開発者インタビュー

モンハンラジオ 良三の部屋の名物コーナー、「モンハン部放送局3rd」のMCである高橋 未奈美とモンハン部編集長 モテヤマがスタジオを飛び出しカプコン本社(大阪)で『モンスターハンターワールド:アイスボーン』の開発者インタビューを敢行!ラジオでは大幅にカットされた貴重な内容を余すことなく皆様にお届けさせていただきます!

  • 第一回 ゲームデザイナー編
  • 第二回 デザイナー編
  • 第三回 サウンド編
  • ゲームデザイナーのお仕事って?

    高橋:この時間はモンハン部放送局3rdのコーナー!この番組では“みなちょ”こと高橋未奈美です。

    モテ:モンハン部編集長のモテヤマです。

    高橋:『モンスターハンターワールド:アイスボーン』の制作秘話を直接現場の開発スタッフさんに聞いちゃおうというコーナーでございます。今回も大阪のカプコン本社からお届けしております。
    今日は6名と人数が多くて、囲まれている感が半端ないです。

    モテ:メインで喋るのはお3方で、もうお3方がお目付け役というかツッコミ役として控えています。

    高橋:言っちゃダメなことは即時止められるかもしれませんが、そこは私たちの話術でポロポロこぼしてもらって、視聴者の皆さんにより深い『アイスボーン』情報をお届けできたらと思います(笑)。

    モテ:それでは皆さん自己紹介をお願いします。

    飯田:入社15年目くらいになります、プランナーの飯田知典(いいだ とものり)です。『アイスボーン』では、オトモ周りの担当をしていました。

    坂田:入社4年目の坂田 玲依子(さかた れいこ)と申します。『アイスボーン』では観察キットやフィールドにいるNPC周りの担当をしていました。

    松下:はい、入社3年目の松下 麻佑香(まつした まゆか)です。『アイスボーン』ではマイハウスを中心に拠点やロビーの担当をしていました。

    高橋:ではお目付け役のお3方にも簡単に自己紹介をお願いします。

    市原:『アイスボーン』のディレクターの市原大輔(いちはら だいすけ)です。よろしくお願いします。

    鈴木:ゲームデザイナーセクションのメインをさせていただいています、鈴木佳剛(すずき よしたけ)です。

    相良:NPC・観察キット関連のお目付け役で来ました、企画の相良祐助(さがら ゆうすけ)といいます。

    高橋:前回のデザイナーさんチームは入社3年目の若手でしたが、皆さんはゲームの酸いも甘いも知り尽くした人達ということでよろしいですか?

    飯田:そうですね。僕1人は15年くらいやっていますから。

    モテ:じゃあ酸いも甘いも、光も闇も知っていると。

    高橋:今日は光の部分だけ話していただいて(笑)。まずは『モンハン』の企画マンってどんな仕事をしているのか、ゲームデザイナーさんのお仕事の内容をお聞かせください。

    ゲームデザイナーチーム:………………。

    高橋:譲り合いの精神がすごい!無言で譲り合うのはやめてもらっていいですか(笑)。

    飯田:まあその、『モンハン』の企画に限定していないのですが、カプコンの企画はディレクターからこういう方針でゲームのことを考えてほしいというオーダーがあって、それに対して各ユニット――、僕であればオトモユニットという塊でゲームを作っているんです。そのユニットでどういうものを作ろうかと考え、企画書を書いてディレクターや関係セクションと相談して作っていくのが大まかな流れです。

    高橋:世界観は統一されているけど、いろんな場所で考えている人が違うってことなんですね。

    飯田:基本的にはディレクターが方針として「こういうものを作ろう」と決めてくれるので、それに従って各担当者が各々「こういうのが面白いんじゃないか」と考えて作っていくのがカプコンの作り方ですね。

    高橋:『アイスボーン』では飯田さんが担当されていたオトモがゲームの中で大きく活躍していますね。前作の『ワールド』から、飯田さんが追加した要素としてはどんなものがありますか?

    飯田:大きな要素としては、プレイヤーがオトモダチとなったモンスターに騎乗できるライドモンスターと、獣人族と交流を深めることでアイテムを交換できる“ぶつぶつ交換”ですね。

    高橋:モンスターに乗って移動するって『モンハン』の狩りの世界ではなかった考え方じゃないですか。『モンスターハンターストーリーズ』では、オトモンとしてモンスターに乗れましたが、それを『ワールド』にも追加要素として出すというのは、勇気が要ることだったのでは?

    飯田:最初に僕たちオトモユニットでは、オトモがモンスターに乗ってがんばるという要素を伸ばそうかなと思って企画・立案をしていたんです。でも藤岡要エグゼクティブディレクターから「いや違うねん、プレイヤーが乗りたいねん」っていう話を聞いて。僕たちも「あっ、プレイヤーがモンスターに乗りますか……」と、相当困ったんです。

    高橋:やっぱり困ったんですね(笑)。

    飯田:市原ディレクターとも相談しました。『ワールド』から作りが大きく変わり、マップが複雑だったり、全体的に広いフィールドもあるので「移動がちょっとしんどいよね」という話になって。そこで気軽に移動できるタクシーみたいなものを作ってほしいというオーダーをいただきました。「モンスターでタクシー……うん」と、いろいろ考えて作った結果が今リリースされているものです。

    高橋:みんなモンスターを乗りこなしていますよね。今まではスタミナゲージを減らしながら走っていましたが、本当に便利になったなって。「モンスターは狩るだけじゃないんだ」と、より親近感が沸きましたし。それに獣人族ともコミュニケーションを取っていいんだって思いましたね。

    飯田:『ワールド』のときは戦闘面でしか絡みがなかったので、今回は探索中に彼らがどういう生活をしていて、どんなものが好きなのかを知る機会を作ってみたかったんです。アイテムのぶつぶつ交換では、彼らは人間とは違う彼らの価値観で物の良し悪しを決めているのが分かります。例えばハンターからしたらしょうもないアイテムでも、キラキラした石が好きな子はすごく喜んで欲しがってくれたりとか。そんな風に彼らの文化圏で作れないものを興味津々で欲しがるというのを、キャラクター設定として作ったつもりです。

    高橋:地域によって欲しがるものが違うとか、1つ1つのキャラクターの性格を考えるのは大変そうですね。

    飯田:各地には3人アイテム交換できる子がいるんですけど、1回クエストに入ったときに最大3回までしか交換できないんですよね。アイテムを出したときのリアクションはそれぞれの好みによって異なります。「これが欲しい」という子はものすごく欲しがるし、興味ない子はそっぽを向いていたりします。「この子にこれを渡してみたら、何をくれるかな?」とか、「興味のないものを渡したら?」と試すことを楽しんでもらえたらと。あまりイイものをあげなくてもいいように作ったつもりですので、いろいろ試すと傾向が読めるようになると思います。

    高橋:今までの狩りメインの『モンハン』と違う面が『アイスボーン』にはたくさんありますよね。この世界に住んでいる人たちが身近に感じるぶん、よりその世界に没入できるなあって思います。今回の観察キットはそういった面でも役立っていますよね。

    坂田:今回の『モンハン』の世界は細部まで作り込んでいるので、観察キットを作るに当たってはそういう部分にフォーカスして見せたいなと思いまして。そこで自分が担当するNPCと結びつけたのが、観察キットを使った獣人族学者からの依頼ですね。観察キットでこの世界に住んでいる人たちを記録し、学者に報告することでより世界観を楽しんでもらおうと、市原ディレクターに提案しました。自分発信でやらせていただいた企画になるので、相良さんにもGOサインをいただいたのがありがたいですね。

    高橋:いいですね、放送局が感謝を伝える場になるなんて……。

    飯田:今のはカットしてもらえると(笑)。

    高橋:なんでですかー(笑)。でも、新しいものを作るのってメチャメチャ大変じゃないですか?

    坂田:そうですね。仕組みが全く無かったので、世界観を見せるにはどうしたらいいのかを相良さんと悩み、市原ディレクターに見てもらいながら作っていきました。私はチームではまだ若手なので、新しいことに挑戦できる環境にしていただいたのは本当に感謝しています。

    高橋:考えるときって、ゲームデザイナーさん同士で悩み相談とかするんですか?

    坂田:それは普通にしますね。こういう企画ってどうだろうと相談すると「もっとこういう考えやアプローチはできないか」とか、いろんな視点や考えをもらえたりもします。みんなで悩みながらも楽しみつつやっていくという感じですね。

    高橋:やっぱり飯田さんもいろいろアドバイスしてくれるんですか?

    飯田:いや特には……(笑)。

    坂田:飯田さんはオトモ担当なので「この獣人族はどんな性格なの?」と聞いたりしましたよ。

    高橋:つまり飯田さんは獣人族の長ってことですね?

    飯田:まあ、そうですね(笑)。

    高橋:ゲームデザイナーさんでもそれぞれ担当が違うということは、やはりコミュニケーションが大事になるんでしょうか。

    飯田:そうですね。多分、1番大事なことだと思います。

    高橋:だから今日もこんなにコミュニケーション能力が高い人たちが集まっているのかしら……?

    松下:いやあ(笑)。

    坂田:ユーザーさんに楽しんでもらいたいという気持ちは一緒なので、いろんな人の話を聞いていいものを取り入れていこうというのは皆変わらないと思います。

    飯田:いい話するねえ……。

    モテ:ちなみに、ゲームデザイナーチームとしては何名くらいいらっしゃるんですか?

    飯田:いっぱいいますよ。数えられない。

    市原:最大で40名前後は在籍したことがあります。

    モテ:学校の1クラスですよね。

    市原:チーム全体のミーティングになるととんでもない数の意見になるので、まとめて上げてくださいっていうことにしています。

    高橋:なるほど、それをまとめてまた揉んでと。ご苦労されているんですね。

    飯田:だからディレクターの白髪がみるみる増えて心配でした(笑)。

    モテ:ちなみに市原ディレクターは生放送にも出演していますが、毎回疲れているという……。

    高橋:ゲームは発売したけど、まだまだアップデートなどで走り続けなければいけないですもんね。今回はマイハウスもいろいろと要素が追加されていますが……。

    松下:はい、『アイスボーン』では模様替えができるようになりました。

    高橋:そういったアイデアは女子ならではなんでしょうか?

    松下:いやあ、私がこのチームに入ったときにはもう先輩の男性が企画を立てられていて、それを引き継いだんです。

    高橋:そうだったんですね。でもいろいろ可愛いものを置いたりとかの提案とかは……?

    松下:ええ、モノを作る前にデザイナーの方に「こんな家具があったらいいな」という話を持っていって、その中でいくつかの提案が採用されました。可憐な部屋セットなどがそうですね。もともとのコンセプトとして、プレイヤーがお気に入りのものを飾って個性が出るような部屋を作りたいと考えていました。ですので、いくつかあるスタイルの中の1つとして可愛いものも用意させていただきましたし、自分の好みのものも入れさせていただきました。

    高橋:ちなみに拠点のものなどは……?

    松下:拠点をおもに見られていたのは鈴木さんですね。私も班は一緒なのですが、担当はマイハウスで。

    鈴木:前線拠点としてセリエナが登場しましたが、『MH』は利用できる施設が多いですよね。ユーザーさんがクエストに行って帰ってくるというサイクルの中で遊びやすくするために、それぞれの施設が近い範囲でなるべく使いやすくする、というコンセプトで拠点のデザインを行いました。その一環として松下がしっかりとマイハウスを見てくれたので、こちらとしては信頼して任せることができました。

    松下:ありがとうございます。ちょっと恥ずかしいですが(笑)。

    飯田:カットしよう(笑)。

    高橋:こういう話も必要ですからー(笑)。

    モテ:松下さんはマイハウス専門でやられていたのでしょうか。

    松下:マイハウスをメインにしつつ、他のこともやらせていただいていましたね。

    モテ:結局、1個のことに集中できるわけじゃないんですね。いろんな仕事が入ってくるから。

    高橋:そんなに並行して考えられるものですか?私は1つのことを考え始めると、そのことしか頭になくなっちゃうんですけど……。

    松下:自分の中で「今日はこれだけやる」というのを決めます。マルチタスクは難しいので、その日はそれだけしか考えないようにして次の日に別のことを考える、という形で完全に頭を切り替えてやっていました。

    高橋:すごい!でも、そうやって取り組んでいても苦労した点というのはありましたか?

    飯田:『アイスボーン』は『ワールド』のアップデートですけど、『ワールド』が発売される前から企画が動き始めたものもあるんですね。まだユーザーさんの反応が分からないうちに「多分こういう気持ちでプレイするだろう」と想像して企画を進めるのは難しいですね。

    高橋:まだゲームをプレイしていない人たちの気持ちを考えるって、無理ですよね!?

    飯田:プレイするときにこういう感覚を持ってほしいと定めて作ってはいるので……。どのレベルまで遊んでくれているかのバランスを考えながら新しい企画を立てていました。

    高橋:結果として『ワールド』が世界的に大ヒットしましたが、それはチームの皆さんの力になりましたか?

    飯田:そうですね、自分が今まで携わったタイトルの中で1番売れているタイトルになったので、うれしい反面、正直怖いなとも思いましたね。

    高橋:世界中のプレイヤーがおもしろいって楽しんでくれているのは、開発者にとって自信にしかならないと思っちゃうんですけど、そうじゃないんですね?

    飯田:たくさん売れた作品のアップデートであり、その次を作るという部分でプレッシャーがありました。もし至らないものを作ったら多くのお客さんが悲しむだろうと思うと、しょうもないものは作れないですし、もっといいものを作りたいですから。

    高橋:先ほどのマイハウスのデザインや設備もそうですが、そういった新しいことって、どういうところで思いついたりするんですか?会社にずっといて考えていると「プレッシャーだぜ」ってなりませんか?

    松下:マイハウスで言えば、模様替えでどんなことをしたら楽しいかなと考えたとき、他のゲームをプレイしたときの体感や経験から着想を得ながらアイデア出しをしていました。ゲームを作る以前に、ゲームプレイヤーでもあるので『ワールド』以外の他社さんのタイトルも遊んでいますよ。時には電車で見る広告も参考にしたり、家具のカタログを見たりもします。

    高橋:いろんなところからエッセンスを取り込んでいるんですね。会議ではゲームデザイナーさんだけじゃなくて、他のセクションの方たちとも話したりするんですか?

    飯田:しょっちゅうですね。むしろ、他のセクションとの会議の方が多いです。

    ゲームデザイナーに必要なのはコミュ力と、お口チャック!?

    モテ:ゲームデザイナーって、いわゆるゲームの設計図を書く人たちなんですよね。大工さんの立場に当たるのがプログラマーやデザイナーで。だから実際に作るパートの人たちと会話することが多いわけですね。

    高橋:でも何を勉強したらゲームデザイナーになれるんですか?

    モテ:それは学生さんなどゲームデザイナーを目指す人も聞きたいところですよね。皆さんはどうやってこの職に就いたんですか?

    飯田:相当昔のことなので、今の学生さんとは違うかもしれませんが……。僕はアルバイトで入ったんですよ。就活もやめて「絶対ココに潜り込もう」という強い意志を持って、一生懸命働いて今に至っています。

    高橋:最初からゲームデザイナーさんとして入ったのですか?

    飯田:最初は雑用ですね。

    モテ:昭和のゲーム制作人の典型ですね。最初はアルバイトから入ってデバッグしたり、徐々にデータ打ちをやったり。その内に「じゃあこの企画書いてよ」って言われてプランナーに収まると。

    高橋:実力が認められて今ここにいる、というわけですよね!

    飯田:そうだといいなーとは思います(笑)。ただ、今の学生さんとは違うルートですから、参考にするなら若手の松下や坂田のほうが……。

    松下:私の場合は大学からカプコンに入社しました。もともとゲームの企画をしたいと思っていたのですが、ゲームデザインの勉強をするんじゃなくていろんな会社のインターンをしてコミュニケーション能力だとか、ゲームの企画書の書き方などの情報を得るようにしました。カプコンに入社するときにはゲームデザイン能力というよりかはコミュニケーションが取れるとか、自分の思っていることをちゃんと説明ができるという部分を見てもらって、採用していただいた形です。

    高橋:やっぱりゲームデザイナーさんはコミュニケーション能力が大事なんですね。

    モテ:ディレクターやプランナーにとっては1番大事かもしれませんね。ゲームを実際に作る職人さんたちの中にはクセの強い人もいるかもしれませんが、そういう方たちも束ねるためにもコミュニケーション能力が大事ですよね。

    高橋:坂田さんはどうやってプランナーに?

    坂田:私は大学院の工学部からこの会社に来たんです。全然違う畑ですけど……。昔、小学校のアルバムに将来の夢を書く部分があったんですが、それにゲームクリエイターになってゲームを作るって書いていて。そうして就活のときにそのアルバムを見返して、やっぱりゲームが作りたいんだなって思ってゲーム会社を受けたんです。カプコンしか受けていないですけど。

    高橋:強い意志!

    坂田:最終面接の日に緊張しすぎて、それを解そうと1時間だけヒトカラ行って歌ってから会場に行きました。そうしたら面接官に「君、声デカいね!」って言われて(笑)。その元気のよさで採用されました。

    高橋:いろんな入り方があるというか、カプコンさんって懐が深いですよね。前回放送のデザイナーさんたちも、『モンハン』では新人の方をチームに入れて育てることも担っているって話をされていたんですけど、経歴とか関係ないんですかね?『モンハン』やりたいやつ集まって来い、みたいな?

    鈴木:決してそういうことだけで採っているわけではないんですけども(笑)。企画職って他の職業に比べると毛色が違っていまして、例えば絵が上手いとかプログラムがきっちり書けるとかのように、明確にこれをすれば企画ができるという定義がしにくいセクションではありますね。これから就職される方やインターンの方によく説明させていただいているのは、まずはいろんな人生経験を積むということです。いろんな映画、あるいはドラマでもバラエティ番組でもいろんな映像を観て情報を仕入れたり、様々なゲームで遊んだりして経験を積んでね、ということはお話しています。自分の引き出しを増やしておくことでアイデアの種になったりもしますし。あとは先ほども出ましたがコミュニケーション能力ですね。いろんなところでバイトして接客するもよし、とにかく物怖じせずに周りの人と話ができる土台を作っておいてねということですね。

    高橋:さっきも松下さんが電車の広告から着想を得たっておっしゃってましたもんね。

    モテ:常にアンテナを張っているわけですよね。

    高橋:ちなみに『アイスボーン』でご自分のパート以外で驚かされたアイデアってありますか?

    ゲームデザイナーチーム:………………。

    高橋:ウソでしょ~(笑)。コミュニケーション能力は!?みんな自分のところしか興味ないんですか?

    坂田:自分の担当パートは今まで『モンハン』になかった要素だったので、それに一極集中しすぎたせいか、あまり周りを見ていなかったですね(笑)。

    松下:正直ですね。

    坂田:この場にはいないのですが、私の観察キットをもう1人の上司に見てもらっていたのですが、資料を見せながら相談していたときに「こういうことは考えている?」と細かいところまで見てくださって。チームに入るまでは単純に企画って面白いものを作ればいいと考えていたのですが、そういうわけじゃないんだと。目からウロコではないですが、そういう考え方もあるんだと学ばせていただきました。

    高橋:相良さんはそんな風にチームをまとめていらっしゃるわけですよね。

    相良:まあ、今のは僕が褒められたわけじゃないですけど(笑)。さっきチームが言葉に詰まったのも、数あるエピソードのどの話を言おうか悩んだからかなと思います(笑)。ゲームは1人が全部を作れるわけではないので、分業して各要素に担当がつくのですが、制作中は意外と他の部分を知らなかったりするんです。それはあまりよくないのですが、それでもチェックプレイなどで他の方が作っている部分を見ると「ああすごいな」と思うところがあります。例えば、NPCで言うと僕は会話の部分は作っていませんが、担当者に話を聞いてみるとキャラクターを立たせるために細かい部分も気にしているんです。会話ってゲーム中で見ていると何気なく流れていきますけど「あるキャラクターを明るくしているんだったら、もう一方は静かで大人しめな人にしてみたりと緩急をつけているんだよ」なんて聞くと、なるほどねと。どんな要素でも作り手に重視していることを聞くと「あ、そこも気にして作っているんだ」と感心しますね。聞いてみなくても遊んでいるうちにその気遣いを節々に感じたりもします。

    高橋:では、お3方が担当された部分で、ここはユーザーの皆さんに注目してほしいなというセールスポイントを教えていただけたらと思います。

    飯田:今回新しく出たモンスターライドで、ユーザーの皆さんがあまり気づいていないのかなと思ったことがあるんです。騎乗中に走らせたり、停止させたりと指示が出せるのですが、仕草のアクションをしているときに走り命令を出すと仕草をキャンセルしてすぐに走ってくれるんです。他にも細かく遊びやすくなる仕組みを入れてはいるのですが、分かりづらい部分もあってお客さんに届いていないなと思うことはあるんですけど……。時間に縛りがない探索などでいろいろ試してもらえればと思います。『MH』はモンスターを倒して進んでいくゲームですが、幅広いコンテンツを盛り込んでいます。環境生物やオトモダチを集めたり、背景を眺めて写真を撮ったりするのもいいものですよ。先に進みたい気持ちも分かるのですが、休憩がてらいろんなことをして、ゆったりゲームを遊んでいただければと思います。

    モテ:モンスターライドはユーザーさんの反応が出てないうちからカユイところに手が届く機能を入れていましたってところが多いですよね。まさかモンスターに乗りながら食べたり回復薬を飲めるなんて考えられませんでしたからね。

    高橋:確かに!そういうのも皆さんが考えられているんですよね。坂田さんのパートのセールスポイントとしてはいかがですか?

    坂田:やはり可愛い獣人族の姿を見ていただきたいですね。皆さんも気づいてくださっていますが、オトモアイルーに観察キットを向けると何かしらの反応をしてくれます。自分の相棒と戯れていただけるとうれしいですよね。モーション担当の方もノリノリで作ってくれました。

    高橋:そういう点でも、この世界で生きているという印象がより濃くなった気がします。

    坂田:そこに馴染む、というテーマも強かったと思います。観察依頼の内容も、世界観を壊さないけれども皆さんに楽しんでもらえるようにと考えました。獣人族がこの世界でどう生きているのかを感じ取っていただければうれしいなと思います。

    高橋:これを聞いた皆さんはより獣人族とコミュニケーションを取ろうと思うでしょうね。

    モテ:狩りに集中しちゃうと忘れがちな要素なんですけど、そこにフォーカスしてみると「こんなリアクションもあったのか!」って気づきますよね。

    高橋:隠していないけど隠し要素みたいなに感じるものってたくさんありますよね。

    坂田:さっきも出たように、ゆったり探索していただいくと、獣人族に限らずモンスターもいろんな行動をしているのが分かります。動物の行動・生態を考察する行動生態でより『アイスボーン』の世界を楽しめるのではと思います。

    モテ:僕、1個聞きたいことがあったんですけど、セリエナのキッチンで働くアイルーたちのパン作りがSNSでフィーチャーされていたんですよね。「このパンの作り方、ちゃんとしている」って。あれはどこから……?

    相良:NPCなので僕がお答えしますが、あれはモーション担当の方がキッチンを作るうえで入れたものなんです。おそらくアートディレクターとの話し合いのうえで必要だろうとなったのだと。確かに相当リアルですよね。よく見ると小麦粉にイーストを入れて、水を入れて練って、さらに寝かしてという工程が行われています。それで膨らんだものを焼いているんですよ。焼いたパンはキレイに焼き色がついて、焼けたらカゴに入れるという流れまで、ひと通りあります。僕も初めて見たときに感動しまして、担当者に「これはちゃんとイーストを入れて捏ねているんですよね?」と聞いたら「そうなんですよー」と。ちゃんと考えているんだなあって。

    高橋:そんな風にゲームデザイナーさんが骨組みを作って「これよろしくね」って頼んで上がってきたものの中に「こんな要素入ってたんだ!?」と驚くようなことって、自分の管轄であっても起こるってことですか?

    坂田:ありますね。獣人族学者の観察依頼でいうと、雨宿りする子たちがいるんです。葉っぱを持っていて。あれのモーションが3つあるんですけど、発注したのは2つだったんですよ。「ちょっとおもしろいから付け加えといたわー」と、ノリノリでやってくださったんです。あちらから発信してくださったことも多かったですね。

    高橋:マイハウスでもそういうことってありましたか?

    松下:そうですね、最初言っていた数よりもたくさんの家具を作ってくれたり。部屋には小物が結構あると思うんですけど、背景担当の方がいっぱい作りたいと増やしてくださって。その中にぬいぐるみがあるんですけど、もともと私はデザインを指示せずに「ぬいぐるみみたいなものが欲しい」とだけ話をしたんですね。それが後でメチャメチャ可愛いものが上がってきたりすると、こちらもテンションが上がりますね。

    高橋:ビックリ箱みたいですよね。箱だけ渡しておいて「中に何か入れといて」と言ったらこんな可愛いぬいぐるみ入ってた!みたいな。それは毎日新鮮な気持ちでお仕事できますね。ゲームデザイナーさんって最初はどういうお仕事をされているのか分からなかったんですけど、ビックリ箱の箱を作る人だったんですか。

    松下:そ、そうですね……?

    高橋:アレッ?違うみたい!?じゃあ何ですか?

    飯田:ゲームの企画を考える人……。

    高橋:間違いねえー(笑)。

    モテ:例えるなら自分の書いた設計図で職人さんたちに家を作ってもらったら「こんなところに手すりつけてくれたんだ」とか、「この家具、超可愛い」というプラスアルファがあったと考えると分かりやすいかもしれませんね。

    高橋:失礼いたしました(笑)。

    モテ:でも指示を受けた人もいろんなアイデアを考えて「もっとこうしたらおもしろいんじゃないか」と提案できるのっていいですよね。それを「こんなんダメだ、要らないよ」なんて無下にせず、さらにお目付け役の方々と「納期が、容量が、予算が」とセッションをして。ゲームデザイナーさんってそうやってゲームを作っていく方たちなんですよね。さらにゲームデザイナーさんや、ゲームの世界観をまとめているのが“藤岡世界観”(ディレクター)さんですけど。

    高橋:ゲームデザイナーさんのこういうお話ってなかなか聞けないですよね。

    飯田:こういう場でもない限り会社のことを外で言う機会もないというか、言ってはいけないという厳しい教育をされて生きてきたので……。

    モテ:守秘義務ってやつですね。

    飯田:自分たちが大丈夫だろうと線引きして話すのはリスクが高くて。何を言っていいかは個人で判断しないようにはしています。

    高橋:今日もなんでこんなにお目付け役の方々が来ているかってことですよね。

    モテ:自由に言ってちょいちょい怒られているのは辻本(良三)さんですけどね。

    高橋:辻本さんは何でもしゃべってくれる人っていうか、ポロリをしてくれる方というイメージがあります(笑)。さっきも『ワールド』が出る少し前から『アイスボーン』の制作作業も走っていたとお聞きましたが、『アイスボーン』の情報は解禁されるまで全然漏れていなかったですよね。私、ラジオをやっていたのに解禁日の後に知りましたからね……。教えといてよーって(笑)。その後もゲーム内容を一切教えてもらえず、ただ『アイスボーン』という名前しか知らない状態でした。これ、今話す内容じゃないかもしれないけど(笑)。ユーザーさんもその先の情報を知りたかったと思うのですが、そういったワクワク感を引き出すのが本当に上手いなと思いました。でも開発チームの方々は、知っているけど何も言えない状態ですよね。それって苦しくないですか?私はすぐ言いたい!(笑)

    飯田:僕は外に出たらゲーム作ってないって気持ちで生きているので、全然苦しくないですよ。完全にオフにします。

    高橋:ええっ!?そんなことできます?

    松下:はい、私も一歩会社を出たらただのゲーム好きです。

    高橋:えー!優秀……。私ならすぐ言っちゃう。「今作ってるんだよねー、『アイスボーン』」って。でも、オフの間でも電車の広告を見たりして「あそこはああしたらいいな」とか考えているわけですよね?ゲームデザイナーさんってみんなそうなんですかね……。

    就活生必見!!ゲームデザイナーになるには武器を持て

    高橋:入社のきっかけはお聞きしましたけど、現役で活躍されている立場として、これからゲームデザイナーを目指す方にアドバイスはありますか?

    飯田:そうですね、やっぱり考えなければいけないことが多いんですけど、考える自力をつけていないとしんどい仕事ではありますね。考えることが楽しくないともたないなとは思います。学生の間にいろんなものを見るのは大事だと思うのですが、見た後になぜこういうものができているのか考えることも必要かと思います。ゲームを遊ぶでも、やみくもにやるよりはゲームをプレイしたうえでおもしろかったこと、それがなんでおもしろくなっているのか研究するような視点が必要かなと。あとは他人に負けない何か、自信になるものを持っていると強いなと思います。それが好きなものでもいいと思うんです。例えば「このマンガに関して私はとても詳しい」でも。情熱を傾けられる何かを持って、他の人よりも自分が詳しいと自負が持てるくらい突き詰められるとプランナーとしては向いているなと思います。

    高橋:飯田さんも何か情熱を傾けているものがあるんですか?

    飯田:僕はバイトスタートなんで、そういうのはあんまりないです(笑)。

    高橋:ないんかーい!今めっちゃいい話してたのに!

    飯田:ないものねだりですね(笑)。欲しいなって。

    高橋:他の方たちを見ていて、こういうことがあったらよりいいなということですね。

    飯田:デザイナーもプログラマーも、職種関係なくどのセクションもゲームを作る、楽しいものを作ることを一生懸命考えています。プランナーだけが考えているわけでもないですし、プログラマーでもデザイナーでも皆がクリエイティブなことをしているんです。ですから、人任せにして誰かがやってくれるという考え方だとウチの会社に入るのは難しいかもしれません。逆に自分でいろんなことをやっていこう、自分の得意ジャンルじゃなくても何でもやっていこうと思える方は、ぜひカプコンの面接を受けてもらえたらと思います。そこでプログラムができるからプログラマー、絵が描けるからデザイナーでなくてもいいと思うんです。絵が描けるプランナーでもいいと思いますし、プログラムができる企画担当でもいいと思います。ウチの会社は懐が広いと思うので、上手くいくのではと思います。もし企画を目指していてプランニングが強くないなと思ったら、何か1つ自分の武器を作ってみるといいかもしれません。それだけでも就職活動には得があると思うので。諦めないことが大事だと思います。

    高橋:為になりますねー。

    坂田:私としても、自分の武器を持つというのは大事だと思います。私自身も模索中なので何とも言えないですが、好きをどれだけ突き詰めることができるか、かなと思います。ゲームは皆さんが楽しんでやるものなので、それをどれだけ楽しませられるかを追求していけることでしょうか。自分の独りよがりではなくて、万人が楽しむことを考えられる人がいいのかなと思います。自分がいろいろな体験をしていくときに、なぜ自分はこれを楽しいと思ったんだろうとか、なぜ楽しくないと思っちゃったのかというのを突き詰めて、「楽しかったー」で終わらずに、自分なりにこうすればもっと楽しいんじゃないかというのを考えられる部分があるといいのかなと思います。

    高橋:“好き”が大事なんですね。

    坂田:そうじゃないと続かないと思いますね。途中で「私、何をやっているんだろう」って苦痛になっちゃうかもしれません。私はゲームが好きでこの業界に入ったので、それを突き詰めてやれているときは楽しいですね。もちろん苦しいときもありますけどね。仕事はずっと付き合っていくものですから、自分の心が楽しめないとな、と思います。

    松下:お2人のお話が充実していたので、少し違う角度から言うと個人的にはインプットが重要かなと思います。自分はもともと好奇心旺盛なタイプでお笑いも好きですし、ゲームもやります。今の学生の方はSNSには慣れているかなと思いますが、例えば面白い動画があったとして、そのアイデアを他のものにも使えないかなと考え方の転換ができるように意識をしておくとゲームプランナーになっても役立つのではないかと思います。それと就活生向けのアドバイスになるのですが、個人的には就職活動でいろんなイベントや説明会、企業でのインターンなどに行ったほうがいいと思います。インターンシップでは人と話す機会も増えますし、グループディスカッションも多くあります。人と話して意見をまとめるということは、入社してからもやることなんですよね。いろんな考え方の人がいて、それらをまとめるにはこうすればいいという場数が踏めますし、最終的にカプコンを受けるとその場数を踏まえた力が出せる、という上手い流れができるのではと。就活イベントに関わらず、気になるイベントに参加して他の方と交流して意見を交わして考えるのも糧になると思います。

    高橋:ゲームデザイナーさんの発想力は、人生が豊かだからこそなんですね。

    松下:自分が興味を持ってやったことが後々アウトプットに繋がることもあるんです。自分の感覚としてはそれがいい生活、豊かな人生経験を積めているなという感覚になりますね。

    高橋:そんな皆さんの人生経験が詰まったのが『アイスボーン』なわけですね。

    飯田:そこまで個人を出してクリエイティブなことをしていないので、僕らの人生経験がフィードバックされているかは分からないですけど(笑)。

    高橋:じゃあ今回企画していて惜しくも入らなかった要素ってありますか?偉い人から「これは時間が足りないから」なんて言われたものとか。

    飯田:『アイスボーン』に関してはないですね。僕が無理だなと思っていたものでも、デザイナーとプログラマーや周りのセクションの方たちが「やろうよ」って言ってくれて。それで基本的に計画していたものは全部入れられたと思います。

    高橋:どんな要素が難しいと思われたんですか?

    飯田:1個ずつの要素というよりは、実装されているものの深さや物量ですね。これ作るの大変やから無理やろうなと思っていたら、デザイナーが「作るよ」って言ってくれて。

    高橋:なんか……、あったかいですね。

    飯田:あったかいですけど、みんな厳しいですよ(笑)。つまらない企画に対してはものすごいこと言われますから、震え上がりますよ。みんな真剣ですからね。でもそこで伝わったら絶対やってくれます。

    坂田:私は世界観を知ってもらうために入れたかった観察キットにOK出たので、そこまで悔しい思いをしたものはないですね。これは市原ディレクターにも話していないネタ出し段階のものですけど、獣人族を拠点に呼べるみたいなことも考えたのですが、ゲームに合わないというか、実現するには難しかったですね。

    高橋:もしかしたら次のアップデートなどで実現できるかもしれませんよ?

    飯田:マイハウスでガサガサしてたりね(笑)。それでプレイヤーがマイハウスに入ると、だるまさんが転んだのようにピタっと止まったり(笑)。

    高橋:めっちゃ面白いじゃないですか。

    飯田:だからこれ、放送でカットされていたらアップデートで追加されるかもしれませんね。

    高橋:じゃあ私、放送を聞いてカットされたかどうか確認します。カットされたら「あー、新情報知っちゃったな」って思うことにします。

    飯田:あー消されるね(笑)。

    高橋:真実を知ってしまったが故に!?(笑)

    坂田:そういえば、観察キットは最初不具合でスリンガーだったんですよ。だから射的とかも考えたんですけどね。デザイナーさんもノッてきて「射的ええやん。的作るわ」って言ってたり(笑)。……こんなこと言って大丈夫ですかね?

    飯田:大丈夫、カットされるから(笑)。

    高橋:不具合すらもアイデアに変えていくんですね。

    松下:マイハウスでは家具を自由に配置したいなと思っていたのですが、『モンハン』の仕組み上それが難しいことと、メインの遊びがモンスターを狩ることなのでそこまでコストは割けないとなりまして。そこで家具のチェンジという形になりました。しかし、家具の種類も多くはできないとなると、それではコンセプトにあった自分で好きなように飾りつけして、ユーザーさんごとに部屋に差異が出るというのとは少し離れてしまって。それでアート担当の方に相談してみたところ「柄や材質替えができますよ」と対応してくださって。そうして現在の形になったわけですが、おかげで当初の自由な配置はできない中でも、ユーザーさんが好きに飾れるマイハウスができたな、できるだけのことはやれたんじゃないかと思っています。

    狩り以外も楽しんで!絶対損はさせない自信作

    高橋:皆さんにこれからやりたいこともお聞きしたいところではありますが、それは今後の楽しみにしたいと思います。ということで、そろそろお時間となりました。最後にすでにプレイしてらっしゃるユーザーさん、そしてこれからプレイしたいなという方に向けてメッセージをお願いします。

    飯田:導きの地に行ったりとやり込んでくださったお客さんであれば、先ほど挙げたいろんな要素にも目を向けて遊んでいただくとよりおもしろさが増すと思います。それと武器は14種ありますが、大体のお客さんは1種類しか使っていなかったりするんですね。いろんな武器を使っていただければ「このモンスターはこの武器で遊んだら楽しい」という発見があると思いますし、このゲームのおもしろさが何段階も上がると思います。気分転換にいろんなことをやってみるというのが『MH』を楽しめるコツだと思います。まだ『アイスボーン』を購入されていない方であれば、ものすごくお買い得だと思うんですよね。値段に対してこの物量って、ちょっと考えられないくらい詰め込まれています。絶対損はしないので、1回騙されたと思って遊んでみていただければと思います。

    高橋:すごく胸に刺さりました。私も大剣しか使っていないので。

    飯田:そうでしょう?近接武器はいっぱいありますし、遠距離の武器もおもしろいですよ。

    高橋:なんか任せちゃうんですよね、遠距離系が得意な友だちに……(笑)。でも、私もやります!

    飯田:『ワールド』から剣士もガンナーも同じ防具を使えるようになっていたりと、とても遊びやすい作りになっています。ぜひいろんな武器を使って遊んでいただければと。14種類あるので!

    坂田:私の担当で言えば、『MH』で遊ばれる方はハンティングアクションを楽しまれる方が多いですが、時々休息がてらに探索して大自然が広がる世界を歩いていただきたいです。観察キットにはビューモードというみんなで撮れる機能もあります。狩り以外の部分も楽しんでいただけたらうれしいです。

    高橋:たくさん記録します!

    松下:すでにプレイされているユーザーさんは、これからアップデートでマイハウスに家具が追加されますので、楽しみにしていただきたいと思います。また、モンスターを狩るというアクション性が強い遊び以外にもいっぱい遊びが仕込まれていますので、アクションが難しそうと懸念されている方も試してみてほしいですね。アクション好きで『MH』は物足りないかもと思っている方も、『アイスボーン』は結構歯応えがあると思いますので、飯田さんも言っていましたが1回騙されたと思ってプレイしてみていただきたいです。

    高橋:本当に今回はモンスターが手強いですよね。私もがんばってます。それに大剣しか使っていないのはもったいなかったなって。……やったります!

    飯田:やりましょう!

    高橋:どんどんこれからも楽しい要素が増えていくと思いますので、今お話できなかったことも含めて改めて『アイスボーン』を楽しんでいただきたいですし、アップデートに期待していただけたらいいなと思います。今日はいろんなお話をありがとうございました。ゲームデザイナーの松下さん、坂田さん、飯田さん、そしてお目付け役のお3方でした。以上、モンハン部放送局3rdのコーナーでした。お相手は高橋未奈美と

    モテ:モンハン部編集長のモテヤマでした!

  • 環境生物の秘密に迫る!若手デザイナー3人衆の活躍

    高橋:この時間はモンハン部放送局3rdのコーナー!この番組では“みなちょ”こと高橋未奈美です。

    モテ:モンハン部編集長のモテヤマです。

    高橋:いやあ、久しぶりに良三の部屋に帰ってきましたよ。

    モテ:長かった!

    高橋:本当に長い潜伏期間を経てね。でも、帰ってきたと思ったら会議室になってる!?

    モテ:予算の都合上、音泉さんじゃなくなってカプコン本社で収録しております。

    高橋:いろんなところを削られて。

    モテ:シェイプアップ!無駄なものをそぎ落としたんです(笑)。

    高橋:クオリティだけ高くなって帰ってきたぞと。ただ帰ってきただけじゃないんですよ。今回の復活は以前やっていた情報コーナーではございません!

    モテ:今回はスペシャルですね。長いタイトルをつけました。一応。

    高橋:モンハン部放送局3rd特別編『モンスターハンターワールド:アイスボーン』開発者インタビュー!イエーイ、あ、拍手してくれていいんですよ?

    (パチパチパチパチ)

    高橋:ありがとうございます!ということで、大阪のカプコン本社までやってきました。本当に久しぶり。人生で2回目ですね。嬉しいです。ここで開発者の皆さんに直接お話を聞いちゃおうという豪華な企画でございます。

    モテ:本編の“良三の部屋”がどちらかといえば『モンハン』をプレイしている方をゲストに呼んでトークを繰り広げていく番組ですが、視聴者の皆さんの中には『アイスボーン』のもっとコアなことも知りたいよという方もいっぱいいらっしゃるかと思います。そのためにこの場をご用意いたしました。では早速いきたいと思います。本日の主役、デザイナーチームの皆さんです。

    高橋:よろしくお願いしまーす!

    デザイナーチーム:……よろしくお願いします。

    高橋:あれ?皆さん元気がない!朝早いからかな?緊張されているようですがここはリラックスしていただいて、皆さんからマル秘情報をたくさん引き出さないと。特別編をしに来た意味がないんで。

    モテ:そうですよ、ポロリポロリの連続でね。

    高橋:ポロポロしていただいて、上の方に怒られていただいて(笑)。そんな情報があるかもしれませんので今日は視聴者の皆さん、ぜひ最後まで聴いてくださいね。では、デザイナーチームの皆さん、自己紹介をお願いします。

    建部:入社12年目になります、建部 明香(けんべ さやか)といいます。『アイスボーン』ではモンスターと環境生物と、ついでにプーギーのモデリングとデザインのマネジメントとクオリティ管理をしていました。よろしくお願いします。

    高畠:モンスターパートの高畠 夏海(たかばたけ なつみ)です。入社年数は3年目、いわゆる若手ですね。『アイスボーン』では建部さんの下で環境生物や小型・大型モンスターなどのデザインをやらせていただきました。

    鈴木:同じく3年目の鈴木 雄祐(すずき ゆうすけ)と申します。環境生物とか小型モンスターとか、大型モンスターのデザイン、モデリングを担当させていただいております。例えば環境生物ですと、ギンセンザルやキブクレペンギンなどのデザインをしていました。

    尾﨑:入社3年目、ギリギリ新人の尾﨑 健太郎(おざき けんたろう)です。僕も環境生物とモンスターのデザインとモデリングをやっていました。どちらかといえばモデリング多めで、たまにデザインをさせてもらっています。よろしくお願いします。

    高橋:よろしくお願いしますー。あれ、となると建部さん以外は皆さん同期なんですかね。すごーい!活躍している3人組。

    モテ:注目の若手株ってやつじゃないですか。

    鈴木:そんな……(笑)。

    高橋:今日は同期ならではの話も聞けそうで楽しみです。早速いろいろ聞いてみたいと思いますが、デザイナーさんとひとくくりに言ってもいろんなことをやられているじゃないですか。環境生物や景色もキレイですけど、それも全部デザイナーさんの仕事ってことですよね。

    建部:私たちデザイナーが絵の提示はしているんですけど、その前にディレクターや企画側から「今回はこうだよ」というオーダーがありまして、それに合わせてデザイナー側が「こんなのどう?」と提案していく形で作っていますね。

    高橋:「今回は『アイスボーン』だから寒い感じの生物で」っていうことですか?

    建部:そうですね。寒冷地というのは早めに決まっていたので「じゃあ寒いところだったら温泉にサル入れたいよね」と話していました。

    鈴木:それはだいぶ初めの頃から言っていましたよね。

    建部:今作もワールドワイドで売るって決まっていたんですけど、なぜか日本の温泉風景を皆で想像して(笑)。

    鈴木:ニホンザルのイメージですね。

    建部:何としてでも温泉に入れたくて、ずっとアピールしていましたね。

    高橋:そうなると『アイスボーン』一押しのデザインがサルってことに……?

    モテ:そういえばこの前、良三の部屋にゲストで藤岡 要ディレクターが来たときにプーギー差し替え事案があって。プーギーをお役御免にして、サルのマスコットキャラクターを入れようという話があったらしいです。

    高橋:ウソ!?あんな人気キャラクターを?

    建部: 『モンスターハンター3(トライ)』のときの話かな?当時、私は新人だったんですけど、そのときサルを作る話が来ましてひたすらサルの案を出していたら、いつの間にかサルがオミットされていたんですよ(笑)。ですので今回『3(トライ)』のときにやりたかったサルのことも汲んで案出しをしました。通常のサルはデザイナー側のやりたいデザインをやらせていただいたんですけど、レアサルのキンセンザルの方は『3(トライ)』のときの案も、となりました。

    高橋:今、貴重な開発資料を見せていただいているんですけど、サルは資料からこんなに表情豊かだったのねって視聴者の皆さんに伝えたい。今回『アイスボーン』でギンセンザルに愛着が湧いている人も多いと思いますし。あれ、デザイン画の余白にサルではない素敵なおじさまが?

    鈴木:言えないんですけど、有名な方です。かわいらしいおじさんで温泉に入っているときの気持ちよさそうな顔がよかったので。

    高橋:それに骨格も資料として作られているんですね。ゲームキャラクターは外見だけでじゃなくて、動きもあるからこそですね。骨格もデザイナーさんが「こういう動きで」って想定しながら描いているんですか?

    建部:動きの提案はモーション担当さんと一緒に擦り合わせています。そこで「こうやりたい」という動きに合わせた骨格に調整していきます。今回のサルだと尻尾を頭に乗せたくて。タオルを頭に乗せるみたいなイメージなんですけど、尻尾が頭に届かないといけないので関節などをそういう動きができるように調整しています。

    モテ:モーションの方のお話が出ましたが、基本的にはデザイナーの皆さんはキャラクターモデルを作られたら、それをモーションの方に渡して動きをつけてもらう流れなんですか?

    建部:そうですね。キャラクターを考えるときはモーションの方と、背景の方にもアイデアを共有して、皆で方向性を固めたうえでやっています。デザインを作っている段階からどういう動きをさせたいのかと常に話しながら作っていますね。サルは尾﨑くんがモデリングで協力してもらっていて。

    尾﨑:そうですね、サルはいろいろ大変でした。

    建部:最初はあんまり可愛くならなくて。

    高畠:ちょっとホラーでしたね……。

    高橋:今やこんなに可愛いのに!

    尾﨑:デザイン自体はすぐ決まってモデリングに移ったのですが、初日に作ったやつがこれで。デザイン画のバランスを尊重してみたんですけど。

    モテ:“夜に水掛けると増えてっちゃう”みたいな感じですね。

    尾﨑:僕のデザインの資料の中には参考として“増える彼”の写真も入っていました。その次のバージョンがコレなんですけど、この頃から迷走が始まってきそうな雰囲気が漂っていましたね。今まで虫とかトカゲとか、カッコイイとか気持ち悪いとかは手クセで作れていたんですけど。

    鈴木:「可愛いってなんだ?」と。

    尾﨑:最初はサルのモデルの制作スケジュールが4~5日だったんですけど、このときすでに1週間くらいは越えていて。次のタスクに差し掛かりながらも、裏で時間を見つけては作って模索していました。

    高橋:顔がどんどん可愛くなっていますね。

    尾﨑:この頃になると今っぽい形がほぼできていたんですが……。

    高橋:でも何でしょう、ちょっと頭身が?デフォルメされているような。

    尾﨑:さすが、よくお分かりになりましたね。それでまだ可愛くないと。

    鈴木:周りからの想いも強かったんですよね。皆がギンセンザルを好き過ぎて。

    尾﨑:これまで話したこともないセクションの方が、僕の机まで来るんです。ギンセンザルの話をしに。

    鈴木:「ここがちょっと可愛くない。」とか、皆が持っている可愛いサルのイメージを尾﨑くんに言っていくんですよ。

    高橋:それぞれの可愛いを尾﨑さんに託していくわけですね。

    尾﨑:それで頭の中にずっとサルがいる状況が1ヵ月くらい続いて。他の仕事も挟んだのでずっとサルを触っていたわけではないんですが。

    建部:当時、尾﨑くんにはディノバルドも作ってもらっていたんです。

    高橋:重要な大型モンスターですよね。

    建部:でも、大型モンスターを作っているはずと思って彼のディスプレイを見ると、サルを触っていたり(笑)。ディノバルドよりもサルのほうがつまづいていたんです。

    高橋:尾﨑さんはカッコイイ方面を得意とされていますもんね。

    建部:でもディノバルドが可愛くなっちゃって(笑)。

    高橋:サルに引っ張られて!

    尾﨑:ディノバルドを見た藤岡ディレクターに「可愛いな」って言われていました(笑)。

    高畠:優しそうな目をしているとも言われてましたよね。

    尾﨑:そうなんです、目元が可愛くなっちゃって。その頃、サルのほうはもう3ヵ月目くらいで、ようやく完成に近い状態になりました。なぜ正解に近づけたかというと、おじいちゃんの写真が大事だったんです。

    高橋:本当だ、顔似てる!

    尾﨑:モーションを担当されていた方が「可愛いのに動きはオッサンぽくしたい」と話していて。「じゃあオッサンだったらもっとこうやろ!」と。今までだと普通にキュートって感じだったんです。

    高橋:確かにそれまでのサルは若い可愛さですよね。

    尾﨑:そこにおじいちゃん的な可愛さが加わったことで、正解が見えてきました。顔を見てもらったら分かるかと思うんですけど、ちょっと横に伸びているんですよ。指とか耳とか、モーションに合わせていろんな表情が出るんです。先ほど表情豊かって言っていただいてすごく嬉しかったんですけど、サルは他の環境生物よりかなりリッチに作っています。モデルの中のジョイント……、骨を増やしていって気づいたらいろんなところが動くようになっていました。

    高橋:環境生物って近づくと離れていったりしますけど、ギンセンザルは一緒にいる時間が長いですから表情の変化も見られますもんね。

    建部:当初から一緒に温泉に浸かりたい希望があって。企画の方とも話して、ハンターが温泉に入っているときはゆったり浸かっていて隣に並ぶこともできる、と考えていました。

    高橋:だからこそ愛着も湧くんですね。でも、そんなに悩まれて生み出されていたとは。

    尾﨑:辛かったですね(笑)。今だから言えるんですけど。

    高橋:同期の3人で「可愛いってなんだろう?」って相談することもあったんですか?

    高畠:そうですね。でも、作るのは自分じゃないので「もっとタレ目にしてみたら?」とか適当なことを言いたい放題でした。

    鈴木:言うのはタダなので(笑)。

    尾﨑:その頃はだいぶ憔悴していて、言われるがままに作っていたんですけど。

    建部:でもすごくよくなったよね。

    高橋:おかげで皆癒されていますよ。

    尾﨑:でもそれで終わりじゃなかったんです。この資料に写っている環境ってライティングがいい感じに当たる場所なんです。でも、集会所のようにライトがキツいところだと、上手い具合に光が目に当たらなくて不気味に……。「こんなはずじゃないのに」っていう顔になっちゃって。

    建部:ここからまた可愛くするための戦いの第2弾が始まったんです。

    高橋:そんな!これ以上どうしたらいいんですか!?

    尾﨑:僕も「最初はライティング担当さんにがんばってもらうしか」って逃げていたんですけど、チェックプレイで皆から可愛くないと言われて。

    建部:開発中には期間で区切って皆でプレイするターンがあるんですけど、その度にね。

    尾﨑:プレイした皆の意見がまとめられるスレッドがあるんですけど、そこでサルが可愛くないとか、怖いと言われて。「ああ、まだ終わっていなかった」と。

    高橋:あんなに苦労したのに!

    尾﨑:そこでシェーダーというものを工夫しました。

    建部:シェーダーって質感や見た目を作っているものだと思ってもらったらいいんですけど、怖く影が落ちているところを柔らかく影を落とすようにしたりとか。そういう質感を作っている部分でこの恐怖ライティングを緩和できないかと、シェーダー作成側にも手伝っていただいて。

    尾﨑:そこでコレを見ていただけたらと思うんですけど、常にハイライトが当たって目がキラキラしていたり、目の奥行きを感じられるようなマテリアルに変えてもらったんです。

    高橋:ハッ!可愛い。こんなに変わりますか!これは皆に見せたいなー。

    尾﨑:これはゲームをやっていただければ見られるので。

    高橋:そうか、可愛い方は見られますね。比べるためにハイライトが入っていない段階の姿を見せたいなーって思うんですけど、これは私の特権ということで(笑)。

    モテ:一応、見せてOKのものは公開できますよ。

    高橋:しかし、本当に可愛くなってるなー。だってもう飼いたい、家にいてほしい!

    モテ:この子たちはタイトルバックにも出てきますから。

    尾﨑:そうですね、そこにも最初はこの状態のものが映っていました。

    高橋:目にハイライトが入っていない、ホラーバージョンが。

    尾﨑:ホラーのつもりじゃなかったんですけどね。でもやっぱり目の感じを変えたり、頭身や顔のバランスを詰めていったのはやってよかったなと感じました。

    高橋:生物ならではの目の水晶感があって、本当に可愛くなっていますよね。1個前のバージョンは目が濁っているような。人生に疲れて温泉に入っているような。

    尾﨑:そのときの僕の顔が反映されていたのかもしれません(笑)。

    高橋:でも生み出した後は、愛着が沸いたのでは?

    尾﨑:すごかったですね。ずっと画面に出していて、疲れたらコントローラいじってボケーっとサルを見ていました。

    鈴木:後ろの席でそんなことしてたの!?

    まさかの自販機!?キブクレペンギンの誕生秘話

    モテ:同期も知らない話も出ましたが、ギンセンザルだけでこの時間が終わっちゃいそうなので、次のパートに行ってみましょう。

    鈴木:藤岡さんのサルプッシュも強かったですけど、キブクレペンギンの話を……。

    高橋:ペンギンは集団で動いていますねー。

    建部:ベータテストのときにも皆さんに写真を撮っていただいて嬉しかったですね。

    鈴木:フォトスポットになっていましたね。

    高橋:映えますもんね。そんなペンギンの話を聞かせてください。

    建部:キブクレペンギンは、デザイナー側から早い段階からやりたいって言い続けていたんですよ。

    高橋:(資料を見ながら)なんでしょう、皮を剥いだみたいなツルツルな姿の絵が資料にあるんですけど。

    鈴木:このデザイン画は『ワールド』にいた、2つ上の先輩の置き土産ですね。ペンギンノハシという、カモノハシみたいなペンギンなんです。僕自身も“飛べるペンギン”のアイデアを出していたんですが、最初はどうしたいかフワッとした状態で。とりあえずシンリンシソチョウの骨格で作ってみたんです。

    建部:モーションのコスト削減のために、環境生物の一部をまた使えたらいいなという発想があったんですね。でも「そもそもペンギンの動きと違うよね」と、イチからペンギンらしいペンギンを作ろうとなりました。

    鈴木:それでペンギンの形や骨をベースに考えて、こんな風にいろいろ案を出したんです。

    高橋:可愛い。水兵ペンギン?これは帽子?

    鈴木:水兵さんみたいな帽子に見えるような、ひさしの形をしたペンギンとか。

    高畠:これひさしだったんだ……。

    高橋:また同期も知らない新事実!あっ、問題作見つけちゃいましたよ。氷山ペンギンって!?頭から山が生えてるみたい。

    鈴木:これを描いたのは、ペンギンだけじゃなくていろんな環境生物の案出しをしていたときなんです。

    尾﨑:コンペみたいな感じで思い思いに案を出し合っていたんですよね。

    鈴木:それでアイデアを考え過ぎて頭が回らなくなってきて(笑)。

    高橋:デザインの泉が枯れかけていたんですね。

    鈴木:その枯れかけてヨボヨボのときに自販機へ飲み物を買いに行ったんですけど“あったか~い”と“つめた~い”を見て、“あったかペンギン”を考えたんです。顔周りに南極観測隊の方みたいなフードをつけて、あったかそうな恰好をしているイメージですね。

    高橋:確かにあったかそうなのは分かる!

    鈴木:でも、冷たいのはどうしようかと思って。もうじゃあ、冷たいなら氷山になればいいって(笑)。それでペンギンの頭が氷山に。いっぱい群れていたらハンターが「氷山かな?」って思うような。元気な状態で考えていたらあり得ないなって思うんですけど、当時は大真面目だったんです(笑)。

    尾﨑:分かんないですよね、これじゃさすがに(笑)。

    高橋:氷山ペンギンもたまにいてほしいですけどね(笑)。でもあったかペンギンが残って、ブラッシュアップされていったと。

    建部:ペンギンの胸の模様は皆さんに言われるまで気がつかなかったんですけど、ネルギガンテっぽいですよね(笑)。

    鈴木:配色が似ましたね。でもこれはオーロラなんです。キブクレペンギンを見たらオーロラに想いを馳せてもらえればと思います。

    モテ:ちなみに作成期間はどれくらいかかったんですか?

    建部:骨格がペンギン専用のものを作るぶん、少しだけ時間がかかったんですが、基本的には1週間くらいでしたね。モーションもペンギンは無表情にしたので。

    鈴木:アホっぽい感じを出せればと。

    建部:近づいても逃げないんだけど、ビックリすると慌てて崖から飛び降りるみたいなね。

    高橋:デザイン画の中にもペンギンがすごい勢いで氷の海に入るシーンが描かれていますね(笑)。

    建部:ステージのイメージは把握していたので、その地形からするとペンギンが飛び込むには崖から水面まで若干距離があるだろうと。

    鈴木:しかもその先には渦潮があるっていう(笑)。

    建部:「飛び降りたら危ないんじゃない?」という話もしていたんですが、むしろ彼らは何も考えずにファーッと飛び降りていく絵面でいいんじゃないかと。それを絵に起こしてもらいました。

    高橋:このときのペンギンたちの顔は無表情?

    鈴木:はい、何も考えていないです。デザイン画にも“何も考えていない感じ”と書いていました。ここは揺るがないようにしようと。

    高橋:ホントだ!“つねに斜め上を向いている”とも書いてあります。でも近くにいると安心感があるというか……。あっ!?デカいペンギン?

    鈴木:大きさを調整する前のデザインですね。昔のペンギンは大きかったんです。

    高橋:ハンターの相棒になれそうなくらいの大きさですよ。

    建部:群れるのも初めからコンセプトとしてあったので「これが群れたらヤバくない?」という危惧はありました。

    高橋:確かに、このサイズで群れたらそのエリアの一角がペンギンによって失われますよね(笑)。

    鈴木:進むにもペンギンをかき分けないといけないってなりますね(笑)。

    高橋:ハンターの胸くらいまでの身長があるから、雪のところにいても顔がちょっと出る感じですね。

    鈴木:頭まで埋まりはしないかもですね。

    高橋:それもちょっとおもしろかったかも(笑)。

    モテ:オトモダチとしてついてきそうですもんね。

    鈴木:全然協力はしてくれなそうですけどね(笑)。

    高橋:そこからペンギンのサイズを見直したんですね。

    鈴木:さすがに大きすぎるので、ちょっと小さくなりました。

    高橋:最終的に集団でいても可愛いサイズになったと。動きも可愛いですよね。もっちり感があって。

    建部:モーションの方がすごくこだわってくださって。初めの頃からいい感じでした。

    高橋:サルとはまた違った皆の愛情が注がれたペンギンだったんですね。

    美しき激レア環境生物に隠された裏設定とは

    高橋:ところで、デザイナーさんってどういう状態で会議するんですか?皆さんそれぞれ単独で行動されているイメージがあるんですけど。

    建部:今回は寒冷地に合うものは何だろうと話し合って、その後はコンペ形式で案を出し合いました。

    尾﨑:コレなんかそれこそ最初の案ですね。

    高橋:すごい感じのタツノオトシゴ!?

    建部:ツキノハゴロモというレアな環境生物がいるんですが、そこに至るまでこういう方向性の違うものがいっぱい出ましたね。

    高橋:どんな生物の案を出すかは自由だったんですね。

    モテ:こっちにはクリスタルカメ!?

    建部:最初は可愛い系を出してみようかとしていたんですよね。可愛いかはさておき。

    高橋:可愛いですよー。鼻のところから何かが突き抜けてはいるんですけど(笑)。

    鈴木:これ僕が描いたんですけどね(笑)。

    建部:ただ、『ワールド』のレア環境生物にフワフワクイナがいましたし、そのうちに今度は「可愛いより神秘的な方向に振っても寒冷地だからアリじゃないか」となりまして。

    尾﨑:幻想的な感じですね。UMA的なヤツを出したいと。

    建部:初めは雪男とかUMAの精霊みたいなところを攻めようとしていたんですけど、伝説に寄るのはいきなり過ぎるかなと。

    高橋:このラフ画なんか、アメーバっぽさもあるような。

    建部:それが大気中に漂っているイメージだったんです(笑)。太陽をイメージした謎の精霊とのことで。

    尾﨑:これイヴェルカーナのモデルを作った2コ上の先輩がデザインされているんですけど……。

    高橋:“雪の神様”って書いてありますね(笑)。太陽は宗教的な何かを感じるデザインですが、皆さんが神秘的なものを作ろうとしたのは伝わってきました。

    高畠:その太陽っぽいデザインのがいたので、私としても月がいてもいいんじゃないかとツキノハゴロモを出したんです。

    建部:対になるデザインとしてね。でも太陽のほうがオミットされてしまい、月だけが生き残りました。

    高橋:神秘的で本当に美しいですね。

    モテ:あと、ちゃんと実在していそう!高畠さんのデザイン画にはコメントが書いてありますよ。

    高橋:「太陽がいるなら月も出したい」、先ほど言われていたことでしたね。

    高畠:最初はオソラノエボシみたいなクラゲに混じっている大きめものとして考えていたんですけど、どんどんサイズが大きくなっていったんです。

    建部:「部屋に置いたときに天井を覆うような荘厳なものが見たいじゃない?」なんて話になって。

    モテ:単純にフィールドに出すだけじゃなくて、マイルームに置くことも考えないといけないんですね。

    建部:部屋に置いたときの美しさだけを考えてサイズを決めました。アプトノスよりデカいかもしれません(笑)。

    鈴木:たぶん、(アプトノスを)狩れますね(笑)。

    高橋:仲間にしたら強そうですし、全てを包み込んでくれそうです。

    建部:どうやって捕獲用ネットで獲っているんだって話なんですけどね(笑)。

    高畠:凍て地の登頂に上って見かけたら、ぜひ獲っていただきたいです。

    高橋:『アイスボーン』の世界にいるとより神秘的ですよね。

    モテ:フィールドと合っていますね。

    建部:当初「夜になったときに空に何もないと殺風景で寂しいよね」という話が出たんです。そこでオーロラなど空を見上げる要素もあってもいいんじゃないかと。ツキミアゲの案も出ていて、その延長でツキノハゴロモが誕生したんです。

    高橋:全ての要素が合わさって『アイスボーン』の世界が輝いているんですね。環境生物といっても多種多様で、同じゲームとは思えないくらいの幅があって。ちなみに高畠さんはツキミアゲやツキノハゴロモ以外にも担当されているんですか?

    高畠:環境生物ですとユキダマコガネをデザインしました。

    モテ:比べると地味……!

    高橋:アイツはゲーム要素を持っていますから!でも空に浮かぶキレイなオーロラのような生物を作ったかと思いきや、下でコロコロ転がしている子をデザインされたとは。

    鈴木:そのモデル作成は僕が担当しました。気づいてもらえたか分からないんですけど、雪玉とユキダマコガネを見ると雪ダルマに見えるんですよ。

    高畠:背中が顔になっていて、蹴っ飛ばすと雪ダルマの頭だけ走って逃げていくように見えるんです。

    高橋:それやりたーい!プレイヤーの皆さんもゲームで確かめないと!せっかく下から上まで視点が動かせるゲームですからね。

    モテ:数百万いるハンターの中で誰が気づいたかっていうところですけどね。

    鈴木:気づいた人は教えてほしいですね。

    高橋:他にはどんな知られざる要素が……?

    鈴木:青い鳥(ブルーディーヴァ)ですかね。デザインは僕がやって、モデルは高畠がやったんですけど。さっきのユキダマコガネと逆のパターンです。

    高橋:お2人が組むことは多いんですか?

    鈴木:タイミングですかね。

    建部:その辺はシャッフルしていたりします。モデルが必要な順番やモーションさんに渡すスケジュールもあるので。

    モテ:必ずしも自分が描いたものを自分でモデルにするわけじゃなく、他の方がやることもあるんですね。

    鈴木:ペンギンは自分でデザインもモデルも両方やれたんですけど、ものによって違いますね。

    建部:ブルーディーヴァは「鳥のレアが欲しいよね」ということで作られたのですが、それなら見つけたら幸せになる青い鳥がいいんじゃないかと。

    鈴木:レアですからね。青い鳥で幸せなんだったら、さらに四つ葉のクローバーぽくしたらいいかなと思いまして。顔を正面から見ると四つ葉に見えるんです。気づいたプレイヤーさんはぜひ教えてください(笑)。

    高橋:えー、幸せ重ね!それを見つけた人は本当に四つ葉のクローバー見つけたみたいな気持ちになりますね。

    鈴木:きっと、その日はイイことあると思います。

    建部:見つけること自体が難しい鳥ですから。

    モテ:これはぜひ写真を撮ってほしいですよね。

    鈴木:ハッシュタグつけてツイートしてもらえると。

    高橋:それいいですね。「幸せ見つけました」みたいな報告タグ。

    高畠:ビューモードがあるので写真を撮っていただければと思います。

    高橋:私もいろんな環境生物を見て知られざる要素をいっぱい見つけてほしいって思いました。私自身も気づいていなかったですから。

    モテ:これで気づいてもらってよかった(笑)。

    高畠:環境生物は地味ですけど、いろんな想いとこだわりを詰め込んでいますので。

    気づいてた!?ボワボワの中身のコト

    建部:あとは環境生物ではないですが、思い入れが強かったのはボワボワですね。

    モテ:ボワボワ聞きたーい!ユーザーさんの人気も高いですよね。

    建部:ボワボワはモーションさんも背景さんも皆、一緒になって作りました。

    高畠:最終的なデザインはコレなんですけど……。

    モテ:これは今『モンスターハンターフェスタ’19-’20』の公式サイトに載っていますね。

    建部:当初から寒冷地ということで雪男とかイェティをやりたかったんですね。そこで原住民をイェティっぽくできないかと案を出していったんです。でも、イェティってビッグフットって言われているくらいデカいとされているんですよ。

    高畠:巨人みたいな感じですよね。ただ、ガジャブーやテトルーを始め原住民は小さいのですが…。

    建部:でも、小さいけれどビッグフットをやりたかったんですね。

    尾﨑:矛盾ですね(笑)。

    高畠:当初は大きい足跡が痕跡みたいに残ることをやりたかったんですけど、ゲームの企画が決まる過程でこの子の痕跡の要素が無くなっちゃったんです。

    建部:誰も気づいていないと思うんですけど、足の形みたいな武器を持っているのはその名残なんですよ。

    高畠:ビッグフットになりたいボワボワの願いの現れなんですよね。

    建部:彼らは小さいことにコンプレックスがあるという設定があって。

    高畠:頭を見ると、目と牙で一回り大きく見えるような被り物をしているのもコンプレックスの解消法なんです。大きいものへの憧れなんですよね。

    高橋:えええ!そんなの、言ってくれなきゃ!

    モテ:ちなみにほとんどの方がコレが本当の姿だと思っているようですよ。見えている部分はボワボワそのものじゃないんですよね?

    高畠:はい、外見で。頭部のは被り物ですから。

    建部:中身はさらに雪男ですよ。

    高畠:観察依頼の“一糸纏わず”をやっていただけると見られます。

    高橋:皆にもやってほしい、見てほしいこの姿!予想よりちまっとしてて、頭もスッキリしてて……。

    モテ:その片鱗はチラッと見せるんですよ。温泉入っているときに被り物をポンッて取るんですけど、そこで気づきがあるんです。

    高橋:視聴者の皆さん、気づいてました?こんなに設定があるっていうのも。まさかコンプレックスの塊だなんて思わないじゃないですか。

    建部:彼らの住処にでっかいブラントドス頭蓋骨があるんですけど、あれもデカいものへの憧れで。

    高畠:ブラントドスを倒して、自分たちの勇敢さを示しているんです。

    建部:そこに骨やらなんやらを積み上げているのには、どんどんでっかくなりたい願望が込められているそうなんです。

    モテ:あ、そこでクエストとの繋がりが出てきたりするんですね。

    高畠:そうですね、“ワレラとキミラの共同戦線”です。企画の方もボワボワのキャラクター性を汲んでいただけて楽しいクエストになりました。あれは再受注できるようにしてほしいですね。ボワボワを仲間にするときの1回しかできないんですよ。

    モテ:あれだけ特殊ですよね。

    高畠:1人専用ですしね。「ワレラとブラントドスを倒すぞ」とボワボワがいっぱい出てきて「ガンバレ、ガンバレ」って後ろで応援してくれるんです。がんばっちゃうぞってなりますよね。それだけ思い入れの強い子なんです。

    高橋:これを聞いたエライ人たちはきっと再受注できるように調整してくれるはず。良三さん、再受注できるようにお願いします!

    高畠:お願いします!

    高橋:もう、まだまだ隠しエピソードいっぱいあるじゃないですか。

    モテ:モンスター以外でこれだけ出てくるんですよ?これはどこか会場を押さえてチケット売ってやるべき(笑)。

    高畠:それは緊張しちゃいますね(笑)。

    尾﨑:ただでさえ緊張してるのに。

    高橋:このエピソードをもっと深堀りしていきたいですね。

    モテ:皆さんがお便りを送っていただくと2回目、3回目があるかもしれませんよ。

    高橋:“もっと教えてよデザイナーさん”なんてコーナーができるかも?環境生物の一部だけでこのボリュームですからね。今日は、大型モンスターの話なんて1個も聞いてないのに。

    モテ:小型モンスターについてもまた聞きたいですよね。

    建部:はい、小型もやっていますからね。

    鈴木:資料はまだ用意していますので。

    尾﨑:またの機会があれば呼んでいただければと思います。

    高橋:視聴者の皆さまにはこの放送を聴いて、小さい生物にもこんなエピソードがあったんだという気持ちで、ぜひ優しく接していただけたらと思います。今日はデザイナーの皆さん、『アイスボーン』の地をより楽しめるエピソードを聞かせていただいてありがとうございました。残念ですがそろそろお時間ということで、最後にすでにプレイしているユーザーさんと、まだプレイしていないユーザーさんにそれぞれメッセージをお願いします。

    尾﨑:ここまで放送を聴いていただきましたが、こちらもまだまだ話したいです。プレイして気づくこと、深堀りできることがまだまだあると思います。今回の話を聞いて、もっとやってみたいなと思ってもらえたら嬉しいです。あと、モギーという環境生物がいますが、レア過ぎて全然気づいてもらえなかったので、この場を借りてアピールさせてください。僕が作ったイャンガルルガが生態行動として地面を掘ってエサを食べるときに、ごくまれにモギーを一緒に掘り出しちゃうこともあるんです。

    モテ:モギーの存在をまだ知らない方のために言いますと、ゲームをクリアーした後に遊べる要素として出てきます。

    建部:もしイャンガルルガに出会ったらそういう可能性があるかもしれないので、注意してみてください。

    高橋:これはクリアーした方も注目ですね。ハッシュタグ“モギー見つけたよ”で、ぜひ。

    尾﨑:僕はもう、この場を借りて言えたので成仏できます(笑)。

    鈴木:僕としても、ゲームをいろんな角度から見ていただければと思っています。ペンギンの胸の色がオーロラだとか、ユキダマコガネもスノーマンになっていると気づかなかった方もいらっしゃったと思うんですけど、他の環境生物に関してもいろいろ仕込んでいるので。

    高畠:こういった仕込みは、割とダジャレが多いんですよ。

    鈴木:ダジャレスタートで作っているものも多いので(笑)。もしかしたら、という気持ちで見てもらえればと。これからプレイされる方も環境生物をいろいろ見てもらえると僕らとしても嬉しいです。

    高畠:また改めて、凍て地の細かいところを見に行ってもらえたら嬉しいなと思います。ボワボワもお家でパンを焼いていたり、土偶みたいなのを作っていたりと、全セクションが細かい要素まで力を入れて作っています。ぜひオトモダチになって一緒に狩りに行って、ウルグちゃんにも乗っていただいて。私、ウルグのデザインとモデルも担当したので!

    高橋:その話も聞きたかったー。

    尾﨑:時間が足りない……!

    高畠:機会があったらウルグちゃんの話もさせていただけたらと思います。ツキノハゴロモも、皆さんがんばって捕まえてください。よろしくお願いします。

    建部:『アイスボーン』の環境生物は若手もベテランも一緒になって、細かいところまでこだわって作っています。サルなどは集会所のロビーにもこだわって置いていたりします。真ん中の温泉のところにすごくレアなセットとして、サルがビッチリ並んだものも用意されていますので、気づいた方はぜひ「気づいた!」って言っていただけるとデザイナーメンバーが喜びます。

    尾﨑:ハッシュタグ“#ギンセンザル”でお待ちしております。

    建部:細かい仕込みがたくさん入っていますので、ぜひ見ていただいて楽しんでいただければなと思います。

    高橋:今日はいろんなお話をしていただきましたが、まだまだ聞きたいことがいっぱいありますね。皆さんからのお声が多ければまたカプコン本社に来て開発の皆さんにいろんな話を聞けるかなと思います。

    モテ:お便りが全て予算に繋がります!

    高橋:本当に重要でございますので、よろしくお願いします!本日のゲストはデザイナーの建部さん、高畠さん、鈴木さん、尾﨑さんでした。ありがとうございました。以上、モンハン部放送部3rdのコーナーでした。お相手は高橋未奈美と。

    モテ:モンハン部編集長モテヤマでした。

  • モンハン部3rd サウンド編

    高橋:この時間はモンハン部放送局3rdのコーナー!この番組では“みなちょ”こと高橋未奈美です。

    モテ:モンハン部編集長のモテヤマです。

    高橋:『モンスターハンターワールド:アイスボーン』の制作秘話を直接現場の開発スタッフさんに聞いちゃおうというコーナーでございます。今回ももちろん大阪のカプコン本社からお届けしております。

    モテ:コーナーの収録としては今回で3回目です。さあ、そしてモンハン部放送局3rdの特別編『モンスターハンターワールド:アイスボーン』開発者インタビュー、今回のお客様はサウンド担当の黒岩若菜(くろいわ わかな)さんをお呼びしました。そしてスペシャルゲストは?

    高橋:誰だ誰だ?そう、世界観を担当する藤岡 要(ふじおか かなめ)エグゼクティブディレクターに来ていただいています。

    藤岡:よろしくお願いしま~す!

    高橋:まずは黒岩さんに自己紹介をお願いします。

    黒岩:はい、こんにちは。サウンドディレクターをやっています黒岩若菜と申します。『アイスボーン』では主に、曲と効果音とボイスという3つの分野があるのですが、それをまとめる音の総監督のようなものをやっています。

    高橋:ちなみにこれまでのゲストに入社何年目かを聞いているのですが、もしよければお聞かせください。

    黒岩:入社6年目になります。早いもので。

    高橋:インタビュー前に伺ったんですが『ワールド』が入社してから最初のお仕事だということで。

    黒岩:初タイトルが『ワールド』でしたね。

    藤岡:当時はサウンドデザイナーでしたね。

    黒岩:はい、ペーペーのヒラで。そのときは別のサウンドディレクターの先輩がいて。

    藤岡:『アイスボーン』になったらもうディレクターですよ。

    高橋:出世!

    藤岡:デキるやつ!

    黒岩:いやいや(笑)。私がやりたいって言ったら諸先輩がサポートしてくださったので、なんとかやれています。

    藤岡:そういう野心家でございます。

    高橋:藤岡さんの年数も知りたい!

    藤岡:1993年に入社してから……26年。すごーい(笑)。

    高橋:その年の生まれの人だったら成人して仕事してって歳じゃないですか!

    モテ:もう結婚してるかもってぐらいですよね。

    藤岡:そんな感じで26年もカプコンにいてます。『アイスボーン』ではエグゼクティブディレクターと、アートディレクターをさせていただいてまして、アートディレクターの一環としてサウンドも監修させていただいていました。

    高橋:『モンスターハンター』といえばオーケストラコンサートをやるくらい音楽もすごいゲームですよね。それに加え、モンスターなどこの世に存在しないものたちの鳴き声も黒岩さんがメインとなって作り出しているということで、今日はそんなお話をたくさん聞かせていただければうれしいなと思います。

    黒岩:はい。

    高橋:この放送の中では実際にこんな風に作っていますよという音も聴かせていただけるということで、皆さんも楽しみにしていただけたらと思います。

    藤岡:はい。

    高橋:まずはサウンドのお仕事ですが、どんなことを手掛けられているんですか?

    黒岩:サウンドとしてはBGMを作るお仕事と、モンスターの声とかの効果音を作ること。あとは声優さんにしゃべってもらうボイスの編集だとかですね。その音を作ったうえで、いかにゲーム上で効果的に鳴らすかという実装作業があります。

    高橋:音を作り出すことって難しいと思うんです。だってモンスターって実在しないから、捕まえてきて鳴いてもらったりできないじゃないですか。そういうのどうやって作るんですか?

    黒岩:まず『アイスボーン』の場合は、モンスターの音のテーマを決めるんです。例えば、ブラントドスだったら「アイツは除雪機だな」とか。

    高橋:無機物!?

    黒岩:そう、無機物の方が多いかもしれません。アイツは固い地面を掘り進めるから結構馬力が強いのかなと。そうすると除雪機のエンジン音を動物の声に混ぜたら「本当にコイツはそれだけの馬力があるんだよ」と音で説得感を出せるかなと思って。だから実はエンジン音を使っているんですよ。

    高橋:ええー!そうなんだ。ブラントドスには苦労させられました、本当に。分厚い体に合った声ですよね。でもエンジン音が入っているとは思いませんでしたけど。

    黒岩:よかった、それは成功ですね。

    藤岡:成功です。エンジン音ですからね、「機械やんけ」ってわかったらダメですからね。ベースはそういう個性を出す前に、どういう骨格をしているかなどから考えるんですけどね。サメっぽかったりと、海に生きている哺乳類の体型をしているので、まず声のベースとしてはそういうイメージがあって。それに足したりミックスしていくんです。そのミックスのときにキーワードを出すんですけど、ブラントドスは除雪機とかのエンジン音を足しましょうと。

    高橋:そのキーワードを決めるのはどなたなんですか?

    黒岩:私が勝手に決めています(笑)。

    藤岡:たまにとんでもないイメージをするんですよ、この人は。

    黒岩:例えばツィツィヤックはDJって(笑)。光るから……、「光るのってなんでだろう、こすったら光るんじゃない?」って思って。じゃあこするってなったらDJかなって。あと、アイツと仲よくはなさそうなシャムオスのイメージが、田舎のヤンキーだったんです。それに敵対する相手としてツィツィヤックは警察官かなと思ってパトカーの音とかも使っています。設定ではDJが趣味の警察官で作っていたんです(笑)。

    藤岡:最初に実装されたとき、ツィツィヤックからすごい音鳴ってるなって(笑)。「これなんの音?」って聞いたら「コイツがピカピカ光らせている時の音です」、「サイレンのイメージです」って。「こんな音鳴るー!?」って1回ボツにしたんですよ。さすがにやりすぎって。

    黒岩:そうです、それでだいぶ丸めて。でもDJ警察官の設定は変えませんでしたけど。

    高橋:これまで開発スタッフさんのお話を聞いていると、周りの人から「こういう風にしてくれ」って言われて、その中で膨らませていろいろ作ってきましたってお話だったんですけど。サウンドの場合は新たな世界観が……?

    黒岩:世界観パート2。やだ、怒られちゃう(笑)。でも企画の方がまとめてくれている仕様を踏まえて妄想するので、全然変なところからじゃないですよ(笑)。

    高橋:サウンドスタッフの方はクリエイティブな脳が必要なんですね。

    藤岡:まあ人によるんじゃない?皆そうなの?

    黒岩:皆、妄想して作っていきますね。

    高橋:どの音を合わせるか、頭の中で想像しないとですよね。

    藤岡:黒岩さんが最初についた師匠がそうだったからじゃない?

    黒岩:『ワールド』のときのサウンドディレクターの細井秀基(ほそい ひでき)さんと、北村 武(きたむら たけし)さんについていました。

    藤岡:その2人のやり方がそうだから、黒岩さんも独自の世界を切り拓いていったと。

    高橋:そうしたら田舎のヤンキーとDJ警察官が生まれると。

    モテ:ちなみに田舎のヤンキーの音ってどういうイメージなんですか?

    黒岩:ディスっているわけじゃないんですけど、群れているときは「ウェーウェーウェー」って、ちょっとしゃくれている声、鼻に抜けた声をイメージして作っています。

    モテ:全部のモンスターの声のイメージを聞きたくなりますね。

    高橋:藤岡さんは、黒岩さんから音の設定について事前に聞くんですか?

    藤岡:事後ですよ、事後(笑)。でも1回作ってもらって聴いて、気になったところを言う感じなんです。そこで物足りなかったら、もうちょいアイデア足そうやって話にもなりますし。際立ってすごい音が聴こえてきたら「この音なんなの!?」ってイメージを確認します。警察官ですって言われたら「あ、そんなイメージなの……」とか、「もうちょっとナチュラルな音にしようか」とか。彼女がついていたサウンドの師匠たちは『モンハン』の音をずっと作り続けている人たちで、音による記号性というのを大事にされているんですよ。だから今回も「入れなくちゃ!」とがんばったんだと思います。最初は誰の音か分からないような音が出てていましたけど、でもそれくらいじゃない?最近はそういうのないよね。丸くなってきた?

    黒岩:そんなことはないです(笑)。よい音っていうのはゲームによって違うのですけど、『モンハン』の場合は個性を大事にする絶対条件があったので。

    モテ:音の記号性っていうのはどういうことなんですか?

    藤岡:プレイヤーにとって危険な攻撃を出してくるとか、避けにくい攻撃を出してくるとか、大きなアクションをする時になるべく際立った音を出してあげて、その予兆にしてあげると。普段からサイレンが鳴ってたらおかしいので……。そこで普段はもっとナチュラルな音にしてあげてと、コントロールしてもらっています。

    黒岩:はい、記号的な音だけ特徴的にしています。さっきの実演のネロミェールのうがい声とか、水鉄砲の予兆声もそうですね。

    藤岡:普段からゴロゴロ言っていたら気持ち悪いですからね(笑)。どれが攻撃音なのかというのが分からなくなっちゃうので、それは使いわけてねとお願いしています。

    高橋:先ほど藤岡さんが音を聴いて足りないなって思ったモンスターとは?

    藤岡:イヴェルカーナかな。

    黒岩:音が足りないというよりはイメージをもっと強く感じたいということだったので、もっと攻撃的な音にするためにアイデアを出していきました。

    高橋:どれくらいのパターンを作るんですか?

    黒岩:モノによりますけど、2~3パターンぐらいですかね。楽曲はもう少し多くなるんですけど。

    藤岡:ああいうイヴェルカーナみたいな、冷気を吐くモンスターって音が際立って出にくくて、低い音でブワーッという感じになりがちなので、いろんな環境音やBGMにかき消されちゃうんですよね。あんまり刺さって来ないっていうか。いくら音量を上げてもアタック感があまりない。だからもうちょっと聴こえてくる成分を入れたいなと。

    黒岩:抜けがいい音ですね。

    高橋:BGMと合わさることも考えなきゃいけないんですね。

    黒岩:そうなんですよ、全体的に見て、なので。

    高橋:先ほどスタジオで聴かせていただいた初期のイヴェルカーナの音も重量感があって強そうって思ったんですけど、確かに採用された方は高い音が加わったことで幅が増えて。BGMと一緒に聴こえても耳に残る声になったな思いました。

    藤岡:BGMとは音域の取り合いなんですよね。

    黒岩:ああ、周波数帯域とかですね。

    藤岡:BGMのおもな周波数帯域と同じ音だと、いくら大きく入れても聴こえにくくなっちゃうので、音域の空いているところを狙って「このモンスターはこんな声にしましょう」と決めています。楽曲の作曲家、コンポーザーにも「モンスターがこんな声を出すから、この辺の音域をもう少し下げて」とお願いしていますね。

    黒岩:BGMの低音が多かったら、モンスターの声を高めにするかとかを作曲家とSEを作る人とで話し合って作っています。

    高橋:じゃあ最初に決まるサウンドはBGMなんですか?

    黒岩:いや、ほぼ一緒です。同時。

    藤岡:「せーの、ドン」で聴いた時に「アレ?」となったら、どっちがどうするみたいな話し合いになります。

    黒岩:作り始めていざ実装してみると「意外にここ重なったよね」ということがあるので。

    高橋:そういうときは作り直すんですか?

    黒岩:修正しますね。大体1回作っただけでハマることってないので、基本、修正は当たり前です。

    高橋:サウンドってどれくらいの期間で作っていくものなんですか?

    黒岩:1モンスターで大体1ヵ月……?曲で言うと藤岡さんのOKが厳しいから、1戦闘曲につき大体1ヵ月半ですかね。でも、並行して作っているので『アイスボーン』の場合、1モンスターの戦闘曲でも戦闘中とライドと、誘導している時とで曲を変えているので4曲としての1ヵ月ちょいですね。それでミックスとかも含めて。

    高橋:やはりサウンドにこだわりがあるからですか?

    藤岡:ウチのゲームは特にフィールドで流れる曲、モンスターとやり合っている時に流れる曲って何回も聴く曲になるので、あんまりイベント感がありすぎないようにしています。ストーリーで盛り上げる瞬間の曲だったら別ですけど、変に盛り上げ過ぎたりとかしだすと、何回も聴く曲としてはハマりにくいんです。また、「こういったモンスターが出るからこんなイメージを入れてほしいです」と、何回も話し合って決めていきます。

    黒岩:藤岡さんのチェックは作るときの参考になります。そういう視点があったのかって。

    藤岡:例えばストーリー上でイベントっぽい曲だから、ハンター側が盛り上がるような曲にしたいときは、もうちょっとメロディーを強くしたり演出的な曲調にしてもらったり。そこは全体を考えてやってもらっています。

    高橋:『モンハン』の音楽って、音が鳴ると背中を押されるというか。ハンターとして狩りをしているときに、音楽が気分を盛り立ててくれることがあります。

    黒岩:うれしいー!

    高橋:毎回、戦闘に入ったというスイッチの切り替えがしやすくなるんですよね。

    藤岡:特に、大きなボス戦と言われているモンスターは最初に会った時の「何だコイツ!?」っていう威圧感を大事にしています。そこの緊張感から次にモンスターが激しくなってきて、今度はモンスター側を盛り上げてあげる曲に推移していって。最終的にプレイヤーがそれを乗り越えてクリアしていくから、最終的にはプレイヤー側を持ち上げる曲にしてあげてほしいと。そんな風に最初にコンポーザーとのやり取りさせてもらっています。そこでは「じゃあ3曲ぐらい展開させましょうとか、2曲くらいで展開させるならこういう曲がいいですよね」という話をしています。

    黒岩:今日はこの場にいないんですが、成田暁彦(なりた あきひこ)さんというメインコンポーザーがいて、その人がおもに「BGMこうしましょう」と引っ張ってくださって。スーパー素晴らしい天才のコンポーザーなので、ぜひサントラを買って聴いてみてください。

    高橋:『モンハン』って音楽ファンの方もいらっしゃいますよね。オーケストラコンサートをやるくらいですし。そういう大きなタイトルのサウンドディレクターをやるのって、緊張とか不安だったりはないですか?先ほどご自分からやりたいっておっしゃってましたけど。

    黒岩:うーん、楽しみの方が強かったですね(笑)。

    藤岡:ね、この人そういうとこに強いんですよ。

    黒岩:ベテランの皆さんがカッチリついていてくださったので。名前だけリーダーだけど、やっていることは好き勝手で。

    藤岡:確かに周りはベテランだなあ。

    高橋:じゃあ、黒岩さんが1番最初に作った音ってどんな音なんですか?

    黒岩:入社してからですか?ジャグラスです。シャムオスの原型の。あれが最初ですね。

    高橋:おなじみの!じゃあ、入社するまではサウンド関係のお仕事はされていたんですか?

    黒岩:入社するまでは学生で、芸術大学で映画のサウンドデザインを勉強していましたね。あと録音のこととかを勉強して。それからゲーム会社が楽しそうだなって思ってフラッと入りました。

    高橋:映画の音楽を作るのとモンスターの音を作るのって、だいぶ方向性が違うと思うんですけど、それはハードルにはならなかったんですか?

    黒岩:私は元々音楽を作る人じゃないので、全然曲とかも作れないんですよ。元から効果音を作るのと、全体のイメージ、ボイスも含めて曲も合わさった時に聴いている人はどう感じるのかというのをデザインするのが好きだったので。

    高橋:その対象が映画の効果音や音楽から、ゲームになったと。

    黒岩:やっぱりゲームってユーザーさんの行動によってパターンが変わるじゃないですか。それによって音も鳴らし分けするのが楽しいところですね。

    高橋:ゲームによって違うと思うんですけど、『モンスターハンター』はこんな珍しい音を使っているよ、というのはありますか?他のゲームタイトルでは絶対こんな音を使っていないっていうのは。

    黒岩:うーん、特別変わった、奇をてらった音を使うっていうのが重要じゃなくて、組み合わせだと思いますね。

    藤岡:さっきのエンジン音を入れましょうっていうアイデアが出るかどうかだと思うんですね。個性を作るために何をプラスするか。ベーシックなリアルな音質を作るというのはどこのスタジオさんもがんばってやっていると思うんですが、そこにもう1歩独特な個性を入れるときに、アイデアが大事になるのかなと。それがタイトルによってアイデアの方向性が違うけど、ウチの場合はモンスターの個性をプレイヤーの方に感じてもらいましょうっていうのが強いので。ナチュラルな音質より、ちょっと気になる音を少し入れてあげて「この音はコイツ」というのを当てやすくしてあげるというか。

    黒岩:他のゲームとちょっと違うのは、記号性のある音でも電子音みたいに異質な音じゃなくて、あくまでもこの生物が実際にいたとして起こりえる音に落とし込むことと、生態系を感じられる音にするところがちょっと違うなって思います。

    高橋:確かに『モンハン』の中で電子音って聴かないですね。

    藤岡:あまりないですね。BGMではたまにジンオウガみたいにエレキ音を入れたりしましたけど。基本はナチュラルなオーガニックな音をベースにやりましょうと。

    高橋:録るときもサウンドチームの方たちが鳴らして作っているんですか?

    黒岩:基本的には自分たちで作っていきたい、という方針でやっていますが、外部の方と一緒に協力して作ったりもしています。

    高橋:『アイスボーン』で作るのが大変だった音ってどれですか?

    黒岩:うーん、やっぱり氷が1番が難しかったですね。氷って響きが独特で、石とか使っても“ザ・石”になるんですよ。

    藤岡:そうだね、氷の音は何回もテイクを出したよね。氷がバーンっ割れて、シャラシャラした音を入れるのに「これ氷っぽくない」って話を何回もして。音として間違ってはないんだけど金属っぽく聴こえるから、何か違うなと。これは実際に氷で録音してもらったんだよね。

    黒岩:そうですね、実際に氷の山を積み……。

    藤岡:氷柱をハンマーで割ってたりしましたよね。結構高いのを買ってね(笑)。

    高橋:それって失敗できないじゃないですか(笑)。

    黒岩:そうなんですよ。石ころを3人くらいで一斉に投げて壊したりもしましたよ。それでランダム性ができるんです。氷だけだとインパクトがないので、そんな風にそこにいろいろ足していって氷柱の音を作りました。

    高橋:いろんなゲームのイメージですと、氷が割れる時にガラスっぽい音がすることが多いと思うんですけど、『アイスボーン』では実際に氷を使っていたんですね。

    藤岡:やっぱりガラスはガラスの音なんだよね。

    黒岩:それを氷として使うのはイヤなんですよね。

    藤岡:何回かそういうやり取りをして、「これはガラスっぽいよね」とか「鉄っぽいよね」と。結局行き着く先は氷しかねえってなって(笑)。それでハンマーで殴ってもらって、シャリシャリした氷の音が出るようになって。いい音になりましたよ。

    モテ:ベースは氷を使いながら、そこへプラスアルファされていったんですね。

    藤岡:氷の周りにいろいろ置いて、氷を叩くというのもしていましたよね。バーンと割れた破片が物にコツコツ当たる音が混じるので、その音と混ぜたりとか。

    黒岩:側に板とか置くだけで反響が違ってくるので、そういう工夫をしてみるのも楽しいです。

    高橋:サウンドを作ることを楽しんでいらっしゃるんですね。

    モテ:黒岩さんのベース、原点にあるのは映画のSEなどですよね。昔って電子音でいろんなSEを作っていましたけど、今は映画とかもああいうスタジオで実際のものを使ってそれにプラスアルファしていたりしているんですね。

    高橋:先ほど初めて効果音を録るスタジオに入って感動したんですけど、床でもいろんな種類があって。私、そういう床のある場所に録りに行くものだと思ってたんですよ。

    藤岡:実際に行って録ったのもあるよね。

    黒岩:雪山の足音は2月くらいに岩手で。他のメンバーに行ってもらったので、私は行っていないんですけど(笑)。

    高橋:へえー!他に外で録っているものってあるんですか?

    黒岩:環境音とかはほぼほぼ外で録っています。インドネシアのボルネオ島とか。

    藤岡:実際に亜熱帯に行って、マイク立ててじーっとして録るんですよ。

    高橋:鳥の鳴き声とか……。

    黒岩:そうそう、風のとか。環境音は日常生活の音を絶対入れたくないんです。非日常感を出すために、例えば鳥の音でも自分が聴いたことのないような鳥の音にしたいんです。それでボルネオ島とかに行ってと。

    モテ:ボルネオ島はどこから導き出したんですか?

    黒岩:ロケ班には環境音を録るプロフェッショナルな人たちがいて、ロケハンをしてくれるんです。

    藤岡:世界観のデザインに1番近い環境を探してくれるんです。この場所へ行ったらこういう音が録れそうだから行ってみましょうと、マイクを立てて……。あれどれくらいじーっとしているんだろうね?

    黒岩:40分とか1時間って言ってましたよ。

    高橋:録音中は自分の音も立てたらいけないじゃないですか。

    黒岩:虫に刺されても動けないって言っていました。本当にプロの方々で忍耐もすごいんですよ。

    高橋:今度は寒い土地に行って環境音を録られたわけですね。

    モテ:まさか『アイスボーン』の音が岩手で録られているとは。

    高橋:岩手の人たち、きっとビックリしていますよ。

    藤岡:ロケ班がパノラマに音を録ってきてくれるから、回り込む音もちゃんと収録されているんです。それをゲームの中に入れるとちゃんと音に包まれるんですよね。

    高橋:ゲーム機が進化するにしたがって、音もすごい進化しているじゃないですか。だからより精度が大事になっているんですね。

    藤岡:チャンネル数がどんどん増えているもんね。

    高橋:そのチャンネル数が増すと、音の厚みが増すんですか?

    黒岩:ええと、音のパレットの色数が増えるっていう方が大きいのかな。空間が増えていくから、もっといろいろ混ぜられると。映像には映っていないけど、後ろとかでギミックの音が聴こえるから「あ、この辺に使えそうな道具があるかも」なんて表現ができるし、より包まれ感も増すんです。

    高橋:音の色が増えて多彩な表現ができると。

    藤岡:距離とか方向とか、そういうものがより細かく設定できるようになるんです。昔は右と左しかなかったんですよ。それに真ん中が足されたり、床に響く音が足されたりっていうのが別々で管理できるようになって。それがチャンネルが増えていくんですよね。

    高橋:響きひとつでその場所の広さのイメージが変わっちゃうから……。

    藤岡:そういうのをちゃんと収録してこないといけないから、ロケ班は空間にマイクを置いてじーっとしていると。

    黒岩:響きに関しては、プレイヤーの動きで出る音の反響をリアルタイムでゲーム上で計算しています。壁までの距離とか、壁の材質がこれだから響きを変えましょうみたいなのをリアルタイムで変えているんですね。

    高橋:すごい!『ワールド』になってからエリアが切り替わるということがなくなりましたよね。シームレスになったことで、BGMとか環境音を変えることが大変になったんじゃないかと思うんですが。

    藤岡:そうなんです。以前はエリアでスパっと変えられていたのが、『ワールド』からは繋がるようになったので違和感がないように音自体も推移していかなきゃいけないんです。BGMもずっと繋がっているので、いろんな状況に合わせてサウンド自体も変化していかないと。ブツブツ切ったりはできませんから。そういうところは『ワールド』で最初に取り組んだときに1番苦労したところですね。音声が離れたら離れたなりの聴こえ方をするでしょう、とか。そういうのを全部計算して音の鳴り方が変化するように作ってもらえているので、空間が感じやすくなっています。

    黒岩:モンスターとの距離を見て、今どう鳴らすべきかっていうのを考えていますね。

    高橋:黒岩さんは『ワールド』になってサウンドが難しくなったときからチームに入られていると。

    黒岩:ベテランがいっぱいいますから、おんぶに抱っこですよ(笑)。

    藤岡:彼女はこんな感じでやってくれるので、いろいろ言いやすいんですよ(笑)。

    高橋:サウンドディレクターさんっていろんな楽器のことを知っていなきゃいけないんですよね。そういう情報はどこから仕入れてくるんですか?

    黒岩:どこなんでしょうねー?コンポーザーの方は普段からいっぱい映画だったり、バンドだったりと曲をひたすら聴いて勉強されているみたいですね。

    藤岡:経験ですよね。いろんなことをたくさん経験した人ほどいろいろ知っていますよね。

    黒岩:メインコンポーザーの天才・成田さんは宝塚歌劇団が好きなんですけど、「このモンスターのフレーズは、この宝塚の曲のイメージが合うんじゃないか」なんてアイデアを出してくれたりするんですよ。いつも予想外のアイデアを出してくれます。

    藤岡:成田さんはナルガクルガの狩猟曲を作曲した人なんですよ。本人もずっと言っているので有名な話かもしれませんが、ナルガクルガのイメージが火曜サスペンス劇場だって。闇から闇に移動するとか、素早くて追いかけきれないというイメージにサスペンス調のものを感じ取ったんだと思うんですけど、そのスピード感が「火サスだ!」って。そのニュアンスを曲調に入れたりしたそうです。

    モテ:言われてみると、火サス感あるね!

    藤岡:そういうアイデアの引き出しをどれだけ持っているかで曲調も変わると。

    高橋:先ほどもモンスターの鳴き声にエンジン音を入れたというお話がありましたが、エンジン音だってクルマやバイク、船とかもあってそれぞれ音が違いますよね。どの音を混ぜるか知っていないとできませんよね。黒岩さんはやっぱりいろんな音が気になったりするんですか?新しい材質とか見ると、とりあえず音を鳴らしてみるとか。

    黒岩:ありますね。とりあえず触る、叩くというのはやります。サウンドの人はその辺を叩きまくっていますよ(笑)。

    高橋:黒岩さんが物の音で1番お気に入りなのは?最近はASMRとかが流行っていますが……。

    モテ:あの耳の側で囁かれているような。

    高橋:そうそう、何かを混ぜる音をずっと聴く動画なんかもあって。

    黒岩:粘着系の音を作るのは好きですね。スライムとか使ってグチュグチュ系の音を作るの好きです。

    モテ:先ほど収録現場に行ってバケツ一杯のスライムを見せていただきましたね。

    高橋:音を出すことに特化している、そんな手さばきでした。

    藤岡:やたら上手かったのはそういうことか……!

    高橋:私がやらせてもらったときは全然音が出なくて、無音でした(笑)。雑音を出しちゃいけないっていうルールに体が縛られているからかな?私たち声優だとスタジオに行っても声以外の音を発しちゃいけないんですよ。

    藤岡:紙のペラペラ音とかも出しちゃいけないんですよね。

    黒岩:私は雑音こそよく聴くかもしれません。板のパキパキっていう音とか「あ、今いい音がしたな」って思います。最近はジムに行っているんですが、ジムのお兄さんが金属のダンベルを回すときにギーッとか、ガシャンて音が鳴っていたから「あ、すいません」って言っていたんですけど、私は心の中で「今のいい音だったよ」って(笑)。

    高橋:どこかに使いたいとか思ったり?

    黒岩:うーん、それはまだないんですけど、インプットしとこうって。

    高橋:黒岩さんと声優とでは音に対する捉え方が全然違いますよね。アニメの収録スタジオは声以外は無音の空間でなくてはいけないので、歩いて靴のキュッキュッって音が出ちゃったりしたら、皆そこにザッと目が行って「お前、それ音が鳴ってるで」っていう顔をされるんですよ。そういうのも、黒岩さんだと「いい音が鳴ってるな」って思ってくれるかも?黒岩さんにスタジオにいてほしいな(笑)。

    黒岩:「いいー!」って言います(笑)。

    モテ:でもボイス収録のときはそこら辺もちゃんと厳しくやりますからね。

    黒岩:はい、ちゃんと聴いていますので大丈夫ですよ。

    高橋:じゃあ藤岡さん的に『アイスボーン』で「この音がいい」って思った音はありますか?

    藤岡:全部いい音だけど、これ言っていいのかな?アン・イシュワルダなんです。僕はプレイがゆっくりなので最近ようやくクリアしたんですけど、アン・イシュワルダは最初、岩状態じゃないですか。岩をどんどん剥がしていくんですけど、上手くいったらずっと部位破壊できて。その時のガラガラガラーッて音がいいですね。僕の使用武器はランスなんで、アン・イシュワルダの腹下で突っついていることが多くて。部位破壊のその場に自分もいながらずっと攻撃しているわけですが、岩の転げ落ちてくる音が妙に気持ちよくて。ああいい音がしてるなって思います。

    黒岩:アン・イシュワルダは大変だったんです。アイツってただの石じゃなくて鉱石とか混じってて。あの岩の隙間を風が抜けて音が鳴るのが歌声の正体という設定だったから、単なる石の音じゃなくて、いかに鉱石っぽい不思議な空洞感や響きを出すかと。それで海外のスタジオに行って録ったんです。アン・イシュワルダに関してはスカイウォーカーサウンドというスタジオと一緒に作っています。そこではモンスターの声を4体ほど作りました。

    藤岡:今回はそういったことが得意なスタジオにも協力していただいたんです。

    黒岩:フォーリーサウンド(さまざまな道具を用いて音を収録して効果音を作り出す手法)ですね。石を使ったり、石じゃダメだから陶器を混ぜてみようかと、一緒に相談して作って。

    藤岡:向こうのスタジオは映画の音をたくさん作っているから、勉強になりましたね。やり方や小道具とか。

    高橋:これは目から鱗だったというのは?

    藤岡:ドライアイスとか?

    黒岩:ドライアイスの技は盗みましたね。

    高橋:もう早速活かしてる!

    黒岩:スタジオには不思議な楽器もありましたね。不思議な木の叫び声がするチェロっぽい何かとか。オリジナルで作っているんだと思います。とにかくいっぱい道具がありましたね。ウチの会社の何倍も。

    藤岡:ホースを振り回すのはどうだったっけ。口が大きいモンスターで、空気がフワーッて抜ける音を録るっていうのがあって。それはホースだったっけ?

    黒岩:あれは『ワールド』の細井秀基サウンドディレクターですね。

    藤岡:太いホースを振り回して、フォーって音を録っていた気が……。

    高橋:ヒュンヒュンって音じゃないんですね?

    藤岡:ホースの太さで音の感じも違うんでしょうね。

    高橋:何で音を録っているか、全く想像がつかないです。

    黒岩:それが成功なんだと思います。

    藤岡:あとは桶をドリルでバババって掘ってたもんね。

    黒岩:それは除雪機(ブラントドス)の音ですね。本物の除雪機の音も使っているんですけど、ニュアンスを出すために、エンジンぽいのをやりたいなと思って。そこで金属がついている桶にいろいろ入れて、ドリルを桶に当ててガタガタガターって言わせて。金属が揺れるからいい感じになるんです。

    高橋:スタジオの中には所狭しといろんな音が出るものがありましたね。

    モテ:田舎の農機具が置いてある部屋みたいでしたよ。

    黒岩:全部あれらも使いますよ。

    高橋:クルマのドアの部分だけとか。

    藤岡:何でもあるよね。靴が異常にあったり。

    高橋:私、最初いっぱい人がいるのかなって思ったんですよ(笑)。たくさん用意されているのは靴によって音も変わるから?

    黒岩:全然変わります。素材もだし、サイズ感もだし。

    高橋:『モンスターハンター』って装備も特殊じゃないですか。そういう音はどうしているんですか?

    黒岩:素材全部オリジナルで録ってます。装備ごとに。

    藤岡:衣擦れとか、金属が当たる音とかね。

    黒岩:「これは金属が小っちゃめだからこの素材を使おう」というのも毎回フォーリーサウンドで録っています。

    高橋:『ワールド』になってからハンターがより自由に動けるから、そこによって衣擦れの音も変わっている気がして……。

    黒岩:変えています。歩く速さによってピッチや大きさも質感も変えるようにしています。

    藤岡:細かくいろいろやってあの音が鳴っているんです。それってあまり目立たないのが成功なんですよね。ナチュラルに聴こえているのが成功で。違和感のある出方だと主張が強かったりとか、その環境の音に合っていない音が鳴っているってことだから。

    黒岩:さりげない音が1番難しいんですよね。

    高橋:1番難しかったのは……?

    黒岩:やはりプレイヤーの音が1番難しいですね。足音が1番難しいと思います。常に聴こえているし。

    藤岡:目立つので、あんまりやり過ぎるとね。

    高橋:確かに馴染んでいてあんまり気にしていませんでしたが、足音は聴こえていますよね。

    黒岩:ふと聴いてみるとちゃんと土地の質感も分かります。実際に「本当に歩いているみたい」って思ってくれるのが1番成功かなと思いますね。

    藤岡:音のボリュームひとつでも変わってくるので。制作中に足音を仕込んだら最初はハッキリ聴こえてくるものなんです。でも、BGMなどいろんな音が鳴り出してもなお主張する足音は、スケール感がないということなんです。だからもうちょっと下げようとか、こもらせようとかの相談をすることもあります。

    黒岩:『ワールド』からは距離感がシネマティックな感じがあるかと思います。

    藤岡:プレイヤーの声とかもちょっと抑えめに、あまり出ないようにしてもらったり。

    黒岩:距離感がだいぶ遠くなったと思いますね。映画館で聴いても遜色ないフルレンジを目標に作っていたので。

    高橋:映画館でもできるゲーム!?

    藤岡:まあでもそういう環境でプレイしても違和感のない設計にはしてもらっています。携帯機などだと、小さなスピーカーから出る音を聴くことになるので音を強調してあげないと聴こえにくかったりするので、ハッキリ音を鳴らすんです。それをそのまま『ワールド』とかのリッチな空間に落とし込むと主張が強すぎて、逆に空気感がなくなるので。そういったところは最初の頃に特にやり取りした部分ですね。

    高橋:そんなの分からないよって言われるかもしれませんが、大体どれくらい音を作っているんですか?

    黒岩:それは分からないなあ……。1モンスターだと波形数は500波形以上は作っていますね。

    高橋:波形……?

    モテ:1個の音のファイルみたいな?

    黒岩:そうそう、ファイル的な。それだと1体につき500音。

    藤岡:それ掛けるモンスター数ですね。

    黒岩:ギミックだとか環境音だとかもありますね。

    モテ:モンスターが登場する時も岩場だったり、雪や土だったりで音が違いますよね。

    黒岩:はい、それぞれ作らなきゃいけないんです。

    高橋:そっか!「もうモンスター移動しないで!」って思いません?

    モテ:足音もそうだし、倒れた時の音もそうですよね?

    黒岩:そうなんです。スライド音もそうですね。

    高橋:しかも『ワールド』からモンスター同士が戦うじゃないですか。

    黒岩:そうなんですよー。「アイツらーっ!」て(笑)。

    高橋:モンスター同士で音が違いますもんね。

    黒岩:いっぱい鳴るから音同士もケンカしちゃうんですよ。「この音が鳴っている時に、この音が鳴るかあ……」とか。それをチェックしてコレは無くして、コレを入れてというのをやっています。

    藤岡:鳴り過ぎたら気持ち悪いものなんです。だから「このタイミングは1番これを聴かせたいから、あとは我慢させましょう」とか話し合います。

    高橋:モンスターたちは自由に生きているじゃないですか。私が黒岩さんの立場だったら「彼らは自由に生きているから、その場その場でなんて変えられないです!」ってなる思います(笑)。

    モテ:それをやること前提で全てを組み上げるんですよね。

    黒岩:難しいんですけど、いろいろ考えることがたくさんある方が作る側としては楽しいです。

    高橋:楽しいんですね!?

    黒岩:それによってユーザーさんが楽しんでくれたら1番嬉しいことなので、いっぱい考えます。

    藤岡:細かくいろいろ組み合わせたりというのが好きな人は、効果音をつける人になること多いよね。コンポーザー、作曲者は意外とそうでもないというか、もっと違うところにモチベーションがあるのかなとも思います。彼らはそのとき、どういう曲を鳴らせばプレイヤーが気持ちよくなるのかを考えていて。大きな流れを意識して作るのが好きな人の方がコンポーザー、BGMを作る人になりやすいのかなと思います。一方で、SEの人は「パキッ」っていう音を積み上げて「パキパキパキ」って音を作っていくわけじゃないですか。1個のファイルを開いたら「パキッ」って音しかない……。そっからのスタートですよ。そりゃあね、気が遠くなるよね。

    黒岩:まあ好きなことだからやりますよ。

    藤岡:そう言ってやれるのは素晴らしいことですよ。

    高橋:サウンドチームというひとくくりでもBGMを作る人、SE作る人っていろんなパートの仕事があるんですね。

    黒岩:そうですね、それとボイスもありますし。

    藤岡:昔はボイスの収録作業はSEの人がやっていたこともあるんですけど、最近はボイスも多いのでボイス担当を置いて作っていますね。

    黒岩:私も今、ボイス担当をしていますよ。

    高橋:じゃあSEの音も作りつつ、並行してボイスのお仕事もされているんですね。

    黒岩:録るのはもちろん外部の声優さんですし、スタジオや外部の音響監督さんにも協力してもらっています。そこで納品してもらった波形をエディットしたり実装するのは社内でやっています。

    高橋:黒岩さんはそれを担当されていると。

    黒岩:他のチームメンバーと分けてやっていますね。

    藤岡:ウチはまだボイスだけだと少ない方だよね、近年のゲームでいうと。

    高橋:『ワールド』で日本語ボイスが実装されたのも衝撃でした。

    藤岡:モンハン語のおかげでちょっとコストが上がっているかなって気はしますけどね(笑)。

    黒岩:1言語増えた、みたいな(笑)。声優さんは上手いですよね、モンハン語。

    藤岡:収録の回数を重ねるごとに上手くなっていますよね。高橋さんもしゃべられたことありますもんね、モンハン語。

    高橋:はい、『モンスターハンター ストーリーズ』で。でもモンハン語の辞典があるって聞いて驚きました。新たな言語を作り出しちゃうゲーム会社ってどういうことって(笑)。

    藤岡:『ストーリーズ』はセリフも多いから、モンハン語を今までみたいなノリで作るのは難しくなったのもあって。そこでサウンドディレクターがモンハン語をちゃんと管理しましょうと、ツールだったり辞書を作り始めたんです。それをお借りしてウチも作り始めて。

    黒岩:『ワールド』の制作では、その辞書ツールを改造して日本語を打ったら自動的にモンハン語でしゃべってくれるツールを作りました。

    藤岡:カタカナでね。電子辞書みたいな感じです。そのままだとしゃべりにくかったりもするので現場でアレンジしたり、要らないところを抜いたりしているんですけど。一応、ピッて入力したら変換が出るんですよ。

    高橋:えええー!すごい便利じゃないですか。

    黒岩:天才サウンドプログラマーが作りました。

    高橋:『モンハン』チームに天才がいっぱいいる!そんなお話をもっと聞いていたいのですが……、そろそろお時間でございます。

    モテ:これは聴いている皆さんから「ぜひ2回目を!まだまだ聴きたい」ってお便りがあれば、良三の部屋と差し替えて実現するかも!?

    高橋:あり得ますね(笑)。皆さんのメールをお待ちしております。では最後にすでにプレイしているユーザーさん、まだプレイしていないユーザーさんにそれぞれメッセージをお願いします。

    黒岩:ぜひ引き続き、あるいはこれからプレイを楽しんでいただいて、できれば合間にサウンドにも耳を傾けていただけたら嬉しいです。ありがとうございました。

    藤岡:こだわりを持つ人たちが日々一生懸命積み上げた音がゲーム中に鳴っています。それがすごく聴こえてくるようにしていたり、それが本当に何気ないところに忍ばせられていたりと、すごい労力をかけて作っています。基本はゲームを楽しんでもらえたらそれでいいのですが、音の記号性だったり、仕込まれているものにちょっと意識を飛ばすと、よりゲームも遊びやすくなるはずです。今遊んでいる方々はそういうところにも耳を傾けていただけるといいかなと思います。まだ手に取ったことのない方は、こういったこだわり集団が作っているゲームですから、きっといい経験をしてもらえると思いますので、ぜひ手に取ってもらえたら嬉しいです。

    高橋:ありがとうございました。今日お話をしてくださったのはサウンド担当の黒岩さんと、エグゼクティブ・ディレクター/アートディレクターの藤岡さんでした。ありがとうございました。以上、モンハン部放送部3rdのコーナーでした。お相手は高橋未奈美と。

    モテ:モンハン部編集長モテヤマでした。