「映る」「映らない」という切り分けの連続で…、これまでの経験をフルに活用してなんとか動作するシステムにたどりつきました。 音声デコーダーとしてAVアンプが用意されているのですが、HDMIの音声ビットストリーム (Dolby Digital等)をしっかりと通す必要があります。これがしっかりと通過するという技術的な要件もありました。
前田
他にもDiGiGridを用いて、自席ブースからの音声を視聴できる環境の構築や、それまでは都度、PCや周辺機器をMAルームに持ち運んでいた環境から、圧倒的に簡便にモニタリングできるシステムという構想、更にどの様にPCをコントロールするのか?クリエイター各自が持つ、自席の作業環境をどこまで共有スペースに再現できるのか?と、様々な課題が浮かびました。
 
各クリエイターのシステムの音声をこのサウンドルームまで引き込む部分に関しては、カプコン様に事前にDiGiGridの検証作業を行っていただき、安心感を持った導入ができました。 HDMIに関しては、非常に苦労をしたポイントです。民生の規格であるHDMIは、EDID/HDCPなど様々な追加情報を含む双方向通信。 これをどうするかがポイントでしたが弊社、大阪ブランチの森本が、現地でしっかりと検証を行い、また地の利もあり、頻繁にお伺いをして実際に使用するPCでのテストを重ねられたことは大きいと思います。 自席のPCのコントロールは、VNCによる画面共有が使えるということで、だいぶ肩の荷も降りました。当初は、この部分も含めた巨大なKVMシステムなどという話もあったものですから。
森本
当初の構想通りのPCの移動なしに、しっかりとした環境で音確認を行っていただけるシステムが完成したと思っています。 肝心の音質に関しては圧縮なしのDiGiGridでの接続と、SONAさんが仕上げたしっかりとした音響空間での視聴を手間なく行っていただけるものと考えています。まさに、スピード感のある、仕上げを実現しているものだと思います。
前田
システムとして収めさせていただいた機材は、まさにミニマム。初めてこの部屋に来た方は、これしか無いの?と思われるかもしれません。これは、まさにリモートスタジオを現実のものとして完成させたことの成果でもあります。コンピューティングもそうですが、クラウド化が進行すればするほど、手元にある端末のスペックは必要なくなる。PaaSと同じような発想で構想されたスタジオだからこそのあり方だと感じています。
rockon_logo

株式会社メディア・インテグレーション

メディア・インテグレーションは、 今、そして未来を音で奏でるカンパニーです。 私達のミッションは、音、そして映像の創作的な市場に対してイノベーションのある提案と開発を行うこと。 創造者やそれを生み出す集合体へ高い満足度を提供することをモットーとしています。 私たちと、共に歩んでいただけることを心から感謝いたします。 http://pro.miroc.co.jp
ROCK ON PROが構築したミニマムなシステムの概要はこの通りです。自席の開発環境を即座に立ち上げることができ、また音源制作環境もDiGiGirdによって再現が可能です。
堀 諭史
カプコン
サウンドプロダクション コンポーザー
DiGiGridの導入によって、制作途中のプロジェクトであっても即座にどの部屋でもプレイバックが可能となったので、プロジェクトデータのオーディオ化、ステム化といった作業をせずに、全体のミックスやサラウンド感を確かめることができ、最終的なアウトプットをよりイメージしやすくなりました。 「Dynamic Mixing Room」が新設されたことによりスタジオクオリティでいつでも誰でも簡単に出音確認ができる威力は絶大です。最適なルームチューニングが施された環境でのプレイバックはミックス以前の、「どの音を仕込むか」といった段階から確度の高い作業進行が行えることを意味します。

これからのゲームサウンド制作

モノラルからステレオ、ステレオからサラウンド、サラウンドから高さ方向を含む3Dオーディオになってきました。 現在は上方を含む半円球の音を聴けるような環境が整ってきました。本来の意味での上方と下方を含む360度音響、4π空間での音響の実現も近くなって来ました。 ゲーム空間内の上下左右前後、全ての音が適切な位置で鳴るようになると、どのような音世界が待っているのでしょうか? ゲームサウンドはまだまだ進化しています。水平方向のサラウンドは当たり前になり、3Dオーディオは新たな挑戦となっています。 カプコンサウンドは、一聴の価値あるサウンドデザインを届け、新たなゲーム体験を提供していきます。
岸 智也
ゲームサウンドが大事なのは、ラウドネスや3Dオーディオがどうとかではなく、ゲームを如何に演出できているかだと思います。 そのための一手段としての音量差や上からの音ではないかと。効果音や音楽、ダイアログを一番いい状態で聴いて頂くためには、いい状態で制作することが大事にです。制作スタイルやワークフローから生まれるサウンドやクオリティもあると考えています。この部屋も作っておしまいではなく、今後もアップデートを検討しています。
 
スタジオに入るという概念ではなく、作業場所を少し変えてみるような感じで、より気軽にスピード感を持って使える部屋にしていきたいと思っています。場所に囚われない仕事というのはキーワードかもしれません。スピードが上がることで試行錯誤ができるようになって、クオリティが上がり、より面白いゲームを遊んで頂けることに繋がっていくと思います。