開発部ブログ

命を吹き込む

シナリオディレクター:山﨑

更新日時:2013年08月19日

みなさん、こんにちは!
シナリオディレクターの山﨑です。

早いもので、『逆転裁判5』の発売からそろそろ1ヶ月が経とうとしています。
もうクリアしてくださった皆様、楽しんでいただけましたでしょうか?
プレイ中だよ!という皆様、ゆっくりと楽しんでくださいね!

先日、逆転裁判5のボイスドラマの収録に立ち合ってきました。
声優さんの声がキャラクターに命を吹き込んでいく様は、圧巻のヒトコトでした。
是非とも音泉さんで配信中の予告編を聞いてください。その生き生きとしたキャラクターと、《美少女魔術師》というコトバの破壊的な難しさに舌を巻くことかと思います。
‥‥やっぱりプロの声優さんたちは、スゴイですね。
8/22(木)から配信開始ですので、お楽しみに!

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さて。
今回は、開発終盤でゲームに《命を吹き込む》大事なお仕事「スクリプト演出」のお話をしたいと思います。

逆転裁判シリーズでは、「スクリプト」と呼ばれるものを使って、キャラクターのアニメーションの切り替えや、文字の表示スピード、BGMやSEのタイミングなどなど‥‥ゲームの色々な要素を制御できるようになっています。

このスクリプトを使って、演出をほどこしていくのが「スクリプト演出」です。
キャラクターにどんな表情をさせ、どんなタイミングで何の音を鳴らすかなどを、シナリオ担当の演出指定を元に「スクリプト演出」の担当者が決めていきます。ちゃんとスクリプトで演出してやらなければ、ナルホドくんはずっと止まったまま。「異議あり!」のSEも「追求」のBGMも流れません。

例えば、キャラクターのセリフも、早口でまくしたてるシーンでは素早く表示し、おっとりした性格のキャラクターならばゆっくりと表示するように演出します。これは、「ユーザーさんの頭の中でキャラクターの声が響くように」演技をさせているんです。まさに、声優さんと同じように、キャラクターに命を吹き込んでいるわけです。

この「スクリプト演出」、本当に奥が深いんです!
なにせ、ゲームのほとんどすべての要素をコントロールできるのですから、その幅の広さたるや無限! まるで神にでもなったかのよう! こだわろうと思えばどこまでもこだわれ、時間をかければかけるほど、演出に深みが増していきます。

シナリオを書いた人間としても、演出がついたゲームを触るのが楽しみで仕方がありません。シナリオ担当がイメージしていた事が実現されているのはモチロンのこと、演出のチカラでイメージの何倍にも面白さが増幅されるんです!

『逆転裁判5』で、主に演出を担当してくれたのは、3人の“神演出家”たちです。
中田さん、天野くん、伊藤くん。3人とも、文字と絵と音を意のままに操って、最大の効果をあげる神演出をしてくれました。

是非、演出にも注目してプレイしてもらえたら嬉しいです!

そして‥‥
彼らは“神演出家”であると同時に、“噛み演出家”でもありました。
クオリティを上げるためならば、シナリオディレクターに噛みついてでも戦う! そんな男気のある連中だったのです。

とある短いシーンの演出を、スクリプト担当最年少の伊藤くんにつけてもらったときのことでした。

伊藤「このシーン、いまいち盛り上がらないんですよね。
   
シナリオの流れいじった方が良くないっすか?」

「ガブッ!」ときました!
その噛みつきかたたるや、ゾンビも顔負け。
彼の目は、クオリティを求めて妥協を許さぬ“クオリティ・ゾンビ”の眼差しになっていました。

「そう簡単には納得しないぜ」と顔に書いてあります。

山﨑「はっ! 何を言ってやがる。このケツの青いワカゾウが!!
   
お家に帰ってネンネしてな!」

僕も負けじと、ディレクターの権力という名のショットガンで応戦します。

伊藤「そのセリフは、これを見てから言ってほしいですね‥‥。くらえ!」

‥‥とばかりに伊藤くんがぶつけて来たのは、A4の紙数枚にわたる資料。そこにはシナリオのおかしいところの分析から、解決策までがびっちりと書かれていました。

山﨑「うぎゃあああああああ!」

つきつけられた証拠の前では、権力という名のショットガンも豆鉄砲に過ぎません。僕は、叫び声とともに、降伏するしかありませんでした。しかし、たったひとつの短いシーンのために、わざわざ資料を作成する情熱に、僕は感動しました。

スクリプトの演出は、ゲーム制作の最終段階。演出をつけてみると分かってくる問題点も多いのです。スクリプト演出の担当者が、そういった問題をみつけてくれます。
「逆転裁判」はあくまでゲーム。小説ではありません。スクリプト演出をつけることで、絵や音が入ってはじめて完成形になります。“演出をつけても盛り上がらない”ということは、シナリオがゲームの流れに合っていないことが多いのです。それに、「こんな演出がしたい!」と面白い提案をもらったら、それに合わせてシナリオやセリフを変えることもよくあります。

 

もちろん、逆にシナリオ担当の方がゾンビになって「ガブッ!」と演出のダメ出しをすることもしばしば。それぞれの担当者がお互いに戦いながら(?)修正と調整を重ねていくことで、シナリオとスクリプト演出が高いレベルで融合していくのです。

しかし‥‥妥協を許さない“クオリティ・ゾンビ”は、「スクリプト演出」の担当者だけではありません。制作の終盤になるとチームのメンバー全員が、“噛みつき”攻撃を繰り出してきます。

メンバー「異議あり! このトリックはムジュンしています!」

山﨑「ぎゃあ!」

メンバー「待った! このギャグの意味がマッタク分かりません!」

山﨑「うぐおおおおッ!」

メンバー「くらえ! 納得できないシーンのリストです!」

山﨑「ひゃいいいいいいいいいいい!」

‥‥こんなやりとりを、最後の最後まで続け、ギリギリまでクオリティを上げていきました。“噛みつき攻撃”に血だらけになりながら、スタッフの見つけてくれた問題点を修正し、提案してくれるアイデアを取り込むことで、セリフや演出を最後まで調整してみがきあげていきます。こうして、制作者の血を対価として(?)ゲームに《命が吹き込まれて》いくのです。

思えば『逆転裁判5』という風呂敷は、本当に大きな“大風呂敷”でした。それを、チームのみんなでチカラを合わせてたたみました。誰1人欠けても、たたむことはできなかったと思います。チームのメンバー全員に感謝しています。

そして‥‥何よりもその風呂敷に包まれた贈り物を受け取ってくださったユーザーの皆様にお礼を言いたいです。本当に、ありがとうございました!

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でも、逆転裁判5は、まだまだ終わりません!

「コスチュームパック」「クイズ逆転推理」「特別編・逆転の帰還」といったダウンロードコンテンツも現在絶賛配信中です。「ボイスドラマ」の配信に、「公式ビジュアルブック」と「サウンドトラック」の発売もひかえています。末永く『逆転裁判5』の世界で楽しんでもらえたら嬉しいです。

『逆転裁判5』の物語が終わっても、逆転裁判の世界は続いていきます。
またどこかで、皆さんにお会いできるときを楽しみにしております。
“成歩堂なんでも事務所”のみんなを、これからもどうかよろしくお願いします!

さて。
ここまで続いてきました公式開発ブログも、ついに次回が“最終回”です。
オオトリを務めるのは、我らが江城プロデューサー!
どのような幕引きになるのか、乞うご期待です!

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