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4 CEOインタビュー

2期連続の営業増益は改革の成果の証  持続的な成長に向けて、次期は3期連続の営業増益を達成します。

ここでは、この1年間、投資家をはじめとするステークホルダーの皆様との対話において、特に議論の中心となった当期の概況、中期経営目標・戦略、CSR、コーポレート・ガバナンス、財務・配当施策などに関してQ&A方式でお答えします。

代表取締役会長最高経営責任者(CEO) 辻本憲三

2015年3月期の業績

Q1. 2015年3月期は37.1%の減収にもかかわらず、営業利益が増加した要因を教えてください。
Answer
コンシューマにおける内作の効率化やダウンロード売上比率の向上など、改革第1ステージの効果により、2期連続の営業増益となりました。
1.当社を取り巻く市場環境

当社を取り巻くゲーム市場はここ数年順調に拡大しており、現在は大きく3つの分野で構成されています。家庭用におけるパッケージおよびダウンロードコンテンツ(DLC)を合わせたコンシューマ、モバイルコンテンツ、PCオンラインゲーム(以下、後者2つをオンラインと定義)の3つです。
これらを合計した2014年のゲーム市場は、688億ドル(前年比2.4%増)となりました。

コンシューマ・モバイル・PCオンライン市場推移

過年度の2桁成長から、2014年が微増に留まった理由としては、1)モバイル市場が、端末の世界的な普及により急伸しているものの、2)コンシューマにおけるパッケージ市場が、現行据え置き機の発売2年目(端境期)のためゲームソフトの販売本数が減少傾向にあり、DLCなど好調なデジタル販売でも補完できなかったこと、3)海外でSNSを介したPCオンラインゲームの売上が縮小したこと、などによるものです。

2.業績結果と計画未達の要因

このような状況下、当期(2015年3月期)の業績は、売上高642億77百万円(前期比37.1%減)、営業利益105億82百万円(前期比2.7%増)、当期純利益66億16百万円(前期比92.1%増)と大幅な減収ながら増益となりました。とりわけ、営業利益率は16.5%(前期比6.4ポイント増)と大きく向上しました。

グラフ:売上高

グラフ:営業利益

グラフ:当期純利益

減収の主な要因は、1)コンシューマにおける高採算タイトルへの絞り込みによる販売本数の減少 2)型式試験運用方法の変更に伴うパチスロ機の発売延期によるものです。

特に、2)については、当社のみならずパチスロメーカー各社に影響を与えています。

主な減収要因
  2014年3月期 2015年3月期 増減
コンシューマソフト(千本) 17,500 13,000 マイナス4,500
パチスロ機(台) 71,000 24,000 マイナス47,000

一方、大幅な減収ながら営業利益が前期を上回った理由は、過去2期にわたり中核事業であるコンシューマ・オンラインビジネスの仕組みを変更したことに加え、当期にオペレーション・管理体制の仕組みを強化したことです。これら3期・3ステージにわたる改革により、収益性が大幅に改善しました。

利益向上のための改革
第1ステージ
2013年3月期
「コンシューマビジネス」の仕組みを変更
[目的] DLCの強化、内作への移行
第2ステージ
2014年3月期
「オンラインビジネス」の仕組みを変更
[目的] モバイル・PCオンライン分野のマネタイズ(無料コンテンツからの収益)力の向上
第3ステージ
2015年3月期
「オペレーション・管理体制」の仕組みを強化
[目的] 無駄をなくし筋肉質な経営へ転換

特に、コンシューマビジネスにおける原価率の改善により売上原価が大きく減少したことが大きく影響しています。

具体的には、当期の売上原価率(59.7%)は前期(70.7%)から11ポイント改善しており、売上原価の削減効果としては70億円となります。その主な要因は「コンシューマにおける売上原価の改善」であり、下記3点となります。

1)「外注タイトルの改善」として、前期不採算となったタイトルの外注を止め、赤字が解消した効果20億円、 2)「内作タイトルの効率化」として、高採算(大型)タイトルへの絞り込みや60ヵ月マップなどに基づく人員稼働率の向上の効果21億円、 3)「DLC売上比率の向上」として、海外での旧作リピートタイトルのDL販売が伸長した効果が10億円です。

更に、販管費における固定費を11億円削減しました。売上高の減少により販管費率は上昇したものの、欧米でのリストラによる人件費の減少および施設費等の一般経費の削減などを実施しました。

以上の施策の効果により、営業利益率は16.5%(前期比6.4ポイント増)と筋肉質な組織体制を構築することができました。

※遊技機が規則に合致しているか否かを検証する公的試験。一般財団法人 保安通信協会が各都道府県公安委員会から委託を受けて行う。

3.コミットメントの達成状況

期初、私は3つの課題に対処するとお約束しました。それぞれの課題に対して、まず、『モンスターハンター4G』は期初計画390万本に対して期末時点では340万本でしたが、累計では390万本を販売しています。
また、モバイルコンテンツおよびPCオンラインゲームに関しては、売上は計画未達となるものの、営業利益率はそれぞれ20%以上、15%以上となり、営業利益も期初計画を上回りました。

2015年3月期のコミットメント達成状況
1 『モンスターハンター4G』の販売計画390万本を達成 ×
2 モバイルコンテンツの構造改革により、運営力を強化した組織体制を構築し、今期計画(売上高50億円、営業利益率10%以上)を達成
3 PCオンラインゲームにおいて、主力タイトルの大型アップデートに伴う活性化などにより、今期計画(売上高80億円、営業利益率10%以上)を達成

(◎達成、○ほぼ達成、×未達成)

2016年3月期の見通し

Q2. 2016年3月期は増収増益の計画ですが、過去3期にわたる改革の効果が顕現するということでしょうか?
Answer
コスト構造やオンラインビジネスモデルへの対応など、改革の3つのステージの効果が徐々に高まっており、売上高18.2%増、営業利益13.4%増と3期連続の営業増益を見込んでいます。
1.市場の見通し

2015年のゲーム市場は、786億ドル(前年比14.2%増)と引き続き成長を見込んでいます。

これは、1)コンシューマ(パッケージ+DLC)市場では、現行据え置きゲーム機の本格的な普及に加えて、DLCが大きく成長すること、2)モバイル市場はアジア地域の拡大が継続すること、3)PCオンライン市場は欧州やアジアを中心にブラウザゲームが伸長すること、などによるものです。

2.増収増益を計画する根拠

次期(2016年3月期)は、売上高760億円(前期比18.2%増)、営業利益120億円(前期比13.4%増)、当期純利益77億円(前期比16.4%増)と増収増益を計画しています。その根拠は大きく2つあります。

1つ目は、アミューズメント機器事業において、パチスロ機の型式試験運用方法の変更に対応した新機種を複数取り揃えるなどラインナップを強化し、4.5万台(前期比2.1万台増)を販売することで、売上高150億円(前期比98.9%増)を計画していることです。

2つ目は、デジタルコンテンツ事業において、コンシューマやモバイル、PCオンラインの各ビジネスに当社人気IP(知的資本)を活用したコンテンツを投入するなど、ラインナップを拡充することで、営業利益110億円(前期比7.8%増)を計画していることです。

3. 次期へのコミットメント

私が考える2016年3月期の課題は大きく4つあります。それは、1)主力ソフト『モンスターハンタークロス』および『ストリートファイターV』の販売計画合計450万本を達成すること、2)成長戦略の要となるDLCビジネスを更に強化し、次期計画(売上高90億円)を達成すること、3)モバイルビジネスの反攻のキーとなる『モンスターハンター エクスプロア』をヒットさせること、4)パチスロ機の型式試験運用方法の変更に対応した機種を発売し、次期計画(営業利益30億円)を達成することです。

これらの課題を達成するため、無駄をそぎ落とし収益性を高めた筋肉質な体制を維持するとともに、60ヵ月マップの本格運用によるタイトルラインナップの増強や、オンラインでのマーケティング面およびマネタイズ面の強化を図ってまいります。

次期(2016年3月期)へのコミットメント
1 主力ソフト『モンスターハンタークロス』と『ストリートファイターV』の販売計画合計450万本を達成
2 DLCビジネスの次期計画(売上高90億円)を達成
3 『モンスターハンター エクスプロア』のヒット
4 パチスロ機の型式試験運用方法の変更に対応した機種を発売し、次期計画(営業利益30億円)を達成

中期経営目標

Q3. 中期経営目標の進捗について教えてください。
Answer
パチスロ機の型式試験運用方法の変更により、将来のパイプラインの見直しを余儀なくされたため、100億円を減額しました。一方、資本効率重視の観点から、追加目標にROEを掲げました。
1. 企業理念と経営の方向性

当社の企業理念は、ゲームというエンターテインメントを通じて「遊文化」をクリエイトし、多くの人に「感動」を与えることであり、この理念に何ら変わりはありません。この理念を実現するために、当社は世界有数の開発力を基礎として、コンシューマ分野で、グローバルに人気のあるタイトルや数多くのオリジナリティあふれるコンテンツを活用して、「ユーザーを満足させる面白いゲーム」を提供していきます。

また、そのコンテンツを様々なエンターテインメント分野へ展開し、ゲーム以外でも更に多くのユーザーに楽しんでいただくことでファン層および収益を拡大する「ワンコンテンツ・マルチユース」や「5年単位の経営」に基づき、安定した企業成長と、各事業分野で一層の存在感を示す総合エンターテインメント企業を目指します。

図表:当社人気IP(知的資本)とワンコンテンツ・マルチユース展開

2. 中期経営目標の一部見直し、ROE目標の追加

当社は中期経営目標として、2014年3月期から2018年3月期の5年間累計で1)営業利益800億円、2)最終年度の2018年3月期の営業利益率20%、を掲げていましたが、後段の事由により再精査した結果、目標数値を見直すこととしました。

修正後の目標としましては、累計営業利益を800億円から700億円に見直しています。

図表:中期経営目標

一方、2018年3月期の営業利益率20%の目標に変更はありません。
また、新たな数値目標としてROE8~10%(2015年3月期から2017年3月期の3期移動平均)を掲げることにしました。株主の皆様のご期待に応えるべく、資本コストを上回る価値創造企業を目指します。

図表:ROEの実績と目標

3. 目標見直しの要因

アミューズメント機器事業の2年目までの進捗に関しては、累計営業利益計画93億円に対して、実績98億円と、競合各社が苦戦する中、順調に推移していました。

しかしながら、累計営業利益目標を100億円減額した要因は、2014年9月のパチスロ機の型式試験運用方法の変更に伴い、開発中の全機種の仕様変更の必要が生じ、全体の開発スケジュールを見直さざるを得なくなったことです。

2016年3月期以降の3年間は、当初年間4機種の投入を予定していましたが、ルール変更の影響による投入機種数の減少を加味し、今後3年の営業利益を年間30億円~40億円に設定した結果、5年間累計営業利益の当初目標300億円に対して、見直し後の目標は200億円としました。

なお、その他の事業セグメントの目標営業利益は変更しておらず、目標営業利益率については全事業セグメントで変更していません。

4. 中長期の戦略

中期経営目標の2年目までの総括としては、期初の営業利益累計計画225億円に対して実績208億円と、17億円未達であり、目標を達成するためには、成長戦略の要諦である「コンシューマビジネスの拡充」および「オンラインビジネスの拡充」を推進することが鍵となります。

まず、コンシューマビジネスでは、当期の高収益体制(営業利益率20%台)を維持しつつ、ラインナップの充実を図ります。

具体的には、「DLCの強化」として、追加DLCの継続的な投入により、各タイトルの収益回収期間を長期化することに加え、パッケージから本編DLC販売への切り替え促進により、在庫切れなどの販売機会ロスや在庫リスクを回避します。加えて、継続的な追加DLCの配信により、ユーザーを囲い込み追加収入を長期間安定的に獲得します。また、タイトルポートフォリオである60ヵ月マップの本格的な運用を次期から開始します。

次に、オンラインビジネスでは、1)マーケティングおよびマネタイズ面の強化、2)自社タイトルラインナップの増強、3)アジア地域での事業提携を推進します。特に、これまでカントリーリスクを考慮しアジア地域への展開を控えていましたが、現地有力企業と提携したライセンスモデルの導入によりリスクを低減させたことで、今後はモバイルやPCオンラインを問わず、規模が大きく成長余力の高い中国を中心とするアジア地域へ経営リソースを増やしていきます。

具体的には、経営資源の中核である開発人員を現在の1,900名から、6年後には2,500名体制まで拡充するとともに、オンラインビジネスの売上構成比を高めていきます。これらの戦略により、主力であるデジタルコンテンツ事業の営業利益率22%以上を維持しつつ売上を拡大することで、2018年3月期の全社の連結営業利益率を20%まで向上させます。

また、ROEについても、上記戦略を推進し、当社が重視する「収益性(当期純利益率)の改善」に注力することで、目標を達成していきます。

投資と資金調達

Q4. 中期経営目標達成に向けた投資戦略と資金調達についてどのように考えていますか?
Answer
手元現預金とデットファイナンスを中心に資金を確保し、経営資源の約8割を成長戦略に投入することで、事業成長を後押しします。
1. 重点投資分野と投資金額

当社は、中長期的に安定した成長を遂げるため、各事業において成長戦略を策定・実行しています。とりわけ市場規模が大きくオリジナルコンテンツを生み出す源泉であるコンシューマに加え、成長著しいモバイルコンテンツやPCオンラインゲームなどのオンラインビジネスへの十分な投資額を確保することは優先課題と認識しています。更に、現行機に対応した技術研究の強化や、各事業のタイトルラインナップを拡充するため、開発者の増員や開発拠点の新設などへの投資が必要です。

ゲームソフト会社における主たる投資は「人」であり、現在1,900名の開発者を次期も100名以上増やします。また、点在する開発部門を集約し開発体制の効率化を推し進めるため、新研究開発ビルの新設に合計80億円を投資します。

したがって、2016年3月期は当社の経営資源(開発投資額および設備投資額を合わせた金額362億円)の約80%に相当する291億円(前期比28.3%増)をこれらの成長戦略に投資していきます。

グラフ:開発投資額

グラフ:設備投資額

2.資金調達について

コンシューマゲームソフトの開発費用は、高性能かつ多機能な現行機の登場に伴い増加傾向にあります。また、主力タイトルの開発期間は2年以上を要することに加え、追加DLCも開発するため、投資を回収するまでの期間が長期化しています。更にオンラインゲームにおいても発売後の定期的なバージョンアップおよびネットワークインフラの維持に継続的な投資が発生するため、ある程度の現預金を保有しておく必要があります。加えて、世界の経済情勢を鑑み、売掛金などの回収リスクにも一層の注意を払い、資金を確保していくことも重要課題と認識しています。

このような資金調達面での課題を解決するため、当社は投資計画とリスク対応の留保分を考慮して保有しておくべき現預金水準を設定し、これを手元現金27,998百万円とコミットメントライン未実行残高267億円(契約総額267億円)で補完し、適正レンジで維持しています。これからも、金融市場の変化を注視しながら、当面、コミットメントラインを中心としたデットファイナンスによる調達を主軸に財務戦略を展開していきます。

表:手元流動性

CSR(社会的責任)

Q5. 重要視しているCSRの取り組みを教えてください。
Answer
基本戦略「ワンコンテンツ・マルチユース」とESGへの取り組みを融合したCSRを重視しています。
1.CSRの基本的な考え方

当社の企業理念と経営方針をもとに、事業活動を通じて自社のみならず社会の利益へ貢献するとともに、事業活動が社会に及ぼす負の影響を防止・軽減することが、当社の社会的責任(CSR)であると私は考えています。このような社会的責任を果たすことで、株主、顧客および従業員などステークホルダーの満足度向上や信頼を構築する経営に努めています。

環境・社会・ガバナンスの重点取り組み
  重点取り組み
ガバナンス
  • 株主・投資家との積極的な対話
  • 社外取締役比率の改善
  • 社外取締役と投資家とのスモールミーティング
  • 業務監査委員会、報酬委員会の設置
  • 取締役会の議論内容の開示
  • 非財務情報(開発者インタビュー映像等)の開示
社会
  • コンテンツを用いた社会貢献
  • 企業訪問の受け入れや出前授業の実施
  • 従業員のダイバーシティ推進
  • 各地のコミュニティに貢献
環境
  • CO2排出量の削減
2. 重要なCSRの取り組みについて

基本戦略「ワンコンテンツ・マルチユース」の推進により、広く社会に貢献していきます。具体的には、当社人気コンテンツを活用して、1)地方創生(経済活性化)の支援、2)文化啓蒙の支援、3)治安向上の支援、4)選挙投票の促進支援を行っています。例えば、1)では地方自治体と連携して町興しを支援しています。人気コンテンツ(知的資本)を用いたイベントの開催や世界観の実体験など、若年層やファミリー層への訴求により、観光支援に大きな効果をもたらしています。また、2)3)4)についても、共通する課題は若年層の集客やアプローチであり、博物館や警察、選挙管理委員会などへ能動的に提案し、定量的な成果を出しています。このように当社は、強みであるブランドコンテンツを活かした基本戦略の推進により、自社収益と合わせて社会利益の最大化にも努めています。

また、教育支援活動として、ゲームとの正しい付き合い方を啓蒙するリテラシー教育やキャリア教育を実施していることも当社ならではです。これは、ゲームに対する青少年の健全育成面での社会的不安を取り除くための取り組みです。

加えて、私は、グローバルで通用するコンテンツを創出するには、ダイバーシティが重要と認識しており、多様な人材を確保するべく、性別、国籍などに関係なく採用、評価を行っています。この一環として、女性社員の幹部登用および結婚・出産後の就業支援体制の整備、グローバルな人材の確保・育成を推進しています。この結果、現在の女性社員は433名(当社従業員に占める割合20%)、女性社員の管理職は20名(当社管理職に占める割合9.7%)、外国人社員69名(当社従業員に占める割合3.4%)と年々増加傾向にあります。

コーポレート・ガバナンス

Q6.成長戦略の推進にはガバナンスの強化が必要とのことですが、カプコンのガバナンスの特徴を教えてください。
Answer
物言う社外取締役を取り揃え、高い社外取締役比率を確保して、株主・投資家との対話を強化しています。
1.社外取締役比率の向上

当社は中期経営目標の達成に向けて成長戦略を推進しており、一定の業績成果が出つつあります。一方、成長するには事業投資におけるリスクを負わねばなりませんが、私はこのリスクを回避もしくは低減するにはガバナンスの強化が必要条件であると確信しています。

2000年の初めに、ある投資家の方から「創業オーナー企業は、経営の意思決定の迅速さや環境変化への対応について優位性がある一方で、独断専行のリスクも内包している。また、開発部門が中核であるが故に、優秀な開発者にエゴが出た場合も同様のリスクがあるのではないのか?」と指摘されました。

そのため、私は、2002年3月期から社外取締役制度を導入することを決め、2名の方を選任しました。翌年度には更に1名追加し合計3名、社外比率37.5%としたことで投資家の皆様から大変驚かれましたが、2016年3月期は社外比率42.9%まで向上させました。

グラフ:取締役会の社外比率

2.社外取締役の選任基準

選任の基準は導入当初から現在も変わらず、一言で言えば、「各分野で最高レベルの"良識"を持つ専門家に、当社の経営・事業活動を冷静に判断していただくこと」です。

投資家の皆様からは、「コンテンツ分野出身者の方が、事業に有用な助言をできるのでは?」などのご意見を頂戴することもあります。確かに一理あるのですが、私は事業投資リスクを回避することを優先し、「業界事情を斟酌せず、創業者にも物怖じせず、正論を意見できる日本トップクラス(経営危機管理・法令・行政)の方々」を選任することが、より当社の企業価値の向上に寄与すると考えています。

また、「会計や経理の専門家の方が不正をチェックしやすいのでは?」とのご指摘もあり、2012年3月期に「業務監査委員会」を設置しました。当該委員会は経理や開発の出身者で構成し、社外からは見えにくい業務内容でも、元担当であるからこそ察知できる可能性が高まるとともに、2名の社外監査役を中心とする監査役会と連携して、取締役会に報告することで、問題の把握と適切な経営判断を可能にしています。

3.ガバナンスの実効性の確保

ガバナンスの実効性を確保するには、企業に社外取締役を活用する意思がなければならず、そうでなければ単なるアリバイ作りになりかねないと私は考えています。体制に魂を入れるには、社外取締役の働きぶりを評価できるよう、株主の皆様の目に見えるようにする工夫が必要です。そのため、当社では、ガバナンスの第三者評価や取締役会の議論内容を公開しており、取締役会で数多くの厳しい指摘がなされていることがご覧になれます。

このように活発な議論が交わされるよう、様々な工夫をしています。例えば、毎月の取締役会以外に定期的に担当役員が社外取締役に現状の課題や計画の進捗などを報告する他、意見交換も行っています。加えて、取締役会資料も数字を主体とした「経営の見える化」を実践するなど、社外取締役への情報提供や支援体制の構築に注力しています。

また、当社では、「攻めのガバナンス」として、株主との対話や株主の権利・平等性の確保、適切な情報開示・透明性の確保などにおいて様々な施策に取り組んできました。特に、買収防衛策に関しては、この1年間、国内外の投資家と対話し、反対の要因を分析しました。その結果、当社の考えを丁寧に説明し相当程度にご理解をいただくとともに、投資家の意見も数多く取り入れ複数箇所の項目を変更するなど、適正な手続きを確保しています。

今後とも、適正な成長戦略を推進するため、継続してコーポレート・ガバナンス体制を強化していきます。

株主還元

Q7.2期連続で当期純利益も増加していますが、配当金の増額はどのように考えていますか?
Answer
基本方針にしたがい、年間40円の配当を継続します。
1.配当に関する基本方針

当社は株主の皆様への利益還元を経営の重要課題の1つと考えており、財務構造や将来の事業展開などを勘案しつつ、安定的な配当を継続することを基本方針としています。

また、事業投資成果の配分(配当や内部留保への割合)に対する考え方としては、Q4の「1. 重点投資分野と投資金額」でお答えしたように、私はこの時代の変わり目こそが成長のための投資の好機であると捉えています。そのため、事業から生じるフリー・キャッシュフローは、将来に向けた事業投資のための原資として優先的に活用したいと考えています。

株主還元の方針としましては、1)投資による成長などにより、企業価値を高めるとともに、2)安定配当を旨としながら、業績水準に応じた配当を継続すること(配当性向30%をイメージ)、3)自己株式の取得により、1株当たり利益の価値を高めること、としています。

カプコンの配当イメージ

2.当期および次期の配当

当期(2015年3月期)は、パチスロ機の発売延期により減収となったものの、3年にわたる改革の成果として収益性が改善し営業増益となったことに加え、前期計上した特別損失が解消し当期純利益は大きく増加しました。したがって、2015年3月期の配当は、上記の基本方針に則り配当性向34.0%となる年間40円を継続しました。

次期(2016年3月期)の配当は、配当性向29.2%となる年間40円を予定しています。今後も投資の原資を確保しつつ、業績水準に応じた段階的な配当金額の引き上げや、自己株式の取得などにより、株主還元を強化していきます。

グラフ:1株あたり配当金

グラフ:配当性向

グラフ:総還元性向

株主の皆様には今後とも一層のご支援とご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申しあげます。

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