『モンスターハンタークロス』ゲームデザイナーインタビュー
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モンハン部の皆さん、こんにちは!
さて、『モンスターハンタークロス』(以下MHX)ゲームデザインの開発秘話をうかがう、「モンハン流 狩りの作り方 第三回」、皆さん、読んでいただけましたか?
前回までの狩猟スタイルに続き、最終回の今回は“ニャンター”について!
どうぞ!!

▼開発者:詳細プロフィール

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「ヘタだと迷惑がかかるから…」と敬遠していた人にこそ遊んでほしい“ニャンター”

――ニャンターは、どういう経緯で企画されたんですか?

網干:『MHX』でもオトモアイルーは登場させようという話になっていたので、そちらを担当することになりました。その際に、小嶋プロデューサー、一瀬ディレクターから「アイルーをプレイヤーとして動かしてみる?」という提案をいただきまして。どうせ作るのなら、アイルーを動かせるだけではなく、『MH』シリーズのアクション要素が苦手だという人に向けた部分だったり、新しい遊びを作れないか? というコンセプトで企画を進めていきました。

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アイルーファンの願いが結実!?
ニャンターモードの登場です。

――みんなで『MH』をしたいのに、自分はアクションゲームが苦手だから難しい…という方もいらっしゃいますからね。

網干:『MH』は、パーティで3回力尽きたらクエストが失敗してしまうので、アクションゲームが苦手な人が力尽きてしまい、「みんなに迷惑がかかるから…」と、ゲームから遠のいてしまった人が結構いると聞いていました。そういった方に対しても、という考えから、モウイチドングリのアイデアなども出てきました。『MH』シリーズ自体、大人気でたくさんの人が遊んでいるタイトルだけに、そういう層の方も結構な人数いるでしょうから、ニャンターを使って一緒にクエストに参加したいと思ってもらえれば、といろいろ対応しました。

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大型モンスターと同じエリアで狩っていると、力尽きてしまうリスクはつきまといます。
モウイチドングリは、初心者にはとてもありがたいシステムです。

オトモアイルーを「使える」ようにするために~要望がどんどん増えて…

――ニャンターに対して、オトモアイルー側でも何か手を入れられたんですか?

網干:アイルーをプレイヤーに動かせるようにしながらも、これまで通りオトモアイルーとしても使えることを考えると、セットでいろいろ考えないといけませんでした。オトモアイルーとして大きく変えたところは、「サポート行動」です。過去の作品ですと「ボマー」は爆弾しか使いませんが、ユーザーさんが自分で好きなサポート行動を付け替えて使ってほしいというコンセプトもありました。ボマーだったら「爆弾のサポート行動を好みますよ」という感じで、「回復」だったら回復のサポート行動を使う、などすべての傾向に特徴づけをしていきました。実は、そのニャンターが好き(発動しやすい)なサポート行動を行う時には、専用の台詞を話すようにしてあります。

――それは初めて知りました(笑)。

網干:気付いてくれたらいいな、程度に入れています(笑)。

――その台詞は、全部でどのぐらい入ってるんですか?

網干:サポート行動は全部で45種類あるんで、それぞれに2~3種類ぐらい作りました。全部で100種類ぐらいですね。

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オトモアイルーは装備したサポート行動によっては専用の台詞をしゃべることもあるのです。

――そこに加えて、ニャンターとしての変更点も加わってくる、と。

網干:最初の頃は「オトモアイルーを自分で動かせる」だけで楽しかったんですけど、段々と「どこまで手を入れましょうか」という話になってきて。「さまざまな種類のクエストをニャンターでクリアできるようにしよう」とか、オトモアイルーには存在しなかった「回避」行動も、プレイヤーが操作するならあって当然でしょうと、想定以上に増えていって。

――要望がどんどん増えていったんですね。

網干:攻撃モーションにしても、ハンターと違った狩猟を行いたいという部分もあり、ブーメランをAボタンのみで投げつつ、そこにも派生バリエーションを増やしたいですね、などという話にもなっていって。結果、アイルーを「作り変える」のではなく、アイルーをベースにした“ニャンターというシステム”を“新しく作る”ことになりました。

 

アイルーが感じる「モンスターへの恐怖心」をカメラアングルで体感

――ニャンターはハンターよりも身長が低い関係もあって、カメラ位置も低いですよね?

網干:アイルーからすると,ハンターから見るよりもモンスターがより怖く見えるでしょうから、それを体感できるように見上げるような視点のカメラにしてあります。細かいことを言うと、大タル爆弾を持っている時や地面に潜った時など、周囲を確認したいような場面ではカメラ位置を引いて、遊びやすい調整にしています。

――凄い心配りですね!

網干:実は…運んでいる大タル爆弾で、前が見えなくなったんでカメラ位置を変えた、という事情もあるんですが…(笑)。

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モンスターを見上げた、低いアイルーの視点。こ、怖いニャ…。

――それにしても、ハンターが挑めるクエストはすべてニャンターでもクリアできるようにする、というのは、制作が大変だったんじゃないですか?

網干:討伐はもちろん、アイテムを使わないといけない捕獲や採掘、釣りといった要素を詰めていく作業は、大変だろうなぁとは思っていたのですが・・・「想定が甘かったな」と。あらためてハンター側がやっていたことの多様さに驚かされました。

――ニャンター専用のクエストに関しては、どのような意図があったんですか?

網干:ハンターを基本的に遊んでいる方向けに、「ニャンターもやってみようかな」というぐらいで遊べればなと。気楽なノリで挑めるよう、モンスターを討伐するまでは要求せず、頭を部位破壊したらクリアです、というような、短い時間でクリアできるクエストを意識的に増やしていきました。そのため、初挑戦のクエストでもクリアできるくらいの難易度を目指しました。ニャンターを主軸で遊ばれる方に取っては少し物足りないかもという感じはありました。が、そういった方は最終的に、きっとニャンターで二つ名持ちモンスターに挑んだりする人もいるんだろうな、とは思っていましたが。

――ニャンターの攻撃力や防御力の調整は、難しかったんじゃないですか?

網干:上手い人なら、ニャンターで二つ名に挑んでもらえれば・・・という具合にしたいとは思っていました。

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ドスファンゴに挑むアイルー。
二つ名モンスターに挑む勇者も!?

――「モンスターハンターフェスタ」が4か月にわたって開催されました。フェスタ中、上手い人のプレイを見て、どんな感想をお持ちになりましたか? 決勝を前に、皆さんの感想を聞かせて下さい。(※インタビューの収録は、決勝戦の前々日)

江口:『MHX』で仕込んだ狩猟システムや狩技といったシステムですが、狩王決定戦に出てくる人々を見ていると、とても今作から追加されたとは思えないほど、使いこなしてくれていました。特に、絶対回避を使った位置取りの仕方は凄くて印象に残りました。狩王決定戦に出て来る人は、やり込み方がいい意味で、凄まじいので…(笑)。

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狩王決定戦の決勝戦!
1分どころか1秒を詰めるために、日々努力を重ねているアスリートたちの頂点が決定です!!

――狩王決定戦はほんと、プロスポーツで超人同士の対決を見ているようです。

森:狩王決定戦は、あそこまで遊んでもらえたことをうれしく思いますし、『MH』の懐の深さを垣間見ることができました。彼らのように、競技と言うかアスリート的な接し方もできる一方で、大タル爆弾縛りでエリアル起爆とか、仲間をカチ上げてからのジャンプ攻撃のみで狩猟して楽しんでいる人もいるわけです。どっちの遊び方でも楽しめる幅の広さが『MH』としての有り様なんだろうと感じました。

――網干さんは、どんな感想をお持ちになられましたか? フェスタだけではなく、全体的なところも含めて。

網干:制作時に想定していたよりもニャンターが多く使われているようで、驚きつつも有り難く感じています。『MHX』は武器の種類に加えて狩猟スタイル・狩技の組み合わせもあるので、開発スタッフでニャンターを使ってくれる人が少なかったんですよ。使っているのは、マップ制作担当の人ばかりで。

――どうしてマップ担当の方がニャンターを?

網干:スタミナゲージがなく、走り続けられるのもニャンターの特性なので、広いマップをチェックするのにニャンターが役立ったんだと思います(一同笑)。

森:良かったですね(笑)。

網干:作って良かったです(笑)。


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フィールドを走るニャンター。
スタミナゲージが無い分、ずーっと走り続けられるのもニャンターの利点。

――最後に、『MHX』発売後のユーザーの皆さんの反応などを見て、開発者の皆さんはどのような感想を持たれたのか、一人ずつ教えていただけませんか?

江口:今回はナンバリングではない『MH』だったこともあり、いろんな意味でチャレンジした作品でした。それがプレイヤーの皆さんに好意的に受け入れていただけたので、喜んでいます。今後の『MH』シリーズについても、「変えつつ変わらない」とでも言いましょうか。「新しいシステムで遊んでみたい」と思って貰えたり、刺激になるような取り組みは、今後も続けていきたいと思っています。

森:『MHX』での変更は狩猟スタイルを入れるなど、かなりシステムにも手を入れています。エリアルスタイルやブシドースタイルを入れたことで、遊び方がかなり変わったと思います。いろんな技量やプレイスタイルの異なるユーザーさんに楽しんでもらえるものを作ろう、という企画で始まった『MHX』なので、受け入れて頂けて本当に嬉しく思っていますし、ここまでプレイヤー側を変えたタイトルでプレイヤー企画に関われたのは、開発者冥利に尽きます。『MH』というシリーズでも、ここまでやってもいいんだという可能性を拡げられたのが、今後のシリーズにとってもプラスに働くことになると自負しています。

網干:こういった変化にも対応していける部分が、モンスターハンターの根幹であったり、それを遊んでいただいているユーザーさんであったりの懐の広さなのかなぁ、と感じています。あらためて『MH』というものを再認識できました。

――本日はお忙しい中、ありがとうございました!

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さて、いかがだったでしょう?
シリーズを重ねる中、ナンバリングシリーズではない、しかもこれまでの『モンスターハンター』のシステムを踏まえ、より冒険的に発展させた『MHX』のゲームシステム。
その開発の意気込みの一部でも、感じていただけたかと思います。

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そして、いよいよMHX開発インタビュー最終章!
次回は『モンハン流 ド迫力3D映像の作り方』です。5月12日(木)公開予定!お楽しみに!

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開発者:詳細プロフィール

森善崇
『MHX』では、プレイヤー(ハンター)のメイン担当。2001年入社。入社直後はPlayStation 2用のネットワーク系システムを担当し、その関係で初代『MH』にも関わる。『MHP』シリーズからは、プレイヤーとモンスターの両方を担当。
使用武器: 全部やります。いろいろ使うのが楽しいので。

網干直剛
『MHX』では、ニャンターを担当。2008年入社。『MH』シリーズでは『MHP3rd』で、モンスターを担当したのが最初。その後『MH4』でもモンスターを担当し、『MHX』に参加。
使用武器:ニャンター、操虫棍、チャージアックス

江口勝博
『MHX』では企画を担当。1995年入社。『スーパーパズルファイターIIX』や『私立ジャスティス学園』、『MARVEL VS. CAPCOM 2』などを経て『MH』に参加。『MH』シリーズでは『MH』『MHG』『MHP』シリーズに参加。
使用武器: ヘビィボウガン、ライトボウガン