『ストリートファイターV』アートインタビュー

伝説の帰還・未来への出発~『ストリートファイターV』アートインタビュー~後篇

『ストリートファイターV』、皆さん遊んでますか!?
今作の発売を記念し、今作のアートに深く関わったデザイナー二名、BENGUSさんとKikiさんのインタビューの後編!
後編の今回は、それぞれの立場から、『ストリートファイターV』開発に携わることになった経緯、そして個々人の影響を受けたアーティストなどを語ってもらいます。

まずは、『ストV』キャラクター、アートを担当したKiki氏のインタビュー後編です。
どうぞ!!

Kiki

Kiki

キャラクターデザイン室所属。『デッドライジング』シリーズ、『バイオハザード』シリーズ、『オトレンジャー』シリーズ等、数多くのタイトルのキャラクターデザイン、ビジュアルイメージを担当。 『ストリートファイターV』では、キャラクターデザイン、モデル監修、販促物デザインなどを担当。

『ストリートファイター』との関わり

――Kikiさんの、『ストリートファイターII』に対する印象などあれば、教えてください。91年の『ストII』アーケード稼働当時は、どのようなことをされていましたか?

Kiki:91年は…パッケージデザイン会社で、某お菓子メーカーのイラストなど描いていましたね(笑)。当時パソコンなど無い時代でしたから、全部アクリル絵の具と筆で描いてました。『ストII』自体知ったのは、それからしばらくしてからだったと思います、たしか実写CMだったかな? その頃は、ゲームとは無縁の世界にいましたね。その後、対戦格闘ゲームにハマッて、『ストII’ターボ』あたりは、ものすごく遊びました(笑)。

こちらが、中山Dとの共同作業で進められた、『ストリートファイターV』イメージボードです!

――『ストV』で、印象深いお仕事、大変だったイラストがあれば、教えてください。

Kiki:一球入魂ならぬ、一筆入魂主義なので、どの作業も味わい深かったです。大変だったと言えば、モブキャラデザイン171体を15日間で作ってほしいとオーダーされたこと。公私共に大変な時期だったのと、量が量だったので断ることもできたのでしょうが「できません」と言いたくなかったので(笑)、挑戦の意味も込めてやり切りました。ある意味、一番楽しいモチーフでもあるモブキャラだったので、テンポよく1日前倒しで片付けることができました。

こちらが、Kikiさんがデザインされたモブキャラクターのデザインの一部です。
日常の生活感、実在感がありますね!

――171体! それは凄まじい作業量ですね。今回、Kikiさんは新キャラクターのデザイン作業もされていますが、『ストV』の新キャラ制作で、大変だった部分や、コンセプト決め、キャラクター立ち上げのときのエピソードなどがあれば、教えてください。

Kiki:ネカリは初期から関わっていたのですが、当初は“ 豪鬼に代わる謎のキャラ”というキーワードしかなく、古代人、異星人など、さまざまなイメージを出しました。やがて“南米”というキーワードが生まれ、それに“古代文明”という要素が加わり、今の原型が生まれました。当時は血のメイクが印象的で好評だったのですが、豪鬼を超えるには、さらに超人的要素が必要でした。

『ストV』新キャラ、ネカリのプロトタイプ。豪鬼やベガを超えるインパクトが求められ、さまざまな方向性が提案されました。

――イーカプコン特典に「DOLLS」のイラストがありますが、こちらも全員再設定されたのでしょうか?

Kiki:はい、中山Dから「どうぞお好きなように」と依頼があったときに、すでに全員のイメージが出来ていました。
できるだけ使い回しの無いよう、それぞれの個性を際立たせることに専念しました。

こちらが新生DOLLSデザインです!

――『ストリートファイター』シリーズで好きなキャラと、その理由を教えていただけますか?

Kiki:キャミィが好きですね、使いやすさもそうですが、戦闘服ではありえない奇抜なデザインとセクシーさの“絶妙な感じ”が良いです。
今回はバトルコスチューム1(戦闘服)デザインを行いましたが、好みの要素すべて盛り込みました。

Kikiさんによるキャミィのアレンジコスチュームデザインと、実際の画面。とてもエッch…健康美あふれる潜入服です!!

――最近で好きな映画、音楽、オススメ作品などあれば、教えてください。

Kiki:最近では『インターステラー』でしょうか。クリストファー・ノーラン監督の不意打ちに毎回やられてますが、今回は一番きましたね。決して切ることはできませんが、どこを切り取っても印象に残るシーンを作れる才能は、本当に素晴らしいと思います。あと音楽がハンス・ジマーというのはもはや最強です。ハンス・ジマーは多くの映画作品、ゲームの音楽を担当されていて、世界観に深みを与えてくれる天才音楽家の一人ではないでしょうか。
洗練された深層心理をくすぐる表現は、いろんな雑念を払ってくれるので作業中によく聞いています。あと、音楽ではないですが、落語は良く聞いてます(笑)。ノリのある話芸は、ある意味、音楽ですね。

――アメコミがお好きとのことですが、好きな作家さんやオススメタイトルがあれば教えてください。

Kiki:1978年の映画版『スーパーマン』に出会ってから、ずっとスーパーヒーローが好きでした。アメコミ自体読むようになったのは、それよりずっと後のことです。ただ強いだけじゃなく、強すぎるがための平凡ではない苦しみ、孤独と戦う姿に心打たれました。アーティストと呼ばれる人間は特殊な能力があり、それがために悩み苦しむこともあったりします、だから多くの面で共感できるヒーロー作品は、自分にとって教科書のような位置づけと考えてます。
好きな作家というか、作品ではスーパーマンシリーズをはじめ、『Crisis on infinite earths』(全DCワールドを巻き込んだ壮大な物語)、フランク・ミラー作品(The Dark knight returns、300)アラン・ムーア作品(Watchmen)、メビウス作品(アンカル)など、古典的な作品が好きですね。

――では最後に、『ストリートファイターV』のプレイヤーに一言、お願いいたします。

Kiki:昨年、アメリカのコミックコンベンションに行ったのですが、現地では“アート”を単なる形ではなく、一つの現象として楽しんでいること、また、アーティストが巨匠であっても、作品を介しフレンドリーに多くの人と交流していることが、とても印象的でした。私もアーティストの一人として、『ストリートファイターV』を介し、多くのメッセージ、感動を与えることができれば幸いです。

――本日はお忙しい中、ありがとうございました!

続いて、BENGUSさんの『ストリートファイターV』の取り組みを紹介します。
どうぞ!

BENGUS

BENGUS

代表作『ストリートファイター』シリーズ、『ヴァンパイア』シリーズ、『MARVEL VS.』シリーズ等、数多くのタイトルを担当。『ストリートファイターV』では、ストーリーデモ、限定版BOXアートなどを担当。

ストリートファイターVへの道

――それでは、『ストリートファイターV』について、担当されたお仕事を教えてください。お仕事のスタートはいつごろから、どのような形での進行だったのでしょう?

BENGUS:担当させていただいたのはストーリーデモ、限定版BOX用イラストです。
1年ほど前から、開発の方とやり取りして進めました。

イーカプコン限定版のBENGUSさんイラストパッケージ。久々のBENGUSさんの手による、ストリートファイター集合イラストです!

――現在公開されているだけでも、けっこうな点数の画像ですね?

BENGUS:今までやったことのない分量で、まず不可能だと思ったので、お断りしようと思ったのですが、いろいろあってお受けしました。同時に、個人的なイベント(両親の引っ越しや自分の引っ越し、その他山盛り)をすべて一人で処理する、という、今までの人生最大の山を必死で越えられたので、良かったです、ありがとうございます。

――必死で…と言うぐらい大変な状況だったのですね…お疲れ様です!

『ストリートファイターV』では、チュートリアルやストーリーデモなど、かなりの数のイラストがBENGUSさんの手で描き下ろされています!そして、実際に収録されているのは、この数倍の数量!!ぜひ、皆さん自身の手で、ご確認ください!!

――『ストリートファイター』シリーズで印象深いお仕事があれば、教えていただけますか?

BENGUS:リキテックスで描いていたころが、思い出深いです。原画をもう一回見たいような見たくないような感じです。

BENGUSさん初期のお仕事、『スーパーストリートファイターII トーナメントバトル』の集合イラストです。
俯瞰視点の空間、中央のリュウへの視点誘導などが、素晴らしいですね!

過去のナゾを解明!

――BENGUSさん個人でご担当されたお仕事について、もう少しお伺いできればと思います。過去、『連邦vs.ジオン』のデモの絵はBENGUSさんが描かれたという噂です。また、『CAPCOM VS. SNK』でデモの森気楼さんタッチの絵もBENGUSさんが描かれたとの噂ですが、本当でしょうか?

BENGUS:『機動戦士Zガンダム エゥーゴvs.ティターンズ』(アーケード)を描きました。「ブラン・ブルターク」がお気に入りです。『CAPCOM VS. SNK』も一部担当させていただきましたが、顔は森気楼さんに修正していただいております。

――子供のころは松本零士先生や鳥山明先生やアニメなどの模写をされていた、とのことですが、どういったキャラ、メカが好きでしたか?

BENGUS:松本零士先生、鳥山明先生はいまだに大好きです。メカは大河原邦男先生、永野護先生のメカが好きです。また、木城ゆきと先生、大高忍先生、渡辺航先生好きです。

――好きな絵描きさんや、作品があれば教えてください。

BENGUS:ヴァニラウェアの神谷盛治さんを、尊敬しております。カプコンに入社したのが同期なんですが、時々会うたびに、「もっとちゃんと描け」的なことを言われております。好きな作品は「ドラゴンズクラウン」です。次回作もめちゃくちゃ楽しみにしております!

――「カプコンイラストレーションズ」(1996年刊)では、AC/DC、RAVEN、RAMONES、IRON MADENがお好きと書かれていますが、何かほかにお好きなバンド、音楽ジャンルはありますか?

BENGUS:当時入れ忘れたのはBlack Sabbath, VENOMです。ちなみに「AC/DC」のトリビュートバンド「AB/CD」のギタリストBengusからペンネームを拝借しております。なので、問題があれば即変更いたします。

――なんと、そんなお名前の経緯が!? 本日は、いろいろ貴重なお話、ありがとうございました!!

さて、いかがだったでしょう?
それぞれのアートを担当してきた流れや、今回の『ストリートファイターV』のアートに関わる想いを感じていただけたかと思います。
ぜひ皆さん、『ストリートファイターV』を対戦しつつ、デザインやデモイラストなどのアート部分にも、ご注目ください!!

そして、まだ未購入の方は、この素晴らしいアートも含め、『ストリートファイター』の新しい世界を、ぜひ体感ください!!