INTERVIEW

2012年7月2日

ドラゴンズドグマ
発売記念サウンドスタッフインタビュー! Vol.3

『ドラゴンズドグマ』発売記念特集Vol.3!
サウンド制作現場にDJサンドウが潜入し、サウンドデザイナーに突撃レポート!最終回はSE編!
DJサンドウ
D&D!もみじ饅頭~!今回は最終回!気合入れていきまっしょい!
本作で担当された業務内容を教えてください!

「この世界で鳴っている音を作ろう」という意識

サウンドスタッフ
ドラゴンズドグマ(以下DD)では主にモンスターサウンドとフィールドや領土、村の環境音を作り込んでいきました!
DJサンドウ
モンスターサウンド!オープンフィールドという事で作り応えがあったのでは?
サウンドスタッフ
そうですねー。かなり大変でしたけど・・・。(笑)とてもやりがいがありました。
DJサンドウ
それでは、まずサウンド面の演出やこだわり(SE)を教えてください。
サウンドスタッフ
全員で決めたコンセプトがあって、「音の距離感、空気感を大切にする事」にはかなり拘りました。絵がすごいリアルなので、その世界観にマッチしたサウンドを作る事です。
DJサンドウ
なるほど!まさにリアルさの表現に一番注力した訳ですね!
サウンドスタッフ
言い方は変かもしれませんが、「ゲームサウンド」とするのでは無く「この世界で鳴っている音を作ろう」という意識で制作に取り組みましたね。
DJサンドウ
この世界で、正しく、鳴っている音!This sound is good! ワイルドだぜ~。
サウンドスタッフ
ユーザーの皆さんが序盤で戦う敵でゴブリンがいるんですけど、 戦闘以外でもフィールドの草むらなどで宴会を開いていたりするんですよ。そういう時に聴こえてくる声って、音量をただ小さくするだけでは無くて、「遠くで鳴っているような声」を表現しているんですよ。
DJサンドウ
なるほど!ボリューム(音量)を下げたところで、「遠くの音」にはならないという事ですね。例えば音の高音域の成分を削るとか?
サウンドスタッフ
そうなんですよ。距離に合わせて音を変化させる事をシステム的に実現したんです。だから、敵だけじゃなくて、仲間が遠くで行動していたら、仲間の音も全部遠くにいるような質感で音が再生されます。
DJサンドウ
すばらしい!サウンド面でも世界の広さを表現するために奥行きが感じられる、という事ですな。目を閉じたらそこには世界がある。まさにカプコン初のOpen World!

生き物と戦っているという事を表現したかった

DJサンドウ
では次に、本作の魅力の1つとして、大型モンスターが登場するかと思いますが、実際すごい迫力で圧倒されますよね。制作面でこだわりの点などあれば教えてください。
サウンドスタッフ
大型モンスターなので、迫力のあるサウンドを作るのは当然として、 先ほどの距離感について特にこだわった事があります。 例えば、 「遠くで遠吠えしているのに聴こえる」→「こいつはデカイぞ」などなど。 もちろん、モンスターが遠くからプレイヤーに近づいて来ると足音の音量が大きくなるだけでなく、音質そのものを変化させて距離感を演出しています。
サウンドスタッフ
遠くなら「ドゥーン」、近くなら「ミシミシッ」という音に変化させたり、近くの場合は息づかいを聴こえさせたりしてます。大型モンスターはもっと迫力を出そう!っていう想いからです。

グリフィン飛行音(近く)

グリフィン飛行音(遠く)
サウンドスタッフ
実機では色々な音が鳴ったり、非圧縮であったり、エフェクトがない等、
ちょっと聞こえ方が違う事があります。
※今回専用に特別に編集した音源です。
DJサンドウ
確かに!より臨場感が感じられますね。生きている事を表現する事で、タダのゲームの敵ではなくなるワケですね。
サウンドスタッフ
生き物と戦っているという事を表現したかったんですよ。
DJサンドウ
生き物より「いきものがかり!」という事ですな。
サウンドスタッフ
チームの人が作ったグラフィック、モンスターの動きが凄かったんですよ!すごく臨場感があって。サウンドもそれに負けられないなと思って。
DJサンドウ
大型モンスター、是非ユーザーの皆さんに楽しんでいただきたいですね。

世界観を知るために中世の史実を勉強しました

DJサンドウ
それでは、今回のテーマでもある「カプコン初のオープンワールド!」という事で実際の中世の世界に没入感を感じさせるために音の面で取り込んだ事があれば教えてください。
サウンドスタッフ
そうですね。まず世界観を知るために中世の史実を勉強しました。実際にその時代を生きている人々の事を調べて、「どんな物を使っているのか」「どんな生活しているのか」など参考にしました。 例えば、その時代は時計もないので、教会の音を頼りに生活する人々を特徴づけるために教会の鐘の音にこだわったり、世界観を考えて1つ1つの音に意味を持たせました。その上で広がりが出るように奥行きを表現しました。
DJサンドウ
今回のキーワードの1つ「鐘」が出ましたね!私はカネゴンが大好きです!
サウンドスタッフ
それを踏まえた上で、環境音(風の音や水の音など風景を彩る音)にも奥行きを持たせました。プレイヤーが最初に拠点とするカサディスという漁村があるんですが、例えばこんな演出をしています。 カサディスは漁村なので、海を遠くから見た時は海鳴りが聴こえ、 遠くに行った場合は波の音が聴こえ、更に近づくと波の泡の音が聴こえる。また、桟橋に行くと、船にあたる水の音が聴こえる。といった感じです。 オープンワールドということもあり、コンポーザーと演出面の話し合い重ね、フィールドを歩いている時にずっとBGMを流すのは辞めよう! ということになったんです。だから環境音にはかなり注力しました。

カサディス環境音(近く)

カサディス環境音(遠く)
サウンドスタッフ
実機では色々な音が鳴ったり、非圧縮であったり、エフェクトがない等、ちょっと聞こえ方が違う事があります。
※今回専用に特別に編集した音源です。
DJサンドウ
すごいこだわりですね。とにかく膨大な数! 木1本に対して50音!位の勢いですね。 音の無い世界に音を与える・・・いわゆる神ですよ。 オープンワールドの神!
サウンドスタッフ
いえいえ、サウンドデザイナーとして当然の仕事です!
DJサンドウ
BGM VS. 環境音!BGMと同じくらい環境音も大切という事ですな。
サウンドスタッフ
特に鐘の収録は楽しかったですね。モンスター系の元素材として動物達の声を収録しました。動物は室内で収録したらオープンじゃないので、野外で取らないと思って。 水の音も外で録りたかったのですが、虫が多すぎて・・・。 虫よけもつけずに行ったので、大変な目にあいました(笑)
DJサンドウ
その話、前もサウンドディレクターから聞きました! ワイルドだろぉ~と! では、カプストーンをご覧の皆さまに耳より情報を1つ教えてください!
サウンドスタッフ
そうですね。先ほど出てきたゴブリンですけど、たまに挑発したりするんですよ。その一部で、自分の尻を叩く事があって、、その尻を叩く音もちゃんと人間の尻を叩く音を収録してるんです。
DJサンドウ
桃尻ですか!?桃尻クローバーZ! これは桃尻を叩いて!?
サウンドスタッフ
はい(笑)叩いて 良い音を叩くために
DJサンドウ
ノーパンツノーライフ。 実際に手を叩く音と尻を叩く音では違うと!?
サウンドスタッフ
やっぱり本物は音の重みが違いますよー。
DJサンドウ
なるほど!ハリウッド仕込みの桃尻を使われた訳ですな。 では!サウンドの一番の見せ場、聴いてもらいたいポイントはどこでしょうか?
サウンドスタッフ
初めて出会った大型モンスターでオーケストラ収録した「死闘の果てに」という曲が流れるんですが、ユーザーを奮い立たせるようなBGMが流れるんです。それに併せてSEも激しいサウンドに変わるんです。 その辺りのバランスが絶妙に表現できたと思ってます。
DJサンドウ
BGMとSEで緊張緩和が表現できているという事ですね。 では最後に、ユーザーの皆さまに一言お願いします!
サウンドスタッフ
はい。DD楽しんで頂けていますでしょうか? 制作スタッフ一同、本当に感謝しています。 カプストーンを見てくださっているという事はサウンドにも興味がある方が多いかと思います。そういう方たちの心に残るサウンドであれば良いなと思っています。
DJサンドウ
どうもありがとうございました! それでは、カプコンが自信を持ってお届けするDDサウンド!ぜひご堪能くださいー。 今回で、DD発売記念特集は最終回となります! 皆さま、楽しんでいただけたでしょうか?それではまたお会いしましょう~。