デッドライジングのルーツに迫る

またまた新規ハードへのチャレンジ『デッド ライジング』

『ロックマンDASH』では「新しいハードだからこんなこともできるハズ!」というチャレンジャブルなお題をいただいたのですが、新規ハード向けの作品『デッド ライジング』でも「広いショッピングモールで、沢山のゾンビが出てきて、自由に遊べるゲーム」という夢いっぱいのオーダーをいただきました。「DASH」に似たオープンワールド的な志向の作品です。
アメリカのモールと言えば広大な建物に山ほどの店が入っていて、それぞれ異なる商品が並んでいますが、ゲームでそれを自由に使えるようにしたい…いくらパワフルな新ハードだからって、それ、作れるの?というオーダーでした。とは言え、ゲームを作りたいという自分の欲求には勝てず、やばいと思いながらもやらせていただきました。
売り上げが読みやすい続編モノとは違って、未知数のオリジナルゲームの場合、予算、スケジュール的にあまり冒険できませんので「丁寧なゲーム作り」が必須となるゲーム性は難しいと考えました。
「バイオハザード」みたいな、シリアスな方向ではなく、コミカルなテイストだったらどうだろう?ホラーとユーモアは、結構相性がいい。よしそれだ!という感じで作ったのですが、オーダー元の上司には「オレが考えていたホラーとは少し違う」と言われました。今思うと「違う」のによくそのまま続けさせてくれたなと、度量の大きさに感謝です。
一番不安だったのは、一つの店で使えるアイテムが5つしかないところ。
店には商品が一杯あるのに5つしか取れないことに不満がでないかどうかでした。
絶対欲しいと思えるものは取れるようにしようということで進めたのですがお客様に受け入れて貰えてホッとしました。
あと困ったのは、アメリカのモールは、実はほとんど服屋さんなんですが、服をどうあつかえばいいのか悩みました。結果、ゲーム性には影響ないけど、着替えさせるしかないよねと、苦し紛れで入れた着替えシステムですが、リアルタイム・ムービーシーンでシュールな面白さをお客さん自身が演出できるようになりとてもウケました。きついスケジュールにもかかわらず頑張って服を量産してくれたモデラーさんに感謝です!

イケメンではない主人公、フランクの誕生

『デッド ライジング』はそれまでのカプコン作品以上に、海外市場も視野に入れて制作していました。というか、海外メインでした。海外作品の主人公を研究したのですが国産ゲームの若いイケメンキャラとは少し違いますよね?安直かもしれませんが、不細工なおじさんキャラにするということは早い段階から決めていました。海外のスタッフに色々デザインを見て貰ったのですが、あまり評判が芳しくなく少し不安でしたが自分では気にいってました。

ゾンビよりも恐ろしい?正気を失った人々

ある程度モールの再現や無数のゾンビを描く目途は立ったのですが、ゲームの要所を締める「ボス」の存在が決まっていませんでした。大型や小型、変異型と言ったゾンビのバリエーションも検討したのですが、所詮はゾンビなので強くできません。
ある日、アートディレクターが「よくゾンビもので、一番怖いのは人間というオチがあるじゃないですか」といってくれたので、正気を失った人々、すなわり“サイコ”をボスに設定しました。こちらも上司には少しウケが悪かったのですが、それでもこのアイデアのままで続けさせてくれました。

社内で心配されていた?「デッド ライジング」

広大なショッピングモール、大量のゾンビ、個性的な主人公に斬新なボスキャラ達。
だんだんと「デッド ライジング」の形が見えてきて、チームのコアスタッフは自信をもっていたのですが、正直、社内からは心配されていました。残酷すぎるのでは?とか、ゲームが粗いのでは?とか。
こちらも色々悩んでいたタイミングでE3ショーに出展となりました。こちらはドキドキでしたが、会場で近寄ってきたお客さんがコントローラーを触って、ゾンビを殴った瞬間大喜びで歓声を上げたのを見て、凄く安心したのを覚えています。
それからゲームを触る人触る人、みんなが大笑いでプレイしてくれたんですが・・・いままで何度もショーに作品を出展してきた私もこんなのは初めてで、これはいけるかも!?と手応えを感じました。

「デッド ライジング2」へ新たな挑戦

「デッド ライジング」が成功を収め、「2」制作の話が上がってきました。
次のチャレンジは…海外のスタジオでの制作を成功させる事でした。これもまた、難易度の高いチャレンジです。
タッグを組むことになったスタジオはアクションゲームの制作実績が乏しく、正直少し心配でした。ただ、北米の人は本当にゾンビが好きなので、その感性に期待していました。案の定、開発は苦戦しましたが、制作体制が動き出すまで粘り強く待ってくれた上司と会社に大感謝です。

「2」の完成へ

「2」の新要素として「コンボ武器」というのがあります。包丁とモップの棒をガムテープで引っ付けて即席の槍を作ると言った簡単な物から、ゾンビの頭をジューサーで潰すヘルメットなど、受け狙いのネタ武器までさまざまな武器を作ることが出来る楽しい要素です。このアイデアは海外スタジオから出たんですが、一つ々々の武器ネタは、彼らならではのアイデアで、ブラックジョークが効いていて秀逸でした。私もちょっと思いつかないです。開発は本当に苦労しましたが、お互いの得意なところを補完しあって、いいゲームになったと思います。

「オフ・ザ・レコード」制作開始

『デッド ライジング2 オフ ザ レコード』は「2」本編と並行して制作された作品だと思われがちなのですが、完全に「2」の後から始まった企画です。
予算とスケジュールこそ限られていましたが、上司からは「いままで色々駄目出ししてたけど、これは本当にやりたいことやっていいから!」と言われてスタートした作品です。

で、考えました。自分が本当にやりたいこと。

実は私も、一緒に開発していたスタジオに駄目出しばかりしていました。機会あればのびのびゲームを作って貰いたい。そう感じていました。
なので、スタジオのメンバーに自由に作ってもらうことにしました。

やっぱりゲームは作る人が楽しんで作らないと面白くなりません。この作品では「楽しんで作れる体制をつくる」という仕事を目指しました。

チャックがサイコ化するあたりとか、いかにもゾンビものらしくて面白いと思います。

そういうアイデアが生まれたのも、彼らが「楽しんで」作ったからじゃないでしょうか?

こぼれ話:

「デッド ライジング」は丁度「バイオハザード4」制作中にスタートした企画なのだとか。
上司から「バイオがゾンビを出さないだったら、その隙にこっちでゾンビのゲーム作ろうや~」といわれて、でも一応バイオチームに話を通さないと…
と考えていた時、花見でばったりチームの責任者に会ったのでOKもらったとのこと。のでも「次はゾンビゲームに戻すつもりだったのに!」と冗談っぽく怒られたそうな。

最新機種版『デッド ライジング』発売に向けて

「デッド ライジング」シリーズも気づけばもう10歳、早いものです。「デッド ライジング」は、ゾンビ映画へのリスペクトを詰め込んだゲームです。 “ゾンビ”好きな方には、プレイしていただきたいですね~ゾンビに襲われている人を助けようとして、間違ってバットで殴ってしまい、怒ったその人に逆に殴られるとか、いろんなハプニングが楽しめるゲームです。遊んだことがある人も無い人も、是非このゾンビ地獄(パラダイス)に飛び込んでください~!

AM作品への挑戦『進撃の巨人』

今担当しているのはアーケードゲーム版『進撃の巨人』です。立体機動装置をあしらった専用筐体を使うアーケードゲームで、爽快な立体機動と巨人との闘いが堪能できます。
『進撃の巨人』という、超絶素晴らしい原作のゲーム化を担当できて、正直とてもプレッシャーを感じますが同時に嬉しいです。ゲームファンの諌山先生に喜んでプレイしていただけるゲームになるようチーム一丸となって頑張ります。

こぼれ話:

『進撃の巨人』原作の諌山先生は大のゲームファン。公式ガイドブックで先生が「ロックマンDASH」で街中を縦横無尽に駆け回るさまを立体機動をはじめとするギミックの参考にされたと書かれているのを読んで、感激すると共に不思議な縁を感じたとのこと。ゲームファンの先生の期待に応えるべくAM版『進撃の巨人』は絶賛開発中だ。
『進撃の巨人 TEAM BATTLE』公式サイト