ミステリークイズ

2011/04/01

[ミステリークイズ] 第8回:「証言台の攻防」

私はいま、証言台に立っている。
憎きあの男を殺人犯として有罪にするためだ。

「証人は当日、被害者の部屋にいる犯人を見たというのですね?」
裁判長の質問に私は「はい」と答え、そして続ける。

「あの日は雪が降っていて、ひどく寒い夜でした。私の部屋からふと向かいのマンションを見ると、被害者の女性が鍋料理を用意していて、そこに男が入ってくるのが見えました。こんなふうに、たまに部屋の中が見えるので知っていたのですが、その男は間違いなく彼女の恋人、つまりいま目の前にいる被告でした!」

「待った!」
あわてて被告の弁護士が言った。
「被害者のマンションとあなたのマンションは、幅20mほどの大きな道路を挟んでいます。どうして彼女の部屋が見えたのですか?」
いちいちうるさいヤツだ。私は答える。
「彼女の部屋のカーテンが開いていたからです。夜、カーテンを閉めずに部屋の電気をつけていれば、外からは丸見えですよ。ついでに言えば、私の視力は両目とも1.5です」
ぐぬぬ、という弁護士の歯ぎしりが聞こえる。
「証言を続けてください」と裁判長が言った。

「暇だったのでなんとなく見ていると、最初のうちは仲良く二人で鍋をつついていたのですが、そのうち口論が始まりました。口論はしだいに激しくなり、ついに男はキッチンから包丁を持ってくると、彼女をひと突きして立ち去ったのです」

「待った!」
しつこい弁護士が言う。
「ということは突発的な犯行ですよね。しかし凶器の包丁に指紋はついていませんでしたよ?」
「指紋は拭き取りました。言い忘れただけです。犯人は指紋を拭き取ってから、立ち去りました」
「そのあいだ、アナタは通報もせずに黙って見ていたのですか?」
「指紋を拭き取る時間なんて、ほんの数秒でしたから。もちろん彼が立ち去ったあと、すぐに通報しました」
「いや、まだ立ち去ってないはずです。 発見時、彼女の部屋には石油ストーブがついていました。犯人は死体を暖めて、死亡時刻をごまかすための偽装もしたのではないですか?」
弁護士のズレた質問に、私は呆れながら答える。
「だから、あの日は寒かったと言ったでしょう。石油ストーブは最初からついていましたよ」

すると弁護士は得意気に叫んだ。
異議あり!アナタの証言はムジュンしています!」



警官は男の嘘を見破ったのだが、その根拠は?

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