2012年1月11日
モンスターハンター3(トライ)G
サウンドスタッフインタビュー! Vol.1
- 『モンスターハンター3(トライ)G』発売記念特集Vol.1!
- 今回はそのサウンド制作現場にDJサンドウが潜入し、
サウンドディレクター/サウンドデザイナー担当者に突撃レポート!
最初はサウンドディレクターに突撃インタビュー!どすこい!
今度は立体だ!進化し続けるMHサウンド最新型!
- DJサンドウ
- 『モンスターハンター3(トライ)G』(※以下、『MH3G』)を担当することに決まった時はどう思われましたか?
- サウンドディレクター(以下SD)
- 率直に言って、ものすごく嬉しかったです。
- DJサンドウ
- 以前は『モンスターハンター3(トライ)』(※以下『MH3(tri-)』)を担当されていたんですよね?
- SD
- そうです。『MH3(tri-)』を担当していたこともあり、非常に思い入れがあるタイトルですので、やりがいを感じました。
- DJサンドウ
- では、仕事内容について教えて頂きたいと思います。
- SD
- 基本的には『MH3(tri-)』からの移植です。『MH3(tri-)』を再現するということが大前提でした。
- DJサンドウ
- これはかなり苦労されたんじゃないですか?
- SD
- そうですね。ハードがWiiから3DSに変わりましたので、色々と苦労はありました。
例えば...ほぼ全てのSEの(※1)波形データを再調整しました。サンプリングレート(※2)を変更したり...。
※1 SE=「Sound Effect」の略。効果音。
※2 サンプリングレート=アナログ信号からデジタル信号への変換を1秒間に何回行うかを表す数値。
数値が高ければ高いほど、音の解像度が高くなり、音質が向上する。
※2 サンプリングレート=アナログ信号からデジタル信号への変換を1秒間に何回行うかを表す数値。
数値が高ければ高いほど、音の解像度が高くなり、音質が向上する。
- DJサンドウ
- ほぼ全ての波形を再調整ですか。気が遠くなりそうですね...。
- SD
- はい。なかなかの作業ではありました。(笑)
でも、思い入れのあるタイトルですし、何よりモンスターハンターシリーズが大好きでしたのでユーザーの皆様の笑顔を思い浮かべると楽しんで頑張れました!
水中表現へのこだわり
- DJサンドウ
- 『MH3(tri-)』といえば、「水中」が1つの大きなキーワードでしたが、それを据え置き機(Wii)から携帯機(3DS)に移植するにあたって気にしたことはありますか?
- SD
- Wiiですと、TVだとか民生機用のスピーカーであったりとか割りと低い音から高い音まで音の再現が可能なんですが、3DSは携帯機というところで再生の帯域が限られて来るので水中の表現は苦労しました。
- DJサンドウ
- やはり水中から出た時、入った時の切り替えが...?
- SD
- はい。 水中と地上で音の聴こえ方って違いますよね?『MH3(tri-)』の時は水中に入った時よりも出た時に重きを置いていたのですが、今回は地上から水中に入った時の表現を重点的に作りました。実際、お風呂に潜って研究をしたり...。
- DJサンドウ
- 実際にお風呂に潜ってですか?
- SD
- はい。普段はシャワー派ですが(笑)
- DJサンドウ
- 普段はシャワー派だというのに!正にデザイナーの鏡ですね!
大学時代に学んだ舞台芸術の経験を活かしました。
- DJサンドウ
- 今回は今までのモンスターハンターシリーズよりも 更に没入感がアップしているように感じました。
- SD
- そうなんです。今回は今までのモンスターハンターシリーズに比べ、環境音の音の種類を多く仕込んだり、音量を上げたりと、より世界観に没入できるような演出を沢山盛り込んでいるんです。
- DJサンドウ
- どこにでも大自然を持ち出せる、という事ですね。素晴らしい音演出がふんだんに盛り込まれている本作ですが、ヘッドフォンとスピーカー、どちらでプレイして頂きたいですか?
- SD
- 個人的には多人数でわいわいプレイする場合はスピーカー、 1人でプレイするときはヘッドフォンですね。スピーカーでも重要な音が聴こえる様にきちんと調整していますので、臨場感たっぷりでお楽しみ頂けるかと思います!
- DJサンドウ
- メンバーの雰囲気は和気あいあいとしていて、楽しそうな雰囲気でしたね。
- SD
- そうですね。特に担当を決めていなかったということもあり、「わたしこれやりたい!」「僕これやりたい!」といった感じで、好きな役割を取り合いするような、前向きで、活気のあるチームでした。
- DJサンドウ
- NPC(※4)のボイスをサウンドデザイナーメンバー担当されたという事ですが?
- SD
- はい。今回はサウンドデザイナーメンバーで多数のNPCボイスを今回は期間が短かったということもあり、少人数でやりました。大学時代に学んだ舞台芸術の経験を活かしました。
- DJサンドウ
- では、最後にユーザーの方々へ一言お願いします。
- SD
- 過去作同様、モンスターに攻撃がヒットした時の手応えなどをわかりやすく演出しております。ボリュームたっぷりな作品となっていますので、ぜひプレイしてくださいね!あと、今回も引き続きBGMが素晴らしいです。お楽しみに!
- DJサンドウ
- ありがとうございました!
引き続きサウンドデザイナーの方どーぞ!カモンタツオ!
携帯機でどうやって
水中表現を再現しようかなあなんて考えてました。
- DJサンドウ
- それでは、引き続きサウンドデザイナーの方にお話を伺いたいと思います。
担当が決まった時はどんなお気持ちでしたか? - サウンドデザイナー(以下デザイナー)
- モンスターハンターシリーズは『モンスターハンターポータブル 3rd』から担当しておりました>『MH3(tri-)』はユーザー側で、大ファンでしたのでとても嬉しかったです。携帯機でどうやって水中表現を再現しようかなあなんて考えてました。
- DJサンドウ
- もしや...実際にお風呂に潜って...?
- デザイナー
- はい(笑)お風呂に潜ったりしながら考えました。
- DJサンドウ
- サウンドデザイナーの皆さんは研究熱心ですね~!それでは、今回ご担当された仕事内容を教えて下さい。
- デザイナー
- 一部の環境音制作と設置、洞窟に入った時などの音の響きの調整、そして、新メインモンスターであるブラキディオスのSE制作、一部ボイス加工等です。今までは、モンスターボイスは海外の音効制作会社さん(Soundelux社)等にお願いしていたのですが、今回は社内でチャレンジしたいという想いがあり、担当させて頂きました。
- DJサンドウ
- ブラキディオスとは、どんなモンスターですか?
- デザイナー
- ブラキディオスは粘菌を持っているんですが、その粘菌が地面等につくと爆発するという、今までにないタイプのモンスターです。手にも頭にも角が生えていて、全体的に硬いイメージで、ディレクターの藤岡要氏からも「地面に刺さるような、ゴリッと突き刺さるような硬い音が欲しい。」というオーダーがありました。
- DJサンドウ
- なるほど、そのSEはどのような音から生成したんですか?
- デザイナー
- 大体は石系の音です。
- DJサンドウ
- 石ですか。これは私生活で田畑を耕したり...とか?
- デザイナー
- 田畑では...ないですが(笑)以前、『バイオハザード5』で担当したフォーリー収録(※5)の経験を活かしました。
※5 フォーリー収録=映像に効果音を付ける際、実際に映像の動きに合わせながら音を収録する手法。
- DJサンドウ
- なるほど、今まで多数のタイトルを経験していたからこそ編み出せた音、という事ですね。ブラキディオスのボイスはどのように制作したのですか?
- デザイナー
- 他メンバーが作ってくれたボイス素材に爆発音などを混ぜてモンスターハンター風にしています。元の音は人間の声なんですよ。
- DJサンドウ
- 人間の声がこんな風に変化するんですね!驚きです。
携帯ゲームは総合芸術
- DJサンドウ
- 一番苦労された事は何ですか?
- デザイナー
- やはり、ブラキディオスのSEですね。メインキャラクターでありタイトルの顔でもありますので。また携帯機は据え置き機と違って低い音が聞こえにくいのですが、ブラキディオスには爆発音や地面に突き刺さる音等の重低音が結構多く、それらをどうやって聴こえるようにするかという事に苦労しました。
- DJサンドウ
- 今回はサラウンドバージョン、ステレオバージョンと2種類の音場が楽しめるそうですね。
- デザイナー
- そうなんです。これに関してはサラウンドとステレオでかなり出音の特性が変わるので、チーム全員で何度も何度も交互に聞き比べて調整しました。 ステレオはもちろんですがハードが3DSになった事で絵に立体感が出たので「音も負けてられないぞ!」とサラウンドにも力をいれています。 ゲームは総合芸術ですからね。
- DJサンドウ
- なるほど。どちらでも心地良くプレイできるように緻密な調整がされているのですね。それでは、最後にユーザーの方々へ一言お願いします。
- デザイナー
- サラウンドは今回の見せ場の1つですので是非体感してみてください!かなりこだわって調整しましたので、あまりの立体感にびっくりすると思いますよ!また前作同様、モンスターに近い時だけ聴こえる音を仕込んでいます。 モンスターの近くにプレイヤーがいる時は特別な風斬音が聴こえたり...ですとか、遠近でかなり差があります。ヘッドフォンでプレイしてみると新たな発見があるかもしれません。ぜひ、お楽しみ下さい!