当社が持続的な安定成長を遂げるための重要な戦略の1つが、ヒットビジネスと言われるコンシューマ事業において、従来の売り切り型のフロービジネスから継続型のストックビジネスへとビジネスモデルを根底から変更することです。コンシューマ市場は今後も220億ドル規模を維持するとともに、その参入障壁の高さからメーカー数は減少傾向にあり、豊富な人気IPや高い技術力を保有する会社には市場を勝ち抜き、利益を享受しやすい環境です。当社としては、企業価値の源泉であるコンシューマビジネスを、中長期的な成長のための最重要戦略の1つと位置づけ、以下の3つの施策を実施していきます。
ダウンロード販売の浸透により、「売り切り型」ではなく恒常的に収益が積み上がる「ストックビジネス」の売上比率は年々上昇しています。
当社の最大の強みは、自社で強力なコンテンツを創出し、多数の人気コンテンツを保有している点にあります。一方、年度により発売する大型タイトル数に偏りがあったため、収益ボラティリティの高さが課題でした。
そのため、各シリーズ作品の発売サイクルをこれまでの3~4年から2.5年に短縮し、単年度の投入タイトル数を増加させています。中期的な戦略マップ(60ヵ月マップ)を運用し、持続的に成長可能なタイトルポートフォリオを形成するとともに、52週マップで開発者2,000名を必要な時期に必要なチームへ適宜配置する仕組みを整えており、2つのマップの運用が毎期複数の大型タイトルの安定投入を可能にし、収益変動を抑制しています。更に、中長期的な成長のためには、次世代の収益の柱となる新規ブランドの創出が不可欠であると考え、開発投資額の約2割を新規IPの開発に充てています。
業績を安定成長させるために、多数の人気作品を安定的に供給するとともに、開発期間を短縮することが重要です。
DLCのメリットは、(1)本編DLC配信によりパッケージ製造コスト削減や在庫リスクの回避、(2)小売店でのパッケージ販売が難しい過去作を本編DLCで配信することによる収益機会の増加、(3)継続的な追加DLCの配信によるユーザーの継続プレイおよび追加収入の長期安定的な獲得、などです。
これらは、コンシューマビジネスでのヒットタイトルに依存する売上変動の激しさや開発費の高騰への懸念に対する対策の1つです。主力ブランドの安定的な供給に加え、毎期安定したDLC売上の積み上げにより、ストックビジネスへの移行が進みつつあります。現在、(1)(2)が中心ですが、今後(3)を強化することで、現在のDLC比率26%を中期的に50%まで高めていきます。本編発売後1年以上ユーザーの継続プレイを誘導することで、追加収入だけでなくアクティブユーザー数の多いゲームとして、新規ユーザーの獲得(本編販売の増加)にも繋がるなど、毎期の売上変動を抑制する効果を発揮していきます。
主に、本編(新作・過去作)のDLC販売が伸長し、2017年3月期の計画においてDLC売上高比率は約30%を見込むなど順調に成長を遂げています。今後は、追加DLC強化により、市場全体のDLC比率50%に比肩させます。
ゲーム業界における最新技術は一度研究を怠ると再び追従することが困難となります。新たな分野に対して不断の技術研究を続け、ゲームへの可能性を追求し続けることが次代の先駆者的地位獲得への布石となります。
2016年は「PlayStation VR」や「Oculus Rift」など新たなデバイスが市場に登場し、VR元年とも呼ばれ大きな期待が寄せられています。当社が得意とするアクションやホラーのジャンルはVRとの親和性が非常に高く、VRによる新たな体験を提供することで、ゲームがより魅力的なものとなります。当期は『バイオハザード7 レジデント イービル』を全編VR対応とするなど、積極的な対応を進めています。また、新たなジャンルとして「eスポーツ」にも注目をしています。特に「ストリートファイター」シリーズはこれまで主に北米で多くのユーザーを動員するイベントを開催してきましたが、今後は更なる地域展開を図ります。これらの新ビジネスにチャレンジすることで、コンテンツの活性化とブランド価値向上を通じた収益の最大化を図ります。
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