告知から開催までが急であったにもかかわらず、
東京、大阪の各会場へ足を運んでいただき、誠にありがとうございました。
これまで様々な大規模勉強会において、カプコンは常に積極的に登壇・発表を行ってまいりました。
ただこういった場では、どうしても単発のセッション構成になってしまい、
時に我々の想いを充分にお伝えしきれていないのでは、という迷いもありました。
そこで独自開催というカンファレンスの形を活かして、エンジンの設計思想から実装・タイトルでの活用までを複数のセッション構成で包括的に説明すること、
またエンジン開発側とタイトル開発側、エンジニア側とデザイナー側の両方の視点を織り交ぜることで、より深く理解いただける形を目指してみました。
我々が今回選んだ発信方法が効果的だったのか、今後どういう形にしていくのか、
皆様から御寄せいただきました熱いメッセージを基に、開催メンバ一同、真摯に振り返り、検討を続けてまいります。
初めての開催で至らぬ点もございましたが、本カンファレンスを通じて、
何か一点でも皆様の記憶に残るものをお届けできておりましたら幸いです。
今後も研究開発および情報共有に対し、積極的に取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
12:50 | 開場 |
13:10~13:30 | オープニング |
13:30~ | ゲームエンジン開発技術解説 動画・詳細 |
14:45~ | プロシージャルモデリング技術解説 動画・詳細 |
16:00~ | アニメーション技術解説 動画・詳細 |
17:30~ | リアルタイムグラフィックス技術解説 動画・詳細 |
19:00~19:20 | クロージング |
複数のAAAタイトル開発に耐える汎用ゲームエンジンの設計と運用
要求仕様や開発フェーズの異なる複数のAAAタイトルを共通のエンジンで同時に開発するには、高い互換性、安定性、拡張性を考慮したエンジンの設計と運用が重要になります。
RE ENGINEはタイトル独自の改変なしに、一つのエンジンで過去から将来に渡る全てのタイトルをカバーします。
本セッションではモジュール化を始めとするRE ENGINEの設計思想と実タイトルでの運用成果を紹介します。
ユーザー中心の設計思想によるRE ENGINEのUX改善の取り組み
見た目の統一感の無さや操作方法のちょっとした相違は、小さな問題とされがちですが、クリエイターの作業や集中力を途切れさせてしまう、大きな問題の原因となります。
ツールのデザインには一貫性が必要で、UI デザインとワークフローは直感的であるべきです。
直感的なデザインはユーザーが適応する速さを加速し、フラストレーションを軽減させます。 問題を解決していく為には、従来のエンジニア中心の開発体制ではなく、UX の専門家を含めた新しい開発体制が必要でした。
RE ENGINE では、UX デザイナー、ツールプログラマー、TA が連携する事で、各専門分野を活かした問題発見や改善提案といったコラボレーションが生まれました。
本セッションでは、この取り組みに至った経緯から現在行っている取り組みについて紹介します。実際に改善したUI事例や、制作したスタイルガイド等の具体例についても紹介します。
RE ENGINEでのレベルデザインにおけるHoudini Engineとの連携
アクションゲームのレベルデザインにおいて制作作業とプレイ確認とのイテレーション速度は非常に重要であり、変更に強いプロシージャルなアプローチはゲーム品質向上の強力な手段となります。
RE ENGINEではプロシージャルな制作手法をエンジン内でのレベルデザインフローへ導入するべく、SideFX社のHoudini Engineとの連携機能の開発を進めています。
本セッションでは機能開発に至った経緯から連携機能の概要と簡単な活用例を合わせて紹介いたします。
背景で役に立つプロシージャルモデリング
~制作現場でのHoudini実用例の紹介~
背景製作にプロシージャルモデリングを利用することで単純な作業工数の削減から、人力では実行不可能な最適化を実現できます。
描画メッシュやコリジョンの大規模な最適化、プローブ自動配置、マスクテクスチャの容量削減など、現場レベルで発生する背景制作における課題をHoudiniを用いて実際にツール化し、解決を試みました。
本セッションでは、それらのツールの具体例や作成の経緯、さらに処理で利用する技術やアルゴリズムなどを解説いたします。
また、処理時間の問題を解消するためにレンダーファームの活用からHDKを用いたツールの処理上げまで、実際の制作現場で耐えうるために行った試みも紹介いたします。
モジュラーリギング
~リギングをより効率よく、より簡単に~
● リガーの責任は?
海外の視点。
リギングの責任はジョイント・ウェイト・制御周り
キャラクターアーティストの作業はメッシュの作成で終わる(ジョイントには触らない)
● モジュラーリギングとは?
モジュラーリギングのメリットとデメリット
効率と統一性の重要さ
● リギングの未来
リガーの作業は今後どうなっていく?
「バイオハザードRE:2」における組み技リターゲット技術
従来、キャラクターの組み技は、キャラクターのバリエーションが増えるほどアニメーションを生産せねばならず、非常にコストのかかるものでした。
本セッションでは、リターゲットで体格差を補正し、アニメーターのみで、組み技の調整が行えるようにワークフローを見直すことで、数十人月規模の工数削減につなげた事例を紹介します。
技術が生み出すゲームアニメーション
~プロシージャルアニメーション/モーションマッチング~
キャラクタのリアルな動きにとって、アニメーション技術はますます重要に、かつ幅広くなって来ています。
本セッションでは、カプコンにおけるアニメーション技術の2つの分野での取り組みを紹介します。
まず、数式でアニメーションを加工するプロシージャル技術として、速度ベースのFullbodyIKを使った攻撃の変化や、2関節IKの応用例などについて説明します。
次に、近年話題のアニメーション遷移手法の一つであるモーションマッチングへの取り組みについて説明します。
技術の概要や難しさを解説し、実際のゲームキャラクタで動作する様子を紹介します。
技術の活用方法に焦点を当てて、視覚的にも理解しやすいように、具体例を示しながら解説します。
レンダリング技術の進化
RE ENGINEは、「バイオハザード7」から「バイオハザードRE:2」「デビルメイクライ5」と常に進化し続けています。
本セッションでは現在までの進化の歴史から、レンダリング技術の取捨選択と今後の展望についてお話をします。
「デビルメイクライ5」におけるシミュレーション
~破壊と二次アニメーション~
デビルメイクライ5では、大きく分けてリアルタイム処理のシミュレーションと、MAYAでシミュレーションした結果をベイクし、アニメーションとして書き出したものを、破壊と二次アニメーション(揺れもの)に使っています。
現実に近い挙動・見え方をシミュレーションベースで実現するためにRE ENGINEに求められた機能、及び効果的な見せ方の工夫の解説を行います。
「デビルメイクライ5」におけるVFX解説
デビルメイクライ5では、フォトリアルでありながらアクションゲームとして様々なVFX表現が求められました。
その中でも、頂点アニメーションを使用したVFX表現事例とその手法、そしてこれらの表現を支えたRE ENGINEのVFX機能について、制作実例を元に解説を行います。
また、シェーダーによるエフェクト活用例も併せて紹介させていただきます。