INTERVIEW, TOPICS

2020年3月5日

『ロックマン ゼロ&ゼクス ダブルヒーローコレクション』~サウンド制作秘話~

2020年2月27日発売!
「ロックマン ゼロ&ゼクス ダブルヒーローコレクション」
サウンド制作の現場に迫る!
「ロックマン ゼロ&ゼクス ダブルヒーローコレクション」のサウンド担当者にインタビュー!
音の移植や、新要素における秘話について聞いちゃいました!

本作のために新たにアレンジされた合計10曲のBGMが各種パッケージ版は数量限定特典として付いてくる!
※ダウンロード版は予約特典となります。

一音一音を手作業で録音!デジタルハンドメイドリマスター!?

タンタン
では!自己紹介をお願いします!
辻野
今作の「音」全てを統括する役目、サウンドディレクターを担当しております。 辻野です!台湾大好きです!カプチューンでギター弾いてます!
※(「カプチューン」カプコンサウンド公式バンドの名前)
寺山
新規BGMの作曲、編曲を担当いたしました、寺山です!サウナが好きです!カプチューンでベース弾いてます!
仲間
音の移植作業、新規要素部分の効果音を担当いたしました、仲間です!ビールが好きです!  ※(写真左から仲間、辻野、寺山)
タンタン
それではさっそく、「ロックマン ゼロ&ゼクス ダブルヒーローコレクション」のサウンド制作秘話について聞いちゃってもいいですか?
辻野
まず今回は「ロックマン ゼロ」シリーズ4作、「ゼクス」シリーズ2作からの移植です。なので、原作の音をいかに変えずにそのままお届けできるか‥。これが何よりも優先されるべきことでした。しかし10~20年近く前のタイトルということもあり、当時と現在のゲームエンジンやサウンドシステムの仕組みが違い、音の再現が難しいことが最初の壁でした。
タンタン
サウンドシステムの仕組み…難しそうですね!
辻野
専門的な話になるのですが、 弊社における昨今のゲームサウンドの発音の仕組みを説明しますと、まず音の波形ファイルがあり、そのファイルをゲームエンジンやミドルウェアのサウンド専用管理ツールの中に組み込んで、プログラム上から鳴らす(リクエスト)することがほとんどです。リクエストされた音は、「音の大きさや距離、定位が計算」され「処理されたうえで発音」となります。
タンタン
ほほう…音を鳴らす仕組みって奥が深いのですね…。
辻野
当時のハードのサウンドの特性を研究し、発音処理まで全て調べつくしました。そしてわかったことがありました。当時のサウンドシステムには、「リクエストされてから計算が入らない」ことがわかりました。ということは、音の大きさ、定位、距離はリクエストされた時点から「確定」しているのです。その後に計算がはいりません。となれば、リクエストされ発音した「音」を全て収録すれば、それで完成するのではないか‥。という結論に至りました。
タンタン
調べつくすとは只ならぬ努力ですね!
辻野
大変でした…。この考え方は結果的に正しく、余計な計算をさせないこともありサウンドの不具合も出にくい作りになりました。当時の開発機から一音一音、手作業で録音していったわけですね。このデジタルの時代に!(笑)
タンタン
一音一音、手作業ですか!?
辻野
そうなんです、ちなみにBGMも全て収録しています!本当の意味でデジタルリマスター…いや、デジタルハンドメイドリマスターですね!(笑)
タンタン
デジタルハンドメイドリマスター!移植であっても愛がこもってそうですね!
仲間
はい!原作の音を再現プラス、我々のゼロ愛が詰まっています!(笑)
手作業で録音したものを現行機種向きに調整するのは簡単なことではなく、苦労もありました。開発時は入社してまだ1年目でしたので、ゲーム制作におけるサウンドシステムの仕組みや用語がわからず、辻野さんやチームの方に色々教えて頂きながら開発していました。
タンタン
なんと!開発時、仲間さんはピカピカの新入社員だったわけですね!愛のこもったサウンド!タンタン興味あります!
仲間
今作は移植タイトルではありますが、各ゲームタイトルを選ぶメニュー画面や、新要素「Zチェイサー」まわりのUIやシステムの音などは新規で僕が作っています。メニュー画面の音はゲームをプレイする人は必ず聞く、そして何度も聞くことになる箇所なので、何度もブラッシュアップを重ねて仕上げていきました。そして原作をリアルタイムで遊んでいた身なので、原作をリスペクトしつつ、「新しいゼロとゼクスはどんな音がするのか?」を考えながら作りました。
タンタン
実は噂で聞いたのですが、2種類のボイスを切り替えられる機能があるとか…?
仲間
…あります!
「Master Mode」(高音質な音声ファイルを再生)と、
「Original Mode」(発売当時のファイルを再生)を切り替えれます。
タンタン
「Master Mode」とは!?タンタンに教えてください!
辻野
実は原作の開発資料を探している中で、当時のボイス収録時のマスターデータが見つかったのです。今作はただの移植タイトルとして終わりたくなかったので、当時の技術の都合上実装できなかった高音質なボイスデータを実装することにしました。そして高音質なボイスと発売当時のボイスを切り替える機能を用意し、ユーザーの好みに合わせて遊べるようになっております。
仲間
「Master Mode」は、より聴き取りやすい音声となっておりますので、ゲームをプレイする際はぜひ、選んでいただけると幸いです!

ダークだけどキャッチーで、思わず走り出したくなるサウンド!

タンタン
これはただの移植ではないですね!寺山さんは今作で新曲を作ったり、編曲したりしたしそうですが、お話聞いちゃってもいいでしょうか!?
寺山
ここだけの話なのですが、今作で新規楽曲を制作することや、アレンジすることにプレッシャーがありました。ロックマンシリーズ…良すぎるんです、音楽が!シリーズを作り上げた先輩方が偉大すぎます!シリーズに対して、新しいものを付加するということは、シリーズファンの皆様の思い出を傷つけてしまう可能性があるかもしれないのです…。絶対にそうならないよう、ロックマン大好きマンとして、プレッシャーの中、本気で作りました!
タンタン
寺山さんの本気ですか!?これは聞くのが楽しみですね!
寺山
ガンガンゴリゴリですよ!
タンタン
それはいったい!?どういうことでしょうか!?
寺山
笑…冗談ですよ!いや…半分本当ですね!今作は辻野さんと方向性を確認し合いながら作曲を進めていきました。
辻野
今回BGMの方向性として、「ゼロ」ということがまず念頭に置かれました。「少しダークサイドなイメージ」「主旋律をはっきり」といったものをメインテーマにディレクションを行いました。「ゼロ」と「ゼクス」の世界観って違うのですが、ここは両方どちらで使ってもハマる中性的な位置づけにしてもらいました。ラウドなギターで少しダークなイメージを…。シンセを使ってロックマンの世界観で「ゼロ」と「ゼクス」の橋渡しを…。原曲からのアレンジも、原曲をフューチャーしつつ、リクリエーション(再創造)する感じで…。新しい「ゼロ」と「ゼクス」を!という想いをこめて…などなど…。お互い意見を出しながら、無理難題をこなしてくれた寺山くんに感謝しています。
寺山
それに含め、「ガンガン攻めよう!ゴリゴリでいこう!」というような後押しを貰いまして…僕もやってやりましょうか!と曲の方向性を探っている中、最初にたどり着いたのが楽曲「Re-Boot!」なんです。今作の一番最初に出てくる、タイトル画面で流れる曲ですね。移植タイトルではありますが、「ゼロ」と「ゼクス」を束ねる新曲であり、今作の看板曲になっております。ジャンル的にはロック×シンセサイザーという構成です。ロックマンシリーズ、「ゼロ」と「ゼクス」の世界観をイメージした「ガンガンゴリゴリ」に仕上げました。そこから始まり、色々な音楽に派生していきました!
辻野
彼の提案にもずいぶん助けられましたね!良い関係で制作ができたと「私は」思っています。(笑)
寺山
もちろん「僕も」思っていますよ、辻野さん!(笑)
ロックマンのBGMといえば、耳に残るキャッチーなメロディ、走り出したくなるようなリズム!そして、今回は「ゼロ」と「ゼクス」のダブルヒーローなのです。両シリーズのイメージをBGMで融合させるべく、ギターとシンセサイザーにて全力で遊ばせて頂きました。そして、シリーズに漂う独特の哀愁をBGMから感じてもらえたら幸いです!
タンタン
それでは皆さん!最後にシリーズのファンに向けて一言コメントお願いいたします!
仲間
当時のゲームが大画面で遊べるのはモチロン、サウンド面でも細部まで聴き取れるよう調整を行っておりますので、ぜひ、隅々まで楽しんでいただければ幸いです。ありがとうございました!
寺山
本気も本気のロックマン愛を感じてください!! Reboot‥‥!!!
辻野
ファンの期待に応えることができていると自負しております。これからもロックマンタイトルを一緒に盛り上げていきましょう!
▼今作の公式トレーラー ▼アレンジされたBGMをちょこっと紹介!

今回インタビューに答えて頂いたサウンドスタッフのみなさん!

サウンドスタッフのみなさん!ありがとうございました!
音の制作においての様々なこだわりや裏話が聞けました!
ユーザーの皆様も是非意識して音を聴いてみてくださいね!