『モンスターハンタークロス』デザイナーインタビュー
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タイトル

モンハン部、モンハンプレイヤーの皆さん、こんにちは!

さて、前回のデザイナーインタビュー 「モンハンデザインのひみつ?①」 「モンハンデザインのひみつ?②」、読んでいただけましたか?
いよいよ前回に続き、4大モンスターのデザインのひみつについてうかがっていきます!
どうぞ!

▼開発者:詳細プロフィール

そして、ガムート!

――巨体モンスターである『ガムート』に関してはいかがでしょう?

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今回の重量級モンスター、ガムート。
雪を使います。

犬塚:キーワードは、もちろん“マンモス”という分かりやすいオーダーから始まりました(笑)。4大メインモンスターはそれぞれに属性が違うんですが、“氷属性”のモンスターになります。雪を足にまとうのですが、それをどうデザインに落とし込むか。また、“ヘカトンケイル”(ギリシャ神話の三人の巨人)や、“一つ目巨人”というものがガムートのキーワードとしてあったので、頭の甲殻の部分は、その“一つ目”の部分を意識してデザインしています。“一つ目”の部分は、ガムートの肩口の模様にも反映していますね。
――あ、ホントですね!!

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ガムートの側面。
たしかに、肩口に“一つ目”の模様があります!

犬塚:また、ガムートはマンモスやゾウをモチーフにはしていますが、そのままの印象で描くのではなく、たとえば足に関しては、ゾウガメや亀類の脚などをモチーフにしています。トゲトゲした脚ではあるんですが、“雪のひっかかり”の部分を逆向きのトゲで表現しています。雪を纏うために、雪が積もりやすく崩れ落ちにくい形状の甲殻になっていて、脚についた雪を攻撃に活かすイメージですね。
――なるほど、デザインがガムートの固有の攻撃に直結しているんですね!

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ガムートの足デザイン画(モンハンフェスタ’16にて展示予定)。
逆さまの甲殻が、雪を纏える形状になっています! ヒヅメの形にも注目!!


犬塚:ガムートは足の真ん中が尖ったヒヅメの部分にも特徴がありまして。
――ヒヅメ、ですか?
犬塚:ヒヅメの中央が大きく尖って二つに分かれているんですが、これは雪国の除雪に使う列車“雪かき車”の先頭部分を意識してデザインしています。そういった形でも“雪”を感じられる記号を織り込みました。
――あ、なるほど! たしかに、雪かき車の先頭に見えますね。
犬塚:あと、こだわりの部分としては、しっぽに関して、タヌキやアライグマのような“太くてフワフワ、モフモフ”な感じが出ることを意識して作りました。モデル制作では、毛が全身に生えているモンスターなので、骨格や筋肉といった本体部分を想像するのと、本体からどのように毛が生えているのかを考えて表現するのが難しく、苦労していたようです。

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前面は硬質感がありつつ、全体としては“もふもふ”なガムート。
ぜひ、尻尾側にも注目してください(笑)。

――たしかに、尻尾がぶっとくモフモフですね(笑)。装備デザインで注意した部分はありますか?
えだやん:ガムートの自体の見た目がものすごい巨体なので、すごくデカい装備にしないと納得いかないだろう、と。とにかくガムートの巨体のイメージを損なわないように意識しました。
佐藤:作業途中のものを見たのですが、「本当にゲーム上で動くのか、コレ」というぐらい大きくて、ヒヤヒヤしていました(笑)。
えだやん:男性装備に関しては、先ほども出たキーワード“一つ目巨人”というものを活かしてデザインしています。顔の正面の部分を“一つ目”に見立てて、それに加えて巨体の印象を組み込みました。それに対して、女性装備に関しては、そのままゴツい形にするかどうか悩みまして。巨体女もそれはそれでキャラは立つけどなんかなぁ…と。そこで男性装備が“雪山を守る一つ目巨人”というコンセプトを持たせたので、女性装備に関しては、“その一つ目巨人と心を通わせる巫女”というイメージコンセプトを立てて、そこから広げていきました。ただ、“女の子だから細身”という方向にはせず、全体としてはこれまでにないすごいボリューム感ではあるけれども、カワイイ感じも活かしている、というところに落とし込みました。

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ガムートの男性、女性剣士デザイン画(モンハンフェスタ’16にて展示予定)。
色味で共通性を持たせつつ、男女でまったく別の印象に仕上げています!

――たしかに、そのイメージで見えます! 男性装備と女性装備では、同じガムートからイメージを引き継いでいるのに、固い感じやモフモフな質感なども含め、全然違ったものに着地していますね。
佐藤:ガムートの装備デザインに関しては、見たことの無いぐらいのボリュームで巨大なデザインだったので、モデルにしたときにも、ものすごい大きさで(笑)。他のキャラと並んだときに違和感の無いようにも気を付けて、モデル担当者も調整に苦労していました。『モンスターハンタークロス』は、全体的にかなりチャレンジャブルなことをしていますね
――なるほど、モンハンシリーズの中でも、かなり“挑戦的”な装備だったんですね。
佐藤:そうですね。隣の机で作業していたんですが、見ていてかなりハラハラしました(笑)。ガムートは“毛”もあって、毛を使うとゲームのオブジェクトの容量をかなり使ったりするんですが、そこはこだわりの部分なので、頑張って作っています。『クロス』のモデルに関しては複雑な形状のものが多いので、開発の皆が努力して、そういった部分を実現しています。

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チャージアックスを抱えたガムート装備のハンター。
力強さが伝わります!

――プレイヤーの人には、そのボリューム感も楽しんでいただきたいですね(笑)。武器のデザインに関しては、いかがでしたか?
嶋津:武器に関しては、装備のデザインが大体固まった後にデザインに入りました。装備が決定する以前から、やはり巨大な武器を作ろうという考えは念頭にあったのですが、決定済みの女性装備が巨大な武器を持つと、巫女の印象と相性が良くない、というのがありまして。
――ああ、たしかに。
嶋津:“男性装備に合う武器”“女性装備に合う武器”それぞれを半々ぐらいの割合に振り分けてデザインをしていきました。男性装備に合わせた巨大感のあるパワフルなデザインの中に、ランスや笛などの女性装備に合わせた、シャーマンが祭儀に用いる道具のようなイメージの武器を織り交ぜています。ほかの武器では、男性装備に合うものもデザインしています。ガムート武器に関しては、色数を減らして渋めのデザインに振り、少し上の年齢層、初代『モンスターハンター』からプレイしていた方々の需要を満たすような武器のデザインを意識しました。

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ガムートのハンマーと槍(モンハンフェスタ’16にて展示予定)。
ハンマーの巨大な力強さと、槍の祭儀的な雰囲気が、どちらも並び立っています!

そしてタマミツネ!

――『タマミツネ』のデザインに関してはいかがでしょう? “和風”という部分は、最初から意識されていたのでしょうか?

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泡を使う海竜種、タマミツネ。
“和”の雰囲気を持つモンスターです。

犬塚:“和”のキーワードは、最初からありました。また、“キツネ”“ヘビ”“泡”というキーワードもあり、そういったところからデザインを詰めて行った形です。シャボン玉、泡を使った攻撃はキーワードとして最初からあったので、それをデザインの中にいろいろ落とし込まれています。たとえば、胸や尻尾などの毛の差別化・表現にも気を遣いました。
――“毛”ですか?
犬塚:そうです。ガムートのようなモフモフなある程度柔らかい毛ではなくて、タワシのような、芯のあるしっかりした毛にしています。デッキブラシやブラシのような感じで、そこでシャボン玉が泡立つイメージを持たせています。
――“洗剤をこすって泡立つ”ようなイメージで、毛を配置されたんですね?
犬塚:そうです。全身で言うと、タマミツネはヒレやウロコがあると思うんですが、渓流フィールドで出るモンスターなので、魚のような皮膚やヒレで、水辺の暮らしを想起させるパーツを入れ込んでいます。

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泡を起こすタマミツネ。
胸や尻尾の の“毛”のデザインに、そのアワの秘密がありました!

――“竜”のイメージも込みで、水棲生物の印象を入れ込んでいるんですね。キツネ顔、というのは、最初から決まっていたのでしょうか?
犬塚:キツネのような顔は、和風というコンセプトも含め、早めに決まっていました。モデル制作時には、胴体部分と毛の部分を別々の質感で表現しなければならず、そこに手間がかかりました。
――胴体と毛は別の処理をしているのですか?
犬塚:シャボン玉やアワは七色に光ると思うんですが、体の部分にはそういった光の反射を入れています。ただ、毛の部分にまで虹色の反射を入れると、全身が油まみれのような印象になってしまうんですね(笑)。そのため、固い毛の部分と胴体のウロコの表現は別にしてます。
――なるほど。
犬塚:また、シルエットがこれまでの海竜と少し違っていまして、胴体が長くなっているんです。前脚と後ろ脚の間の距離を離して、フェレットやイタチのような印象を持たせています。
――あ~、なるほど。たしかに、胴長な印象ですね。
犬塚:そういった部分がモーションも含めて、タマミツネ独特の雰囲気を出すのに活かせたかと思います。

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タマミツネのデザイン画(モンハンフェスタ’16にて展示予定)。
“和風”“キツネ”“蛇”といったモチーフが、優美さも加えて融合されたデザインです。

――長い胴の生物が動いている印象を、デザインから取り込んでいるんですね。タマミツネ装備のデザインに関しては、かなり和風の印象がありますが、デザイン的にはいかがだったでしょう?
えだやん:そうですね。ユクモ地方に関連するモンスターということもあり、“キツネ”のモチーフを合わせると“和風”というところはポンと浮かびました。それに加えて、ほかのモンスターはガチガチな装甲を持っているんですが、タマミツネは毛やウロコが素材のメインであり、あまり固そうな印象が薄いので、“着物”をモチーフにしよう、というのは、最初にデザインを見たときから、なんとなく決めていました。それとともに、デザインの話し合いをする中で“キツネの嫁入り”というコンセプトワードが出てきて、男性装備は“新郎”女性装備を“新婦”ガンナーは“嫁入り行列のお付きの人”に見立ててデザインすると面白いのでは、という話が出て。そのコンセプトを核としてデザインしました。

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タマミツネの男性、女性剣士デザイン画(モンハンフェスタ’16にて展示予定)。
“キツネの嫁入り”が、上手に装備イメージとして落とし込まれています。


――なるほど! その言葉を聞くと、非常に腑に落ちるデザインになっていますね!
えだやん:それとメインモンスターの装備として“ただの着物”にしか見えないよう、“装備”としてちゃんと身を守れるようなイメージを入れ込むため、モンスターの手足にある固い素材感も、肩まわりの防具や重要なポイントにパーツで入れ込むようにしています。
――なるほど、単純な“服”ではなく、“装備”として説得力を持たせているのですね。武器に関しては、いかがでしょう?
嶋津:武器デザイナー陣も“和風” というコンセプトについては、開始当初から共通認識をしていました。代表的な太刀以外にも、片手剣は扇、ヘビィボウガンは籠車、スラッシュアックスは掛け軸など“和”から広げられるモチーフを各武器に織り込んでいます。あと、モンスターハンターのプレイヤー層も幅広くなってきていますので、単純な刃ではなく“花”のような文様を刃の部分に織り込むことで、女性にも受け入れられそうなデザインにと工夫を凝らしています。

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タマミツネ装備と太刀のイラスト。
刃の部分の模様が美しいですね!

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こちらは、ゲーム中のタマミツネ装備と太刀。
優美さがうかがえます!

さて、今回はここまで!
次回は、カワイイあいつらのデザインと装備、武器のナゾに迫ります!
1月28日公開予定。
お楽しみに!

そして、1月末~2月には、全国で「モンスターハンターフェスタ’16」開催!
今回掲載されたデザイン画の、数十倍の数のデザイン画も公開!!
ぜひ、ご来場ください!!!

 

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開発者:詳細プロフィール

犬塚和久
MHXでは、モンスターモデルの制作と管理を担当。2008年カプコン入社。キャラクターデザイン室所属。『ラストランカー』『バイオハザード6』参加。MHシリーズは『モンスターハンタートライ』以来2作目の参加。影響を受けたクリエイターは、竹谷隆之氏、東工房氏。

佐藤博詞
MHXでは、モデル・デザインチームを統括。2000年カプコン入社。第三開発所属。『鬼武者』『バイオハザード6』 『宝島Z』『ドラゴンズドグマ』に参加。影響を受けたクリエイターはあきまん氏、西村キヌ氏、BENGUS氏、イケノ氏、えだやん氏などカプコンデザイン室系イラストレーター全般。

嶋津徹治
MHXでは、武器のデザイン、モデリングの制作管理、また『ドスマッカォ』のモデル制作も担当。2003年カプコン入社。第一制作部キャラクターデザイン室所属。『ロックマンX』シリーズ参加後、『モンスターハンターポータブル2nd』からMHシリーズ開発に参加。影響を受けたクリエイターはえだやん氏を含め、カプコンデザイン室全般。現在の注目作品はマーベルヒーローや『ワンパンマン』などヒーローもの全般。

SASA
MHXでは、装備、NPC、オトモなどのデザインを担当。2008年カプコン入社。キャラクターデザイン室所属。『機動戦士ガンダム ガンダムVS.ガンダムNEXT PLUS』でパプティマス・シロッコを描いた後、『モンスターハンターポータブル3rd』よりMHシリーズに参加。好きなクリエイター、影響を受けた人は吉田明彦氏、西村キヌ氏、竹谷隆之氏、えだやん氏。

えだやん
MHXでは、プレイヤー、オトモのデザイン統括と、装備、武器デザインも担当。第三開発所属。1995年カプコン入社。2000年まではカプコン対戦格闘ゲーム『ストリートファイターII』シリーズや『ジャスティス学園』開発に参加後、MHシリーズに初代開発から10年以上関わる。影響を受けたクリエイターは入社前は藤子・F・不二雄氏、入社後はBENGUS氏やカプコンデザイン室全般。