ミステリークイズ

2016/12/01

[成歩堂龍一のミステリークイズ] 第45回:「五線譜は死の調べ」

成歩堂法律事務所で、弁護士である王泥喜 法介(おどろき ほうすけ)が次の公判に向けての資料作りをしていると、テレビを見ていた新米弁護士、希月 心音(きづき ここね)が「えぇぇ!?」と大きな声をあげた。

オドロキ「ど、どうしたの希月さん、そんな大声出して」
ココネ「先輩、大変ですよ、音羽 陣成(おとわ じんせい)が亡くなったそうです!」
オドロキ「音羽 陣成‥‥?」
ココネ「え? まさか先輩、“音羽 陣成”を知らないんですか‥‥?」
オドロキ「い、いや、知ってるさ、もちろん。うん、あの‥‥有名な人でしょ?」
ココネ「‥‥先輩の証言から心のノイズが聞こえます」
オドロキ「こ、こんなことにモニ太を使わないでよ。ごめんごめん、認めるよ。知りませんでした。それは誰?」
ココネ「“音羽 陣成”っていうのは、結構有名なシンガーソングライターです。先輩、六法全書ばかり見てないで、少しは世の中にも目を向けなきゃダメですよ」
オドロキ「(ほっといてくれよ‥‥)それで、その音羽さんが死んだって?」
ココネ「ニュースによると、自宅兼仕事場で死亡しているのが発見されたそうです。あー、ショックだなあ。わたし、結構、ファンだったのに‥‥あれ? ニュースによると、現場はこのあたりみたいですよ! ということは音羽 陣成って、このへんに住んでたんだ‥‥先輩、わたし、ちょっと見てきます!」
オドロキ「み、見てきますって、ちょっと希月さん! ‥‥行っちゃった。詳しい場所なんて知らないだろうに‥‥そそっかしいなあ」

気を取り直して王泥喜が資料作りを再開すると、今度は事務所のインターホンが鳴った。

オドロキ「誰だろう。この時間にアポは一件もなかったと思うけど」

いぶかしげに王泥喜がドアを開けると、そこに立っていたのは女性刑事である宝月茜(ほうづきあかね)だった。

オドロキ「アカネさん! どうしたんですか!?」
アカネ「ちょっとこの辺に用事があってね。遊びに来たの。成歩堂さんはいる?」
オドロキ「成歩堂さんなら、今、ちょうど出張に出かけていていないんですよ」
アカネ「え゛~~」
オドロキ「そ、そんな露骨に嫌な顔しなくても‥‥。まあ、お茶ぐらい出すので、中にどうぞ」
アカネ「あたし、そんな暇ないの。勤務中だし」
オドロキ「(さっき、“遊びに来た”って言ってなかったか‥‥?)」
アカネ「でもまあ、ちょっとくらいならご馳走になろうかな。お邪魔します」

オドロキ「で、成歩堂さんに何の用だったんですか?」

お茶を出しながら王泥喜が聞くと、茜は一枚の紙を取り出した。

アカネ「今、あたしが担当してる事件について、アドバイスをもらおうと思ってね」
オドロキ「なんだこれ‥‥五線譜に音符と歌詞が書いてある。けど、これ、なんだかテンポもバラバラで適当じゃないですか?」
アカネ「そう。これが被害者の傍に残されていてね。アンタの言う通り、楽譜としての体裁をなしてないから、私たちはこれをダイイングメッセージなんじゃないかって睨んでるの」
オドロキ「待てよ? 楽譜‥‥。もしかしてアカネさんの担当してる事件って、音羽 陣成の件じゃないですか?」
アカネ「あら、よく知ってるわね」
オドロキ「そりゃあもう。有名な人ですし(さっき知ったんだけどね)」

お茶を飲みながら茜が王泥喜に語った事件の概要は、以下のとおり。

人気シンガーソングライターである音羽 陣成(おとわ じんせい)が自宅兼仕事場であるスタジオで死亡するという事件が発生した。第一発見者は音羽の妻。
外傷のない不審死ということで、解剖が行われ、その結果、音羽の死因は毒殺ということが判明した。使われた毒は即効性に欠け、被害者はゆっくりと苦しみながら死んでいったということになる。
遺体の傍らにはバラバラの旋律と意味不明な歌詞が散りばめられた五線譜が置いてあり、そこに書き込まれている字は筆跡鑑定により被害者本人のものと解っている。
被害者の友人たちに聞き込みをしたところ、最近、嫌がらせや脅迫めいた電話がかかって来ていたようで、周囲には「精神的にまいっている」とこぼしていたようだ。ただ、「俺を狙っている奴の目星は付いている。特別なメッセージもすでに作ってあるんだ。あとはひと手間加えるだけでメッセージは完成する」とも言っていたようで、警察はそのメッセージこそが、この五線譜ではないかと考えているらしい。



アカネ「被害者はペンを握って死んでいて、最後に記されたFinale(フィナーレ)の文字と握っていたペンのインクの成分が合致したの」
オドロキ「なるほど」
アカネ「被害者の弟さんに見せたら、この五線譜も被害者の生前に見せてもらっていたらしいの」

以下、被害者の弟の証言。

「兄は確かに、誰かから命を狙われてるとこぼしていました。僕はそんなもの被害妄想だと相手にしてなかったんですけどね。まさかこんなことになるなんて‥‥。え? 五線譜? 見せてください。
‥‥これが、兄の傍らに置いてあったんですね? ‥‥ええ、見たことあります。音楽として成立してませんでしたからね、よく覚えています。なんだいこれって聞くと、兄は、『この曲は、“死の調べ”って曲なんだ』と言っていました。
思えば、兄は本当に精神的におかしくなっていましたね。自分を狙っている人間の目星がついてる。あとは確証を掴むだけだって言ってて。もし、その人間が嫌がらせの犯人でなかったら、死んで詫びてやる、とも言ってましたから。ああ、もっと真面目に兄の言うことを聞いてあげればこんなことにはならなかったんじゃないでしょうか‥‥後悔してもしきれません」

アカネ「あんた、何かわかったりする?」
オドロキ「“死の調べ”?・・・・シの‥‥あ! これは自殺‥‥!」
アカネ「何いってんの?・・・・あっ、そうね」
オドロキ「じゃあ、これで解決ですか?」
アカネ「うーん‥‥でも、なんかひっかかるのよね‥‥」
オドロキ「アカネさん、第一発見者である奥さんにも事情を聞いてるんですよね?」
アカネ「もちろん!」

以下、被害者の妻の証言。

「ここ数か月、夫は仕事どころじゃなかったみたいです。
脅迫されていることは聞いていましたが、具体的にどんな脅迫をされているのかまでは知りませんでした。楽譜についても一度話をしていて、『この曲の真実はフィナーレにある』と言っていたのを覚えています。」

オドロキ「‥‥アカネさん。奥さんの証言で確信しました。奇妙な楽譜の真のタイトル、そしてその意味もね!」

この楽譜のタイトルにふさわしいのは?

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