現在の市場構成を、プラットフォームに関わらず「コアゲーム」と「カジュアルゲーム」に区分した場合、コンシューマおよびPCオンラインにおけるコアゲーム市場は依然として過半数を占めており、その規模は今後も拡大していくものと分析しています。当社のデジタルコンテンツの成長にあたっては、これらのコアユーザーに向けたタイトル展開が鍵となると考えています。そのため、コアユーザー向けゲームのマーケットで最低でもシェア5%以上を目指し、主要シリーズタイトルの開発を進めるとともに、モバイル市場におけるカジュアルユーザーに対しては、当社のIPを使用したカジュアルゲームを通じてコアゲームへの誘導に注力してまいります。
中国では『モンスターハンター オンライン』におけるテンセント社との提携など、他企業との提携を実施していますが、国内では規模拡大のために開発工程の全てを委託するような提携の予定はありません。現時点では、基本的に開発は内作で行いますが、海外、特にアジア地域では地域特性を活かした現地ユーザー層の拡大のため、配信や運営面で現地企業との提携を進めています。
ここ数年で開発部門の組織変更と抜本的な構造改革を進め、現在1つのシリーズを複数ラインで制作する仕組み作りは完了し、稼働を始めています。この仕組みにより、これまで実現できなかった開発期間の短縮化についても、成果を期待できるものと考えています。現在進行中のタイトルについて成果が大きく顕在化するのは2017年3月期以降となる見通しです。
開発は順調に進捗しています。しかしながら、現在中国では競合となり得る人気タイトルが複数存在しており、中国内での運営やマーケティングにおいて実績のあるテンセント社にてリリースタイミングを慎重に計っていただいているものと考えています。
ビーラインは引き続き当社の重要な柱の1つに位置付けています。当社のモバイルコンテンツの戦略は、スマートフォン向けコンテンツの投入によるカジュアルへの訴求を通じて、最終的には当社の得意とするコアゲームへの誘導をすることです。ビーラインでは特に、最もゲーム経験の少ない女性カジュアルユーザー層を対象としたライトコンテンツを配信し、グローバルでのヒット作の創出を目指していきます。
PCオンライン、モバイルコンテンツの計画については、前々期の特別損失の計上や前期の社内体制の整備により、収益性は安定化しています。このため、現時点では十分計画を達成できるものと想定しています。また、仮に特定のタイトルが計画を下回った場合でも、他の各セグメントにおいて余分なコストを削減し着実に利益を生み出す筋肉質な体制を構築しており、利益の補完は可能だと考えています。
当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営の重要課題のひとつと考えており、将来の事業成長のための投資に注力するとともに、安定額の配当を基本方針としています。この方針に変更はなく、今期の配当性向は約30%となる見通しです。
有力な過去の人気作品のHDリマスター化は今後注力すべきビジネスの1つと考えています。このような形式のタイトル販売にあたり、海外では小売店舗数が減少していることや売り場面積の都合上、廉価版やリマスター版のパッケージは入荷され難い傾向にありました。そこでダウンロード版を積極的に販売したところ、前期は『バイオハザード HDリマスター』において海外のダウンロード販売が大きく計画を上回るなど、新たな需要を掘り起こした結果となりました。これはリスクではなく、ダウンロード販売というチャンネルが増えたことでユーザーの選択肢が多様化し、より多くのユーザーにプレイしていただくための機会が増加しているものと認識しています。
開発者の増員にあたり、人材の確保と人員増加後の効率的なマネジメントが重要課題と考えています。現行世代機においてコアゲームを制作するためには、開発チームの規模拡大は避けられません。そのため、制作の土台となる仕組みづくりを確実に行い、安定的に主力シリーズを開発できる開発管理システムを構築しています。また開発者の採用にあたっては、新卒採用を積極的に行うとともに、内作で蓄積したノウハウを着実に伝えていくことで新卒者の早期のレベルアップを図ります。このサイクルにより、増員した後でも着実に稼働率を維持し、開発ラインを拡充できるものと考えています。
開発者数の増員により固定費の増加といったリスクは想定されますが、人員稼働率管理のための52週マップの運用により、抑制できるものと考えています。また、採用を強化するための追加コスト等も特に発生する予定はありませんので、開発者の増加によるコスト負担の影響は軽微であると考えています。
昨年の結果を受けて株主や投資家の皆様と様々な意見交換をさせていただいておりますが、株主総会における会社提案の議案内容については現在社内で検討を進めているところであり、現時点では決まっておりません。