2015年7月27日
『大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-』発売記念特集 vol.1 音楽編
- 逆転裁判シリーズ新プロジェクト!
大日本帝国から大英帝国へ!奇跡の大逆転が今始まる! - 「19世紀末」と「逆転裁判」を昇華させる「大逆転サウンド」のアイデンティティとは!?
開発者の座談会形式のインタビューをお楽しみください!
第1回目は音楽編です!
テーマは「時代背景を感じさせる楽器」と「響き」
- DJサンドウ :
- 皆様!「大逆転裁判」楽しく遊んでいただけていますでしょうか? 逆転裁判シリーズでは「逆転裁判4」「レイトン教授VS逆転裁判」 に続き効果音を担当させていただきましたDJサンドウこと山東善樹でございます! 好きな食べ物はカレーです!
- 北川
- 「レイトン教授VS逆転裁判」に続き音楽を担当させていただきました ゲーム音楽大好き北川保昌です! 好きな食べ物はミョウガです!
- コンポーザーM
- 今作品から逆転裁判シリーズに初参加! コンポーザーMです! 絶好調!!というワケで楽曲提供をさせていただきました! 好きな食べ物はアンコです!鯛焼き!どら焼き!どんと来い!
- 小池
- サウンドマネージャーの小池です。 全体的なサポートですとか、 ボイス収録や契約・予算周り等のお手伝いをさせて頂きました! 好きな食べ物はお刺身です!
- DJサンドウ :
- なかなか個性的なメンツが集まりましたね(笑) では本日は音楽のお話を中心に進めてまいりましょう! 発売されてしばらく経ちますが音楽が非常に好評ですね! ホントに嬉しい限りでございます! 先ずは今回の音楽の世界観ですが、 19世紀末という時代背景を受けて意識した部分を教えてください?
- 北川
- 世界観構築にあたっては、 最初に巧ディレクターと大きな方向性を調整しました。 そこで導き出されたキーワードを元に、 ホームズと龍ノ介が共演する「共同推理」から作曲を始め、 楽曲制作を進めていくうちに、この楽器はOK、こっちはNGといった感じで ルールのようなものが出来ていきましたね。 なので、最初は試行錯誤の連続でとても苦労した記憶があります。 時代感に関しては、その時代実際に存在した楽器を中心に、 存在はしないだろうけど「時代背景を感じさせる楽器」を一部用いて制作しました。
- コンポーザーM
- それと「響き」にも注意しました。 あまりにスケールが大きい響き方をしていると、 豪華に聴こえすぎて時代背景を感じさせないのです。 もちろん、当時もホールで演奏するなど豪華に聴こえる環境はあったと思うんですけど、 当時の世界観を表現するには、リバーブ感は抑え気味に、 むしろ室内楽ぐらいの「響き」の温度感を意識してしました。
- 北川
- 使う楽器も、バイオリンやアコーディオンといったソロ楽器をメインに持ってくることで、 聴き手との距離感を近づけ、スケールを抑えています。
- DJサンドウ :
- ナルホドー!では、その中で特に気に入っている楽曲はありますか?
- 北川
- そうですね、個人的にはアイリスのテーマ 「アイリス・ワトソン ~小さな伝記作家」が気に入ってますね。 これ、めちゃくちゃゲーム音楽っぽいじゃないですか? 僕は往年の「ゲーム音楽」が大好きで、 自分が自然体で作る曲は大体ゲーム音楽っぽくなるのですが、 中でもこの曲はそれが非常に良い感じで表現出来ました。
- 小池
- 「ぴょこぴょこ」鳴っている音が可愛くて アイリスちゃんにぴったりの曲ですね!
- コンポーザーM
- 僕は、寿沙都のテーマ「御琴羽寿沙都 ~新世界に咲く花」ですね。 巧ディレクターと細かいところまで拘って完成させた思い出深い曲です。 元々回想シーンの曲として書いていた曲だったんですが、 巧ディレクターが「とてもいいフレーズですね」と大変気にいられて大抜擢となりました。
- 北川
- で、僕が元々作っていた寿沙都のテーマはボツになったんですけどね(笑)
- コンポーザーM
- "はいーーー! す、すみません。。。!
- 北川
- 謝られると、余計につらいですよ(笑)
- DJサンドウ :
- ナルホドー! 逆に苦労した楽曲はありますか?
- コンポーザーM
- ないですね(あっさりと)。 OKが出るまで時間が掛かった曲も、 不思議と「苦労した」という気分にはなっていないです。 どちらかと言うと、スポーツのような感覚かも知れません(笑) 時間が掛かったという意味では、やはり寿沙都のテーマです。 15パターンくらいバリエーションを作ったので。。。
- DJサンドウ :
- すごい数ですね!ナユタ!アソウギ!
- 北川
- 無量大数!! 僕も、「共同推理」や「龍ノ介のテーマ」は20パターン近く作っていますね~。 特にその二曲は初期に作った曲で、 方向性を決める重要な役割を担っていましたので試行錯誤の連続でした。 でもコンポーザーMくんと同様、苦労したという気持ちはないです。 逆に、この「大逆転裁判」の音楽の世界観を作れるということが嬉しいというか、 そういうポジティブな気持ちだったと思います。
- DJサンドウ :
- 素晴らしいポジティブシンキング!
リアルを知らないとリアリティーは作れない
- DJサンドウ :
- ではでは、当然ながら当時の音楽を研究したと思いますが、どういったことを?
- 北川
- 作品の舞台が19世紀末のロンドンであること、 そして当時のオルゴールが登場するということで 六甲山(※兵庫県南東部に位置する関西有数の山)にある 「六甲オルゴールミュージアム」様を訪れ、実際当時動いていたオルゴールを拝見させていただきました。
- DJサンドウ :
- そうです!そうです!取材に行きましたね! ちょうど大逆転裁判と近い時代(19世紀末~20世紀初頭)に作られた、ホールの壁一面を覆い尽くす超巨大自動演奏装置から、想像を絶する仕組みで動く演奏装置まで物凄いラインナップがズラリと!(^ω^)
- DJサンドウ :
- 中には自動演奏にプラスして効果音も鳴らせるものまでありました! 当時は無声映画に合わせて、リアルタイムで鳴らしていたみたいですね。 昔の人すげー!ってホントに思いましたね!
- コンポーザーM
- すごかったですよね!個人的には三本のバイオリンを 曲に合わせて回転している円形のボウに押し付けて演奏する、 という驚愕の機構を持った装置に驚きました。 曲もインパクトがありましたし。
- 北川
- あれだけ沢山のオルゴールや自動演奏装置を見れて、 さらには動いているところも見れるというのは中々貴重です。 さらにオルゴール作りも体験できますし、是非見に行ってもらいたいですね!
- コンポーザーM
- そうなんですよ! 我々ゲームサウンドの作曲の仕事をしている人間は DTM(デスクトップミュージック)といって 普段コンピューターで音楽を作っているのですが 言うなれば「自動演奏楽器」なんですよね。 先人の皆様の功績があって、今我々が便利に生活出来ているんです!
- コンポーザーM
- あと僕は、会社の近くにあるバイオリン工房にも足を運びました。 今回、バイオリンが全面に出る音楽性であると聞いて、 自分でアポを取って何回か訪問させていただきました。 それまで何となくだったバイオリンの仕組みの部分を教えてもらい 勉強になると同時に、曲作りにも良い影響を及ぼしたと思います。
- DJサンドウ :
- ナルホドー! やはり取材&研究というのはクリエイターにとって大事なことですね。 リアルを知らないとリアリティーは作れない!ということで。 では最後に、カプストーンをご覧の皆様に 音楽を担当したお二人から一言ずつお願いします(^ω^)
- コンポーザーM
- スポーツ感覚で楽しく激しく制作したこの「大逆転裁判」。 北川さんと一緒に世界観を彩ることができて、大変嬉しいです。 充実した開発期間を過ごした分、ユーザーの皆様にも このゲームをプレイして充実した時間を過ごしていただければ、 そんな嬉しいことはないですね!
- 北川
- いわゆる「ゲーム音楽」をリスペクトしつつ、 逆転裁判の新プロジェクトとしての アイデンティティを盛り込んだ音楽を創り出すことができたと思います。 「大逆転裁判」という世界観にドップリ浸かっていただければ幸いです。 また、サウンドトラックCD 『大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險- 劇伴音樂大全集』 が発売中です!音楽に興味を持たれた方は、 是非そちらもチェックしてみてください!
- DJサンドウ :
- はい!今日はありがとうございました~(^ω^) 次回、効果音編に続きます。お楽しみに!