『モンスターハンタークロス』デザイナーインタビュー
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タイトル

モンハン部、モンハンプレイヤーの皆さん、こんにちは!

さて、前回のデザイナーインタビュー「モンハンデザインのひみつ?①」、読んでいただけましたか?
いよいよ今回はメインディッシュ、MHXの4大モンスターについて伺っていきます!
どうぞ!

▼開発者:詳細プロフィール

まずはディノバルド!

――それでは、『モンスターハンタークロス』の4大モンスターに関してお伺いできればと思います。『ディノバルド』のデザインは、どのような感じで固めていったのでしょう?

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獣竜種であるディノバルド。
古代林などに登場するモンスターです。

犬塚:ディノバルドに関しては、「古代林」フィールドに出ることが決まってましたので、そこに合わせて恐竜っぽいシルエットやポイントを入れ込んでデザインしていきました。それに加えて、“尻尾が剣”というコンセプトがあって、全体を固めていきました。

――最初から、“尻尾が剣”というコンセプトがあったんですね。

犬塚:そうですね。そういう方向性が決まる中、恐竜っぽい印象をベースにしつつ、“炎”の要素を組み込んでいます。

――“炎”ですか?

犬塚:“火災旋風”という、炎が竜巻のように巻き上がる現象があるのですが、その印象をシルエットなどに組み込んでいます。甲殻のデザインにも、炎のゆらめきに似た形状やディテールを組み込んだりしていますね。モデル制作時にも質感やシルエットで、説得力のあるディテールにしようと苦労しました。

――これまでのメインモンスターとの差別化で、苦労した部分はありますか?

犬塚:今までいた獣竜とは違うというところで、しっぽの剣の部分の色味を変えてポイントとして目立たせ、ほかのモンスターとの差別化をしています。

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ディノバルドのデザイン画(モンハンフェスタ’16にて展示予定)。
尻尾の“剣”の色味のポイント、“炎”“焔”をモチーフにした上部のディテールが分かりますね!

――ディノバルドの装備に関しては、いかがでしょう?

えだやん:ディノバルドは、モンスター自体が“炎”というキーワードに加えて、“地上のリオレウス”というコンセプトを持っていました。両モンスターともに赤い色が入っているので、印象がかぶらないようレウス装備と差別化しつつ、並んだときにメインとして引けを取らないデザインを意識しました。色構成が近いので、どこで差別化していくか、という部分が難しかったですね。

――なるほど、同じ甲冑であっても、レウス装備とは差別化しつつ、同じインパクトを持たせなければいけない、と。

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ディノバルド男性用の装備とガンランスのCGイラスト。
全体に“炎”のデザインが織り込まれています。

えだやん:モンハンの世界でメインの装備となると、どうしても甲冑という部分は外せない。甲冑ベースで赤黒っぽい印象、の時点でどうしてもレウスとのカブりを気にしなければいけないので、そこから、“炎の巻き上げ”などのキーワードの部分などを活かして、どう差別化するか、というところを意識しつつ落とし込んでいきました。


佐藤:“はぎ取った素材から作った鎧”という部分を活かして、差別化も含めてモンスターの印象を盛り込んでいってもらった形ですね。

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こちらは、ディノバルド女性用の装備と大剣のCGイラスト。
藍の中に赤をポイントにして上手く織り込み、“炎”の形を取り込んだデザインになっています!

SASA:ディノバルド装備に関しては、私がメインの装備を担当するのは初めてだったので、レウス装備との差別化に苦労しました。胴まわりのデザインに、“ディノバルドの荒々しさ”を織り込んで、男性プレイヤーにも受け入れてもらえそうなデザインに出来たんじゃないかな…と、自分では思っています(笑)。


えだやん:シルエットの部分にも、特徴を持たせていますね。


SASA:そうですね。先ほど“火災旋風”の話が出たのですが、そういった“渦巻く炎”を表現するように、左右非対称の形にして、シルエットで“炎らしさ”を表現しています


えだやん:赤い色味でも、炎の部分を表現していますね。


SASA:ディノバルドの尻尾の青黒い部分などは固い素材になっているのですが、腕やスネの防具などの、より防御力の欲しい部分に意識的に入れ込んでいます。

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ディノバルド装備のデザイン画(モンハンフェスタ’16にて展示予定)。
肩が左右違うディテールを持ちつつ、全体としては王道なデザインとなっています。

――武器デザインに落とし込むときに、何か気をつけた部分はありますか?

嶋津:やはり“レウス的立ち位置”というモンスターなので「王道路線で行こう」ということがすんなり決まり、これまでの『モンスターハンター』シリーズの、メインモンスター武器に並んでも負けないカッコよさを目指してデザインしました。

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ディノバルド素材の大剣のデザイン画(モンハンフェスタ’16にて展示予定)。
こちらにも、炎の意匠が落とし込まれています。

佐藤:武器に関しては、デザインとして複雑な形状が多く、ディノバルドの炎のゆらめく印象、燃え上がる炎のシルエットの印象などは、一旦モデルを組んでからデザイン画にフィードバックする、という作業をしています。非常に苦労してデザインしていたのですが、ハンマーのデザインなどにうまく落とし込めたかと思います。

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ゲーム中のディノバルド装備と大剣。
モンスターの印象を受け、非常に力強さを感じるデザインです!

そしてライゼクス!

――『ライゼクス』に関してはいかがでしょう?

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電気を使う飛竜種、ライゼクス。
素早く力強い印象がありますね!

犬塚:“電気”を使う“飛竜種”というキーワードが最初にあったので、そこでどうやって“発電”の仕組みをデザインに落とし込んでいくか、というところがポイントでした。形としては、“鈴虫”が音を出すように羽をこすり合わせて電気を発生させる、という発想から、虫の記号をデザインに落とし込んでいます。

――なるほど! ライゼクスは、ものすごく帯電しやすい羽の飛竜種なんですね(笑)。

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ゲーム中のライゼクス。
電気をイメージしたデザインが、虫のディテールも含めて織り込まれています!

犬塚:また、“虫”という印象は他の部分にも活用されていて、尻尾のデザインに関してはトンボの腹の部分の形状を落とし込んでいます。頭に関しては、“ツノゼミ”という昆虫の頭を参考にデザインしてますね。また、複雑な作りをしたモンスターなので、“通常状態”“蓄電状態”“電荷状態”と三つの状態があるので、どう印象を変えて表現するか、というところが苦労しました。

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ライゼクスのデザイン画(モンハンフェスタ’16にて展示予定)。
昆虫をモチーフにしたディテールが、いろいろと織り込まれています。

――先日、北島サブミッションさんと森気楼さんにインタビューしたときに、“ライゼクスはデティールが細かくて、モデリングの担当者が大変だった”と聞いたのですが、犬塚さんが担当されていたんですね?

犬塚:はい、そうです。普段よりも大きい解像度で描くので、「こんなところまで描いていいんだ!」と、楽しく作業できました(笑)。

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ライゼクスのメインビジュアル。
ライゼクスのモデルは犬塚さんが担当でした!

――装備のデザインで、苦労された部分はありますか?

えだやん:ライゼクスが持つスマートでスピード感のある印象と、独特の昆虫的な体のディテールからイメージを膨らませて、それをストレートに落とし込んだ感じですね。

――たしかに、スピード感を感じるデザインですね!

えだやん:今作に関しては、4体のメインモンスターで1セットになるので。ディノバルドが“正統派のレウス装備” のような、ある種主人公的なものだと考え、ライゼクスの“ちょっと悪そうなスピードキャラ”であったり、ガムートの“巨体キャラ”、タマミツネのような“華やかイケメン担当”と、4人の装備が並んだときに、セットでありながらそれぞれのキャライメージが引き立つように考えてデザインしています。その中で、ライゼクスはモンスターデザインを見たときから、昆虫モチーフでスリムなスピードキャラにしよう、と決めてデザインしました。

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ライゼクスの男性装備デザイン画(モンハンフェスタ’16 にて展示予定)。
鋭角的な装飾の中に、スピード感も織り込まれています。

――なるほど。ライゼクスの武器のデザインはいかがでしたか?

嶋津:ライゼクスに関しては、“発光”“変形”という2つのキーワードがあったので、それらが活かせるようなデザインにしました。可能な限りすべてのライゼクス武器には、変形ギミックが組み込まれています。変形に関してはデザイン画だけでは完結しないので、実際のゲーム画面での検証が大変でしたね。デザイン画とゲームのモデルを同時進行、という、少し特殊な進行をしています。ディノバルドが王道のデザインに決定した後だったので、差別化を図る為にもライゼクスの武器は、4大メイン中1番細くシャープなデザインにしてスピード感のあるカッコイイデザインを心がけました。

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ライゼクスのハンマーデザイン画(モンハンフェスタ’16 にて展示予定)。
変形機構が最初から織り込まれてデザインされています。


嶋津:また、ライゼクスはレウスのライバルという立ち位置のモンスターなので、太刀はレウスの飛竜刀と対になるようなデザインや名称にしました。

佐藤:ライゼクスの変形機構などは、武器に落とし込むのが大変でした。そこに関しては、可能なかぎりデザイン意図を再現しようと努力してします。一旦3Dのモデルを作ってからデザイン画にフィードバックしたり、デザインの整合性を考えつつ、構造的に破綻の無い、リアリティを追求していく形を取りました。

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ゲーム中でのライゼクス装備とスラッシュアックス。
スピード感や色味に、モンスターの印象が落とし込まれています。

さて、今回はここまで!
次回からは、残りの4大モンスターのデザインと装備、武器のナゾに迫ります!
1月21日公開予定。
お楽しみに!

そして、1月末~2月には、全国で「モンスターハンターフェスタ’16」開催!
今回掲載されたデザイン画の、数十倍の数のデザイン画も公開!!
ぜひ、ご来場ください!!!

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開発者:詳細プロフィール

犬塚和久
MHXでは、モンスターモデルの制作と管理を担当。2008年カプコン入社。キャラクターデザイン室所属。『ラストランカー』『バイオハザード6』参加。MHシリーズは『モンスターハンタートライ』以来2作目の参加。影響を受けたクリエイターは、竹谷隆之氏、東工房氏。

佐藤博詞
MHXでは、モデル・デザインチームを統括。2000年カプコン入社。第三開発所属。『鬼武者』『バイオハザード6』 『宝島Z』『ドラゴンズドグマ』に参加。影響を受けたクリエイターはあきまん氏、西村キヌ氏、BENGUS氏、イケノ氏、えだやん氏などカプコンデザイン室系イラストレーター全般。

嶋津徹治
MHXでは、武器のデザイン、モデリングの制作管理、また『ドスマッカォ』のモデル制作も担当。2003年カプコン入社。第一制作部キャラクターデザイン室所属。『ロックマンX』シリーズ参加後、『モンスターハンターポータブル2nd』からMHシリーズ開発に参加。影響を受けたクリエイターはえだやん氏を含め、カプコンデザイン室全般。現在の注目作品はマーベルヒーローや『ワンパンマン』などヒーローもの全般。

SASA
MHXでは、装備、NPC、オトモなどのデザインを担当。2008年カプコン入社。キャラクターデザイン室所属。『機動戦士ガンダム ガンダムVS.ガンダムNEXT PLUS』でパプティマス・シロッコを描いた後、『モンスターハンターポータブル3rd』よりMHシリーズに参加。好きなクリエイター、影響を受けた人は吉田明彦氏、西村キヌ氏、竹谷隆之氏、えだやん氏。

えだやん
MHXでは、プレイヤー、オトモのデザイン統括と、装備、武器デザインも担当。第三開発所属。1995年カプコン入社。2000年まではカプコン対戦格闘ゲーム『ストリートファイターII』シリーズや『ジャスティス学園』開発に参加後、MHシリーズに初代開発から10年以上関わる。影響を受けたクリエイターは入社前は藤子・F・不二雄氏、入社後はBENGUS氏やカプコンデザイン室全般。