『戦国BASARA 真田幸村伝』田中俊宏ディレクターインタビュー

2016/08/25

発売記念! 『真田幸村伝』開発インタビュー

ついに本日8月25日、『戦国BASARA 真田幸村伝』!
その発売を記念し、本作のゲームディレクションを担当した田中俊宏ディレクターにお話をうかがいました!
初の『戦国BASARA』シリーズを担当する意気込みやリスペクト、史実への想いなど、見どころ読みどころ満載です!

どうぞ!!

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■田中俊宏 プロフィール
「戦国BASARA 真田幸村伝」ディレクター。ゲーム部分の制作全般を担当。代表作に「エクストルーパーズ」「ガイストクラッシャーゴッド」など

バサラとの“なれそめ”は?

――田中ディレクターは『戦国BASARA 真田幸村伝』(以下『真田幸村伝』)が、初の『戦国BASARA』タイトル参加だと思いますが、実際に企画に関わるとき、どのような印象をお持ちでしたか?

田中俊宏(以下、田中):そうですね、まだカプコンに入社する前…学生時代に遊んでいた有名シリーズに、まさか自分が参加できるとは思っていませんでしたので、最初は驚きの方が大きかったです。自分が実際にプレイしたのは、確か『戦国BASARA2』からだったかと。実際の武将として、マンガなどで描かれてきた人物像も含めて前田慶次が好きだったので、そこで『バサラ2』に興味を持ち、買ってプレイしました。

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▲パッケージでもメイン! 『戦国BASARA2』の主役を務める前田慶次。 その“粋”な姿が魅力です!

田中:シリーズのノリはなんとなく知っていましたが、戦国時代ものとは思えないキャラクター、ステージ、ギミック、物語などに、度肝を抜かれたことを覚えています(笑)。同時に、自由な発想でプレイヤーの予想を裏切るワクワク感に、非常に魅力を感じました。

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▲ストーリーも追加され、システムも含めてより楽しみ方が増えた『戦国BASARA2』。
幅広いプレイヤーの方に遊ばれました。

――なるほど、入社前、学生のときから遊んでいたのですね! シリーズ10年の歴史を感じます(笑)。今作『戦国BASARA 真田幸村伝』の開発は、どのような形でスタートしたのでしょうか?

田中:もともと、戦国BASARAの新しい展開を小林シリーズプロデューサーが模索しており、何か企画を考えるよう、声をかけてもらっていました。しばらく検討していたのですが、上手くまとまらず、一度話が無くなったかと思っていたところ、「幸村を主人公にした戦国BASARAをやりたいんだけど」と再度お声がかかり、山本シリーズディレクターも交え、打ち合わせをしたのが始まりです。それが、2014年の11月頃でした。

――『戦国BASARA4 皇』と、平行して開発されていたのですね。

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▲2015年7月23日発売、『戦国BASARA4 皇』!
千利休が初登場し、よりカッとんだ“戦国創世”が描かれました。

田中:そうですね。始まる前は、幸村が主人公だから、十勇士を出したりして、にぎやかないつもの感じのBASARAになるかな…とイメージしていたのですが、山本さんから企画草案をいただいたとき、想像と違うシリアスな内容で。過去作をプレイしたときのように、予想を裏切られましたね(笑)。

――身内(開発)の予想をも裏切る“バサラシリーズ”なんですね(笑)。

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▲真田幸村を主役とした企画として立ち上がった『戦国BASARA 真田幸村伝』。
そのスタートは、ディレクターの想定すら裏切るものだったのです!!

“烈伝シリーズ”としての真田幸村伝

――『戦国BASARA』シリーズ初の長編ストーリーを描く『戦国BASARA 真田幸村伝』。史実での「真田幸村」という人物に関しては、田中ディレクターはどのような印象をお持ちでしたか?

田中:徳川家康という戦国時代の“絶対的勝利者”に対して、最後の最後まで諦めずに挑んだ“男の中の男”というイメージです。私は生まれも育ちも大阪なので、大坂の陣での活躍は子供の頃から知っていますし、歴史だけではなく、漫画やアニメなどにも多く登場するので、やはりヒーローとしての印象があります。

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▲幸村と“勝利者”である徳川家康、大坂の陣での邂逅。
そこで交わされる言葉は…ぜひゲームでご確認ください!!

田中:ただ、見た目に関しては、赤備(あかぞなえ)で“鹿の角の兜”のイメージがあったので、ライダースジャケットを着こなす戦国BASARAの真田幸村のビジュアルを初めて見たときは、衝撃的でした。

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▲シリーズ衣装の真田幸村と伊達政宗。
今作でも使えるこの衣装、初登場時はこれまでの武将イメージを覆すものとして、かなりの驚きをもって迎えられました。

――『真田幸村伝』では、幼少時の幸村(弁丸)から大坂の陣までが描かれますが、幸村の生涯を描く“期間”に関しては、すんなりと決まったのでしょうか?

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▲幸村と政宗の幼少時代、弁丸、梵天丸が初登場!
一人の武将の生涯を描くからこそ実現した“競演”です!!

田中:やはり、せっかくの単独主人公なので、今までの幸村とは違う面も見せていきたいという話は初めからありました。壮年の幸村、という発想もあったのですが、“渋いおじさん枠”で昌幸を出すということと、シリーズとして政宗との関係性を描くのは避けられないということで、蒼紅の出会いを描ける幼少時代を、という形で落ち着きました。 そして、幸村の人生で最も鮮烈に輝くのは、やはり大坂の陣での壮絶な戦いであることは疑いようがないので、シリーズではあえて明確に描いてこなかった、武将の最後までを描くことこそ、本作のやるべきことだと考えました。 この発想は小林さん、山本さんからの希望でもあったので、揉めたりはしませんでしたね。

――なるほど、幸村の最後に関しては、やはり共通の認識があったのですね。

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▲“戦国時代の最期”でもある「大坂の陣」を描く本作。
幸村は真田家の“六文銭”を背負い、戦場へ向かいます。

真田家新キャラクター登場秘話!

――今作では、「真田家」の新キャラクター、父・真田昌幸、兄・真田信之が登場します。二人のデザインの決まり方は、どのようなものだったのでしょうか?

田中:シリーズでは、登場武将の幅が狭まるという理由で“あえて血族を出さない”というルールがあったのですが、今作は「烈伝シリーズ」として、あえてやっていなかったことに挑戦しようと、お父さん、お兄さんの登場が決まりました。

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▲“真田一族”として登場、昌幸、幸村、信之。
皆が同じ方向を見ていた時もありました…。

田中:昌幸は、父親役として、信玄に負けないキャラクターにしなければいけないという点が難しかったですが、奇術師、というテーマが決まれば、そのあとは早かったです。信玄の前立てと同じデザインの首飾りをしていたり、武器に軍配がついているなど、信玄との関係性はデザインにも盛り込まれています。“ナイスミドル”という言葉がぴったりなキャラになりました。

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▲昌幸の設定画と、実際のゲーム画面。
“武田方”であった彼の歴史が、デザインにも織り込まれています!!

田中:信之は、勇者、というテーマがあり、ファンタジーRPGの勇者のようなデザインをとっかかりに始めました。髪が白いのもその名残ですね。歴史資料を調べる中で、真田家の鎧に梯子の模様が多く描かれていたため、それを取り入れたいというのもあり、梯子の武器と縄梯子のような鎧のデザインが完成しました。男性のツインテール、というアイデアが出た際は、これが戦国BASARAの真骨頂か…!と感心しました(笑)。

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▲真田信之の設定画とゲーム画面。
見事なツインテ…かつ、たくましいキャラクターです!

田中:また、真田家は三人セットで描かれる場面も多いことを想定し、三人を並べたときのバランスにも気を配りました。幸村が裾の広い陣羽織を着ることは早めに決まっていたので、幸村が三角形のシルエット、信之が髪の毛を含めた逆三角形のシルエット、昌幸は肩にボリュームを出してひし形のシルエット、という感じで、パッと見のシルエットを意図的に変えています。

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▲青年幸村のデザイン画と、真田一族そろい踏みのシーン。
色味やシルエットを差別化し、それぞれの個性が際立つようにデザインされています。

――『戦国BASARA』の「伊達政宗」という武将に関しての印象は、どんなものでしたか?また、今作出演にあたってデザインが変更されていますが、どのような経緯があったのでしょう?

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▲今作において、色味から大きなデザインの変更があった“伊達政宗”。
白き竜となった彼に、田中ディレクターはどのような想いを抱いているのでしょう?

田中:カプコン入社前、『戦国BASARA2』から入った私は、実は政宗がシリーズ最初の主人公だと知りませんでした…。漠然と戦国群像劇ぐらいの認識だったので、その中でレッツパーリーする人、ぐらいで認識しておりました。お恥ずかしい話ですが。しかし、本作の打ち合わせで小林さん、山本さんのお話を聞いて、お二人の政宗に対する特別な思いをうかがい、その魂を注入されました。
実は、私としては、幸村を主人公として強く立たせるためには、あえて政宗を遠ざける方向性もあるのでは?と一時考えていたのですが、戦国BASARAという世界観を勉強するうちに、幸村を描くためには、政宗の存在はやはり不可欠だと再認識し、すぐに考えを改めました。
自分の野望を叶えることこそが皆のため、という、自ら光り輝く政宗という人物に対して、他の人たちの想いや生き様を受け止め、照らし出される幸村、という対比は、本作のストーリーラインにおいても重要で、印象的になっていると思います。

――なるほど。光を放つ側と、それを受け止めることで輝く側、という、対になった存在なのですね。

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▲お互いの存在が、もう一方の存在を際立てる、幸村と政宗のライバル関係。
その『戦国BASARA』としてのテーマは、形は変わっても伝承されています。

田中:政宗のデザインに関しては、元々幸村と政宗の二人はアクションも刷新することが初めから決まっていたため、政宗にも新規のデザインが必要だろうということになりました。主人公として作品全体のテーマを背負ったデザインの幸村に対して、政宗にはストーリー上必要なデザインでいこうということで、小田原のエピソードから白装束にしよう、という形に決まりました。あえてイメージカラーの“蒼”を廃したのですが、前デザインにインパクトで負けないようにしなければなりません。そこで、ただの白装束では務まらないということになり、コート風の白装束、というところからデザインを始めました。そして、史実の“十字架を背負う”というエピソードから着想を得て、西洋甲冑を合わせることで方向性が固まり、あとは確立された政宗というキャラクターに寄り添わせながら、調整されていった感じです。

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▲小田原にて登場の伊達政宗新衣装。
コート、そして中の西洋甲冑と、大胆なアレンジがほどこされています!

バサラ視点から史実と向き合う『真田幸村伝』

――今作は、史実を元にした“烈伝シリーズ”となります。田中ディレクターがお好きな幸村関連の史実エピソードと、『戦国BASARA 真田幸村伝』に織り込むときに上手くいった部分はありますか?

田中:やはり、大坂夏の陣で自ら突撃し、家康ののど元まで攻め入った、という最期のエピソードが好きです。
本作のストーリーでは、徳川との戦いよりも、家族の絆にスポットが当たっているため、本作でそのシーンがクライマックスというわけではありませんが、並み居る東軍にたった一人で挑むというシチュエーションは、ゲームの中に入れ込むことが出来ました。

――なるほど。かなり“熱い”戦いになりそうですね!

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▲“大坂夏の陣”のとき、徳川の大軍に対し少数の軍勢で斬り込む真田幸村。
その史実をベースに、本作の最終章は紡がれていきます。

田中:あと、有名なのは真田丸のエピソードですが、真田丸を砲台にするのは山本さんのアイデアでした。自分は思いつきもしなかったので、かなり驚きましたが、こちらもゲームとして遊びを乗せることが出来たので、良かったと思います。
本作では、シナリオ、キャラクター監修は山本さんに一任していたため、自分の方から世界観のディレクションをしてはいないのですが、シリーズを作り上げてきた山本さんを信頼し、出てきたものを真摯に受け止め、プレイヤーの皆さんに喜んでいただけるゲームとして完成させる、ということを徹底しました。時には「えっ!?」と耳を疑うような突飛なアイデアもありましたが、それを真剣に形にすることがクオリティに繋がると信じて開発しました。

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▲本作における“真田丸”。
大坂城外に設置された出城ですが、大変大胆なアレンジがされています!

――登場する武将の描写で、工夫された部分はありますか?

田中:上記のとおり、ストーリーやキャラクターに関しては山本さん主導で進めていたため、私の直接的な手はあまり入っていませんが、ゲームに落とし込む際の工夫は、今作では手をかけています。というのも、今作は一本道のストーリーなため、敵武将の登場の仕方に汎用性を持たせる必要が無く、物語を最大限楽しめるように調整出来たからです。例えば、今作では敵武将の体力を複数段階持てるようにしました。これは、お話に合わせて、武将の強さが変わるように表現したかったからです。例えば、信長と光秀が同時に出る場合、信長の方が強大な相手として描きたいので、信長の方が体力ゲージも数を多くしています。

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▲序盤のボスとして登場する明智光秀と織田信長。
それぞれ、通常のバサラとは違った体力設定になっています。

田中:これにより、見た目から遊んだ感じも含め、差が分かりやすくなっています。体力段階が変わると、使う技や行動も変わるので、飽きずに遊んでいただけると思います。登場する状況によって、体力段階が違う武将もいます。
また、前談秘話モードでは、ギャラリーにボイスドラマを追加することで、ゲーム的には冒険できました。難易度変更を思い切って無くし、「やっぱり天下人達はこのぐらい強くないと!」という要望が満たせました。

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▲前談秘話に織田軍として登場の柴田勝家と前田利家。
その強さも、実際のゲームで体感してみてください!

キャラクター性に関しては、シリーズのイメージは変えず、今作のストーリーに合わせて調整を入れた形になっているので、全然別人というような描写にはなっていないと思います。個人的な注目キャラクターは“後藤又兵衛”ですね。本筋の裏側で、彼なりに苦労している様が垣間見えます。

――なるほど。彼は、大坂の陣でも重要なキャラクターになりますよね。

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▲小田原城での後藤又兵衛。
彼の活躍(?)にも、注目です!!

イベントシーンは、園村監督によってアクションに力が入っていますし、キャラクターの心情表現にもこだわっていますので、見ごたえがありますよ。

――「THE ACTION OF 真田幸村伝」で一部webでも見られますが、最初に実写で撮影して、CGムービーを作っているんですね。そのこだわりが、素晴らしいですね!

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イベントシーンの制作秘話を収録した動画「THE ACTION OF 真田幸村伝」公開中!
ムービーを演出された、園村監督のこだわりが伝わります!!

アクションゲームとしての『真田幸村伝』

――田中ディレクターがアクションゲームを作られるときに注意されている部分はありますか?

田中:キャラクターを大事にする作品を多く経験してきたので、今作もキャラクターやお話を損なわないように注意しつつ、アクションゲームとしての爽快感が出るように努めました。特に『戦国BASARAシリーズ』は、多くのファンの方々に愛されている作品ですので、シリーズとしてのクオリティを落とさないようにするのが本当に難しかったです。逆にシリーズとの違いを意識したのは、アクションゲームとしてのシンプルさです。今作は主人公を一人に絞っているため、テーマパーク的なバラエティ感よりは、一本の物語に没入できるよう、要素を整理してシンプル化することを目指しました。

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▲『戦国BASARA』としての爽快感と、アクションとしての歯ごたえ。
そのバランスは、ぜひその手でご確認ください!

――ありがとうございます!では、バサラファンに一言、お願いいたします。

田中:『戦国BASARAシリーズ』としては新参者ですが、出来るだけ楽しめるものを皆様にお届けできるよう、頑張って参りました! 昔からのファンの皆様の期待にお応えしつつ、前からシリーズが気になっていた方々にも手に取っていただけると幸いです。 シリーズプロデューサーの小林さん、シリーズディレクターの山本さんの熱烈指導を受け、キャラクターやアクションの手触りなど、バサラシリーズとしての良い部分はご堪能・ご満足いただけるかと思います。
また、一人の主人公に絞るということで、一本の完結したストーリーになります。過去作が気になっていたけど、キャラクターの関係性や繋がりが分からなくて手が出せなかった、という初心者の方にとっては、“戦国BASARAシリーズ入門編”としてもお楽しみいただけるかと思っております。
音楽や、新キャラクターなど、他にも見所沢山となっておりますので、ぜひプレイしてみてください!

――本日はありがとうございました!

さて、いかがだったでしょう? 『戦国BASARAシリーズ』でありつつ、「真田幸村」という武将を徹底して描きこんだ本作『戦国BASARA 真田幸村伝』。 もちろん、登場する46武将も、新たな面も含め、深く描かれております。バサラらしい熱い描写、爽快感のあるゲームの手ごたえ、ぜひ感じてみてください!!

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