The super dynamic cook!

ある昼下がり、南米の港。

一人の小柄な男が、船に乗ろうとしていた。
派手なマスクで頭部を覆ったその風貌は、港を行き交う多くの人々の視線を
集めている。
当然、船の乗組員は警戒せざるを得ない。
見上げるほどに巨大な商船の乗船口に仁王立ちになった乗組員が腰に手をあて、
小柄な男を胡散臭そうに見下ろしている。
「なんだあ、お前は?」
あきらかにこの船に乗せる気などさらさらない様子だが、
小柄な男は意に介さず、はるか遠方へ向けて話すかのように大声で答えた。
「む、俺か? 問われて名乗るもおこがましいが、俺の名は! エル! フォルテだ!」
風貌のみならず、その声に反応して、さらに多くの顔が振り向いたことに、
エル・フォルテは気付かない。
「い、いきなりでかい声を出すな! お前は船員じゃねえだろう! さっさと消えな!」
乗組員は、エル・フォルテの小柄な体に似合わない大声と強いまなざしに、
一歩あとずさりながらも、眉間にしわを寄せて怒鳴った。
エル・フォルテは大きく頷くと、
「確かに俺は船員ではない! ルチャ・ドール兼コックだ!」
「コ、コック〜?」
乗組員は、さらに眉間にしわを寄せて、彼の全身をあらためて見つめた。
満足そうな笑みを浮かべて、エル・フォルテはさらに続けた。
「ここでコックを募集していると聞いたのでな!
ちょうど海を渡る用事があるので、そこまで働きながら乗せていってもらおうと
参上した!」

そう言いながら、背負っていた大きなリュックサックから、
長年使いこんできたと思われるおたまを取り出し、高々と掲げて見せた。
太陽の光を反射して光るおたまを見て、乗組員も気圧されたのか、
「お、おお。そういうことなら、話は別だ」
と、道をあけ、新たな仲間をつれてタラップを上がり始めた。
「いやー、助かったぜ。コックの野郎、出航は今日だってのに、
いきなり腹が痛いとか言って倒れやがった。
とにかく急な話だもんで誰も見つからねえし、交替で飯を作るしかないかと
思ってたところだったんだ。
いやはや、渡りに船とはまさにこのことだな・・・」

さきほどの様子とは打って変わって、延々と調子よくしゃべり続ける乗組員の後ろから、
エル・フォルテは希望に満ちた面持ちで船に上がっていった。

“大会では、どんな相手に会えるのだろう。
きっと、様々な国から、様々な料理と格闘技を知る者たちが集まるに違いない!
彼らからできるかぎり多くの情報を集めれば、究極のレシピがまた一歩、
完成に近付くはず!“


こうして、情熱的なコック、エル・フォルテを迎え入れたこの船は、まもなく出港した。

その後。
その船で出された食事は、わずか一週間もたたないうちに伝説となり、
長きにわたって海の男たちに語り継がれることになる。
“悲劇のスーパーダイナミッククッキング”として・・・。

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